著者
佐藤 達夫
出版者
医学書院
雑誌
臨床泌尿器科 (ISSN:03852393)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.837-846, 1991-10-20

睾丸(精巣)のラテン語名testisの第1語義は「証人」witnessであり,「睾丸」は男性を証明するものという意味で派生した第2語義と想像される.使用頻度の高いtestify,testament,testという英単語もtestisと用じ語源をもつものらしい.睾丸のもつ重要性は"testis"に表わされていると見ていいだろうし,英語testisやフランス語tes-ticule,イタリア語testicolo,スペイン語testeに継承されているのも理解できるところである.それにくらべると,睾丸炎orchitisなどに使われるギリシャ語のorchisは蘭(一般にオーキッドorchidと呼ばれている)のことで,その球根の形に似ていることに由来し,またドイツ語のHoden(単数はHode,ふつう複数で用いられる)は古高地ドイツ語の包むumhüllenから由来したとされ(いわば「おくるみ」),testisよりインパクトがかなり弱い. ついでながら副睾丸(精巣上体)のepididymisのepi—はもちろん「の上に」であるが,didymisはギリシャ語で「対をなした」に由来する.つまり有対の睾丸の上にのっかったものという程の意味で,ギリシャ出身の大医学者Galenus(129〜199)が使っているという1).
著者
澤 祐介 佐藤 達夫 池内 俊雄 Vladimir Pozdnyakov
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1_2, pp.65-72, 2019-12-31 (Released:2021-05-14)
参考文献数
12

2016年7月にロシア・レナデルタの北東部においてコクガンの標識調査を実施した.調査期間を通し合計で63個のコクガンの巣を確認し,21羽のメスを捕獲し,黄色のカラーリングを装着した.本論文では,コクガンのコロニーの特徴,クラッチサイズ,卵の大きさ,コクガンの外部計測値について報告する.加えて,今回標識した個体のうち1羽が2016年12月にアメリカ・カリフォルニアのハンボルトベイで回収された記録を報告する.
著者
澤 祐介 佐藤 達夫 池内 俊雄 Vladimir Pozdnyakov
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1_2, pp.53-64, 2019-12-31 (Released:2021-05-14)
参考文献数
19
被引用文献数
2

2016年6月下旬から7月上旬の繁殖期にかけて,ロシア・レナデルタにおいてシギ・チドリ類の標識調査を実施した.調査期間中,合計35種の鳥類が観察され,そのうち18種が繁殖していることが確認された.そのうち6種32羽のシギ・チドリ類を捕獲,標識した.本論文では,シギ・チドリ類の営巣環境と標識した個体の外部計測値について報告する.
著者
伊関 文隆 三上 かつら 佐藤 達夫
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.3-23, 2021-06-30 (Released:2021-07-01)
参考文献数
34

タカ目の種は初列風切を最内側のP1から最外側のP10へと順番に換羽する標準的な換羽様式を行うと言われていた.しかし,近年タカ目であるツミAccipiter gularisにおいて初列風切の中央を最初に換羽する新たな換羽様式を行うものがいると報告された.しかし,その換羽様式は全容解明には至っておらず,更なる調査が必要である.そこで,著者らはツミの若鳥の換羽様式を調査し,本報ではその順序,時期および雌雄差について報告する.調査は,写真(146例),剥製(56例),飼育された鳥(1例)の3つの材料を用いて翼の換羽データを収集した.そこから換羽の順序を見積もるために2つの異なる方法を用いて解析した.1つは換羽した部位の分布から推定する方法であり,もう1つは非対称の換羽の位置から推定する方法である.換羽における性別,時期別,地理別の違いの有無を調べるために統計解析を行った.これらの解析により,ツミの独特な換羽様式が得られた.いくらかの個体は初列風切の中央から換羽を始め,内側と外側の両側に向かって順番に換羽する散開式換羽を行い,そしてそれは越冬期に行われた.加えて,散開式換羽を行うものは雌より雄の方が換羽が早く行われた.さらに,次列風切ではS2がS1より先に換羽した.このような一般的ではない換羽様式とそれに関連する現象(渡りや換羽時期)の解明は換羽の進化をより深く理解する一助となる可能性があり,更なる調査が必要である.
著者
佐藤 健次 佐藤 達夫
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.515-529, 1981 (Released:2009-06-05)
参考文献数
18
被引用文献数
13 7

術後機能障害を最小限にとどめた直腸癌手術術式の開発に資する基礎的研究として,実習死体において陰部神経叢と骨盤神経叢の構成と分布形態の精査を試みた.陰部神経叢の枝は,起始位置から内側群(第1群)と外側群(第2群)とに分けられ,両群ともに所属神経の問に層的構成が認められる.骨盤内臓神経は内側群の最腹側に位置する神経である.外肛門括約筋の主要支配神経は下直腸神経と会陰神経であり,後端部にのみ第4仙骨神経会陰枝または肛門尾骨神経が進入する.肛門挙筋の主要支配枝は肛門挙筋神経であるが,筋下端部は会陰神経と下直腸神経の支配を受ける.骨盤神経叢は主として下腹神経と骨盤内臓神経から構成され,仙骨内臓神経の関与度は低い.骨盤神経叢から出る直腸枝は,直腸壁への進入個所により,上群と下群とに分離する傾向が認められる.
著者
栗原 敏 福田 康一郎 佐藤 達夫 江藤 一洋 福島 統 神津 忠彦 高瀬 浩造
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2001

1.共用試験Computer-based Testing (CBT)の試験システムの開発および運用に関する研究:平成13年度にCBTシステムの基本的開発を行った。データベース構造および問題入力ソフトについては東京慈恵会医科大学において総合試験システム(Exam98)を参考に研究、開発を行い、出題方式(コンピュータ試験)、サーバーでの問題管理などは独自開発を行い、平成14年2月からの第1回CBTトライアルに投入した。第1回トライアルで発見されたシステム上の問題点を平成14年度の本研究により改修し、平成15年2月からの第2回CBTトライアルに投入している。2.MCQ問題の作成とその質の確保に関する研究:第1回トライアルでは5肢択一形式のいわゆるタイプAの多肢選択問題を出題し、出題したすべての問題を解答率、識別指数、解答パターンを参考に検証した。この検討の結果、共用試験CBTの問題の質を確保するためには、項目反応理論の適応が必要であるとの結論に至り、現在、項目反応理論のCBTへの適応の検討が続いている。第2回CBTトライアルでは、さらにわが国の独自開発による順次解答型連門形式を試行している。順次解答2連門形式、順次解答4連門形式は、コンピュータ試験の特性を生かしたもので、問題解答後次の問題に移ったら前の問題には戻れないタイプのもので、紙と鉛筆の試験では実施できなかったものである。このタイプを用いることで、受験者が一つの症例について順次情報が集積されていく過程の中での判断を問うものである。本形式は米国のSTEP1にもなく、わが国独自の出題形式である。3.客観的臨床能力試験(OSCE)の開発と運用に関する研究:平成13年度の共用試験OSCEは医科、歯科あわせて20校で、少数トライアルとなった。この第1回OSCEトライアルでの学生成績を集め、評点の評価者間較差の研究を行った。4.歯学における試験の作成と運用に関する研究:医科、歯科ではとくにOSCEの課題に大きな相違があり、その相違が運用にどのように影響するかのデータを集積した。

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著者
佐藤 達夫
出版者
森林立地学会
雑誌
森林立地 (ISSN:03888673)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.1-2, 1974-03-20
著者
佐藤 達夫
出版者
日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.2-10, 2012 (Released:2014-02-07)
参考文献数
12
被引用文献数
1

骨盤腔は深くて狭いうえに,内部は直腸,子宮,膀胱,前立腺等の重要臓器で満たされており,臓器それぞれには血管,リンパ管,自律神経が出入りしている.QOLを重視した手術を行うには,これらの構造物の解剖と相互位置関係を熟知していなければならない.さらに癌の手術では,それらを包む結合組織性の膜様構造物(いわゆる臓側筋膜)の層構築がとりわけ重要であり,骨盤の解剖はさらに複雑化している.しかし幸いなことに,直接に手術に携わる外科系医師達自身による臨床解剖学的検索が進み,ここ10年程の間に大きな進歩がもたらされた.このようなとき,各科のエキスパートを集めた骨盤の外科解剖の特集が組まれたことは,非常に意義深い企画と考えられる.しかし,本特集の先端的な研究の内容を理解するには,準備体操,すなわち序論が必要であろう.ここでは,いささか古典的になってしまったきらいはあるが,基盤となる解剖学的知識を剖出所見を活用しながら検討しておきたい.
著者
佐藤 達夫
出版者
The Japan Broncho-esophagological Society
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.227-234, 1999-04-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
3

In function-preserving operations of the esophagus and lung, it is crucial to have a precise knowledge of the mediastinal and deep cervical lymphatics and their relationships to surrounding structures. The lymphatics of the mediastinum and neck, which are associated with the esophagus and run along the trachea, were dissected in detail in several anatomical specimens. The actual photographs taken during the dissection are included for a more complete understanding of the intricate topographical relationships. Although there are numerous transverse connections, the mediastinal lymphatics can be roughly divided into two major ascending pathways: the right and the left. Each pathway can then be subdivided into a superficial pathway along the major blood vessels and a deep pathway along the trachea and esophagus. Various deep right ascending pathways are shown to illustrate the problem of the differing levels at which lymph vesseles leave the paratracheal nodes to reach the right venous angle. Further, the brachiocephalic node group is discussed as the critical intermediary nodes between the superficial and deep pathways. Numerous deep left pathways are also dissected from the left tracheobronchial nodes. Some lymphatics ascend along the left recurrent nerve to finally reach the left venous angle, while some pathways traverse to the right side. Still other pathways directly connect to the thoracic duct.
著者
佐藤 達夫
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.2253-2272, 1995-11-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
14
著者
川崎 永大 富樫 結 小林 武司 佐藤 惇司 山本 優一 藤田 貴昭 蛯名 葉月 大河内 香奈 佐藤 達夫 大槻 剛智
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.EbPI1421-EbPI1421, 2011

【目的】<BR> 日本人の死亡因子の上位である脳卒中は、心筋梗塞の発症率と比較し高い罹患率にある。また、脳卒中後の後遺症は健常者と比較し転倒リスクを高めるため、内・外的因子を踏まえた上で介入方法を随時検討する事は周知の通りである。<BR> 脳卒中後の後遺症により歩行障害を呈した対象者の足関節背屈機能の低下は特徴的で、歩行能力低下の一因子となる。麻痺側下肢の足関節背屈機能の低下は、麻痺側立脚期の前方推進力を非効率的なものとし、健側下肢は各動作において多彩なパフォーマンスが要求され努力的な歩行を強いられる。<BR> そこで、本研究では慢性期脳卒中患者を対象とし、足関節背屈機能の代償が期待される転倒予防靴下の有効性をこの場にて検証した。<BR>【方法】<BR> 慢性脳卒中患者7名(年齢62~86歳 男性4名 女性3名 発症期間3.0±1.2年 Stroke Impairment Assessment Set平均52±9点)を対象とした。明らかな高次脳機能障害や足関節拘縮が認められず杖を用いれば監視下にて歩行可能な対象者とし装具は装着していない。<BR> 検査者は対象者の10m最大歩行を自覚的な疲労に応じ1~3回実施し、裸足、市販靴下+ルームシューズ、転倒予防靴下+ルームシューズの3条件で異なった歩行様式から歩行時間と歩数を記録した。<BR> 統計処理として対象者の歩行時間と歩数をFriedman検定および多重比較試験(Bonferroniの不等式)にて統計処理を行い有意水準は5%未満とした。<BR>【説明と同意】<BR> すべての対象者には、慢性期脳卒中患者を対象とした研究と説明した上でヘルシンキ宣言に則り書面にて同意を得ることができている。<BR>【結果】<BR>10m最大歩行は平均値にて裸足22.8±10.4秒、市販靴下+ルームシューズ22.8±9.3秒、転倒予防靴下+ルームシューズ18.7±9.3秒となり、裸足と転倒予防靴下+ルームシューズの間に有意差が認められた(p<0.01)。平均歩数は裸足28±4歩、市販靴下+ルームシューズ28±5歩、転倒予防靴下+ルームシューズ27±5歩となり裸足と転倒予防靴下+ルームシューズの間で有意差が認められた(p<0.01)。<BR>【考察】<BR> 片麻痺患者の歩行特性の一つとして、歩行時の足関節背屈機能の低下が問題とされる。転倒予防靴下は健常成人を対象とした研究において、歩行または段差昇降における高いtoe clearanceを保ち足関節の背屈機能を代償するとされている。<BR> 本研究では3種類の条件が異なった歩行において転倒予防靴下+ルームシューズの組み合わせが最も高い歩行能力を発揮した。歩行時の足関節背屈機能の改善は、床反力の前後成分を変化させ、床反力の制動成分を減少し、立脚初期より後方に位置する身体重心を効率よく前方へ推進させ全体的に歩行時間及び歩数の減少に至ったと考える。しかし、その他の群間検定においては有意差がみられなかったが、持参していただいたルームシューズの素材や形態が異なり、靴着用時に足部より受ける床反力を定量化できなかった事が問題であり今後の検討課題としたい。<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 転倒予防靴下は脳卒中患者の足関節の機能を代償し歩行能力を改善させるため、リハビリテーションのみならず屋外歩行での積極的な利用が進められると推察される。
著者
佐藤 達夫
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.191-196, 2002-04-18

For the improvement of medical education in Japan a project team (Research and development project on educational programs in medicine, Chair: Tatsuo Sato) was organized in term years 1998-2000. They prepared a model core curriculum and made it open to the public in March 2001. The traditional jam-packed curriculum was compressed into about two-thirds and was completely reorganized into a totally new comprehensive design. Most medical schools have respected this model core curriculum as a guideline for the future development of their own medical curriculum. For example, regarding rehabilitation medicine the following are adopted as the fundamentals: 1) to describe the concept and indication of rehabilitation, 2) to understand the structure of the rehabilitation team and to describe the physician's role, 3) *to describe the role of rehabilitation in cooperation with welfare and care, 4) to describe impairments in terms of functional impairment, performance decline and social disadvantage, 5) to evaluate the activities of daily living (ADL), 6) to describe briefly physical therapy, occupational therapy and speech therapy, and 7) to describe briefly the major walk-supporting equipment, wheel chair, artificial limbs and apparatus.