著者
水田 博之 芝崎 靖雄 延谷 宏治 金丸 文一
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:00090255)
巻号頁・発行日
vol.90, no.1043, pp.355-362, 1982-07-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
5

0.12K2O・0.48PbO・0.40ZnO・0.15Al2O3・1.70SiO2(mol) の基本組成を持つ基礎釉及び基本組成にTiO2(5wt%) とNH4VO3(3wt%) を単独または同時に加えた組成の釉について結晶化及び虹彩現象の研究を行った.1150°-1250℃の温度範囲で溶融後徐冷すると基礎釉及びV添加釉ではZn2SiO4の結晶が析出するが, Ti添加釉ではZn2SiO4とZn2TiO4の結晶が析出した. TiとVを同時添加した釉ではルチル型 (TiO2) が主として析出し鮮やかな虹彩を示した. この虹彩現象は葉片状に集合した薄板状ルチル型 (TiO2) の析出によって引き起こされるが, Zn2TiO4やZn2SiO4の析出は逆に虹彩現象を弱めた. 析出結晶相の同定には, 実体顕微鏡, 走査型電子顕微鏡, 分析電子顕微鏡やX線回折装置を用い, 析出結晶と虹彩現象との関連性を詳しく議論した.
著者
下野 泰雄 西田 充 関 八千穂
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:00090255)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1101, pp.494-502, 1987-05-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
26
被引用文献数
2

This report describes the formation of foam glass made from abundant glassy volcanic ashes existing in south Kyusyu (Kagosima-ken), Hokuriku (Ishikawa-ken), and Hokkaido. A specified batch composition in the system volcanic ash, sodalime-silica glass, and sodium silicate (anhyd.), has been calcinated at 900°C for 10 minutes in an electric furnace to obtain foam glass. This experiment has provided various usefull foam glasses with desired quality, for insulating materials (bulk density: 0.23Mg/m3, thermal conductivity: 0.07W/m·K) and inner or/and outer sawing materials (bulk density: 0.65Mg/m3, thermal conductivity: 0.14W/m·K). All volcanic ashes used in this experiment has satisfied requirements for raw materials. When the six definite straight lines are extrapolated to find by plotting the physical properties (bulk density, thermal conductivity, average pore diameter) of foam glass on various amounts of the soda-lime-silica glass at the right-angled coordinates definates x-axis as the amount of sodium silicate (anhyd.) including the glass batch, and y-axis as the physical properties, every lines intersected and converged on one point. When the intersectional coordinates are the bulk density and thermal conductivity of foam glass, all the values of x-axis are the same. And, when the intersectional coordinates are the average pore diameter of foam glass except Sample No. 2, all the values of y-axis are the same. It was found that all the glassy volcanic ashes used in this experiment have essentially the same property ranging from south Kyusyu to Hokkaido.
著者
友沢 稔 高田 雅介 John ACOCELLA E. Bruce WATSON 高森 剛
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:00090255)
巻号頁・発行日
vol.91, no.1056, pp.377-383, 1983-08-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
31
被引用文献数
7 9

約8wt%までの水を含むNa2O・3SiO2ガラスを高温高圧下で合成し, そのガラス転移点 (Tg) をDTA法により測定した. ガラス中の水はTgより高温で発泡を伴って溶離した. ガラス転移点と発泡温度はともに含水量の増加につれて減少した. 含水量の変化に対するガラス転移点の変化を高分子の可塑剤に対する種々の方程式と比較し, OHと分子状H2Oの両方の寄与を考慮に入れた方程式により, 最もよく記述されることを見出した. OHはTgを急激に下げ, 一方分子状H2Oは単にガラスを薄める効果によりわずかにTgを下げることが結論付けられた.
著者
功刀 雅長 高橋 克明 沢井 郁太郎
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:00090255)
巻号頁・発行日
vol.69, no.788, pp.261-270, 1961-08-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
5

A model of a bridge-wall tank was made from plastics to the scale 1/50. Molten glass was replaced by 82% glycerin and its flow in the model under conditions satisfying as fare as possible the law of similitude was studied by the following method. Grains of plastics covered with aluminium powder, whose specific gravity was made as nearly as possible the same as that of glycerin, were introduced as tracer. Illumination with a thin sheet of light across the tank made the motion of the tracer particles visible, and the velocity distribution in the flowing glycerin was estimated from photographic records of the tracks. The temperature distribution in the fluid was measured by Cu-constantan thermocouples. The effect of changes of heat input from the top surface and the arrangement of heaters on the flow patterns and the temperature distribution was investigated.
著者
西野 忠 山内 英子
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:00090255)
巻号頁・発行日
vol.91, no.1050, pp.62-67, 1983
被引用文献数
2

前報に引き続き, 等モル比混合物CaSO<sub>4</sub>+SrCO<sub>3</sub>, CaSO<sub>4</sub>+BaCO<sub>3</sub>の加熱時における交換反応を調べた. また, 上記2系の単純交換生成物対に相当するCaCO<sub>3</sub>+SrSO<sub>4</sub>, CaCO<sub>3</sub>+BaSO<sub>4</sub>についても検討し相互固溶を考察した. 次いで, CaSO<sub>4</sub>に対するSrCO<sub>3</sub>とBaCO<sub>3</sub>との交換速度を比較するため等モル比固溶体 (Sr, Ba) CO<sub>3</sub>を作製し, CaSO<sub>4</sub>との交換反応に供試した.<br>反応はCO<sub>2</sub>気流中で行い, 加熱試料のX線分析, HCl-CH<sub>3</sub>OHを用いた抽出液の陽, 陰両イオンの定量から反応過程を検討した. 得られた結果を要約すると,<br>(1) CaSO<sub>4</sub>+SrCO<sub>3</sub>は前報のSrSO<sub>4</sub>+BaCO<sub>3</sub>と同様, 交換生成物同士が相互に少量ずつ固溶した2相を与え, CaSO<sub>4</sub>+BaCO<sub>3</sub>では両陽イオンの単純交換型で進行する. 交換開始温度, 交換率を比較すると後者の単純交換型が速い.<br>SrCO<sub>3</sub>, BaCO<sub>3</sub>の粒径効果を除去するため固溶体 (Sr, Ba) CO<sub>3</sub>を用いても同様な結果が得られた.<br>(2) 交換反応の駆動力は交換されるべき両陽イオンの半径の差に基づくものと考えられる.
著者
佐藤 次雄 菅野 佳実 遠藤 忠 島田 昌彦
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:00090255)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1085, pp.133-138, 1986-01-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

SiC, Si3N4及びAlN試料を900°-1200℃の温度域において, K2SO4あるいはK2CO3溶融塩中に浸し, 0.1-20h反応を行わせ腐食挙動を調べた. AlNセラミックスは本実験条件下では, AlON及びα-Al2O3酸化被膜が形成されカリウム塩溶融塩腐食に対し極めて安定であり, ほとんど重量減少を示さなかった. SiCセラミックスはK2CO3溶融塩にはわずかに溶解しただけであるが, K2SO4溶融塩とは定量的に反応し, K2SO4/SiC反応モル比は0.8であった. Si3N4セラミックスは窒素雰囲気下ではK2SO4及びK2CO3溶融塩いずれとも定量的に反応し, 各々の反応モル比はK2SO4/Si3N4=1.6, K2CO3/Si3N4=3.5であった. 一方Si3N4-K2SO4系の反応は空気中では酸化物被膜の生成により抑制された. 窒素雰囲気下におけるSi3N4とK2SO4あるいはK2CO3との反応は, 固液不均一反応における表面化学反応律速の速度式に良く適合し, 見掛けの活性化エネルギーはそれぞれ724kJ/mol及び126kJ/molであった.
著者
柳田 博明
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:00090255)
巻号頁・発行日
vol.78, no.896, pp.111-120, 1970-04-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
61
被引用文献数
1 2
著者
佐藤 正雄 福田 俊平
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:00090255)
巻号頁・発行日
vol.71, no.805, pp.101-104, 1963 (Released:2010-04-30)
参考文献数
11

Experiments were made to prepare yttrium iron garnet (Y3Fe5O12) single crystals in molten YF3-PbF2 solutions. The solubilities of Y2O3 in YF3 were obtained by differential thermal analysis, and those of Fe2O3 in PbF2 in air by chemical analysis of quenched specimens.Mixtures of Y2O3 and Fe2O3 were dissolved in YF3-PbF2 solutions at 1300°-1350°C and then the solutions were cooled at the rate of 4-10°C/hr to prepare yttrium iron garnet single crystals.Spacings of these crystals were compared with those of crystals prepared by the other methods.
著者
青木 能理顕 鈴木 謙治 長谷川 洋 安井 至
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:00090255)
巻号頁・発行日
vol.93, no.1078, pp.327-333, 1985-06-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
15
被引用文献数
5 6

分子軌道法 (Intermediate Neglect of Differential Overlap: INDO法とGAUSSIAN-80H: ab initio法) を使用してホウ酸ガラスの最小構造単位であるBO3ユニットのB-Oの結合距離及びBO3ユニットを2個結合させた場合の結合角, 更に三員環 (boroxol環) のB-Oの結合距離, 四員環の最適構造を検討した. 分子軌道法では全原子価電子を考慮できるINDO法を用いてBO3ユニットの最適構造を求め, BO3ユニット2個の結合角を計算した. ホウ酸ガラスの局所的な構造については, B-Oの結合距離が1.35-1.45Åであることが明らかになり, Mozzi, WarrenらによるX線の結果と十分良い一致をみた. 更にINDO法により求めた2個のBO3ユニットを結合させた場合のB-O-Bの結合角が120度に近いことにより, boroxol環の存在を強く示唆する結果が得られた.次に, INDO法の結果を参考にしてHand-built法を使用してboroxol環, BO3ユニットを基本構造単位として構造モデルを作成し, ホウ酸ガラスのマクロな構造を検討した. 動径分布曲線と角度分布曲線及び層間距離を検討した結果, ホウ酸ガラスの主要な部分はboroxol環からなっていて, それに加えて少量のBO3ユニットが含まれていることが明らかになった.
著者
岡本 祥一 岡本 敞子
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:00090255)
巻号頁・発行日
vol.85, no.986, pp.518-522, 1977-10-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
7
被引用文献数
4 5

水酸化第一鉄沈殿は, 沈殿生成の際に水溶液中に共存する多くの重金属イオンを共沈除去し, 水質を浄化する作用が強い. 共沈機構は, CdI2型の水酸化第一鉄結晶への各種金属イオンの置換固溶である場合 (Mg2+, Zn2+, Cd2+, Mn2+, Co2+, Ni2+) もあるが, Hg2+およびCu2+の場合には, 酸化還元反応が優先する新しい共沈機構によることが明らかとなった. 水酸化第一鉄沈殿の酸化の機構について, 沈殿結晶の固液界面における酸化反応の生ずる位置が異なるため反応生成物が異なると考え, topotacticな酸化と, 溶解析出を伴う酸化とに区別して, 新しい共沈機構について考察を加えた.
著者
服部 豪夫 毛利 純一
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:00090255)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1034, pp.568-571, 1981-10-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

酸化カルシウムの再炭酸化反応の動力学を検討した. 炭酸カルシウムを真空中, 800℃で1時間〓焼し, 酸化カルシウムを得, これを500℃に降温させ, そこに炭酸ガスを導入し反応させた. 炭酸ガス圧12-55Torrの条件で, 石英スプリングを用いた熱重量測定により求めた反応時間-反応率曲線を解析して次の結果を得た.(1) 酸化カルシウムの再炭酸化反応は二つの過程よりなっていた.(2) はじめの過程は直線則で表される界面反応が律速の過程であり, 続いて(3) 第2の過程は放物線則がなりたつ, 拡散律速反応の過程であった.(4) 両過程の速度定数はいずれも測定した炭酸ガス圧力の範囲内で直線的に変化した.
著者
柘植 章彦 井上 寛 米屋 勝利
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:00090255)
巻号頁・発行日
vol.82, no.951, pp.587-596, 1974-11-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
28
被引用文献数
1 3

窒化チタン (TiN) の焼結に関する既報の研究例は数少ない. この報告はTiN-CoおよびTiN-WC-Co系合金の焼結に関したものである. すなわち, X線回折, E. P. M. A., I. M. A., 諸焼結特性の測定, および合金の強度測度などによって基本的諸現象に検討を加えた.おもな実験条件は次の通りである.1) 合金組成 (重量%),TiN-20wt% Co, TiN-25wt% Co, TiN-10wt% WC-20wt% Co, TiN-5wt% WC-25wt% Co, TiN-40wt% WC-20wt% Co2) 焼結条件,1600℃, 1700℃, 1800℃, 10-240min, Ar気流中その結果, 次のような知見を得た.用いた主原料TiNとCoの間には, 相互の溶解現象 (少量と思かれる) が認められた. また, これにWCを加えたTiN-WC-Co 3元系合金では, WCが他の2相に溶解する. おもにW原子がCo相に, C原子がTiN相へ溶解することを推察した. 2および3元系 (40WC添加系を除く) 合金の主構成相は粒子相であるTiN相, およびその結合相のCo相である.合金組織の検討によれば, 2元系合金では焼結初期から粒子相のスケルトンが形成され, この系におけるTiN粒子のCo相に対する不完全な濡れ性が推察された. しかし, 3元系合金ではこのような現象が認められなかった. これはWC添加により濡れ性がある程度改善されたことによると考えられる.TiN-10WC-20Co系の液相焼結過程のうち, 予想したsolution-precipitation過程を解析した結果, この過程は固-液界面における反応に律速されることを推察した.合金の機械強度はTiN-WC-Co 3元系合金の方で一般にTiN-Co 2元系合金に優ったが, これはおもに結合相の差異によるものと思われた.
著者
Willi M. 岩切 一良 黒柳 彰正
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:00090255)
巻号頁・発行日
vol.62, no.695, pp.340-344, 1954-05-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
12

高温度を得る他の方法と比較した太陽炉の主要な利点と欠点とを論じた。小形の試料を極めて純粋な状態で, 最高温度まで急速に加熱することが絶対必要である定性的研究のため, 最初の大形太陽炉装置が設備された。資料は加熱熔融され坩禍に集められた。例えば二成分系の液相曲線決定等の定量的研究用の太陽炉は最近発達したものである。予め定められた加熱予定表にしたがって, 試料を加熱・冷却または所望の温度に維持 (日照時間に制限される故) したり, 空気による急冷等を行ったりする装置について述べた。表面の状態と関係なく, 試料を黒体状態に近似せしめて温度を測定する方法について述べた。実験太陽炉の設計に入って来る種々のファクターを一覧表にまとめて評価してみた。半工業用途として, 多数の小形の曲面反射鏡をもって, 1個の反射鏡に置き換えた太陽炉について述べた。