著者
濱田 国佑
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.216-231, 2008-06-30 (Released:2010-04-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1 3

本稿では,外国人住民が集住する地方工業都市において,日本人住民が外国人住民に対して抱いている否定的意識のあり方とその規定要因を,1999年と2005年の2回にわたって実施した地域住民調査を通じて明らかにする.まず,外国人に対する「排他的意識」の規定要因を分析したところ,1999年の段階では,回答者の居住地域における「外国人比率」が影響を与えていたのに対し,2005年段階では,「外国人比率」の効果はなくなり,それにかわって「ブルーダミー」,あるいは「個人収入」といった変数の影響がみられるようになった.これは,“Group threat theory”と呼ばれる理論を支持するものである.次に,日本人住民によって認識された「生活悪化意識」の規定要因を分析してみたところ,「教育年数」を除いて,有意な効果をもつ変数は確認できなかった.これは,幅広い住民の間で「生活悪化意識」が共有されているということを示唆している.本論文の意義としては,まず第1に,日本の地方工業都市においても“Group threat theory”を支持する知見が得られたこと,そして第2に,「生活悪化意識」と「排他的意識」とではその規定要因が異なっており,「生活悪化」という問題の「認識」と「排他的意識」の「表明」には異なるメカニズムが働いていることが示唆されたという2点を挙げることができる.
著者
阪口 祐介
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.602-609, 2013-03-31 (Released:2014-03-31)
参考文献数
20
著者
山本 泰
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.117-120, 1998-06-30 (Released:2009-10-19)
著者
上子 武次
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.113-116, 1976-02-29 (Released:2009-11-11)
被引用文献数
1 1
著者
大道 安次郎
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.116-119, 1982-09-30 (Released:2009-10-19)
著者
西阪 仰
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.58-73,122, 1992-06-30 (Released:2009-09-16)
参考文献数
18

およそ社会的場面は身体の集合としてある。ある一定の形式のもとに配列された身体の集合は、どうじにその各身体にとって有意味ななにものかとして経験される。ここにある種の捻れがあるのは、みやすい。つまり、身体たちが自分たちの集合を有意味なものとして経験できるのは、身体が一定の形式のもとに集められているからであり、身体の集合が一定の形式のもとにあるのは、身体たち自身が、自分たちの集合を有意味なものとして経験しているからである。本稿は、身体 (=その社会的場面への参与者) たちが、この捻れを承知し利用しつつその場面を組織していく様子にたいして、ビデオ分析により積極的な記述をあたえていこうとするものである。ゴッフマンやケンドンなどの議論を参照し、その不十分な点を指摘しながら、エスノメソドロジカルに方向づけられた「会話分析」の手法に拠って、身体の配置の構造をあきらかにする。
著者
江原 由美子
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.51-66,111, 1979-06-30 (Released:2009-11-11)
被引用文献数
1

多元的リアリティ論は、A. Schutz以来社会学における重要な一課題となっている。だが、これまでの多元的リアリティ論においては、各リアリティ間の構造的連関や動態が論じられることは比較的少なかったように思われる。本稿では、リアリティの多元性を生むと思われる要因を三つ挙げ、その内の一つの意識状態の多様性に基く多元的リアリティの動態論を導く事を課題とする。三要因を分節したのは、これまでの多くの議論ではリアリティの多元性に関する異なった観点を同時に取り挙げてモデル構成していたので、各リアリティを系統的に抽出し得なかったのではないかと考えるからである。そして、この各リアリティを構成する為に、人間の精神発達過程 (特にピアジェとエリクソンの発達心理学) に着眼し、その発達段階から各リアリティを導く事を試みる。このようにして構成された各リアリティ間には、二つの軸による構造的連関が指摘できる。この連関に基き、動態的な多元的リアリティの一モデルを提出したい。
著者
数土 直紀
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.436-453, 2006-09-30 (Released:2010-04-23)
参考文献数
102
被引用文献数
1 1

本稿ではまず, 日本における数理社会学研究の最近の動向を, 進化ゲーム理論やシミュレーションなどの台頭, および世代継承の観点から議論するさらに, 国際化と啓蒙活動の盾発化を中心に, この時期の数理社会学会の活動を概観し, そうした動向・活動の中から出てきた新しい流れを, テーマおよび方法の違いに気をつけながら, 可能な限り紹介する
著者
丹辺 宣彦
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.33-48, 2003-06-30

M.Olsonの集合行為論は, 共通の利害を有することが集団形成を促すという階級論の想定に対して, 有効な批判の論拠を提供してきた.他方で, その問題構成には, 集団間の階層的分化への顧慮と, 集団への関与がその成員の意識と行動に大きな影響を与えることを考慮する観点が相対的に欠けていた.この点に着目し, 本稿では, 階級的・階層的集団の成員の意識にあらわれるカテゴリー形成を手がかりとし, それが集団形成と集合行為をいかに水路づけるかという問題を論じる.<BR>まず, Olsonの集合行為論の問題点を整理し, その議論が集団間での階級的, 階層的な利害の分化を捨象しており, また他方で集団カテゴリーの成立を前提としていたことを示す (1節).つぎに, 集合財の階層性を確認するとともに, C.OffeによるOlson批判も, 労働組合成員による「集合アイデンティティ」カテゴリーの創出という, 個人的合理性に対置される集団的連帯性に依拠していたことを示す (2節).さらに, 集団問での利害対立の分化が新たな集合財空間の分化をもたらすことを明らかにする.その上で, 属性を物象化=象徴化することにより階層的な集団カテゴリーが形成される機制と, 集団と個人の利害の同一視によって, フロントランナーの集合行為が引き起こされる可能性を検討する (3節).このような検討から, 集合行為論の展開に対して, 社会学的観点からの貢献が可能であることを示したい.
著者
太郎丸 博
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.41-57, 2006-06-30

1970年ごろに米国で発達した理論構築の考え方は, 理論に対する1つのアプローチを確立した.しかしそれは, 学説研究の価値を不当に低く評価することになっている. Laudanの議論に従えば, 研究伝統の抱える概念的問題を解決したり, 社会学全体を見渡して複数の研究伝統の発展の歴史を概観したり, その長短を判断することを通して, 学説研究は理論を発展させることができる.さらに研究伝統を深く学ぶことで, 解くべき問題をしばしば発見することができるし, 概念的問題の解決の手がかりも, しばしば学説の中にある, しかし, 学説だけを研究しても理論の発展は難しい.概念的問題は経験的問題と密接に連動しており, 経験的問題の解決は, データの収集・分析と不可分に結びついている.概念的問題と経験的問題を同時に追求しなければ, 理論の発展は困難である.理論を発展させるためには, 既存の研究伝統を深く学ぶと同時に, 何らかの経験的問題を追求することが必要である.そのためのコツをあえていうならば, デリベーションと「よい」集団に属して研究することが考えられる.
著者
佐藤 嘉倫
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.632-647, 2009-03-31
被引用文献数
5

現代日本の階層構造について語るとき,「流動化」と「固定化」という2つのキーワードが浮かび上がる.非正規労働者の増加などの流動化と特定階層における世代間移動の固定化がその典型例である.本稿では,相矛盾するように見える2つのキーワードを階層論の視点から統一的に理解・説明できることを示す.すなわち,階層構造の流動化といっても,すべての階層でそれが生じているわけではなく,特定の階層は依然として保護的な制度に守られているが,別の階層は高まる流動性に巻き込まれている.教育,若年層,転職,世代間移動,収入という5つの領域における,2005年社会階層と社会移動研究プロジェクトの研究成果を検討しながら,この仮説が全体として妥当することを示す.最後に,階層構造の安定性と流動化の共存が社会階層論に与える含意について考察する.

1 0 0 0 OA 經營と志氣

著者
米山 桂三
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.18-27, 1952-01-10 (Released:2009-11-11)
著者
高坂 健次
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.25-40, 2006-06-30

オリジナリティのある社会学の理論形成のためには閃きやセンスが必要であるが, それ以前に言わば「定石」を踏まえておかなくてはならないことを指摘する.本論は社会学の理論には一般理論, 歴史理論, 規範理論の3つのタイプがあるとの議論をもとに, それらに共通の定石として, 真・善・美・整合性・実践性・明確性を守る必要があることを述べる.その上で, 任意に歴史理論の中から舩橋の主張する「T字型の研究戦略」を対象に「明確性」という定石からみてどのように評価できるかを論じる.次に, 問題の背後には「中範囲理論」の3つの誤謬があると見なして, 中範囲理論の問題点を論じる.3つの誤謬とは, 理論と調査の「統合」の置き違えの誤謬, 抽象化作用の置き違えの誤謬, 研究対象システムの置き違えの誤謬, である.最後に, 先の定石以外に, 異なる理論的枠組みの「統一化」を図ろうとする定石と, 一般理論・歴史理論・規範理論の3つの理論タイプを意識的に相互浸透させるという定石とがあることを示唆する.
著者
宇津 栄祐
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.32-47,95, 1965-01-30 (Released:2009-11-11)