著者
紙パルプ技術協会木材科学委員会 木材科学委員会
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.1336-1345, 1993

平成5年 (1993年) 6月8, 9の両日, 星陵会館大ホールにおいて, 約300名参加のもとに第60回紙パルプ研究発表会が開催された。最初に研究発表会実行委員長島田謹爾氏(森林総合研究所木材化工部成分利用科長) から開会の言葉があり, 続いて紙パルプ技術協会を代表して副理事長恩田恰彦氏 (三菱製紙 (株) 専務取締役)からご挨拶があった。今回は産・官・学の各界から30件の研究成果が発表され, 特別講演として生命工学工業技術研究所微生物機能部生態化学研究室長農学博士常盤豊氏の「生分解性プラスチック開発の現状と展望」と題するご講演を聴講した。発表会の最後に次回 (第61回) 研究発表会実行委員長諸星紀幸氏(東京農工大学農学部教授)から閉会の言葉があり, 雨模様で, また2日目は皇太子のご成婚祝日であったにもかかわらず盛会裡に終了した。なお第61回の紙パルプ研究発表会は, 平成6年6月9日 (木), 10日 (金) の2日間,同会場で開催の予定である。<BR>本報は研究発表及び特別講演の内容・質疑応答等を座長をお願いした諸先生にまとめていただいたものである。
著者
オリギル 梶本 純子 佐野 嘉拓
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.1786-1792, 2002-12-01
参考文献数
7
被引用文献数
1

Todomatsu (Abies sachalinensis Mast.) chips as softwood gave T-pulp with a Klason lignin (KL) content of 5.6% and a viscosity degree of 21.5 cP at a yield of 50.3% by HBS pulping with a mixture of 70% aqueous R-1, 3-and 1, 4-butanediol (as RHBS shown in Fig. 1) at 210&deg;C for 3 h. Birch (Betula platpylla var. japonica Hara) chips were cooked with 80% RHBS at 180t for 3 h to give B-pulp with a KL content of 5.0% and a viscosity degree of 43.4 cP at a yield of 54.3%. Chinese reed gave R-pulp with KL and ash contents of 2.5 and 6.3% in a yield of 48.7%, when cooked with 80% RHBS at 200&deg;C for 2 h. B-and R-pulps were fully bleached by ECF sequence with OD, and T-pulp with ODEPP. Bleached B-and T-pulps had TI of 12.4 and 17.6 mN&middot; m<SUP>2</SUP>/g, indicating that TI of HBS pulp was remarkably improved by ECF bleaching. Seventy and 80% aqueous HBS such as 1, 3-and 1, 4-butanediol, propylene glycol and 1, 5-pentanediol were quantitatively recovered on heating at 190&deg;C for 2 h, so they can be reused repeatedly as pulping solvents without distillation for purification and also with a little loss.
著者
石川 哲雄
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.74-80, 1992
被引用文献数
3

The effect of interval period between coating and drying on print mottle and binder migration was studied.<BR>Various coating colors having several starch, latex levels, solid contents and latex design were prepared, and were coated by new type multi-purpose laboratory coater, MLC-70. MLC-70 was able to control interval period between coating and drying from 0.3 to 60 seconds.<BR>Mottling tendency of these coated papers was evaluated by Croda ink stain and trapping test of RI print tester.<BR>Starch and latex contents in the coated surface were measured by absorptiometric procedure and pyrolysis gas chromatography, respectively.<BR>The effect of interval period between coating and drying on print mottle and binder migration were discussed.
著者
酒井 紅
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.55-58, 2018 (Released:2018-04-01)
参考文献数
4
被引用文献数
2

環境問題への意識の高まりから,木質バイオマスの有効活用が注目を集めており,その中でも特に近年,その応用展開が期待される素材として,セルロースナノファイバー(CNF)の研究が世界各国で活発になっている。一般的にCNFは,木質パルプに機械処理を加えることで得られるが,セルロース同士の強固な水素結合によって,機械処理のみで完全ナノ化(幅3-4nm)したCNFを得ることは困難であった。木質パルプから効率的にCNFを得る方法として,当社では機械処理の前に「リン酸エステル化」という前処理を行い,パルプ中のセルロース分子にリン酸基を導入し,水の浸透圧効果とイオンの静電的反発力の発現により,①微細化時のエネルギーの大幅削減,②ほぼ100%の収率で完全ナノ化可能,③高い透明性と粘性とを発現する,といった特徴を持つCNF水分散液を得ることに成功した。この水分散液は,汎用の天然系増粘剤と比較して透明性に優れ,かつ10倍以上の高粘度を持つため,工業用,化粧品用増粘剤としての利用を検討している。また,当社では他にも,パウダー状,シート状のCNFを開発しており,パウダーでは疎水化パウダーの開発による,塗料,インキ等新たな分野への応用,シートでは高透明性,高強度,熱安定性,フレキシブル性を生かした,フレキシブル電子基板材料やディスプレイ材料への利用が期待される。2016 年のCNF 分散液の実証設備導入を皮切りに,2017 年下期にはシートの実証設備も導入し,更に当社CNF の普及,事業化を加速していく考えである。
著者
阪井 雅洋
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.12, pp.1413-1421, 2017

<p>土壌汚染の特徴は,①汚染の対象が大気や水のような公共財ではなく,私有財である土地であること,②発生源対策を講ずれば汚染が解消する大気汚染や水質汚濁と異なり,一度生じた汚染を除去,浄化しない限り蓄積し続けるストック型の汚染であること,③汚染が存在しても摂取経路を遮断すれば健康被害のおそれがないという点がある。このため,土壌汚染は典型7公害の一つでありながら,法制化にあたっては,土壌汚染対策の実施要件や実施主体等について様々な課題があり,経済活動を阻害,生活基盤を揺るがすことなくどのような対策技術で安全を確保するかの検討などに時間を要した経緯がある。</p><p>本稿では,平成14年の法制定,平成21年の改正法を通じて浮かび上がってきた課題と,平成29年5月に公布された改正法の主な改正点の概要について紹介する。</p>
著者
澤 昭裕
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.1238-1243, 2011

3月11日の東日本大震災後,日本のエネルギー政策が大きく見直されようとしている。エネルギー政策の見直しにあたり整理すべき論点として,(1)エネルギーの「安定供給」の確保 (2)エネルギーの供給責任とコスト負担のあり方 (3)安定供給を担えるエネルギー産業の編成 の3点がある。これらの論点について,政策を立案・実施する責任のあり方も十分考慮し,整理する。<BR>電力の安定供給の確保については,電源の種類,タイミング,供給主体,場所等の計画を策定し,反原発か原発推進かという対立的で不毛な論争に終止符を打つべきである。石油危機による教訓は,エネルギーは安定供給が第一に重要であり,そのためにはエネルギー源を多様化しておくべきである,ということだ。石油危機後,日本は電源の多様化を進め,震災前は原子力,天然ガス,石炭がそれぞれ発電電力量の20~30%を担うバランスのとれた電源構成となっていた。自然エネルギーは,まだ1.1%しかなく,すぐに原子力を代替することはできない。こうした事実を踏まえ,今後のエネルギー構成を考えて行くべきである。<BR>また,供給責任とコスト負担については,自由化が進展した際,需給がひっ迫していない平時は余剰となる設備を誰が所有・維持するのかという論点を考えなければならない。現在の原子力損害賠償スキームには問題点があり,国策として原子力を進めてきた国の責任が十分とはいえない。<BR>エネルギー産業の編成の方向性としては,国際資源の獲得における交渉力などの面から,大規模化・統合化・総合化を検討すべきである。
著者
黒崎 篤
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.272-275, 2013-03-01

コグネックスはこの10年間,新しい欠陥検査システムのあり方を提案してきた。<BR>1つは欠陥判定(分類)などの検査システム本体の機能に関連した新たな運用にあり,もう1つは欠陥検査システムと連携した高精度なワインダー・コントロールやモニタリング・システムとの同期など,検査システムの新たな連携および拡張である。<BR>今回,これまでの検査システムの進化や最近の試みなどに触れると同時に,今後の欠陥検査システムの進んでいく方向性について展望を述べる。<BR>1999年にリリースした欠陥検査システム「スマート・ビュー(SmartView)」をもって,本格的に国内紙パルプ業界に欠陥検査システムの供給を始めている。それまでアナログ検査システムが主流の中,「デジタル処理による欠陥検出」や「画像処理による欠陥判定」の概念を持ち込んだシステムである。<BR>「スマート・ビュー」の特長は,「デジタル画像処理による欠陥判定」にあるが,同時に,その検査結果をいかに活用するかという観点から,「プロセス改善」や「生産性の向上」に寄与するスマート・ビュー関連製品も開発してきた。ライン・シンクロナイゼーション,スマートシステム等,本文に詳しく紹介する。<BR>今後の展望としては,従来の欠陥検査システムが使ってきたラインCCDカメラとは異なるタイプのセンサとの連携がより一層強化されることになるだろう。異なるタイプのセンサとは,1つはエリアCCDカメラであり,モニタリング・システムのカメラ(SAカメラ)やコグネックスの汎用画像処理センサ(In―Sight)などである。もう1つはプロセスに設置されている計測機器関係で,その情報を欠陥検査システムに取り込むことで,欠陥との関連性が把握でき,欠陥発生の原因究明の強化になるほか,検査システムが単に欠陥情報を持ったシステムということだけではなく,総合的な品質情報を管理するシステムへと変化していくことになろう。
著者
森本 博
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.10, pp.644-648,682a, 1960-10-10 (Released:2009-11-17)
参考文献数
7
被引用文献数
1
著者
宮西 孝則
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.12, pp.1281-1288, 2016
被引用文献数
1

<p>オゾン漂白を組み込んだ漂白シーケンスは一般的にライトECF漂白と呼ばれている。1971年から各国でパイロットプラントを使った研究開発が行われ,1992年に実機が稼動した。現在,オゾン漂白は世界の23工場で運転中であり,約1,000万トン/年のパルプが漂白されている。23工場のうち14工場の設備は2000年以降に稼働し,日本の製紙会社では国内6工場,海外2工場に導入している。すなわち,新しいオゾン漂白設備の50%以上を我が国の紙パルプ産業が保有している。ライトECF漂白は,環境負荷を著しく低減するだけでなく,晒し薬品コストを削減し,蒸気使用量を減らすことができる。パルプ強度を損なうことなく,到達白色度を高め,ピッチトラブルを減少し,叩解エネルギーを減少するなど多くの経済的メリットをもたらす。オゾン漂白は,中濃度又は高濃度で行われ,1990年代は既存設備を利用した改造工事で設備費が安価で工事が容易な中濃度が優勢だったが,2000年以降は高濃度設備が改良されて,中濃度と高濃度が拮抗している。二酸化塩素ECFとオゾンECFのどちらを選択するか,中濃度と高濃度のどちらが有利かなど,漂白シーケンスは,それぞれの工場の条件を検討して選択する。オゾン漂白基礎講座第1回ではオゾンの性質,オゾンの発生技術,オゾン漂白の操業条件などオゾン漂白の基礎について述べる。</p>
著者
石川 学
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.12, pp.1378-1383, 2014

日本製紙は,日本コカ・コーラ(株)と協働で健やかな森を保つための中長期の取り組みを行う趣旨の基本合意書を昨年10月に締結した。<BR>両社はそれぞれの事業活動を通じて,持続可能な社会の実現を目指し様々な分野で活動を行ってきた。特に環境分野においては,当社は森林資源,日本コカ・コーラ(株)は水資源の保全に努めてきた実績がある。本協定に基づき,両社は従来の取り組みを生物多様性や水源涵養など森林の持つ多面的機能を高める活動として発展させるため,それぞれの経験と資産を活かし,「森林資源」「水資源」の保全および保護活動に協働で取り組んでいくこととした。<BR>協働活動の第一弾として,コカ・コーライーストジャパンプロダクツ埼玉工場の水源地であり,当社菅沼社有林の所在する群馬県片品村において「豊かな森・水の保全」をテーマにした「次世代環境教育」や「地域一体型キャンペーン」を協働で行っていくこととした。<BR>当社は全国400カ所に森林を所有し,コカ・コーラシステムは全国24工場で様々な清涼飲料を製造している。今後,両社の国内における資産・事業の広がりを活かし,協働活動の全国展開に向けた検討を開始する。

1 0 0 0 基調講演

著者
米澤 義信
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.9-18, 1988

お早うございます。昭和62年度の年次大会を開催するに当たり, 一言ご挨拶を申し上げます。<BR>本年は技術協会創位40周年という記念すべき年であり, 記念式典, 記念講演会そしてこの年次大会と, 協会としても大きな行事が続きました。この八戸市で開催致しました大会につきましても, 500名に及ぶ多数の方々のご参加をいただき, 誠にうれしく存じます。<BR>本日は, ハイテクの時代にふさわしい特別講演として, 青森県りんご試験場の工藤場長殿には「りんごの新品種の開発技術等について」のお話を, また, 東京大学工学部笛木先生には, 「超伝導について」のお話を, それぞれお願い致しております。そして一般講演としては10件の発表が行われ, さらに別会場におきましても, 新しい試みとして, 製品を展示出品された各関連会社さんの製品説明会も予定されております。
著者
大庭 朋洋
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.144-146, 2017
被引用文献数
4

<p>紙製品への虫の混入は,歩留まりの低下や製品クレームにつながる問題として重要である。こうした中,製紙関連工場では様々な防虫対策を実施するが,その対策の効果が感じられない工場もある。このような工場では,どのようにして製品に虫が混入するか(混入シナリオ)を良く検討しないまま,手の付けやすい対策のみを場当たり的に実施していることが多い。対策を効果的にするためには,①製品への虫の混入シナリオを科学的根拠に基づき検討し,②製品への混入リスクの大きさに基づいて対策の優先順位付けをすることが,重要である。</p><p>混入シナリオの検討には,まず製品への混入状況の分析が必要である。次に,混入の分析結果を基に製造現場の問題点を絞り込み,調査していく。これら分析や調査には,担当者の経験やトレーニングが必要である。同時に,混入シナリオを支えるデータは科学的で客観性があることが必要であり,調査には気流や紫外線などの混入に影響する要素を測定する各種機材も用いられる。さらに弊社では,遺伝子による虫の同定技術,複数の混入要因を同時に測定するEMS-Qなど,従来にない強力な調査分析ツールを積極的に導入している。</p><p>対策への投資を効率的に活かすためには,混入リスクの分析に基づいて,優先順位を考えることが必要である。リスクは混入のしやすさを指標に,過去の混入実績,虫の特性や生息状況,製造工程の曝露性,検出性などの観点で評価することで,取り組むべき順番を合理的に決定することが可能である。</p>
著者
スベン・オルフ ルンドクウィスト エギルス クブルニクス
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.658-664, 1990

The STFI OPTI-Kappa is now a well established sensor for on-line measurement of the kappa number. There are sensors installed in Sweden, Japan, the US and Finland. There are substantial experiences from measurements on different types of pulps, from different wood species and different positions of installations. There are also considerable experiences from control applications in cooking, oxygen delignification and bleaching, where more uniform pulp quality and higher production efficiency have been achieved. In the article measurement and control principles are presented and experiences are summarized.
著者
林 靖浩
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.383-387, 2018

<p>中越パルプ工業㈱高岡工場では,抄紙機での品種構成見直しにより針葉樹漂白パルプ使用量が減少した。このため設備能力が過大となることが多くなり,生産効率,エネルギー原単位が悪化していた。また老朽化した設備の機器メンテナンスのコスト増,建設後51年経過している建屋の耐震強度不足が問題点としてあった。これらの問題を解消すべく,針葉樹漂白設備及び建屋を新設し2015年12月に操業を開始した。</p><p>アンドリッツ社製洗浄機を選定した理由は,省スペースでの多段洗浄が可能であり,薬品,エネルギー原単位の改善が見込めること,また運転停止作業に対するオペレーターの負担が小さいことである。</p><p>蒸気ハンマリングの発生しない加温装置ソラリス,ドラム高圧洗浄機オシュレーター,クリーナー後脱水機GFF,漂白自動制御システム晒ACE等を導入し,稼働当初から様々な問題点はあったものの,その都度改善工事,調整を行い,現在はおおむね安定した操業状態となり,操業状況および原単位の改善を得た。</p><p>電力原単位は,晒4段シーケンスを3段シーケンスへ1段減らしたことで改善した。蒸気原単位は悪化したが酸脱工程の温度アップによりΔ白色度,ΔKappa価は大幅に向上した。薬品原単位は有効塩素換算で6%改善した。また漂白自動制御システム晒ACEの導入効果によりパルプ白色度のバラつきを大幅に低減させることができた。</p><p>今後の課題として,さらなる薬品,エネルギー原単位の改善,白色度自動制御を最大限に生かした操業に努めたい。</p>
著者
尾鍋 史彦
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.462-474, 1991-04-01 (Released:2009-11-19)
参考文献数
31
被引用文献数
5 5

The dioxin issue in Japanese paper industry has emerged October 1990 and the governmental organizations (i. e., Environment Agency and MITI) have taken immediate actions to investigate the current status of organochlorine compounds in paper mill effluents. The Japan Paper Association has created the Special Committee for measures against Dioxin Issue and announced on December 1990 the guideline for reducing AOX (Adsorbable organohalogen compounds) to 1.5 kg/ ton by the end of the year 1993.The current dioxin issue is analyzed from a wider perspective of global environmental problems with particular emphasis on the government's action and the technological countermeasures by the Association.The present status of dioxin research from chemical, toxicological and pharmacokinetical aspects are summarized. The recent advances of kraft pulping and oxygen bleaching technologies as countermeasures for reducing AOX in paper mill effluents are described.The potential impacts of the current dioxin issue on recycled paper manufacture, environmental protection movements and consumer's movements are also described.
著者
増田 隆
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.1159-1163, 2017

<p>KP漂白工程から排出されていたダイオキシン,クロロホルム等の環境問題から塩素,ハイポ漂白をやめ,漂白シーケンスをECF(elementry choline free)へと切り替えてきた。当工場では,D-Ep-Dが主流の中,ZD-Ep-Dを採用した。オゾン漂白導入は,日本製紙初であり,平成12年度1月導入当初,いろんな課題があったものの,現在は安定しておりパルプ品質,コスト及び環境面で重要なものとなっている。</p><p>しかし導入初ということもあり,オゾン発生装置の適切なメンテナンスが確立しておらず,設置13年後(平成25年度)にその能力が約6割まで低下した。今回は,平成26年度9月にオゾン発生プラントの能力回復工事(放電管更新及び開放洗浄,放電管飛び出し対策等)を行い,今後の能力維持のために定期メンテナンス事項を定め,1)供給酸素品質,2)オゾンガス洗浄塔の適正pH,3)各種熱交換性能維持に留意して操業を行っている。</p>
著者
藤村 修 アンドレアス ケラー ファルク アルブレヒト
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.1291-1297, 2006

ドイツのオーデル河畔にあるシュエットのライパ ジョージ ラインフィールダー会社の新4号機が,2004年6月30日にスタートアップした。LWCペーパーが,シリウスリールで,高速で巻き上げられた。この新4号機は,高品質LWCペーパーを年産30万トン生産する能力を持ち,ワイヤ幅8,900mmのマシンである。原料は,DIP100%をベースに設計され,最高品質の製品を生産するために,フォイトは,全体にわたって"ワンプラットフォームコンセプト"の,生産プロセスを基礎にした。<BR>このプロジェクトでは,抄紙機全体のほかに,フォイト社の供給範囲は,原質調整システム,ブローク処理を含むアプローチフローとワインダ,ロール搬送,包装システムも含む。そして,フォイトファブリック社供給の最初の使用用具と包括的なオートメーション機器も,このパッケージに含まれている。<BR>また,このプロジェクトの,技術的な挑戦は,DIP100%の原料から,一級品のLWCを生産しようとの目論見であり,これを,具現化するために,ライパ社とフォイト社は,"システムパートナーシップ"を結び,予定の日程よりも4週間早く,成功裏に達成することが出来た。本文では,最新の操業状況も記述した。