著者
細谷 浩之 谷 直記
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.900-903, 2006-06-01

韓国の会社である,ケイターボ社は高効率のターボブロワ(TB)シリーズを開発した。TBシリーズは半永久的なエアーフォイルベアリングと高效率高速モータを適用し,ルーツブロワに比べて30%以上のエネルギー節約及びメンテナンスの削減で長寿命のターボブロワである。機械的な摩擦が無いことと低騒音の構造にすることにより,低騒音75dBと画期的に減少し,速回転するので重さと設置面積を大幅に削減できた。振動がないので防振工事の必要がない。<BR>汚排水処理曝気用,セメント工場の搬送システム,製紙工場,纖維工場などProcess Airの供給装置として使用できる。また遠隔操作も可能であり,お客様の幅広いニーズに対応できる。
著者
金子 優
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.863-867, 2012

王子板紙江戸川工場は東京都内唯一の製紙工場であり,東に旧江戸川,残る三方を住宅地に囲まれるロケーションとなっている。当工場では古紙の集荷がし易く,また製品の消費地に近いという優れた立地条件を生かし,白板紙を生産している。<BR>江戸川工場5号抄紙機は1971年5月に小林製作所ハイスピードウルトラフォーマーの国内白板紙1号機として建設され,現在では,年間約14万トンの白板紙を生産しており,主に紙器用途に使用されている。これまで印刷加工技術の進歩に対応して品質改善を進めてきたが,昨今,印刷加工での要求品質が高まり,インキセット性やニス塗工適性,プレスコート適性を改善する必要があった。そこで2006年8月に上塗工方式をエアーナイフコーターからブレードコーターへ改造を行い,更なる品質の改善を図った。<BR>本稿では,コーター改造後の操業経験及び品質改善効果について下記の項目に沿って報告する。<BR>まず,設備上の問題点対策を以下に挙げる。<BR>1)カラーパンの改良→スプラッシュガード取り付け,カラーパン形状の見直し<BR>2)振動スクリーンの改良→ノンチューブ固定型への変更,掃除の頻度・網の取り替え周期の標準化,エアー抜き管の大径化等<BR>3)バッキングロール汚れ対策→フロークリンドクター設置<BR>次に,品質上の問題点としてストリークの多発があり,対策を以下に挙げる。<BR>1)洗浄方法の見直し→洗浄薬品の変更<BR>2)振動スクリーン乾き対策→上部配管レイアウト,密封,ノンチューブ固定型網等<BR>3)配管,タンク内泡対策→配管内の空気が触れる部分の減少,タンクへの落差軽減等<BR>4)原紙表面付着異物対策→ドライヤードクターの整備,材質変更
著者
藤岡 芳由紀
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.10, pp.1148-1154, 2013-10-01
参考文献数
2

昨今の節電意識の高まりにより,空調費削減に寄与する省エネ機能を前面に押し出した機能性塗料の需要が伸びてきている。機能性塗料の代表的なものとしては遮熱塗料(高日射反射率塗料)と呼ばれているものがあり,省エネ意識の高まりを追い風に年率20%台の伸長を続けている。ただし,反射依存型塗料の遮熱塗料では大気や雨水に含まれる汚体(黄砂,煤塵,車塵等の堆積物)がもたらす塗布面の汚れにより効果が持続しないという問題点がある。<BR>本稿では反射依存型塗料の問題点を解決する画期的な次世代塗料「熱交換塗料ネオコート」の紹介をより充実させた。加えて,節電効果の検証結果に関し,数種の実例を挙げて具体的に説明した。<BR>「熱交換塗料ネオコート」の熱遮蔽の特徴は,「塗面による熱の反射」ではなく「塗面による熱の取り込み」で「特定温度内で熱エネルギーに対し反応する」という物理的な特性を巧みに利用したもので,反射効果や断熱効果に依存する事無く「熱の遮蔽」を成し遂げている。<BR>その主な特徴としては,<BR>1)ヒートアイランド対策~反射に依存しないため輻射熱などの熱害を防止<BR>2)塗布面に汚れが付着しても効果に影響がない<BR>3)太陽光に依存しないため熱帯夜など夜間でも効果を発揮<BR>4)冬場は熱を取り入れ暖房効率アップ<BR>などが挙げられる。<BR>地球規模で環境が悪化して行く中,「新世代塗料」としての期待に応えるべく,「熱を消す」という「熱交換塗料ネオコート」の独自のテクノロジーは,従来の機能性塗料の常識をくつがえしただけでなく,塗料を使った「遮熱」「断熱」における方法論の見直しと,最新技術による新しい時代の幕開けを告げていると言える。
著者
高橋 俊之
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.334-338,018, 2001

日本製紙岩国工場3号マシンおよび5号マシンの欠陥検出器に, 従来のアナログ型に替えて, 東芝エンジニアリング製のデジタル型欠陥検出器を, 紙パルプ業界では初めて導入した。<BR>今回導入したシステムは, カメラ側にて256階調にA/D変換された濃度信号について, MMPボードと呼ばれる処理ボードにて, デジタル処理による欠陥判定を行っている。MMPボードでは, 2値化明・暗, ミクロ, ムラ (薄汚れ), スジ状 (ストリーク) の7種の欠陥判定を並列パイプライン処理している。特に, 大・中・小の3種類のムラフィルタは薄汚れ欠陥検出に有効であり, 検出能力アップが期待される。<BR>また, マーキング装置には, 従来のフェルトタッチ方式に替えて, 非接触スプレー方式が採用されており, 汚れの問題が有るものの, 省スペース化および多色マーキングを実現している。<BR>一方では, 立上げ当初, エッジ検出や欠陥判定ロジックの点で製紙特有の仕様との食い違いが見られるなど, 運用上の問題点も発生していた。しかし, それらについてもほぼ解決済みであり, 画面の操作性・カメラ自体の性能を含めた検出能力・欠陥画像の鮮明度が他メーカーと同等またはそれ以上であることから, 今回のシステム導入効果は大きいと考える。本稿では, システムの概要および導入後の問題点について報告する。
著者
ディヴィド E. エステベ J. デュリオン C. ミュゲ M. カスターヌ C.
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.474-478, 1987

At the Saint-Gaudens plant of La Cellulose du Rhône et d'Aquitaine (170, 000t/year of bleached hardwood kraft pulp), the replacement of sodium hypochlorite with a mixture of hydrogen peroxide and oxygen gives a high-quality commercial grade of hardwood pulp (whiteness increased by 1 point, with a 20% improvement in the degree of polymerization, a 12% improvement in the breaking length, and 21% improvement in the square root of the product of bursting strength × tearing strength), and this without any loss in the qualities of bulking and opacity. In addition, the savings in chemicals amount to between 30 and 35 Francs perton of commercial pulp (on the basis of 1986 prices), without mentioning the merits of the elimination of sodium hypochiorite production.
著者
長尾 敏之
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.258-261, 2011-03-01

せん断応力を測定原理とする濃度計は通常使用する一般計器と異なり計器校正が難しい。しかしパルプ配合の適正さを維持するためにはこの濃度計の機能維持が重要な要因である。<br> 当社はパルプ濃度の適正化のため,濃度計およびプロセスに関する問題点抽出とその対策について長年にわたり取り組んできている。これまでは濃度計設置場所(直管長),制御方法について改善を進めてきた。近年パルプ配合適正化のため流量計の精度検査を実施してきたが,本年の取り組みの中で新たに計装として濃度計の性能保証を目的にせん断応力を測定原理とするすべての濃度計について錘検定を開始した。全濃度計をA,B,Cランクに区分けし,Aランクは1年,Bランクは3年,Cランクは5年周期で錘検定を計画し現在進行中である。対象機種は三島工場の中で使用台数の多い「Metsoブレード式」,「Metso回転式」,「Dezurik回転式」について錘テストの実際について発表する。また三島工場での使用実績が特に多いMetsoブレード式濃度計について「温度特性」のデータについても報告する。<br> 本発表に先立ち,これまで当社で実施してきた濃度計に関る問題点と改善事例について,DezurikおよびMetsoブレード式濃度計の取り付け位置(直管長),プロセスに起因する濃度変動事例を併せて説明する。
著者
藤安 洸一郎
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.156-165, 2000-02-01 (Released:2009-11-19)
参考文献数
12

Formamidine sulfinic acid (FAS) has been attracting attention as a new bleaching agent in the pulp and paper industry. Though FAS is less powerful for reducing groups of pulp than hydrosulfite, it works effectively for decoloring dyes in pulp suspension.As recycled fiber is more commonly used, and ingredients such as inks and fillers originating from reclaimed papers gets diverse, FAS becomes interesting to the industry. The author shows that the two stage bleaching with hydrogen peroxide and FAS is very efficient for those troubles.
著者
稲田 治
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.643-654, 2007

日本製紙連合会は1997年より「環境に関する自主行動計画」を定め,積極的に活動している。その中の1つである地球温暖化対策目標は2004年11月に改定した次の2項目で,1990年度を基点とした実績についてフォローアップ結果を毎年公表している。<BR>(1)2010年度までに,製品当り化石エネルギー原単位を1990年度比13%削減し,CO<SUB>2</SUB>排出原単位を10%削減する。<BR>(2)2010年までに,所有または管理する国内外植林面積を60万haに拡大する。<BR>2005年度実績は,省エネルギー投資に加え,化石エネルギーから再生可能エネルギーおよび廃棄物エネルギーへの燃料転換投資により2年連続して大幅改善され,化石エネルギー原単位は86.5%で目標を若干上回り,CO<SUB>2</SUB>排出原単位は90.8%で目標に近づいた。また,今後の各社の投資計画を踏まえて2010年度を試算した結果,化石エネルギー原単位とCO<SUB>2</SUB>排出原単位ともに目標を達成できる見通しである。<BR>一方,植林面積の推移も順調で2005年度末で国内外合わせて536千haで目標の89%となり,達成は問題ないと考える。<BR>併せて,日本におけるエネルギーバランス,紙パルプ業界のエネルギーバランス,全産業のCO<SUB>2</SUB>排出量およびそれに占める紙パルプ産業の位置づけとともに,関連法律情報も報告した。
著者
秋元 真也
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.350-353, 2016

OPE社は中南米の感熱紙・ノーカーボン紙の製造を牽引するメーカーである。同社は,王子ホールディングス(当時王子製紙)がフィブリア社より事業買収を行う2011年以前より,同情報用紙に関する技術供与を受けており,現在,ブラジル国内において,およそ80%のシェアを占める。設備については,抄紙機を2台,塗工機を3台有しており,1年の生産能力はおよそ120,000tである。近年,中南米諸国における需要増加が予想されることから,増産投資を検討中である。OPE社の感熱紙は,ファックス用紙,レシート用紙,ATM・クレジット用紙,ラベル,チケット,宝くじ券のラインナップがあり,レシート用紙,ATM・クレジット用紙に関しては,品質差を判別しやすいように色分けを行っており,事実上の業界スタンダードとなっている。また,ラベル,チケット及び宝くじ券用途の製品に関しては,保存性を付与するための,保護層のコーティングを行っており,ユーザーの要求に合った製品作りを行っている。OPE社の他事業所との関わりについては,親会社である王子イメージングメディアに属する海外事業所3拠点(OPE社除く)と,日本国内の神崎工場との間で,定期的に交流ミーティングを実施しており,生産技術面・販売面での情報交換を実施し,コストダウンや品質改善に取り組んでいる。先に述べたとおり,王子イメージングメディアは海外4ヶ所に情報用紙の製造・販売拠点を有しており,その中でもOPE社は,中南米地区における重要な拠点である。今後も関連事業所の協力を得ながら,技術力を高め,中南米地域での更なる収益向上を目指していく。
著者
飯田 清昭
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.854-863, 2015
被引用文献数
1

紙には2000年の歴史がある。人々がその価値を認めて,2000年間使い続けてきたのである。一方では,使ってもらえるように2000年間に亘り技術開発を続けてきた。個々の技術開発は,その当時の社会の経済・文化と大きくかかわっていた。<br>歴史的に,紙の使用量は社会の豊かさ(例えばGDP)と強い相関があった。社会が安定し,豊かになると紙の需要が増し,それを満たす技術開発が生まれてきた。蔡倫による紙の発明は後漢の発展期であり,竹パルプの開発は唐・北宋の中国文明の爛熟期であった。イタリアはルネッサンスの発展期にゼラチン処理の書籍用紙を開発,オランダは17世紀の最盛期にHollander beaterで動力革命を演出,イギリスは産業革命の先頭に立っていた19世紀に抄紙機を開発した。<br>これらの技術開発でコストが下がった紙は印刷技術の発展を促し,多種の印刷物が社会に出回ることになった。日本では,江戸時代に和紙の特性と木版印刷を組み合わせ,いろいろの印刷物が出版された。さらに紙は日常生活で,素材としても種々に利用された。<br>紙は,世界の広域国家(中国王朝や中央アジアで栄えた大帝国)において,統治の伝達の手段として重要な役割を果たしてきた。一方,ヨーロッパでは活字印刷を発展させ,生産性を上げた紙とコストを下げた活字印刷が組み合わさって,印刷物が広く社会に普及・利用された。その規模は日本をはるかに凌ぐもので,ルネッサンス,宗教改革,啓蒙主義,産業革命と続く社会の変革を引き起こした。<br>Kremerが100年前に述べたように,紙に記すことで可能になった知的活動の開花が新しい文明の時代を生み出した(Blossom of mental activity made possible by paper started a new era of civilization.)。

1 0 0 0 OA パピルス

出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.605-608, 1991-05-01 (Released:2009-11-19)
著者
Atsushi Takahashi
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
JAPAN TAPPI JOURNAL (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.386-393, 1987-05-01 (Released:2010-10-27)
参考文献数
5

As an interest in permanence of paper has been increasing, the Testing Standards Committee of J. TAPPI recently prepared J. TAPPI Testing Standard No.50 [Accelerated Ageing Conditions for Paper and Board].In preparing it, the committee carried out some surveys including the conditions which are taken actualy in this country, foreign standard methods, literatures concerning effects of moisture, and performance of temperature-humidity chambers. This is a report of the surveys.

1 0 0 0 OA パピルス

出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.928-933, 1992-07-01 (Released:2009-11-16)
著者
石塚 雅規 斎藤 継之 江前 敏晴 磯貝 明
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.955-968, 2010-08-01
参考文献数
16
被引用文献数
1

広葉樹漂白クラフトパルプ(HBKP)をTEMPO触媒酸化して水中で解繊した高フィブリル化物(FTO―HBKP)を,HBKP懸濁液に0~30%添加し,水道水を用いてHBKP/FTO―HBKP混抄シートを作製した。水道水中のカルシウム等の二価イオンを介したイオン架橋により,FTO―HBKPを効率的にシートに歩留らせることができた。FTO―HBKPの添加量が10%から30%に増加させることで,混抄シート密度は直線的に増加し,貫通細孔径分布は小細孔径側に移行した。通気度はFTO―HBKPの添加により低下するが,30%のFTO―HBKP添加でも一定量の通気性を維持していた。この混抄シートの大気中でナノ~ミクロンレベルの粒子捕集率の評価を行ったところ,FTO―HBKP添加量を増加させることで捕集率を向上させることができ,高性能集塵紙としての利用が期待された。続いて,未解繊のTEMPO酸化針葉樹漂白クラフトパルプ(TO―SBKP)シートのイオン交換特性について検討した。TO―SBKP中のカルボキシル基は抄紙時の水道水中のCa,Mgイオン,あるいは添加した硫酸アルミニウム由来のAlイオンを効率よく吸着した。乾燥履歴のあるTO―SBKPシートの硫酸アルミニウム水溶液浸漬によるAlイオン吸着能も維持しており,イオン交換能を有する機能性シートとしての利用が期待された。