著者
小寺 春人
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.293-300, 2015-09
著者
大和大峯研究グループ 岩橋 豊彦 奥田 尚 佐藤 浩一 竹内 靖夫 南浦 育弘 八尾 昭
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.11-26, 2002-01-25
参考文献数
31
被引用文献数
11

入之波地域の地質は,構造的に上位から下位に向かって秩父帯の三之公層(ジュラ紀中世前期頃)・北股川層(ジュラ紀中世中期-後期)・奥玉谷層(ジュラ紀新世前期)・黒石層(ジュラ紀新世中期-後期)・大普賢岳層(ジュラ紀新世中期-後期)・山葵谷層(ジュラ紀新世後期)・高原層(白亜紀古世前期)・,四万十帯の伯母谷川層(Albian-Cenomanian)・赤滝層(Turonian-Campanian?)と重なり,各地質体はスラストで境される.今回新たに報告した三之公層・北股川層・奥玉谷層・黒石層はメランジュからなる地質体であり,付加コンプレックスの特徴を示す.当地域の秩父帯は,ジュラ紀中世から白亜紀古世に至る付加過程で形成された一連の地質体で構成される.秩父帯の各地質体は低角度のスラストで境され,地帯を境するような高角度の断層はない.また,黒瀬川帯の存在を示すような地質体や岩石も見いだされない.秩父帯は,大峯-大台スラストを境してナップとして四万十帯の上に衝上している.南北性の高角度断層である入之波断層を境して,西側の地質体が上昇している.
著者
Boris I. VASILIEV Ivan V. YUGOV
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.185-196, 2006-05-25 (Released:2017-07-14)

35年間におよぶ海洋地質研究にもとづいて,太平洋の基本構造を解明し,もっとも信憑性のある太平洋の起源論を提案する.太平洋巨大海盆の基本構造は,3つの地質-構造ステージからなる.第1ステージは,始生代にさかのぼる超塩基性岩類(塑性流動を履歴)と変成岩類に代表され,それぞれ,海洋島火山岩中の包有物として産出し,海溝・断裂帯・海台などに露出する.第2ステージは,三畳紀〜ジュラ紀を中心とする海洋性トラップ層(層状塩基性貫入岩類と玄武岩類のコンプレックス)であり,海盆下のほぼ全域に伏在する.第3ステージは,海盆底や海山・海台を構成するジュラ紀後期〜現世の火山岩類と堆積層であり,ブロック運動による深海化を記録する.太平洋巨大海盆は,地球最大のユニークな地形-地質構造であり,おもに苦鉄質な地殻をもつ.(1)その原型は,地球-月システムをうみだした約45億年前の天体事件によって形成され,その後,(2)周縁の大陸から数10億年間にわたって供給された厖大な量の陸源物質が,海盆底の火山噴出物や伏在する超塩基性岩類とともに変成-溶融し,少量の酸性岩類を形成した.さらに,中-新生代における全地球的海洋形成作用にともなって,(3)三畳紀〜ジュラ紀を中心に海盆のほぼ全域にトラップ層が形成され,(4)ジュラ紀後期にはじまるブロック沈降による深海化と火山活動-堆積作用が現海盆の複雑な地形-地質構造を形成した.
著者
小滝 篤夫
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.17-24, 2004-03-25
参考文献数
9

田倉山火山は,スコリア丘と溶岩台地からなる.溶岩は下位から小倉・衣摺・田倉山溶岩の3種に区分され,スコリア丘は田倉山溶岩流出後に形成されたことがわかっている(田倉山団研1984).スコリアの風化が進んでいるため,スコリア丘の層序をスコリア中の重鉱物組成によって確立することは困難であったが,新たにスコリア中に残る鉄-チタン鉱物の化学組成の分析を行ない,田倉山溶岩とスコリア丘を構成するスコリア層を対比した.また,JR夜久野トンネル工事のボーリングコアや工事中の露頭から得た試料により,溶岩の基盤岩の形態を検討した結果,田倉山団研(1984)が述べた基盤岩の高まりは見られないことがわかった.
著者
間島 信男
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.174-175, 1994-03-25
著者
久保田 喜裕 山崎 興輔 飯川 健勝 吉越 正勝
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.455-464, 2006-11-25

2004年10月23日の新潟県中越地震において,長岡市悠久山地域の被害要因に関する疑問を解明するため,補充調査を行った.その結果,以下のことが判明した.(1)一般に地盤が良いとされる段丘地でなぜ被害の集中域がみられたのか:住宅が集中する段丘面上にふたつの谷状凹地を確認したが,被害はこの谷状凹地の谷底や斜面の盛土地に集中した.とくに谷頭など,傾斜地の盛土部で顕著な被害がでた.被害要因として,この谷状凹地を埋積した沖積泥質堆積物や盛土が低い方へ変位したことが考えられる.(2)沖積盛土の大規模住宅地でなぜ被害が偏在したのか:損壊家屋は隣地との境界に設けられた水路(かつての水田の用排水路)脇に多かった.宅地地盤は北西側に0.7/100程度傾斜しており,被害は盛土が厚く深い水路(約1m)がある下流部に集中した.このような水路には一様にフタがない凹地空間となっている.被害要因として,傾斜した地盤に地震時の過剰な土圧が発生したため,盛土が水路・側溝の凹地空間へ押し出し,家屋とともに変位したことが考えられる.大規模な新興住宅地の開発は,今後ますます沖積低地へ向かうと思われる.沖積低地でも微傾斜地や,深い水路や側溝がある宅地地盤には,地震動による過剰な土圧の発生に耐えられる盛土の土留め擁壁や水路・側溝の側壁の耐力強化,グレーチングやコンクリート製のフタの設置といった,地盤の変位を抑える対策が不可欠である.
著者
田崎 和江 野村 正純 馬場 奈緒子
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.389-400, 2007-09-25
被引用文献数
1

2007年3月25日9時41分にマグニチュード6.9の地震が石川県能登半島を襲った.その地震のため1〜2週間電気や水道が止まった.住民は近所の井戸,湧き水,山水を注意深く使用した.なぜならば,地震後のそれらの水は,泥などで色が変化し,pHも硫酸イオンのために中性から酸性に変化し飲料不可になった井戸水があったからである.一方,地震から2ヶ月後の6月初旬,石川県七尾市中島町において、亀裂や陥没等々の地下構造の変化のため,海水が水田に浸透し稲が枯れる塩害が発生した.塩害が発生した水田を始め,周辺の用水路,貯水池の水を現地で測定したところ,pH8を示し電気伝導度(EC)も高い値を示した.また,塩害を起こした水田の土壌と稲を蛍光X線分析により定量分析をおこなったところ高濃度の塩素のほか典型的な塩害現象を示すNa,S,Feが高濃度に検出された.
著者
吉谷 昭彦 山内 靖喜 小坂 哲朗 大西 郁夫
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.95-101, 1976-03-20

The Neogene and Quaternary volcanic activities in Shimane prefecture, western San'in district, are studied, and the results are summarized as follows. The Neogene volcanic activities are able to divide into two parts; are Green Tuff activities and Pliocene volcanic activities. The Green Tuff activities can be observed in the middle and lower Miocene strata, from Daishima to Onnagawa in stage. They are characterized by andesites and dacites activities, of being belong to hypersthenic rock series. However, pigeonitic basic andesites took place in earliest Daishima stage, and also alkaline olivine basalts in latest Onnagawa stage. The volcanic activities in Pliocene period are simply characterized by alkaline basalts activities. The Quaternary volcanic activities are composed of hypersthenic dacite and alkaline olivine basalts; the former is so-called "Daisen volcano system".
著者
駿河湾団体研究グループ
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.145-158, 1981
被引用文献数
3

In the present paper, authors describe stratigraphy, biostratigraphy and geologic structure of the Neogene Formations in the Hamaishidake area, in the southwestern margin of socalled "Fossa Magna". The formations consist of flysch-like alternations, coarse-grained sediments and pyroclastics ranging from Late Miocene to Pliocene in age. They are complicated with faulting and folding. Results of the studies are surmmarized as follows: 1) The investigated area is formed of two formations, the Kogouchi Formation and the Hamaishidake Formation in ascending order. 2) The Kogouchi Formation consists of alternation of mudstone and sandstone, and the Hamaishidake Formation consists mainly of conglomerate, sandstone and tuff breccia. 3) The Hamaishidake Formation unconformably overlaps the Kogouchi Formation. 4) The geological age of the Formations is inferred from planktonic foraminiferal assemblages and molluscan index species. The Kogouchi Formation is Late Miocene and the Hamaishidake Formation is Pliocene in age. 5) The Hamaishidake Formation is subdivided into four sub-formations which are named the Murono, the Sattatoge, the Utugino and the Shishihara in ascending order. 6) Each stratigraphical relationships in the four sub-formations are discontinuity. 7) The Formations consist of a series of N-S trending structure, and all axes of anticlines and synclines plunge north. 8) Many trace fossils are observed in the Kogouchi Formation. This trace fossil facies are suspected to be corresponded with Cruziana facies (SEILACHER, 1967).
著者
田中 淳 前島 渉
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.345-355, 1998-09-25
被引用文献数
1

堆積物重力流は,流下にともなってその性格を変化させ進化していく.重力流の進化には,重力流内部における物質分化と重力流の特性変化が挙げられる.重力流内部における物質分化は,混濁流や土石流内部でよく知られており,そこでは構成物が粒径や比重の差を反映して流れの側方や上下に選別されていく.ニュージーランド南島のマッドクラスト礫岩は,この重力流内部での側方級化をよく記録している.一方重力流の特性変化は,重力流の粒子支持機構そのものの変化を伴う.流れ内への水の取り込みや粗粒物質の堆積,速度の増減などがこの進化を促す.有田層のデルタスロープ堆積物には,重力流の進化のスペクトラムがよく記録されている.このように重力流は,刻々とその性格を変化させながら,進化の各段階を反映した堆積物をその途次途次に堆積し,多様で複雑な堆積物を形成する.
著者
島津 光夫
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
no.66, pp.43-44, 1963-05-25
著者
阿久津 純
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
no.33, pp.1-11, 1957-06-30
被引用文献数
3

The stratigraphy of the Kanto Loam formation, its relation with the river terraces, volcanics which produced the many pumice beds, and the correlation of the formation with adjacent regions have been studied. The results are summarized as follow. From the lithofacies of the formation, features of sedimentation, and heavy mineral components, four membe s were recognized, these are named in descending order, A_1, A_2, A_3 and A_4; each one is separated by diastems. Each member is characterized by intercalating several pumice beds which are good guides in the stratigraphy of the formation and the correlation of the river terraces. Al member is characterized by the Shichihonzakura and Imaichi pumice beds, A_2 by the Kanuma and A_3 by the Mamiana and the. Moka, respectively. The intermittent deposition of the Kanto Loam formation and formation of the river terraces are intimately related with each other. There are no deposits of the Kanto Loam formation on the Kinushima terrace. The Tawara terrace is covered by the A_1 member and the Takaragi by the A_1 and A_2 members. The Hoshakuji, the highest river terrace, is covered by the A_1, A_2 and A_3 members. The Higher Terrace which was the depositional plane of the Kawasaki formation, is covered by all four members of the formation, but the greater part of the Higher Terrace, lacks the lower members (A_3, A_4). From the distributions and thicknesses of the pumice beds as well as from the mineralogical and lithological characters, it is inferred that the Shichihonzakura and Imaichi pumice beds are aeolian deposits, and are products of the Nantai volcanic eruptions, similarly the Kanuma is considered a product of the Akagi, the Mamiana of the Nikko and the Moka of the Takahara volcanic eruptions, respectively. From the stratigraphical and mineralogical as well as topographical characters, the Kanto Loam formation in the said area is correlated with the formations in the environs of Maebashi City, Gunma Prefecture and Southern Kanto region. A_1 member is correlated with the Upper Loam member of Maebashi and the Tachikawa Loam of Southern Kanto. A_2 member corresponds to the Middle Loam member and is a little younger than the Musashino Loam. A_3 member may be correlated with the Shimosueyoshi Loam. The Quaternary history, related to the deposition of the Kanto Loam formation, is briefly discussed.
著者
平社 定夫 石田 吉明 小泉 潔 倉川 博 武藤 博士 小幡 喜一 三谷 豊
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.347-358, 2002-11-25

埼玉県秩父盆地新第三系桜井層に大露頭があらわれ,数多くのカレントリップルマークが観察された.研究地域の堆積相は,礫岩(Cg),含礫砂岩(Sp),塊状砂岩(Sm),砂岩泥岩互層(I)および砂岩泥岩細互層(Im)の5つに区分される.これらの堆積相の特徴から堆積環境は,上部〜中部海底扇状地のチャネル・レビーシステムで解釈される.リップルマークは砂岩泥岩互層(I)に集中的に出現することから,上部〜中部海底扇状地の自然堤防,および,すでに埋積されたチャネルを覆った堆積層に形成されたことが考えられる.また,リップルマークはブーマシーケンスのカレントリップル部(C)に相当し,流痕とリップルマークの示す古流向はほぼ同じである.これらのことから,リップルマークは低密度重力流による一連の堆積作用で形成されたものと考えられる.