著者
大西 賢人 鳥谷 和世 柴田 育子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.104, pp.34-45, 2016

<p>国立国会図書館デジタルコレクションやHathiTrustなどの大規模デジタル化データベースの登場によりデジタル化された様々な学術資料へのアクセスが可能になってきているが,CiNii Booksからは,デジタル化され公開された資料があったとしても,たどりつけないケースが見受けられる。そこでCiNii Booksからデジタル化資料へのアクセシビリティ向上の可能性を探るために,総合目録データベースとNDLSearchとHathiTrustそれぞれに収録されたID間の対応をまとめたIDマップの作成を試みた。調査の結果,JPNOやLCCNがデータベース間リンクのキーとなる有力なIDであることが判明したが,より正確で網羅性の高いIDマップを実現するためには,ID以外の書誌情報も活用しながら,IDマップのプロトタイプを作成し,その有効性について検証を重ねていくことが必要である。なお,本稿は国立情報学研究所教育研修事業「平成25年度学術情報システム総合ワークショップ」における成果物である。</p>
著者
古謝 久美子 高山 富美子 赤嶺 良子 福嶋 さや子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.121, pp.2134, 2022-08-18 (Released:2022-08-14)

琉球大学附属図書館では,ILLの支払いに利用するため2010年11月よりカウンターに電子マネーEdyのキャッシュレス決済端末を導入し,2021年11月には機器を入れ替える形でマルチ型キャッシュレス決済端末を導入した。現金収納による課題等を解決することを目的とした導入の経緯,機器選定におけるポイント,機器操作の流れ,導入5か月経過後の実績等について事例として報告する。
著者
谷 奈穂 伊勢 幸恵 佐々木 智穂 國本 千裕
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.120, pp.2131, 2022-03-31 (Released:2022-03-18)

COVID-19の感染拡大にともなう入構制限により,大学での学びはオンラインが中心となり,学生の学習状況は変化した。本稿では,オンライン学習環境における適切な学習支援を探る目的で,学生の学習実態・直面する困難・支援ニーズについて,千葉大学の学生を対象とした日記法とインタビューによる質的調査を実施した。調査結果は,(1)メディア授業の特性,(2)学習時のコミュニケーション,(3)学習環境および学習リソースの3観点で分析し,今後必要な学習支援について考察した。そのうえで,千葉大学における学習支援の検証を実施し,今後の展望について述べた。
著者
福田 充
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.117, pp.2108, 2021-03-31 (Released:2021-03-25)

自然災害や感染症パンデミックなどの危機事態において,大学には速やかな復旧・復興と業務継続が求められる。そうした災害時に大学にはどのような業務継続計画(BCP)が必要か,そしてその大学BCPが現在の日本でどの程度普及し,そこにどのような問題が存在するのか,実際の社会調査のデータから検討すると同時に,図書館業務に必要な業務継続について考察する。
著者
小島 浩之
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.110, pp.2024, 2018-11-30 (Released:2018-12-27)

本稿は大学図書館が教員と連携して,外部研究費をコンテンツ公開のために活用できる方策を考えるものである。これは直接的な資金獲得の方策ではないが,大学図書館のコンテンツを研究者に利用させることで公開・利用のための利便性を向上できるという意味において,直接の資金獲得を前提としたコンテンツ整備と同等以上の効果を上げ得る。本稿では,様々な助成金制度全体の概要の説明,大学図書館が直接獲得できる外部資金の種類とその限界,実例に即した教員と大学図書館の連携方法について順に論じる。
著者
SCHIMMER Ralf GESCHUHN Kai Karin VOGLER Andreas 田村 香代子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.109, 2018

この白書では,現在の購読型科学雑誌の集合体をオープンアクセスのビジネスモデルへ大規模に転換することについて,事実に基づいて強力に論証する。現存する雑誌は十分にテストされた機能をもっているので,維持され,かつ21世紀の研究のための需要に応えなければならないが,同時にその裏にある支出の流れは大幅に再構築される。オープンアクセスへ向けたこの決定的な前進は,十分な勢いをもっている。今ある多様なイニシアティブは,この明確な目標にまとまってゆくために協調するものでなくてはならない。研究の国際的な性質は,世界の一流の研究機関のコンセンサスを通じたものでなくては,この転換が真に世界的な規模で達成されることはないだろうということを暗示している。全ての状況を勘案すれば,すでに学術出版システムに投下されている資金は,未来へ向けて持続可能な転換を可能とするために十分なものである。現在雑誌購読システムの中に封じ込められている資金は回収されオープンアクセス出版サービスに再投資されるべきであるという理解が共有されなければならない。現在の図書館資料購入予算は,財政面やそれ以外のリスク無しでの転換を可能とするための究極の宝物庫である。目標は,今もなお研究者から要求されている,出版社が提供する確立したサービス水準を維持する一方で,必要な支払の流れを再定義し再編成することである。根本的なビジネスモデルを破壊することによって,雑誌出版が生き延びていくための力は維持され,未来の学術界の発展へ確かな足跡を残すことができる。
著者
岡部 幸祐 高橋 菜奈子 山本 和雄
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.109, pp.2013, 2018-08-31 (Released:2018-09-08)

創設から2年を経過し,2017年度末には543機関が参加する機関リポジトリコミュニティとなったJPCOARの様々な活動から,オープンアクセスの先端的機能の開発を担うタスクフォースにおける活動と国際会議での発表等,国際的な連携の活動を中心に報告する。このことにより,学術コミュニケーションをめぐる国際的な研究環境の変化の中で,機関リポジトリを核として,大学図書館が果たすべき役割を考察する。
著者
篠塚 富士男
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.80, pp.43-53, 2007-08

図書館では館種を問わずいろいろな展示会が行われているが,大学図書館における展示会に関する現状分析や事例報告はあまり多くはない。そこで本稿では,我が国の大学図書館における展示会活動の現状について考察し,ついで筑波大学附属図書館の平成18年度企画展の特徴と今後の課題について報告する。
著者
篠塚 富士男
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.80, pp.43-53, 2007-08

図書館では館種を問わずいろいろな展示会が行われているが,大学図書館における展示会に関する現状分析や事例報告はあまり多くはない。そこで本稿では,我が国の大学図書館における展示会活動の現状について考察し,ついで筑波大学附属図書館の平成18年度企画展の特徴と今後の課題について報告する。
著者
萬谷 衣加
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.14-25, 2003-08

Yahoo! Japanカテゴリを一種の分類大系と捉え、Yahoo! Japanカテゴリに日本十進分類法9版(NDC9)分類を付与することを試みた。これによりNDC9分類を介して、ウェブサイトと図書資料を同時に検索・提示する環境ができる。政治・政治学分野と工学分野のYahoo! Japanカテゴリに対しNDC9相関索引を利用して、政治・政治学分野では約60%、工学分野では約75%のカテゴリに曖昧性のないNDC9分類を付与できた。カテゴリの下のウェブサイトに付与したNDC9分類と比較し、方法の有効性を示した。
著者
小林 泰名 栗田 とも子 河野 由香里
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.108, pp.1714-1-1714-9, 2018-03

障害学生支援は大学全体として取り組むべき課題であり,その中に「大学図書館の障害者へのサービス」が位置付けられる。北海道大学附属図書館では2012年3月から,障害学生支援担当部署と連携して「プリント・ディスアビリティのある利用者のための資料電子化サービス」等の障害学生へのサービスに取り組んでいる。2017年9月までの5年半の取り組みについて報告する。
著者
高橋 隆一郎
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.116, pp.2095, 2020-11-30 (Released:2021-01-13)

2020年4月にCOVID-19感染拡大に伴う緊急事態宣言が発表され,多くの図書館が臨時休館した。本稿では,COVID-19感染第一波に直面したレファレンス担当者として見聞き・経験したCOVID-19関連資料の探索並びにオンラインレファレンスの経験の整理を通じて,図書館での資料・情報提供の意義を再確認する。さらにはこれからも私たちと感染症との闘いが続いていくことを踏まえ,今回の経験から今後に生かしていくべきことを考察する。
著者
小野 亘
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.122, pp.2127, 2022-11-30 (Released:2022-12-08)

深川恒喜と『大学図書館研究』創刊までの関わりについて,国立大学図書館協議会資料などをもとに紹介する。
著者
中山 貴弘
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.114, pp.2054, 2020-03-31 (Released:2020-03-04)

米国において近年,大学で使用される教科書の価格が高騰しており,学位取得における経済的障壁として問題視されている。本稿では,その対応のためカリフォルニア州の立法化のもとカリフォルニア州立大学システムにおいて展開され,大学図書館が関与している,アフォーダブルな教科書・教材の入手支援制度について概観を行う。その上で,日本の大学図書館における修学支援への関与可能性について考察を加える。
著者
宮地 佐保 寺嶋 梓
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.119, pp.2124, 2021-11-30 (Released:2021-11-27)

大阪大学では,2019年12月にケンブリッジ大学出版と「Read & Publish モデル」の契約を締結した。これは2019年に大学図書館コンソーシアム連合とケンブリッジ大学出版との間で合意された提案に基づく契約であり,既存の購読モデルにOA 出版の内容を加えた新しいタイプの契約モデルである。本稿では,Read & Publish モデルが提案された背景を踏まえつつ,契約に至るまでに契約担当者が行った検討内容,契約後に行っている実務,今後検討すべき課題について報告する。
著者
荻 礼子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.118, pp.2120, 2021-08-31 (Released:2021-08-19)

高知大学学術情報基盤図書館では,平成24(2012)年以降,「除籍図書等リユースセール」を実施している。除籍資料の有効活用と図書館資金の自己調達を目的としたこの取り組みは,現在では,図書館の恒例イベントとして学内外での認知度も上がり,一定の成果を挙げている。反面,新たな課題が顕在化してきた。本稿では,中央館の事例を中心に,「除籍図書等リユースセール」実施の経緯と現在までの過程,反響をまとめ,これらを通して得られた知見に言及するとともに今後の課題について考察する。