著者
野寺 義彦
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, 1995-08-20

ICC'95(1995IEEE International Conference on Communications)は, 1995年6月18日〜22日に, 米国シアトルで開催され, 40を越える国から約1,500名の参加者があり, 論文総数377件の発表が行われた.開催地米国を除くと参加者数の多い国は, カナダ(115), 日本(66), 韓国(52)となっている.会合冒頭のベル研副社長による基調演説では, 情報テクノロジーの進展により, 品質の時代(Quality Era)から個人の結びつきを大切にする調和の時代(Harmony era)が到来するとの展望が示され, これを支えるComputing Communicationの具体的な役割を紹介した内容は, 聴講者の関心を引いた.論文の分野別の傾向を見ると, 移動通信, ATM, マルチメディア関連が中心であり, 全論文数の約8割を占めた.

1 0 0 0 1992 ICCE

著者
川本 博久
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.1045-1046, 1992-08-20

1992年ICCE(民生用電子機器国際会議)は6月2日〜4日, 米国シカゴのWestin O'Hare Hotelで開催された.毎年この会議は夏季CES(コンシューマエレクトロニクスショー)に引続き行われ, 世界各国から多数の参加者が集まる.会議は4会場, 24のセッションからなり, 189件の論文発表と2件のパネルディスカッションセッションが盛況のうちに開催された.表1に示すように, 発表は日, 米, 欧からのものが主で, 中でも日本からの発表が最も多かった.発表内容としては, ATVやビデオプロセスに関したディジタル信号処理が中心となってきており, それに伴い, Multimedia, Personal Communication等のディジタルを使った方式, 機器に主力が移りつつあることが伺えた.
著者
吉野 利夫 藤川 晃三 上瀬 千春 出来 裕三 大森 静雄
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.25-44, 1987-01-20

今日のテレビ報道情報番組の拡充は目覚ましいものがある.大型ネットワークニュース, ローカルニュース等の充実, そして生活情報のワイドショー化等と, 報道取材合戦は熾烈を極め, 活況を呈している, 朝から夜に至るまで多彩な情報と, 視聴者の関心領域の拡がりに対応して, 放送されている.ニュースの形成もキャスターニュースから記者が現場から伝える「記者レポート」形式となり, テレビ報道は, 新聞から自立して独自のテレビジャーナリズムを追究している.「百聞は一見に如かず」という諺があるが, テレビ映像による情報の伝達は, わかり易さの点で新聞報道をはるかに凌ぐ部分がある.しかしその半面, 絵になりにくい政治・経済の仕組みや話題を, どうわかり易く, 速く, 伝えていくか, 今後の大きな課題である.このような背景のもとに, 報道, 中継技術は生放送をより志向し, 報道速報から大型イベント中継まで, 技術革新とあいまって多様な制作技術をこなすようになった.
著者
中田 和男
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.36, no.9, pp.781-789, 1982-09-20

音声情報入出力技術すなわち音声認識と音声合成について, その技術の現状レベルを紹介するとともに, 実用上の問題点について解説する.とくに放送技術との関連でその実用を考えたとき, ニーズと技術レベルがどれ位へだたっているかを明らかにし, 実用化のためにはシステム的な事前評価が非常に大切であることを述べる.また技術の現状レベルを理解するために, 現在の音声合成と音声認識の基本原理を述べ, その性能制約の原因となっている要因とくに連続化(調音結合)と不特定話者化(音声の個人性)について説明する.最後に装置のLSIの傾向をふくめて, 今後の発展の方向をさぐる.
著者
長田 昌次郎
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.276-281, 1989-03-20
被引用文献数
25 2

3D映像システムの評価として, 自然に見える像の再現空間の範囲は重要である.多方向式を含め両眼式立体画像の再現領域はシステムの物理条件の他, 視差(ずれ)のある2つの平面像を両眼で融合単一視する人の視覚能力にも影響される.ここでは, 始めに立体像の再現空間領域と両眼視差融合限界との関係を導き, 次に, この融合限界が立体画像の画面の大きさ・画角および視距離によってどのように影響されるかを, 並置型40インチHDTV立体画像装置と1台のOHPによる2層式立体画像装置を用いて測定した.その結果, 融合限界は画角40゜内の測定範囲で画角にほぼ比例し, 表示面の前方は画角度当たり約10視角分, 後方は約5視角分の割合で増すこと, および, 視距離の影響は1.5m以下で融合限界をやや低下させ, それ以上では影響がないことを明らかにした.最後に, これらの融合特性に適合する視距離と画面の大きさについて考察した.
著者
小川 武 萩原 清邦 松原 勝正 小幡 伊和男
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.491-497, 1980-06-01

「シルクロード」の番組制作は, ネガフィルム取材を直接ビデオ化し, これをビデオ編集する, 一般とは異なった方法で行っている.中国との共同取材であったことにも起因するが, 昨今のビデオロケ傾向に対して, フィルムロケの利点を生かしつつ, フィルム画質改善を図った.制作過程の中で, ビデオ編集, ステレオ効果音制作など, ポストプロダクションの新しい技術発掘にもチャレンジを行った番組制作である.
著者
金子 満 中嶋 正之
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.1288-1295, 1995-10-20
被引用文献数
7 1

コンピュータによる, セルアニメタッチの映像表現を行うための新しい手法について述べる.セルアニメは, 映画の基本的な表現方法のひとつとして幅広く使われており, その人気は高い.セルアニメ制作は, 手作業により1枚1枚絵を描き, 色を塗り, カメラで撮影する.そのため1970年代には, まずアメリカにおいて制作産業そのものが空洞化し, 80年代には日本でも同じ現象が始まった.これに対応するために, 色塗りと撮影の部分をコンピュータ化した, ディジタルインクアンドペイントシステムが実用化された.しかし, コンピュータが代替できる工程が少ないため, 日本ではあまり利用されていない.本論文では, セルアニメ制作の基幹部分である原画および動画制作のコンピュータ化に, 3次元コンピュータグラフィックス技術を利用するアルゴリズムについて提案する.これまで, 2次元CG技術のみの利用にとどまっていたセルアニメタッチ映像制作を大きく変革させるものであるが, 本論文では, 3次元CG技術を2次元アニメ制作に利用する際に必要なアルゴリズムを考察し, 次世代アニメ制作システムの構築の第1段階としたい.
著者
金井 清昌
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.407-412, 1981-05-01

人工衛星ランドサットは, リモートセンシングによって地球の資源探査や, 環境状況の調査などを目的として打上げられた.その宇宙から地球を観測した画像データは, 広範な研究機関で応用し活用されている.NHKは, 去る1月4日(再放送1月10日)総合テレビジョンにおいて, このランドサット衛星を骨子にした番組「地球接写」(宇宙からみた新春)を放送した.
著者
太田 睦 大網 亮磨
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.1162-1171, 1996-08-20
被引用文献数
47 2

ロスレス(可逆)DCT符号化方式を提案する.まず, DCT基底を整数化し, その場合の変換点構造を解析することで可逆量子化を導入した.8×8のDCTについて, この方式でロスレス符号化する方式について述べ, シミュレーションで基本性能を確認した.この方式は, 画質劣化を嫌う放送局での1次伝送等に用いることができる.さらに, DCTを用いた既存の標準方式と互換性のあるロスレス方式の可能性がある.
著者
加藤 久和 斉藤 知弘 武智 秀 松村 肇
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.10, pp.1358-1366, 1993-10-20
被引用文献数
8

将来の衛星放送で, 統合ディジタル放送(ISDB)を実施する場合の変調方式についてシステム検討を行った.12GHz帯でディジタル放送を行う場合を想定し, (1)WARC-BSによる伝送諸元を満足すること, (2)導入初期での現行FM方式との同時放送を考慮し, FMテレビとディジタルテレビの同等のサービス時間率を確保すること, の2点を満足する変調方式と伝送容量を明らかにすることが本論の目的である.ISDB伝送フォーマットで, 誤り訂正に差集合巡回符号(1016,772)を用い, 衛星放送の中継器特性と民生用受信機の性能を前提として, 所要C/N値と混信保護比により, 各種変調方式の評価を行った.シミュレーションと室内実験によって, QPSKにより40Mb/sの伝送レートのシステメムを構成すると, 上記条件を満足するISDBサービスが可能となることが明らかとなった.
著者
吉田 興夫 岩本 明人
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.38, no.8, pp.754-761, 1984-08-20

固体撮像素子の規則的に配列された画素と撮像評価用テストチャートの幾何学模様のパターンとの光学的な干渉によって生ずる偽信号のモアレについて解析した.モアレは矢車チャートでは錨模様, ハイパボリックゾーンプレートでは双曲線模様, およびサーキュラーゾーンプレートでは円模様となり, 垂直画素群や水平画素群とパターンが平行に近い関係となるチャートの水平軸や垂直軸にあらわれる.固体撮像素子の画素数が水平N_h, 垂直N_νであれば, モアレの次数をγまたはγ′の整数として, モアレの発生位置は3N_h/2γまたは3γ′N_h/2,あるいは2N_ν/γまたは2γ′N_νのテレビ本数になる.これらのモアレの見え方を固体撮像素子の開口によって決まるMTF解像度特性との関連で考察し, 無効感光部がモアレの発生原因となることを述べた.
著者
宮武 茂博 永川 忠示 三沢 清利 小佐々 治海 坂本 渉仁 小川 伸一 山野 利昭 飯川 寛平 仲井 淳一 滝井 健司 松井 脩 粟根 克昶
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.40, no.9, pp.871-877, 1986-09-20

解像度を決定する画素数の増加, 感度の主な要因である開口率の向上, 固体撮像素子特有の欠点であるスミアの低減を同時に達成するために開発したSFPW(Shallow Flat P-Well)構造を用いた2/3インチ光学系用490(V)×510(H)画素インタライン転送方式CCD撮像素子について述べる.SFPW構造では撮像部を浅い平坦なpウェル上に形成することが可能なため, p型不純物の横方向拡散の影響がなく画素の縮小化が図りやすい.またCCD垂直シフトレジスタ下部のpウェルも完全に空乏化するため, 光電変換により発生した電荷のシフトレジスタへの混入が抑圧されスミアの低減が図れる.さらにフォトダイオードの構造をn^+-n^--p-n構造としたため, 信号電荷の蓄積に伴う変化が少なく, また光の多重干渉による凹凸のない, 高い量子効率を備えた分光感度特性が得られる.素子の水平限界解像度は380TV本, 開口率は34%, スミアは-70dB(550nm)である.