著者
高野 昌幸 岩崎 禎二
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.36, no.12, pp.1076-1081, 1982-12-20

ソニーが, 1981年のNABにおいて発表した, ENG/EFP用のカメラー体形VTRのBETACAMシステムについて, その特徴と, 1982年6月のSMPTEに提案した記録方式について述べる.
著者
堀居 賢樹 黒田 隆男 松田 祐二 信定 俊英 栗山 俊寛 松本 茂則
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.1039-1046, 1987
被引用文献数
1

502 (V) ×600 (H) 画素フレームインタライン転送CCD (FIT-CCD) 撮像素子を試作し, スミア特性, 可変電子シャッタ駆動, および, 従来の蓄積駆動の欠点を改良した新フレーム蓄積駆動を中心に検討し, その確認を行った.その結果, スミア特性については, 転送周波数依存性との関係を調べ, 掃出し周波数を1MHzで行うことにより0.0003%と, 従来のIT-CCDに比べ大幅な低減効果を得た.電子シャッタについては1/60, 1/125, 1/250, 1/500, 1/1000, 1/2000秒のシャッタ速度が可能なことを確認した.新フレーム蓄積駆動として, フレーム残像がなく, 高い垂直解像度が得られる電荷制御フレーム蓄積 (CCフレーム蓄積) 駆動を提案し, 良好な結果を得た.また, FIT-CCDに伴う, 垂直転送効率, 信号電流に検討を加え, 良好な素子特性を実現した.
著者
高田 謙二 石田 耕一 中村 里之 草鹿 泰 岩本 剛志 野村 慶一 鮫島 幸一 西田 直樹 宮武 茂博
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.169-175, 1995-02-20
被引用文献数
23 5

CCD固体撮像素子にとって, ダイナミックレンジの拡大は残された大きな課題である.これを解決するために, 我々はMOSFETのサブスレッショルド特性を利用した対数変換回路を各画素に内蔵した, 対数変換CCDラインセンサを開発した.画素数2240×3画素, 受光部面積12μm口, 対数変換部のFETのL/W=12/10μmで, 5桁を越える光量変化に対してその対数に比例した出力が得られることを確認した.対数変換CCDラインセンサは, (1)ダイナミックレンジが広いので, 高輝度・低輝度被写体を同時に取れる, (2)濃度に比例した出力が得られるので, ディジタル化しても階調豊かな画像を得ることができ, また, シェーディング補正が加減算でできる, という特長を持つ.これらの特長により, 対数変換CCDはディジタルコピヤカメラ型スキャナフィルムスキャナ等への応用が期待される.
著者
磯野 春雄 安田 稔 三輪 幸司 金山 秀行 山田 千彦
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.518-525, 1992
被引用文献数
13

メガネが不要な40インチ液晶投与型立体カラーテレビディスプレイ装置を試作した.この装置の特徴は, 左右2台のテレビカメラで撮像した映像を水平方向に1画素毎に縦縞のストライプ像に合成したあと, 1台の高性能液晶ビデオプロジェクタを用いてレンチキュラースクリーンの背面に投与する表示方式にある.この方式は, 液晶ビデオプロジェクタによって投与したストライプ像とレンチキュラースクリーンとの光学的な位置合わせを高精度かつ容易に行うことができる.また, レンチキュラースクリーンとして, 内部が中空構造の高性能なスクリーンを新しく開発した.この結果, 40インチの画面全体にわたって均一で明るく, 鮮明なフルカラーの立体動画像をメガネなしで見ることができた.
著者
河合 満雄 伊藤 肇 嶋 純孝
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.585-589, 1993-05-20
被引用文献数
20 2

自動車用のディスプレイは運転者に, 速く, 正確に情報を伝える必要があるが, 最近, 安全性, 利便性の見地から, ナビゲーション機器などが付加され, 運転者が読取るべき情報量が増える傾向にある.このためHMIの改善が進みつつある.本稿ではこの改善事例を紹介し, また自動車部品としての要求も明確にすることにより, 次世代ディスプレイデバイスへの期待を述べる.
著者
黒住 幸一 辻本 廉 小宮山 摂 盛田 章 大串 健吾 氏原 淳一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.579-587, 1988-06-20
被引用文献数
16

ハイビジョンは, 精細度の高い映像を大画面に写し出すので, 従来のテレビと比較して視覚的に臨場感をはるかに高めることができる.しかし, この映像の効果にふさわしくハイリアリティー視聴空間を再生できるステレオ音声方式については, まだ充分な検討がなされていない.そこで, 音声のチャンネル数およびスピーカ配置の異なる種々のステレオ音声方式について検討し, ハイビジョン映像とステレオ音声方式の組み合わせによる心理的効果を主観評価実験を行って調べた.その結果, 前方に3つの音源を, 後方に1つの音源を配置する3-1方式4チャンネルステレオが, 最もバランスのとれた優れた方式であることが明らかになった.このステレオ音声方式の特徴は, 画面の中心軸上から横にずれた位置で視聴しても映像の方向と音像の方向がよく一致すること, 広い視聴範囲にわたって豊かな臨場感を再生できること, 映画音響と互換性の良いことである.
著者
新居 亨一 加藤 忠
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.488-493, 1986-06-20

磁気ディスク装置の高記録密度化をねらいに, 微分型等化による再生信号の波形干渉低減法を明らかにした.本等化は孤立波の半値幅を細化するだけでなく, 孤立波の非対称性も低減する.等化器は微分器を含むトランスバーサル型フィルタで構成した.本等化器は高周波帯域強調特性をもつ.孤立波の非対称性を無視できる場合, 孤立波の半値幅を約0.6倍に細化できる.これにより, 波形干渉に起因するピークシフトを低減し, また, 振幅低下を回復する.本等化を行うと, 等化を行わない場合の1.5倍から2倍まで, 記録密度を高めても, 波形干渉はほとんど増加しない.非対称性の顕著な孤立波に対しては, 等化定数を最適化して, 非対称性を低減する.これにより, 非対称性を無視した時よりも細化効果は向上する.例えば, 半値幅を0.55倍にまで細化できる.その結果, 孤立波の非対称性に起因した波形干渉も低減できる.
著者
伊藤 恵造 城野 政博 チャンダニ A.D.L. 李 継 大内 幸雄 竹添 秀男 福田 敦夫 北瓜 智哉
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.536-543, 1990-05-20
被引用文献数
1

強誘電性液晶(FLC)の表面安定化(SS)に対して反強誘電性安定化(AFS)という概念を提案し, AFSFLCの3安定状態間スイッチングが反強誘電性第3安定状態(3)と電界により螺旋構造の解かれた強誘電性一様状態(Ul, Ur)との間で起こることを示す.配向ベクトルがUl, Urではそれぞれ±θ傾き, 3ではスメクティック層法線と平行なので, 直交ニコルで3を暗にとればUl, Urは明となる.本スイッチングの特徴は, (1)AFS状態(3)は安定で, 配向性が良好である.(2)電圧無印加時には自発分極が消失しており, SSFLCで問題となるゴースト効果が生じない.(3)見かけの傾き角-印加電圧特性に急峻な直流閾値とヒステリシスが存在し, メモリー性の付与が可能である.(4)スメクティック層が変形しやすく, 「く」の字層構造を回避できるので, コントラストが高い.(5)応答特性は印加電圧に敏感に依存し, 高速化が期待できる.(6)スイッチングに伴うドメインの発生が規則的であり, 面積階調性の付与も期待できる.などである.AFSを示すFLC材料が次々に見出されており, ディスプレイなど電気光学デバイスへ応用されつつある.