著者
亀田 豊 山口 裕顕 玉田 将文 太田 誠一
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.211-218, 2014 (Released:2014-11-10)
参考文献数
33
被引用文献数
1 1

表流水中微量放射性セシウム放射能測定法(ADiCS法)を確立した。ADiCS法は前段のPTFE膜による懸濁態セシウムの分離,後段の選択性ディスクによる溶存態セシウムの吸着を連続的に行い,その後PTFE膜とディスクの放射能をNaIシンチレーションカウンターで測定する。作業効率性および分析精度を検討した結果,SS濃度が20 mg•L-1以下の表流水20 Lでは蒸発乾固法より約6倍以上迅速に濃縮でき,検出下限値は約10 mBq•L-1であった。また,ADiCS法測定値は蒸発乾固法測定値の30%の誤差範囲内で一致した。ADiCS法による関東地方の表流水測定の結果,高沈着量地域の表流水から100 mBq•L-1以上の放射性セシウムが検出され,事故後の有意な増加が確認できた。以上より,従来法に比較して本手法は容易に現在および将来の水中放射能や水生生物中蓄積特性を評価しうると考えられた。
著者
太田 誠一 武田 博清 石塚 成宏
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

近年、湿潤熱帯アジアでは増大するパルプ需要に答えるため大規模な植林事業が展開されており、こうした地域ではアカシア・マンギウム(以下アカシア)を代表とするマメ科早生樹が広く植栽される。しかし、アカシアは窒素固定樹種であるため成長が早い一方、土壌-植生系内を循環する窒素量が増大することで、亜酸化窒素(N2O)を通常の森林よりも多く排出することを明らかにしてきた。本課題では N2O 放出緩和オプションの提示を目的として、インドネシア南スマトラ州のる大規模産業植林地帯において、以下の研究を実施した。1)リン施用がアカシア林地からの N2O 放出に及ぼす影響、2)リン施用を導入したアカシア植林施業の温暖化緩和効果の評価。 その結果、リン施用は植物根のない状態ではN2O 排出を促進するが、アカシア根による養分吸収がある条件下では植物の窒素吸収を促進することで土壌からの亜酸化窒素排出を抑制する効果を持つことを明らかにした。またアカシア新植時からリン施用を行えば無施用区に比べ、土壌炭素の分解が促進される一方で、 N2O の発生抑制ならびに植栽木のバイオマス生産増によって、全体としては温暖化緩和効果が強化されることを明らかにした。
著者
高橋 正通 柴崎 一樹 仲摩 栄一郎 石塚 森吉 太田 誠一
出版者
森林立地学会
雑誌
森林立地 (ISSN:03888673)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.51-59, 2020-06-25 (Released:2020-07-14)
参考文献数
58
被引用文献数
1

砂漠化防止や気候変動緩和のため乾燥地での植林活動が続けられている。乾燥地・半乾燥地土壌の保水性を高め,苗木の活着や成長を促すため,高吸水性高分子樹脂(superabsorbent polymer,SAP)が土壌改良に利用される。本総説ではSAPを添加した土壌の物理性,化学性,生物性を中心に基礎的知見をとりまとめ,効果的な使い方を考察する。SAP添加土壌は以下のような特徴がある。1)SAPによる保水量の増加は土性の影響が顕著で,埴質な土壌より砂質の土壌の方が保水量は増える。2)SAP添加土壌の水ポテンシャルはpF 2.5以下の水分が主で,永久萎凋点pF 4.2以上で保水される量は少ない。3)吸水と排水過程で大きなヒステリシスが認められ,排水過程の方が保水量は多い。4)塩類濃度の高い水には吸水性能が発揮できない。5)ち密な土壌に粒径の大きな膨潤したSAPを入れると,粗孔隙が増加する。6)SAPの吸水・膨潤時には粗孔隙が塞がれ,一般に透水性は低下する。7)SAPのイオン交換容量(CEC)は大きく,砂質土壌のCEC増加につながる。8)SAP施用により土壌が湿潤になり微生物バイオマスが増加する。9)施用SAPによる環境汚染の影響は小さい。以上のような特性から乾燥地においてSAPを有効に使うには,土壌の塩分が比較的少なく,砂質または粗孔隙の大きな礫質の土壌への施用が推奨される。通常,せき悪土壌は貧栄養なため,肥料と併用するには,SAPの適切な施用位置などの検討が必要である。
著者
小野 郁 今 清佳 森 菜穂子 太田 誠耕
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.92, pp.133-145, 2004-10-15

大学生410名を対象とし,500mlのペットボトル飲料の利用状況について調査を行った。また,開栓後の500mlのペットボトル飲料の細菌の繁殖状況を一般生菌法で測定した。その結果,ほとんどの大学生がペットボトル飲料を利用しており,保存によって細菌が大量に繁殖することが明らかになった。特に直接口をつけて飲んだ場合には,長期間の保存が可能とは苦いがたく,開栓後は冷蔵庫内で保存し,開栓当日遅くても1日後に飲みきることが必要である。また,飲用後のペットボトル容器に別の飲料を移し香え水筒として再利用することは衛生上安全であるとは言いがたい。
著者
小野 郁 今 清佳 森 菜穂子 太田 誠耕
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.92, pp.133-145, 2004-10

大学生410名を対象とし,500mlのペットボトル飲料の利用状況について調査を行った。また,開栓後の500mlのペットボトル飲料の細菌の繁殖状況を一般生菌法で測定した。その結果,ほとんどの大学生がペットボトル飲料を利用しており,保存によって細菌が大量に繁殖することが明らかになった。特に直接口をつけて飲んだ場合には,長期間の保存が可能とは苦いがたく,開栓後は冷蔵庫内で保存し,開栓当日遅くても1日後に飲みきることが必要である。また,飲用後のペットボトル容器に別の飲料を移し香え水筒として再利用することは衛生上安全であるとは言いがたい。
著者
山口 紘子 松本 光弘 太田 誠一 植田 崇彦 筒井 保裕
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.602-607, 2012-05-20 (Released:2012-05-30)
参考文献数
8
被引用文献数
1

Introduction: We verified the setup error (SE) in two persons’ radiation therapist’s team, which consist of staff and new face. We performed the significance test for SE by the staff group and the new face group. Methods: One group consists of four staff therapists with at least 5 to 30 years of experience. The other group consists of new face radiation therapists that have 1 to 1.5 years of experience. Analyzed were 53 patients diagnosed with pelvic cancer (seven patients who underwent 3 dimensional conformal radiation therapy (3DCRT) and 46 patients who underwent intensity modulated radiation therapy (IMRT). Image verification was 1460 times. It was performed through setup verification by cone beam computed tomography (CBCT), and we measured SE of four directions (lateral, long, vertical, 3D). We performed the student’s t-test to get the difference of the average error between the staff group and the new face group. Results: The results of significance tests show that there is no difference between SE in the staff group and the new face group in radiotherapy.
著者
岡本 裕之 太田 誠一 川守田 龍 坂本 昌隆 中村 哲志 西岡 史絵 株木 重人 正井 範尚 水野 統文 古谷 智久 山本 鋭二郎 飯島 康太郎 伊藤 芳紀 勝田 昭一 黒岡 将彦 川村 愼二 橘 英伸 遠山 尚紀 中村 勝 峯村 俊行 中山 優子
出版者
公益社団法人 日本医学物理学会
雑誌
医学物理 (ISSN:13455354)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.28-34, 2020-03-31 (Released:2020-03-31)
参考文献数
2

In 2016, the American Association of Physicists in Medicine (AAPM) has published a report of task group (TG) 100 with a completely new concept, entitled “application of risk analysis methods to radiation therapy quality management.” TG-100 proposed implementation of risk analysis in radiotherapy to prevent harmful radiotherapy accidents. In addition, it enables us to conduct efficient and effective quality management in not only advanced radiotherapy such as intensity-modulated radiotherapy and image-guided radiotherapy but also new technology in radiotherapy. It should be noted that treatment process in modern radiotherapy is absolutely more complex and it needs skillful staff and adequate resources. TG-100 methodology could identify weakness in radiotherapy procedure through assessment of failure modes that could occur in overall treatment processes. All staff in radiotherapy have to explore quality management in radiotherapy safety.
著者
高橋 正通 柴崎 一樹 仲摩 栄一郎 石塚 森吉 太田 誠一
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.100, no.6, pp.229-236, 2018-12-01 (Released:2019-02-01)
参考文献数
72
被引用文献数
3 2

ポリアクリル酸等を材料とする高吸水性高分子(SAP)は1970年代後半から土壌保水材として利用されている。乾燥地・半乾燥地における農林業や緑化へのSAP利用に関する研究報告や実証試験をレビューした。SAPは自重の数百倍の純水を吸収できるが,塩分を含む水では吸水能が数分の1に低下し,土壌中では粒子間での膨潤に限られる。SAPの利用は,1)裸苗の根の乾燥防止や活着促進,2)土壌の保水性と苗木の乾燥耐性の向上,3)植栽穴への施用による活着や成長促進,4)種子の発芽促進,を期待した研究が多い。ポット試験の結果からは,土壌の保水量はSAP添加量に比例して増加するが,粘土質より砂質土壌で土壌有効水量が増加し,樹木の耐乾性も向上する。実証試験からは,SAP施用で活着や成長が概ね良くなるが,土質や樹種によって反応が異なり,過剰な添加はしばしば苗木の成長を低下させる。SAPの課題として,肥料との併用による保水効果の低下,持続性の短い保水効果,現場コストの未検討等を指摘できる。今後は,体系的な実証研究によるSAPの施用方法の確立,有効な樹種の選別,製品性能の改良が望まれる。
著者
山田 知生 太田 誠 高橋 昌司
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会雑誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.139-142, 1960-03-25 (Released:2011-07-19)
参考文献数
4

The preparation, structure and photoconductive characteristics of the CdS sintered layer cell are described.The photoconductive characteristics of the CdS sintered layer are dependent on the CdS composition, layer preparative techniques and structures of the unit.And its photoconductive properties are similar to those of the huge CdS crystal.The features of the photoconductive cell prepared by using this layer are that it has a high sensitivity, an extensive spectral-sensitivity and can get a large photo-current.
著者
原田 久志 太田 誠 林 泰宏
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.8, pp.1229-1231, 1988-08-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
12

A methanol fuel cell combined with a photocatalytic reaction apparatus is proposed. This new type cell works as a methanol fuel cell in the dark and as a hydrogen-oxygen fuel cell under illumination. Methanol is reformed into hydrogen by the photocatalytic reaction using Pt/TiO2, and evolved hydrogen is provided for the anode of the fuel cell. The performa nce of this cell under illumination is better than that of the methanol fuel cell.
著者
太田 誠一
出版者
福岡大学研究推進部
雑誌
福岡大学経済学論叢 (ISSN:02852772)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.p717-731, 1975-03
著者
太田 誠
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.73-82, 1985-01-01

客観的,連続的な胎動記録ができ,同時に胎児心拍数図が記録できる超音波ドブラ胎動計を用いて妊娠各期の胎動を記録し検討した.1)電子スキャンで認めた胎動は,胎動計記録と100%に一致し,胎動計記録の約90%が電子スキャン観察でも認められた.Mモードによる胎動記録に一致して胎動計記録が得られた.2)胎動バーストには,妊娠23週以降,胎児一過性頻脈の同時併発をみ,28〜3i週で42〜87%,36〜40週で91〜100%の併発率であった.バーストに伴う心拍数増加の振幅は,23〜38週で直線的に増大し,妊娠30週ではその平均値から約15bpmと推定された.単発信号では一過性頻脈の併発はなかった.3)胎児のしゃっくり様運動は妊娠24週から記録され,4分20秒〜17分持続し,25〜28cpmの規則的なスパイクが連続した.一過性頻脈の併発はなかった.4)母体の胎動自覚率は,記録振幅13mm以上の胎動では平均27.7%,胎動バーストでは平均67.7%であり,個人差は大であった.記録振幅10mm以下では,母体の自覚はなかった.5)妊娠初期では11週以降(CRL54mm以上)で胎動が記録された.6)日中の長時間の記録では,active phaseの胎動バーストの持続は,15秒以内,15秒〜1分,2分以上の3つに大別された.resting phaseの持続は10〜36分で,その出現は13時台と16時台に多く,resting phaseの発生間隔は24〜152分であった.7)日中の各時刻帯1時間あたりの記録振幅13mm以上の胎動数の最大値は2,860回,最小値は15回,平均値では差は少なかった.8)母体の昼食前後の胎動数の変化は,増加または減少の一定の傾向を認めなかった.今後の胎動評価において,胎児に個体差があることから,経時的な胎動観察が重要である.
著者
山口 紘子 松本 光弘 太田 誠一 植田 崇彦 筒井 保裕
出版者
Japanese Society of Radiological Technology
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.602-607, 2012-05-20
被引用文献数
1

<i>Introduction</i>: We verified the setup error (SE) in two persons' radiation therapist's team, which consist of staff and new face. We performed the significance test for SE by the staff group and the new face group. <i>Methods</i>: One group consists of four staff therapists with at least 5 to 30 years of experience. The other group consists of new face radiation therapists that have 1 to 1.5 years of experience. Analyzed were 53 patients diagnosed with pelvic cancer (seven patients who underwent 3 dimensional conformal radiation therapy (3DCRT) and 46 patients who underwent intensity modulated radiation therapy (IMRT). Image verification was 1460 times. It was performed through setup verification by cone beam computed tomography (CBCT), and we measured SE of four directions (lateral, long, vertical, 3D). We performed the student's t-test to get the difference of the average error between the staff group and the new face group. <i>Results</i>: The results of significance tests show that there is no difference between SE in the staff group and the new face group in radiotherapy.