著者
城殿 智行
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.48-56, 2006-11-10

特集タイトルには<戦後>空間とあるが、本論ではそれをまず、思考の様式を示す<戦後>という抽象と、日本がたどった歴史的・政治的な経緯を含意する「空間」という隠喩に分節する。次いで、近年では支配的な思考様式となった「言説分析」のあり方を、ミシェル・フーコーの思考と対比させることによって、批判的に再検討する。以上の分析を経た上で、三島由紀夫や中上健次といった<戦後>作家が、何をどのように考えて創作したのかが論じられる。
著者
安藤 宏
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.58-61, 1998-07-10
著者
難波 博孝
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.37-46, 1996-08-10

本論は、まず、「物語」を対象に対する解釈図式と定義し、その「物語」が私たちを自動化された解釈へと誘惑していることを述べる。次に、言語の解釈の過程を詳細に検討し、「物語」の介入の可能性を見る。次に、文学について三種の世界構造の考えを導入し、また、解釈における世界解釈のレベルを設定し、それぞれの諸相で「物語」の介入の可能性を探る。最後に自動化された「物語」から逃れるために、国語の授業で行うべきことを述べる。
著者
難波 博孝
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.37-46, 1996

本論は、まず、「物語」を対象に対する解釈図式と定義し、その「物語」が私たちを自動化された解釈へと誘惑していることを述べる。次に、言語の解釈の過程を詳細に検討し、「物語」の介入の可能性を見る。次に、文学について三種の世界構造の考えを導入し、また、解釈における世界解釈のレベルを設定し、それぞれの諸相で「物語」の介入の可能性を探る。最後に自動化された「物語」から逃れるために、国語の授業で行うべきことを述べる。
著者
川名 淳子
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.36, no.11, pp.36-47, 1987-11-10

『紫式部日記』における行事記録的部分には、紫式部が実際にいた地点から見えた範囲を、対象により近接融合した形で語る視座と、自己の存在もその状況の一要素として客観視し、土御門邸全体を俯瞰するような形で伺候する人々や調度の配置等を述べる視座の二つが認められる。が、後者はいわば観念上のもので実体験に基づくものではない。本稿ではその俯瞰的視座の背景に、行事絵の享受によってもたらされた紫式部の視覚的な場面構成意識というものを想定し、この作品の構造と文体の特異性に迫る一考察を試みた。
著者
山口 敦史
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-8, 2003

『日本霊異記』に登場する〈女性像〉を取り上げ、そこに見られる各種の〈女性〉が、背景とする思想・宗教や歴史性によって、いかに異なって把握されるかを考察する。一説話の〈女性像〉についても、それを〈母性〉-子を慈しむ存在-と把握するか、〈女人〉-罪深く性欲が盛ん-と把握するかで、説話の読みに変化が生じる。これらの〈女性像〉は、漢訳仏典の価値観に根ざすもので、『日本霊異記』にもそれが踏襲されている。
著者
飯田 祐子
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.40-50, 2003-01-10

「読者」論は、「作者」と「テクスト」の自律性を疑い、それらをコミュニケーションの回路の中に引き込んだ。本論では、「読者」の項を含んだ回路の中で、あらためて「書き手」の位置との関係について論じる。「書き手」は必ず「読者」であり、また「読者」に向けて書くことになる。読者の問題を、書くことにおける応答性を探る試みと繋ぎ、円地文子の初期小説を中心に、文学がつくる回路の軋みを抽出した。
著者
坂口 周
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.32-43, 2010-12-10

内田百間「サラサーテの盤」(一九四八)は、一見して日常的な世界によって構成されている。初期の小説群のように「夢」の非現実則に支配された荒唐無稽な印象をもたらさない。しかし同時に、死者と生者の境界線が絶えず引き直されるような危うさによって、その空間の遠近法は成立ぎりぎりの臨界にさらされている。本稿は、このテクストの構造を形成する核であり、かつそのような構造の不安定さを強いる<謎>としての「女」の位置を探るものである。特に、おふさ、きみ子につづいて、不思議な存在の異常性を放っている「奥様」という第三の「女」の意味を明らかにする。
著者
坂口 周
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.32-43, 2010

内田百間「サラサーテの盤」(一九四八)は、一見して日常的な世界によって構成されている。初期の小説群のように「夢」の非現実則に支配された荒唐無稽な印象をもたらさない。しかし同時に、死者と生者の境界線が絶えず引き直されるような危うさによって、その空間の遠近法は成立ぎりぎりの臨界にさらされている。本稿は、このテクストの構造を形成する核であり、かつそのような構造の不安定さを強いる<謎>としての「女」の位置を探るものである。特に、おふさ、きみ子につづいて、不思議な存在の異常性を放っている「奥様」という第三の「女」の意味を明らかにする。
著者
岩佐 壯四郎
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.47-59, 1996-11-10

いわゆる<雅号>は、志賀直哉・谷崎潤一郎など<本名>を署名する文学者の登場した一九一〇年代以降次第に姿を消していった。<雅号>は、いずれは近代における文学という制度の負の領域に追いやられるべき運命にあったといっていいかもしれない。だがそれを、近代文学史の一つのエピソードとして片付けてしまっていいのだろうか。それは逆に、近代文学という制度の性格を照らしだしていはしないだろうか。
著者
山元 隆春
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.49-57, 1996-01-10

<誤読>が積極的な意味を帯びるのは、それが私たちの既存の価値観を揺さぶる時である。本稿においては、<誤読>を単に正しい読みに対立する概念としてではなく、代案としての様々な読みを示す営みを指すものとして捉えた。リチャーズやリファテールの読みの理論を批判的に捉えた上で、主としてスコールズの<対抗的に読むreading against>という考え方に依拠しながら、一次的なテクストに対するもうひとつのテクストを読者が産み出し、その営みを通じて読者としての主観性を形成することが、出来事としての読みを誘うことに繋がると論じた。
著者
石井 茂
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.29, no.11, pp.29-39, 1980-11-10

It had been said that materials for Hitokure no Tsuchi were suggested by Heizo Rikiishi who was from Yugawara. However, it was quite unknown who the model for a heroine was. This is a research on the bereaved family, and as a result, it has become clear that Heizo's uncle Ichitaro Ozawa's wife, Raku might be a model.