著者
赤江 剛夫 後藤 光喜 石黒 宗秀
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.219, pp.357-364, 2002-06-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
17

農地土壌の濁水発生防止は, 農地整備事業の実施に当たり極めて重要な問題である.本論文では, 農地土壌の分散性を規定する支配的な基礎的物理化学特性を明らかにするため, 中国四国地方の代表的な土壌型の農地土壌の粘土分散率を評価して基礎的特性との関係を検討した.その結果, 比表面積と陽イオン交換容量と粘土分散率の相関が高いことを見いだし, その原因を分散凝集理論に基づく表面電位の変化, および沈降に対する安定性の観点から考察した.表面電位の計算では, 塩・電位差滴定法により求めた永久荷電量を面荷電とした.また, 比表面積が大きく粒径の小さい土壌ほど沈降に対する動的安定性が高いことが推定された.農地土壌に石膏を添加すると凝集が促進され, 粘土分散率が低下したが, 石膏添加が表面の荷電特性にどのような影響を与えるかを検討した.石膏添加による凝集効果が大きい土壌では, 面電位の変化量およびpHで決まる粒子端電位の変化が大きいことが認められた.
著者
多田 明夫 田中丸 治哉 畑 武志
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.244, pp.599-608, 2006

本論文では, 面積12.82haの山林小流域において, 10分値の流量・水質データを用い, 約7.7ヶ月の期間中の流域からの総流出負荷量の推定値とその95%信頼区間について議論を行った. 負荷量算出には直線型LQ式, べき乗型LQ式, 非線形LQ式の三種類の算定方法を用いた. 対象とした水質項目は溶存イオンのCl<SUP>-</SUP>, K<SUP>+</SUP>, Na<SUP>+</SUP>, およカリウム水質時系列より生成した, 非線形性を強めた仮想水質項目である. 具体的には, 等間隔サンプリングにより全データ集団から抽出されたデータセットより算出される95%推定区間内に, 総流出負荷量の真値が期待される確率通り含まれるかについて検討を行った. この結果・直線型LQ式を負荷量算定に用いた場合, 適切な信頼区間を与えることのできるLQ式を決定するために必要なデータ数は, 本調査流域においては, 237個~947個 (6時間~1日間隔サンプリングに相当) と非常に多量であること, 特定期間にわたる総流出負荷量を算定する目的からはべき乗型LQ式を用いてはならず, 直線型LQ式を用いるべきであることが明らかとなった. また, 限られた観測データから期間中の総流出負荷量の期待値と信頼区間を提示するためのLQ式に必要とされる条件として, L-Q (流量-負荷量) プロット上での非線形なデータ分布を表現し, かつ総流出負荷量の計算値がより真値に近い式が望まれるが, 一般に利用される直線型LQ式, べき乗型LQ式ともにこの点では短所を有していることを指摘した.
著者
矢野 友久 小谷 住人
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.126, pp.25-30,a1, 1986

大豆の日蒸発散量を計量型ライシメータによって測定した。実測値とペンマン法による計算値との相関は弱く,その比と葉面積指数との関係をロジスティック曲線で近似させることによって葉面積指数の関数として作物係数を表現した° この係数をペンマン法による計算値に乗ずることによって,日蒸発散位を比較的に精度よく推定できた。生育のピーク時期までは発芽後の日数を葉面積指数の代りに用いることも可能であった。
著者
高木 強治 小林 宏康 浪平 篤
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.226, pp.531-542, 2003-08-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
15

遺構「鼻ぐり井手」は, 加藤清正が新田開発のため, 慶長13年 (旦608年) に開削した延長390mの用水路である.鼻ぐり井手では, ヨナと呼ばれる阿蘇火山灰が水路底に堆積しないよう, 底部に穿孔を有する隔壁を一定の間隔で残したまま水路を開削し, 土砂の掃流力を高めたといい伝えられている.本研究では, 鼻ぐり井手の現況および過去に存在したと考えられる隔壁を模型に再現し, 水理実験によってそれらの通水機能, 掃砂機能および流れの構造を明らかにした.その結果, 鼻ぐり井手では, 連続する隔壁を通過する流れが常に噴流状態にあり, 掃砂機能が通常の開水路より格段に強化されていること, さらにこの掃砂機能に係わる流速の増加が穿孔面積を縮めることによってもたらされ, 掃砂機能と通水機能がトレードオフの関係になっていることを明らかにした.
著者
高木 強治 吉田 修一郎 足立 一日出
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.761-770, 1997-12-25
参考文献数
12

大規模水路網の流況解析において, 開水路1次元流れの数値解法にPreissmamスキームを用い, 体系的なモデル作成手法と効率的な流況解析アルゴリズムを提案した. 水路網のモデル化では, 水路を分合流点で切断して樹枝状水路と見なし, 有向グラフで表された水路にトポロジカルソートを適用し, 格子点の計算順序を定めた. 解析手法は, 掃出しアルゴリズムと低次元化された連立1次方程式によって構成され, その計算効率は, 水路網全体に対し, 閉路が占める割合と水路を切断した分合流点が少なくなるほど向上する. 大規模水路網への適用では, 疎行列のための直接解法として有力な内積形式ガウス法と比較して, 計算時間を大幅に削減できた.
著者
山岡 賢 端 憲二 小松 康人
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.184, pp.587-601,a1, 1996-08-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
33

農業集落排水施設における窒素除去のための最適曝気条件を得るため, 実施設規模の回分式活性汚泥方式の実験プラントでの調査結果を基に, 回分槽内のDO, ORP, pH等の硝化速度への影響を検討した. 本調査結果では, 回分槽内のDO, ORP, アンモニア態窒素濃度の硝化速度への影響はほとんど見られなかった. 硝化速度は酸素供給速度が律速となっていた. このため, 一般にいわれている水温が10℃上昇で硝化速度が2倍となる. 硝化速度がMLSS濃度と比例するといった関係は見られなかった. 試算によると水温上昇に対して曝気条件が同じであっても硝化速度を維持することが可能との結果を得た.
著者
福岡 喜弘
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.1967, no.19, pp.27-42, 1967-03-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
61

1) This study was carried out in order to examine the characteristics of forms and limitation of reclamation of a citrus orchard on slope land.2) Three forms of reclamation of orchards investigated were as follows: I. horizontal terraced field. II. sloped terraced field with a wide oblique section. III. sloped field.Items of the reclamation for these forms were an original sloping angle of 8°-30°, sloping face of a terraced field of 45°-80°and sloping face of a sloped field of 45°-55°. From these conditions, the author extracted the generalization of the data.3) To clarify the characteristics of the forms of reclamation, the author investigated the following factors: precentage of reclamation of fields, the function of field surfaces and limiting factors of excution, excution by a bulldozer, quantity of soil originated in excution, and ecology and methods of management of a citrus orchard. The author examined the suitability for citrus management on each item.4) From the view-point of characteristics of the forms of reclamation on slope land, the sloped field ranked as the best, which was followed by the sloped terraced field with a wide oblique section, and the horizontal terraced field showed many problems.5) The limiting angle of reclamation of orchards on slope land was 20° at the horizontal terraced field and the sloped terraced field with a wide oblique section, and the sloped field showed from 20° to 25° in the original slope.6) From the characteristics of forms of reclamation, the above mentioned items are the limit of reclamation. But hereinafter, for the modernized citrus orchard, rational land utilization, reasonable planning of arrangement of equipment, planning of settlements of accounts, etc, must be discussed and brought into practice.
著者
長沢 徹明 梅田 安治
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.123, pp.49-55,a2, 1986-06-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
27

土塊の透水性と保水性により, 凍結融解に伴う構造性の変化を検討した。まず, 凍結融解の前後で透水性は増大する。これは, 系内に粗大な間隙が形成されたことを意味する。また, pF~水分曲線が凍結融解前後で特徴的な変化パターンを示すことと合せ, 凍結融解による構造変化を次のように模式化した。すなわち,(1)構造単位の収縮(2)単位間々隙径の増大,(3)単位間々隙径分布の拡大, であり, 凍結融解過程で非可逆的に現れる。
著者
森田 勝
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.200, pp.189-197,a1, 1999-04-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
5

土地改良事業の工事は、土地改良法所定の事業開始手続をとった場合には、工事の施行に同意していない者の土地に対しても施行することができるので、工事を施行したことに対して民事責任も刑事責任も問われることはない。土地区画整理法により土地区画整理事業の工事を所有者及び占有者の同意を得ることなく施行するについては、同法80条の規定に基づくことが必要であり、そのためには工事対象土地に対し仮換地の指定等による使用収益の停止処分がとられている必要がある。この土地区画整理法80条とほぼ同様の文章の規定が土地改良法123条の2として0設けられているが、土地改良法と土地区画整理法では、法の目的、趣旨、対象、法構成等を異にするので、土地改良事業の工事の施行に関する法律根拠を土地区画整理事業の工事を施行する場合と同様に解することにはならない
著者
成岡 市 駒村 正治
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.210, pp.735-743,a1, 2000-12-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
12

関東ローム表層黒ボク土を採取し, 固相配列と排水特性に注目して粗間隙の構造的特徴を検討した.その結果, pF水分分布曲線群から, 有機物含有量の多少および粗間隙径の変化特徴が類型化された。黒ボク土基質の軟X線透過影像から, 固相率が大きく緻密化し団粒が発達している型は細・粗間隙の分化程度が大きく, 透水経路の屈曲度が小さいことが考察された.団粒構造が発達している黒ボク土は, 乾燥密度や間隙率の大小にかかわらず, 団粒間間隙 (粗間隙) が飽和透水の主要経路になり得ていることが明らかにされた.自然構造の黒ボク土を締固めると飽和透水係数が低下する理由について,「透水経路の縮小化, 不連続化, 屈曲度の増加, 広狭差の増加」によることが説明された.以上より, 乱していない関東ローム表層黒ボク土の粗間隙は, 等方的な固相配列と排水特性に寄与していることが明らかにされた.
著者
有田 博之 熊谷 和美 三沢 眞一
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.244, pp.527-533, 2006-08-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
12

省力的で持続型農業を実現する農法として深水栽培法に注目し, 適用に必要な農地基盤・施設の整備課題を検討した.慣行農法より深めの湛水を行う深水栽培法は, 障害型冷害の防除手段として普及したが, 近年では省力化・増収・雑草防除等の技術として寒冷地以外でも一部農家が導入している.調査は, 深水栽培を行う東北・北海道地域の農家・土地改良区にアンケートと現地聴取りを行った、結果, 深水栽培を行う上で,(1) 湛水深を維持する畦畔の高さ・幅員の確保,(2) 畦畔の漏水防止対策,(3) 畦畔高の増大に適合するための用水路改修,(4) 地耐力増進のための排水対策, が基礎的・優先的な事項であることを明らかにし, それらの技術的課題を整理した.また, 深水栽培法がもつ新たな環境機能を指摘し, 今後の普及の可能性を示した.
著者
三原 真智人 上野 貴司
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.200, pp.171-178, 1999-04-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
7

畑地圃場にUSLE標準試験枠を作り, 降雨に伴って表面流が発生するたびに流亡土量と水質を観測した.採取した懸濁水のサンプルをろ過または遠心分離して上澄み水を得て, 懸濁水および上澄み水に含まれる窒素, リン成分を比較して, 土壌侵食が富栄養化成分の表面流出に与える影響について検討した.本研究の結果, 懸濁水中の全窒素および全リン濃度は浮遊物質と相関を示し, 上澄み水中の全窒素および全リン濃度を大きく上回った.無機態窒素については, 浮遊物質との相関はほとんど見られなかった.しかし, 全ての窒素およびリン成分の流出負荷は流亡土量と正の相関を示した.また最も多量の施肥 (628.5kg/10a) を行った試験枠における窒素およびリンの流出負荷は, 他の試験枠を大きく上回った.これらの結果から, 土壌流亡に伴って窒素およびリン成分の流出負荷が増大し, とくに多施肥試験枠においてこの傾向は顕著であることが明らかとなった.
著者
有田 博之 山本 真由美 遠藤 和子
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.246, pp.939-945, 2006-12-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
8

将来, 食糧事情の逼迫が生じる場合を想定した農地資源管理方式として, 耕作放棄田等の不耕作水田を必要に応じて復田できる形で維持管理するのが適切であることが明らかにされている.不耕作水田を廉価に維持管理するには, 毎年の除草・維持管理が必要だが, その方法の具体的内容については十分な検討はない.そこで, 本研究では, 不耕作水田の効果的な維持管理方式の提案を目的として休耕田の管理実態調査を行った.結果, 休耕田の管理に於いては夏期休閑耕が行われておらず除草が除草剤に依存している実態を明らかにした, また, 復田を前提とする場合には湛水管理が省力的で除草剤節減的であること, 除草剤使用を減少させるには夏期休閑耕の普及が1つの解決になることを指摘し, 普及の条件について提案した.
著者
中川 雅允 本林 隆 新井 裕 西村 拓
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.229, pp.71-77, 2004-02-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
4

カトリヤンマは水田を主な生息場所とするトンボで, 水田の土壌中において卵態で越冬する. 以前は普通にみられたが, 近年著しい減少傾向にあることが報告されている. 本研究では, カトリヤンマの卵の生態について休眠性と孵化条件を調べた. その結果, 春期の休眠覚醒後の卵は一時的であっても乾燥による影響を受けやすいこと, 孵化は湛水状態にあったとき光を刺激として促進されることがわかった. また, 近年の圃場整備による乾田化や休耕田の増加はカトリヤンマの減少をもたらすことが示唆された.
著者
元杉 昭男
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.227, pp.651-656, 2003-10-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
12

渇水年において河川取水をめぐって, 新たに開発された上流の農業利水団体と古くから河川水を利用してきた下流団体との間に発生した水利紛争および古田優位から上流優位へという水利慣行の成立に非協カゲームのモデルの適用を試みた.その結果, 合理的な選択として, 紛争に伴う人的物理的コストを考慮すれば, 政治権力が介入しない限り, 上流団体が上流優位行動をとり, 下流団体 (古田側) がそれを容認する帰結となり, 古田優位は成立しない. この場合に古田側が監視等の予防措置を取れば, 紛争コストと予防措置コストの和が渇水時の総被害を上回らない限り, 古田優位も成立し得ることが明らかになった. ゲーム理論の適用が水利紛争の構造解明に有益である.
著者
朱 敦堯 中野 政詩 宮崎 毅
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.194, pp.269-276,a2, 1998

土壌物理性が違うの二つ試料, 砂とYolo粘土を用いて, 斜面における水移動の数値シミュレーションを行った。第一, 湛水開始時間の数値解と準解析解を比較した。湛水開始時間は, 降雨強度の増加とともに指数関数的減少する。土の浸潤能は, 傾斜角に大きく依存し, 特に傾斜角30°になると, 斜面と平面の浸潤能が著しい相違である。<BR>第二は, 土壌物理性と斜面水流の関係を調べた。砂の場合には, 斜面と平行のフラックス成分は斜面水流に大きい影響を与る。湛水開始の際, 砂の場合は, 浸潤前線の後方で飽和層と不飽和層を明確に区別できた, しかし, この砂の特徴は, Yolo粘土で見つけなかった。第三には, 傾斜角と降雨強度はフラックスの大きさ及び屈折を決定する最も重要な二つ要因であることが分かった。土の表面での最大屈折角は, 傾斜角によって直線に増加し, ただし, 降雨強度が大きいと, 最大屈折角は小さくなる。
著者
甲本 達也
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
Rural and Environment Engineering (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.146, pp.95-100,a2, 1990
被引用文献数
2

粘土の液性・塑性両限界決定のためのフォールコーンテストの適用性について検討した。テストは種々の粘土について, 60°, 0.6Nコーンおよび直径100mm, 深さ50mmの容器を用いて行った。テストによれば, いずれの粘土の場合も貫入量~含水比関係は幅広い含水比の範囲においては両対数紙上で直線で表されることがわかった。この貫入量~含水比直線関係を用い, 貫入量が12.0mmおよび1.3mmに対する含水比を読取ると, それらはカサグランデ法による液性限界および塑性限界に相当することが明らかとなった。
著者
吉野 秀雄 小山 潤 岩崎 和巳 中 達雄 井上 京
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.126, pp.99-111,a2, 1986-12-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
7

開水路流れで設計された暗渠,トンネルはこれまで管路流れとなるような使用は避けられてきた。この理由は,水理学的には空気の吸排気を含めた過渡流況の解析が十分なされていないためであった。そこで,このような現象を把握するための数値シミュレーション手法を開発した。そして,これによる数値解析結果と水理模型実験結果との比較を行い,この手法の有効性について実証した。
著者
富永 雅樹
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.177, pp.347-359,a2, 1995

降雨入力の変動パターンが地盤中を伝搬する現象, および豪雨の中断が持つ意味を明らかにするために円柱土層による実験と考察を行った.M系列信号(疑似不規則信号の一種)状の降雨入力による実験では, 降雨入力と地盤各部での体積含水率の変動との相互相関関数をとることにより, 地表から-4m付近でも体積含水率の変動が降雨パターンに対応していることが観察された.中断を含む降雨を与えた結果では, 中断後の降雨による二次的浸潤前線が一次的な浸潤前線の降下速度を速めることがわかった.これらの現象は, 開放不飽和毛管浸透モデルによって説明できることを示した.最後に, 降雨浸透現象と土砂災害発生との関係について考察した.