著者
鍛冶 博之
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
no.83, pp.99-125, 2009

論文(Article)本稿の目的は、第1に、小売・流通業界の大手企業であった株式会社ダイエーがパチンコホール事業を展開するようになった歴史的経緯を解明すること、第2に、1980年代後半からパチンコ業界の健全化の一環として展開される、ホール業界での「経営改革」にもたらした影響を考察すること、以上二点である。なお本稿では、ダイエーが日本ドリーム観光への経営支援と買収を行った時期(1980年代)と、株式会社パンドラを子会社化し、ホール業界への本格的参入を果たした時期(1990年代前・中期)に着目する。The purpose of this paper is to clarify why Daiei developed the pachinko parlor business in 1980s-1990s, and what influence a management policy of Daiei had to the management reform in the pachinko parlor industry. This paper covers from 1980s (a period when Daiei supported the business of Nihon-Dream-Kanko Ltd.) to 1990s(a period when Daiei controlled Pandora Ltd. as a subsidiary company and started to manage some of pachinko parlors which Pandora had owned).
著者
井上 史
出版者
同志社大学
雑誌
社会科学 (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.84, pp.1-19, 2009-07

先に発表した拙稿「一九六〇年代の同志社生協--機関誌『東と西と』を通して」(『社会科学』第八一号、二〇〇八年七月)に続き、一九六〇年代末から一九八〇年代前半の同志社生協の足跡を整理し、大学生協運動史の一斑を考察する。資料とするのは、同志社生協の機関誌『東と西と』一九六七年一一月号から一九八六年一月号までの一九年分であり、これらは設立五〇年発祥一一〇年を記念して発行された『同志社生協史料集II「東と西と」第二期(一九六七〜一九八五)』(発行・同志社生協、編集監修・同志社生協五〇年史編纂委員会、二〇〇九年二月)に復刻されている。一九七〇年代、八〇年代は、九〇年代以降の現代の目から見れば、中間的な移行期であり、かつ現代の種が蒔かれた時代といえる。同志社生協の事業と運動も、七〇年代末に提起され、今日の大学生協運動の基本路線とされる「学園に広く深く根ざした大学生協」へと歩み出す変化と模索の渦中にあった。一九六七年六月の第一八回総代会を契機に運動偏重型・闘争型からの脱却に踏み切ったものの、大学、地域、職域を含むオール生協運動の民主的発展・強化に重点が置かれ、その結果、大学当局とも、また学内自治組織とも根深い緊張関係が続いた。日本経済は高度経済成長の最高潮から終焉期を迎えて、「狂乱物価」、インフレが学生生活を直撃し、産業構造・生活意識のすべての局面で「重厚長大から軽薄短小へ」「消費社会化」「情報化」が進むなかで、同志社生協は時代の変化の即応に苦しみ、経営的には停滞を余儀なくされた。一九八六年四月の田辺校地開校に至る、そしてその後も続く、長い模索の始まりでもあった。その変化と模索の中から今日的な意義や希望を見出すことができるか。本稿の狙いであり、課題である。
著者
水原 紹
出版者
同志社大学
雑誌
社会科学 (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.1-21, 2007

今日普及している携帯オーディオ機器の原点はソニーのウォークマンであり、その社会生活への影響は大きい。ソニーのウォークマンは独自の技術から生まれた物ではなく、それに先行する技術として開発されたテープレコーダーやステレオ音声技術の組み合わせによるアイディア商品である。また若者の間で十分に普及しているウォークマンであるが、若者は常に感性が鋭く、最新の物に敏感に反応する。そういった若者の心を見事に掴むことに成功した商品であるばかりか世界中の音楽を聴くスタイルそのものを変えてしまった画期的商品である。その特徴は聴く場所を選ばない、つまりかつてのステレオセットのようにリスニングルームを固定することがない。またカーオーディオやラジカセよりも移動が自由である点がランドマーク商品として大きな意味を持つ。しかし携帯オーディオ機器は次の段階を迎え、携帯電話との融合が図られている。携帯にその機能が吸収され複合化商品の時代へと突入したのである。将来携帯オーディオ=携帯電話が当たり前の時代が来る日も近い。