著者
大町 淑子
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. 第2部 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.121-153, 1983-12-20

1.第4報について家庭内で家族が一緒に生活する実態を,NHK国民生活時間調査を資料として,第1,2報でみてきた。第4報は,昭和55年を昭和45と比較して,共通起床在宅率,同一生活行動を中心に検討した。共通起床在宅率は,40%以上の時間帯で,昭和55年の平日は1コマ(15分単位)減ったが,土曜日は2コマ,日曜日は19コマ増加している。労働時間の縮小,休日の増加による男子40代の生活時間の変化が大きくかかわっているとみられる。同一生活行動の率は,食事,くつろぎ,テレビを合わせた率であるが,20%以上の比率となる時間帯は昭和45年に比較して平日は同じ,土曜日,日曜日は,1コマずつの増加である。食事とテレビが主行動となり,夕食後はテレビのパターンは45年と変わらない。平日,日曜日の同一生活行動はやや減少ぎみで,家族の生活行動は一緒に過ごす型から徐々に個人型へ移っていくように思われる。2.反省と今後への課題第4報は仮説の立て方が十分ではなかったので,この研究方法では検証できたとは言えず,推論になっている。研究方法の巾をもっと拡げて違った面からもっとつめることも検討する必要がある。朝食,夕食については,一応第3報で実態調査から分析したが,テレビに関してもっと研究方法を転換,発展させることが望ましいと思う。
著者
大町 淑子
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. 第2部 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.153-185, 1980-12-20

1.昭和45年の共通起床在宅率平日,土曜日の朝は7.00〜7.15をピークに急上昇し,下降している。平日の日中は2〜5%程度で,小学生がマイナス要素となり,16.00以降は男子40代に変る。夜の18.00〜21.30が40%以上の共通起床在宅率で,最高は21.00の73%である。夜70%以上の時間帯は平日の半分の30分と少なく,就床が平日より遅いので,減少のカーブは緩やかになっている。日曜日の朝の40%以上の時間帯は平日より短い30分だが,昼に1時間あり,夜の最高が80%をこえることも,他の曜日と異っている。日中も25〜40%の範囲で,全般的に率が高い。また,共通起床在宅率の高い時間帯は,平日の朝・夕の2つの山に対し,日曜日は朝・昼・夕と3つの山になっている。2.昭和45年の同一生活行動の率平日,土曜日は,朝食,夕食とその後のテレビを主行動とする時間帯で同一生活行動の率が高い。昼食の率は高いが,起床在宅率を上回っており,家庭外でとる昼食が多いため,条件からはずれている。土曜日の夜は夕食後のテレビを主行動とする時間が4時間と,平日より30分長く,また高率である。日曜日は朝の同一生活行動が低く,昼食とその後のテレビ,夕食とその後のテレビを主行動とする時間帯で高い。夕食は平日より30分早く始まるが,低下していくのは同じ時刻である。3.昭和50年と昭和45年の起床在宅率の比較昭和50年は全体的にみると,起床が遅く,また遅寝になっているが,遅寝の傾向は中学生に著しい。小・中学生の平日の日中の率は低くなったが,夕方から夜にかけても低下している。日曜日の日中,男子40代の共通起床在宅率は大巾に上昇しており,労働時間の変化などの影響がみられる。女子30代の率も増加しているが,男子40代ほどではない。4.昭和50年と昭和45年の同一生活行動の比較(1)食事の率は起床が遅くなったため,朝食も遅くなっている。平日の夕食は17.00〜19.00に減少し,19.30〜20.30にやゝ増加するというように遅い方へズレている。日曜日の昼食は昭和50年に遅くなっているが,平行に下ったというより散らばる傾向にある。(2)くつろぎの率は比率が小さいので増減も小さいが,全体としてみると50年にはかなり増加している。男子40代の日曜日のくつろぎは減っているが,交際や余暇活動に回ったとも思われる。(3)テレビの率の全般的傾向は,小学注,男子40代が増加し,中学生,、女子30代が減ったといえるが,細かくみるといろいろな変化がある。4者の中テレビの率が最もはっきり低下したのは女子30代で,日曜日の減少が著しい。5.共通起床在宅率の変化概観すると平日・土曜日に大きい変化はないが,日曜日には40%以上の共通起床在宅率の時間帯が,5時間15分から11時間30分と,2倍以上に増加し,比率の高い時間帯も多くなっている。平日の最高は73%から77%へとやゝ上昇したが,時間帯は1つ減っている。土曜日は,同順位でも率が高く,朝は減ったがその分だけ夜がふえている。日曜日は最高の共通起床在宅率こそおちたが,時間帯が大巾に拡がり,社会的要因との関連がみられる。6.同一生活行動の変化同一生活行動は,共通起床在宅のような著しい変化はみられない。平日は,時間帯が遅い方へズレただけで,主行動が同じ割合になっている。土曜日の比率はやゝ低くなって,時間帯は広がっている。日曜日は,45年に3位だった昼食時の12.15が第1位になったが,他に目につく程の変化はみられない。7.まとめとして共通起床在宅率が40%をこえる時間帯が,日曜日に2倍以上の著しい増加を示し,また男子40代の日曜日の共通起床在宅率が上昇していることをみると,労働時間の短縮や週休日の増加など社会的要因の影響の大きいことが分かる。たゞ女子30代は,女子雇用者の増大や男子に比して労働時間が余り減少していないことも関っているのか,共通起床在宅率はそれ程上昇していない。小・中学生は時間帯によっては比率が低くなり,受験戦争の過熱や塾通いの影響が憂慮される。経済成長,収入増の時期,そして石油ショックを経験しながら,物やカネよりも人間を大切にする志向がようやく高まってきた。徐々に増加している家庭内の家族共通の時間の活用について,家族の触れあいを高め,団らんを深めるように工夫し,実践していきたいと考える。
著者
千坂 武志 Corvalan Diaz Jose
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. 第2部 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.37-61, 1979-12-20

1970年度の文部省の海外学術調査で「千葉大学南米アンデス山地の地質・古生物学的研究」が実施された。幸いにも私はこれに参加する機会が与えられ,チリ,アルゼンチンの両国に同年の10月から12月まで約3ケ月間出張した。私は主としてチリ国,南部のマドレデデオス島(聖母の島という意味)においてフズリナの化石を採集した。ここは米国のワシントン市にある国立博物館に勤務している、レイモンドCダグラス博士によってくわしく調べられている所であるが,筆者が研究したところ新しく3種類を発見した。しかもそのうち2種類は新種であることがわかった。本研究にあたってはカルロス ルイス フーレル博士をはじめチリ地質調査所の方々から研究に非常な便宜をはかって下された。本研究で層位学の方の研究は主として,ホセコルバランデアス博士がなされたフズリナの研究は主として千坂が担当した。ここから産するフズリナの地質時代は下部二畳系を示している。フズリナの形態的な特徴は個体数は多いが種類の数は少く,殻は細長く,隔壁がうすい。またやせ衰えたような形をしているので,生活環境は非常に悪かったと思う。その原因は寒い気候と関係があるのではないかと思う。
著者
松田 伯彦 松田 文子 宮野 祥雄
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.p29-40, 1978-12

教育工学的視点とその問題点を論じた。1.教育工学というのは, 教育目標を設定するとかいう, 教育的価値観のともなうものをその研究分野にふくまない。しかしこれまでの教育においては, つねに価値観をともなう教育論争が尊重されてきたし, 現在もそうである。2.教育工学的視点の根底には, 行動科学的人間観がある。この考えに立てば, 教授過程での教師と児童・生徒の行動と交互作用も充分に分析された後には, 予測と制御が可能であると考えられるが, これは「教育」を「芸術」とみなす多くの教育関係者には受け入れられない。3.このような行動科学的人間観に立った場合, 「なにが出来るようになったか, というオバートな行動の変化」が「学習」であって, 教授の目標は「学習者の行動」すなわち目標行動の形であらわす必要がある。しかし「学習」をオバートな行動のレベルでだけで考えでよいであろうか。4.教育工学においては, 人, もの, 金, 情報をうまく組み合わせて, 教育効果を上げようとするのだが, このように, 人はものや金とならぶ一要因でしかない。教師対児童, 児童対児童の真剣な格闘の中から新鮮な授業が創造される, とするような「人」に非常に重点をおいて考える人達からは, この点から教育工学は拒絶される。5.教育のシステム化というとき, そのシステムの優劣は効率性によってきまる。産業界においては異議のない「効率性」という概念ではあるが, 教育において, 「効率性」を追い求めることが正しいことかどうか, かならずしも自明の理ではない。6.教育工学は潜在的に教育の個別化を指向しているが, 教育の個別化は, ただちに教育における差別や選別として批判されがちであり,
著者
藤井 俊夫
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.p115-128, 1981-12
著者
藤井 俊夫
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.p131-151, 1983-12
著者
佐々木 良江 仁平 昇 坂野 雄二
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.p13-21, 1982-12

本研究は, フィードバックが完全になされている状況における, 自己強化(SR)手続き顕在化の動機づけ効果を, 発達段階や達成動機の側面から検討することを目的として行われた。2×2×2の実験計画が用いられた。第1の要因は, 学年(2年・6年)であり, 第2の要因は達成動機である。予め実施された達成動機の調査から得点の高低により, それの高い群と低い群が設けられた。第3の要因はSR手続きである。すなわち, 自ら遂行量を記入し, それに対してよくできたと思ったら○を, あまりよくできなかったと思ったら×をつけるというSR手続きをする自己強化群(SR群)と, 遂行量のみを記入しSR手続きをとらないフィードバック群(FB群)から構成された。課題はWISC知能検査の符号問課(8歳以上用)が用いられた。主な結果は次の通りである。(a)2年生・6年生ともに, 達成動機の高低はSRの動機づけ効果に影響を及ぼさない。(b)2年生ではSR手続きを顕在化させた方がフィードバックのみよりも動機づけの効果は大きいが, 6年生では逆の関係になっている。(c)SR群において, 2年生・6年生ともに, 達成動機の高い群では負のSRの方が動機づけ効果が大きいが, 低い群では, 2年生児童において正のSRの方が動機づけ効果が大きいという傾向がみられた。(d)SR群における, 正か負のSRの決定に関して, 2年生の達成動機の高い群以外は, 正のSR前の方が負のSR前よりも遂行量の上昇量が多く, その傾向は6年生の方がより安定している傾向にある。しかし, (c), (d)においては被験者数が少なく, 有意な差は得られなかった。以上のことから, 6年生ではSR手続きを顕在化しなくても, covertなSR, つまり内潜的自己強化が行われていることを示唆している。しかし, これは
著者
佐々木 充
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.p207-223, 1984-12
著者
高田 峰雄 斉藤 嘉昭
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. 第2部 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.103-109, 1980-12-20

1.中学校技術科の栽培学習に利用できるような養液栽培装置を試作し,それを使用して実際に何種類かの作物を種々の培地条件のもとで栽培した。2.装置はおおむね満足できる状態ではたらき,各作物も一応の生育をとげた。3.使用した培地ではバーミキュライトと赤玉土がよく,れき・グラスウール,くん炭では生育が劣った。4.試作した装置は,(i)生徒一人一人に別々の一区画の培地を与えることができる。(ii)培地条件に変化を持たせることができる。(iii)調査に際して手軽に教室に持ち込むことができる。などの長所を有している。5.しかし,(i)教材として最適作物の検討が必要である。(ii)培養液の濃度,循環回数,循環時間,などについて検討する必要がある。(iii)の培地条件についてもさらに検討を要する。等々,これから検討すべき課題も多く残った。
著者
磯崎 育男
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. 第1部 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.163-196, 1994-02-28

前章でみたように,主要国の行動,ポジションは,ラウンドの経過とともに,歩み寄りの方向で若干の変化がみられるが,いくつかの点で大きな隔たりもみられる。具体的には,(1)農業の国境調整措置,(2)輸出補助金,(3)国内支持,(4)交渉方法,(5)ガット・ルール問題,(6)動・植物の検疫制度において,それらのリンケージをからめ,濃淡を含めた対立がみられるが,ここでは特に前三者に関し個別に対立点等を整理してみよう。第一に,農業の国境調整措置では,アメリカが関税化を,ECが関税化を認めつつも,国境調整を存続させるリバランシングを提案している。ケアンズ・グループは,カナダがガット11条2項Cの存続を主張し,戦線を離れたものの,アメリカ案に近い提案となっている。一方,日本は,輸入数量制限を行っている品目についてアクセスを考慮しつつも,食糧安全保障論に基づき,例外措置を認めさせようとしている。次いで,輸入補助金に関しては,アメリカが相当程度の削減(10年間で90%以上)を農業保護の廃止を条件に主張しているのに対し,EC,日本とも漸進的削減,ケアンズ・グループは最終的に撤廃を含め一定期間内の削減をうたっている。第三の国内支持については,アメリカが最も貿易歪曲的な政策については10年間で75%以上,その他の貿易歪曲的な政策は30%以上の削減であり,EC及び日本は,わずかな削減(ECは支持総体の削減を考慮),ケアンズ・グループは,カナダの異論はあるもののアメリカ案に近い。ところで,ラウンドの中途で出されたドゼウ案,ヘルストローム案,ドンケル案が,どの提案に近いかを考察すると,全体として,さまざまな案の妥協の産物であるが,アメリカ案に近いことがわかる。国際貿易テクノクラート達の自由主義志向の強さが反映しているといってよい。この他に,北欧米,スイス案,オーストリア案も出されたが,ヨーロッパ経済地域(EEA)で,1991年からEFTAとECとの結合が図られてきており,EC寄りヘスタンスを変えてきている。韓国案は,非常に日本案に近いものとなっている。以上,ウルグアイ・ラウンドの農業交渉の構図を概観したが,このゲームは「過剰農産物の負担を誰に,どのようにおしつけるかという"ババ抜き"ゲーム」(佐伯)であるとともに,世界的視野を失った国益中心の交渉であると概括できよう。
著者
倉田 達
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.91-104, 1966-07-09

(1)全体として頻度の高い動詞はsing, tell, live, say,……を中心とした場合である。年代的には19世紀20世紀初期にかけて盛んに使用されたと云い得る。従って1930年前後から使用頻度は総体的に下降の傾向を示している。但しlive-lifeは20世紀に入ってから前世紀以上に良く使用され1930年以後の用例も多く,tell-taleは19世紀に良く使用されたが20世紀に入ってその用法はtell-storyに取って代られている。(2)同属目的語の前に形容詞を伴う場合形容詞と名詞との間には慣用性は見られない。(3)double object構文に用いられるcognate objectはsing-song, tell-storyの結合であるがこれらは動詞の性質に由来するものであろうし,又受身構文に用いられる結合にfight-battle, live-life, run-race, tell-tale等があるが此等両構文に用いられるcocrnate objectの種類は全体の極一部に限られていて頻度も低い。同属目的語を含む受動態構文に関しては次の如く三大別できる。i) fight-battle, run-raceの如く能動,受動両方に使用されるのもあるが,能動態構文に比し極めて低い頻度で受動態に使用されるlive-lifeの如きもの,ii) sing-song, say-wordを中心とするものは能動構文に多く使用されているが受動構文はない。又dream-dream其の他の如く能動構文の使用頻度の低いものはbreathe, dance etc.を中心とした場合の如く受身構文はない。iii) fight-fightは受動態構文のみで能動構文はない。以上の如く同属目的語を含む能動構文は受動構文を必ずしも形成できると限らないし又その逆も云い得る。(4)O. E. D.の定義或はH. Sweetの云うようにcoernate objectを取る動詞は'intransitive'である云いO. E. D.はdie-deathを示している。同様にlive-life, run-race, dream-dream, dance-dance……が同じ範疇に入る。同じintransitiveでも目的語を取る点で普通のSVと異なり,VとOの関係が意味上kindredという点で普通のSVOと異る。従ってSVとSVOとの中間的存在であるが構造はActor-Action-Goalと説明される。一部の結合であるが(3)の如くdouble objectや受身構文に用いられた場合は機能上からのみ見た場合は普通のtransitiveの動詞と異らない。唯普通のSVOOと異なるのは動詞と直接目的語とが意味上kindredであるという点だけである。(5)19世紀より20世紀初期にかけてcognate objectが盛んに使用された理由として,(i)市河博士の指摘するようにsing-song, tell-tale, live-life, dream-dream, breathe-breath, run-race, dance-danceの如くalliterationを踏むものが多いこと。又dream-dream, dance-dance等動詞と目的語とが完全反覆をする場合が或る程度多いことによるであろう。(ii) sing-song, tell-tale, dream-dream, dance-dance等,動詞と同属目的語がrhyme word となっているのも見逃せない。(iii)英語における名詞構文好みの傾向も理由の一つであろう。(iv)I型とII型との使用頻度を比較するとsing-song 6 : 15, tell-tale 4 : 4, tell-story 12 : 10, live-life 2 : 23, sav-word 9 : 6, fight-battle 1 : 4, dream-dream 1 : 5 ……となっていてJespersenの云うようにdream-dreamの場合及び同じ範疇に入ると思われるfight-battle, live-lifeに関してはI型は少いので'extremely rare'という表現はそのまま当るのであるが,tell-story, say-wordの結合の場合はI型の方が頻度は高い(tell-taleはI型とII型同じ)。此等3種のI型がII型と頻度が同一かそれ以上の同属目的語の場合には特に次の理由が考えられる。即ち同属目的語の前に不定冠詞や定冠詞が来た場合cognate objectをとる動詞も目的語も単音節語の場合が多いので----型の文章上rhythmicalなことも理由の一つであろう。此のrhythmicalなことはII型の場合も同様と考えられる。次にcognate objectの良く使用された文をC. Bronteから引用しておく。"Mr. Rochester, if ever I did a good deed in my life - if ever I thought a good thought - if ever I prayed a sincere and blameless prayer - if ever I wished a righteous wish, I am rewarded now. - C. Bronte, Jane Eyre (6)細江博士はcognate objectとadverbial accusativeは時に区別し難き場合のあることを述べているがその場合のcosrnate objectは類例と考えられるIII, IV及び,V型,VI型を指しているのであろう。以上usageを中心としてcognate objectを論じたのであるがusageや結語論の外に文体論・意味論よりの考察が行なわれなければならないがそれらは稿を改めることとする。
著者
城丸 章夫
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. 第1部 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.113-122, 1974-12
著者
井上 健治
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.1-10, 1971-07-31

児童の学級集団に対する意識をとらえ,量化するために,日常の学級での生活場面を材料とした学級意識尺度を作成した。学級意識は日常の学級集団における生活の中で形成され,それがまた児童の学級での行動を規定するものと考えられる。他方,成員の学級意識の総体は,学級の集団個性の一つの指標となることが期待される。項目分析,因子分析を経て35項目(それぞれ4肢選択=4段階評定)が選ばれた。さらに再び因子分析を施した結果,学級意識を構成する主要な5因子を抽出した。それらは,1.学級評価因子,2.学級における行動の自由度因子,3.学級への親密感因子,4.学級活動への参加度因子,5.学級内での安定感因子と解釈,命名された。そして,それぞれの因子負荷量の高い7項目をもってその領域を構成する項目とする。なお,それらの総合として学級意識得点が算出される。尺度の信頼性係数は.865であり,領域の信頼性も.741から.820に及び,かなり高い値と考えられる。つぎに,学級意識尺度の発達差,性差,学級差について検討した。性差としては,やや女子の得点が高く,ことに学級参加度は有意である。また,男子の個人差が大きい。発達差は単純な学年差としてはとらえ難く,むしろ学級差が著しく大である。これは成員個人のパーソナリティ要因よりは学級の集団個性の反映であり,ことに担任教師の集団に対する指導の如何が影響力をもつものと考えられる。