1 0 0 0 OA 『三四郎』論

著者
佐々木 充
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. 第1部 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.69-79, 1980-12-20
著者
中澤 潤 八木 龍浩 小野 美紀 中澤 小百合 菅 治子
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. 第1部 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.213-227, 1987-02-26
被引用文献数
1

幼児期の「話しことば」及びそれに関わる要因の発達過程を458名の幼稚園児を対象に分析した。「話しことば」に関わる基礎的要因として,語い,性格,交友関係,知識・表現をとりあげた。年齢に伴い,語い年齢,知識・表現は当然のことながら上昇した。保育年数が増加するにつれ,孤立児は減少し,また知識・表現も上昇した。性差は性格にみられ,男児は女児より「活動性大」「反抗的」で,女児は男児より「あたたか」であった。「話しことば」の行動評定の結果は,年齢にともなってほとんどの項目で評定段階が上昇すること,また,一部の項目で男女差,保育年数による差のあることを示した。「話しことば」の行動評定を因子分析したところ,5歳児では「遊びの中のことば」「意志・意見の表明」「教師への話しかけ」「しつけられることば」の4因子,4歳児では「遊びの中のことば」「教師への話しかけ」「しつけられることば」の3因子,3歳児では「子ども同士の会話」「教師への働きかけ」の2因子が抽出され,発達に伴い「話しことば」は分化していった。5歳児で抽出された4因子に基づいて因子得点を算出した。「意志・意見の表明」以外の3因子で5歳は4歳より高く,「遊びの中のことば」「しつけられることば」は保育年数が多い程高かった。「意志・意見の表明」は性格検査の「反抗的」と負相関,「教師への話しかけ」が「あたたかさ」と正相関を示した。さらに社会的地位指数と「遊びの中でのことば」は正相関,「意志・意見の表明」と負相関であった。これらの大まかな発達傾向について日常の保育との連携の中で,さらに詳細に検討を行う。
著者
今村 浩明 宮内 孝知 武笠 康雄
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. 第2部 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.37-56, 1982-12-20

行為体系理論の立場から設定された4種の価値,スポーツ体系構成要因間の投入産出の相互交換,及びR.ベネディクトの文化型にみられる日本的特性を手掛りにした調査の結果,わが国競技者(陸上競技,野球,剣道)の価値意識について次の事実が明らかになった。1.全体的な傾向についてみれば,スポーツ,チーム,試合,練習に関する価値については業績価値,献身価値が多く選ばれた。これは競技スポーツの特性とよく合致している。指導者の資質,年長者-年少者の関係についてみれば,献身価値,和合価値等の個別主義的価値への志向が多くみられたが,これはベラーの指摘する日本文化の伝統的特性と対応するものである。2.世代間の差についてみれば,スポーツ,チームに関してはOB,現役とも業績価値,献身価値という成就本位の価値に志向する者が多いが,OBは現役よりも和合価値を,現役はOBよりも充足価値を選ぶ者が多い。集団を構成する人間関係についてみれば,年長者-年少者という先天的属性のみにかかわる上下関係では双方とも和合価値を志向し,指導者-競技者という機能的上下関係に関してはOBは現役よりも厳しい献身価値を,現役はOBよりも暖かい和合価値や,自由な充足価値をより多く志向する。これはOB,現役が競技者としておかれた社会的文化的背景の差,また監督経験の有無の差によるものであろう。3.種目間の差についてみれば,陸上競技は合理的な業績価値を,野球はスポーツに対しては和合価値を,チームや連帯,指導者に関しては克服価値を他種目より多く選ぶ。これは個人の記録の客観比較である陸上競技と,監督による統制の強いチーム競技である野球との間のスポーツ文化としての特質の差によるものであろう。剣道は人間関係に関する項目では和合価値を選ぷ者が他の2種目より多いが,この点に限ってみれば個別主義性質本位という日本文化の特徴の一つと対応する。しかし,これ以外の項問では,和合価値以外の諸価値へと志向が分散しており,結果として価値の4類型間のバランスが最もよくとれたものとなっている。これに関しては,伝統的価値への反作用,抽象化と昇華による価値意識の意味拡大などの解釈が可能であろうが,これは今後の課題である。4.各種目の価値意識を世代間で比較すると,陸上競技が最もOB,現役間の差が少ない。これは陸上競技それ自体の客観的,合理的性格から,競技の型や競技のおかれる状況が世代をこえて比較的安定していることによるものであろう。野球では価値意識の世代間の差は,他の2種目と比較して最も大きい。これは野球の現代社会での急速な普及と,それにともなう大衆化,世俗化によるという解釈が可能であろう。剣道にもOBと現役間に若干の差がみられ,特に目立つのはチームの目標決定について,全員の希望の最大充足のために全員で決定することを(充足価値)を現役の大多数が望ましいとしていることである。5.スポーツ体系の構成要因である練習,試合,連帯,楽しさ間の投入産出の相互交換についてみれば,全体では練習-試合間の相互交換量が多く,練習と試合への他の要件からの投入が多かった。これは競技スポーツの特性からみて当然のことであろう。世代間の比較においては,OBでは連帯と練習への投入量が現役より多く,現役では試合と楽しさへの投入量がOBより多かった。これは連帯と練習の揚でのOBの「自己統制」と,試合やインフォーマルな楽しみの場での現役の「自己解放」「自己表現」という態度の差として理解できよう。種目別にみると,陸上競技は他の2種目に比較して試合と練習,特に練習への他要件からの投入量の比率が高く,連帯の比率が低い,また野球は他種目と比較して連帯の比率が高く,楽しさの比率が小さい。これは個人の運動能力の客観比較という陸上競技と,チームスポーツである野球との特質の差をよく表わしている。剣道は他の2種目と比較して,試合の比率が小さく,楽しさの比率が大きいということ,またそのことによって,4要件間の比率のバランスが最もよいものとなっている。これは先にみた4種の価値への志向のバランスのよさと対応している。以上の作業を通してスポーツに関する価値意識の分布様態と,スポーツ体系における投入産出のパタンとの間に蓋然的な対応関係があることが明らかになった。6.競技者の価値意識にみられる日本的特性を明らかにするため,ベネディクトの日本文化の型の特性をスポーツ場面に援用し調査したところ,OBが現役よりも多くの日本的価値意識をもつことが明らかとなった。種目別では陸上競技が最も日本的な型から遠く,剣道が最も日本的な価値意識の型に近いことが明らかとなった。この分析を通して,マクロな普遍文化とその下位体系としての特殊文化,任意文化であるスポーツとの対応関係,及びスポーツの場における文化,集団,個人の意識の3者を総合的に理解するための一つの手掛りを得ることができた。
著者
田畑 治
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.21-32, 1971-07-31

異なる種々の治療体系からみた心理治療関係の共通点と相違点を,比較検討することを目的として,9つの治療体系(精神分析,来談者中心療法,役割療法,支持的療法,学習理論的療法,実存分析・ロゴテラピー,森田療法,内観法,催眠療法)をとりあげた。その結果,それら9つの治療体系における治療の目標・理想的人格像,セラピストの任務,クライエントの任務,心理治療関係そのもの,さらにクライエントの型,の5点について,それぞれの特徴をみい出し,心理療法と心理治療関係の今日的意義を考察した。
著者
千坂 武志 山崎 良雄
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. 第2部 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.161-184, 1973-08-31

房総南部には鴨川地溝帯,北条地溝帯(館山と千倉間)など断層による凹地形が発達している。館山市,加賀名部落付近は三方が断層によって囲まれた盆地状の地形をなしている,地上調査とともに電気探査法によって地質構造と地下水の賦存状態を研究した結果について報告する。1.地層の分布と地質構造 西岬累層(中新世)-主にシルトからなり本地域の周辺に分布し,丘陵地をなしている。背斜軸は北西から南東の方向にはしっている。鏡ヶ浦層(鮮新世)-おもに凝灰質粗粒砂岩からなり,平野部に分布している。一般的な走向,傾斜はNW-SE,20〜30°NEの単斜構造をなしている。地層の垂直の厚さは北部および東部で50m以上になっている。沖積層-おもに中粒から粗粒の未固結の砂からなり,平野部に広がっている。平野部を流れる2本の河の周辺で数メートル以上の厚さになっている。2.比抵抗値からみた各層の特徴 西岬累層-30(Ω-m)以下の非常に低い値でシルト質の岩相を示している。鏡ヶ浦層-30から185(Ω-m)で,本地域の鐘ヶ浦層の分布している地域の西端で低い値を示す。沖積層-16〜500(Ω-m)で,平野部の中央及び海岸地域で比較的高い値を示す。3.地下水の賦存状態 西岬累層-主に固結したシルトから成る不透水層で,本地域での水理地質学的基盤岩となっている。鏡ヶ浦層-主にやや固結した凝灰質粗粒砂岩から成る透水層で,採水可能の水を多くもっている。本地域内の深井戸はこの水を利用している。平野部の北及び東側でより多く採水できる可能性が大きい。沖積層-主に未固結の砂からなる透水層で自由地下水を含む。本地域内の浅井戸はほとんどこの水を利用している。平野部を流れる2本の川の周辺に多く自由地下水が含まれる可能性が大きい。
著者
本田 陽子
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. 第2部 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.29-32, 1977-12-20

千葉県長生郡東浪見町産のBlasia pussila L.ウスバゼニゴケを用いて,集積培養ののち,Silica平板培養により,内在藍藻を純粋培養にみちびいた。得られた藍藻は,種々の観察の結果,葉耳腔内に生育するNostoc sphaericum Vauchi.と同定した。しかし,どのような経過を経て,葉状体中に浸入したか,更に本種とBlasia pusilla L.との関係にっいては更に研究を続行している。
著者
高田 峰雄 中村 宏 細川 雅章
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. 第2部 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.221-230, 1994-02-28
被引用文献数
3

ノンクライマクテリック型果実の柑橘果実と,カキ型果実のカキ果実を切断して,その後のwoundエチレン生成量の変化をヘッドスペース法によって経時的に調べた。柑橘果実については,収穫適期に採取された7種類の市販の果実(早生温州ミカン,中生温州ミカン,晩生温州ミカン,レモン,バレンシアオレンジ,ユズ,甘夏ミカン)を使用し,果実の中央部を果軸と直角に横に切断した後,1時間毎にエチレン生成量を測定した。その結果,すべての果実で切断後数時間のラグタイムの後エチレン生成が始まり,甘夏ミカンを除くすべての果実でピークに達した後減少した。ピークは切断後約20〜30時間の間に出現した。ピーク値は約5〜20μl/kg・hの範囲で,果実の種類によってまちまちであった。収穫適期に採取したカキ(富有)果実を中央部で縦に切断した場合,woundエチレン生成量のピークは切断18時間後に現われ,ピーク値は約5μl/kg・hであった。カキ(富有)果実については,生育ステージ及び切断方法の違いとwoundエチレン生成との関係についても調べた。生育ステージの異なるカキ果実の場合,ステージIとステージIIの果実では切断5〜6時間後にピークが出現した。ピーク値は縦切り果では両ステージの果実とも約10μl/kg・hと等しかったが,横切り果ではステージI中期の果実で約13μl/kg・hと高く,ステージの進行とともに低下し,ステージIIの果実では約7μl/kg・hと半減した。切断方法の違い(縦切りと横切り)とwoundエチレン生成量との関係では,ステージI中期の果実の場合横切り果の方が縦切り果よりもピーク値がかなり高かったが,ステージI後期になると両者は等しくなり,ステージIIでは逆に横切り果の方がかなり低くなった。ステージIIIの果実の場合,切断10時間後まででは,縦切り果のエチレン生成量の方が横切り果のそれよりも大きかった。またその差はステージが進むと拡大した。
著者
貫井 正納
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. 第2部 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.39-48, 1987-02-26
著者
森 桂一
出版者
千葉大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.89-99, 1958

1 Characteristics of adolescence 思春期の特色 われわれが思春期とよぶ子供から成人への移行期は,批判的な時期であると同時に情緒的緊張の時でもあることを忘れてはならない。従って新鮮で生き生きとした創造的表現に導くのにむしろ好適の時期であることを考えねばならない。若いものたちが自分自身の潜在力や周囲の世界というものに気づく始めての時であり,それに対して彼等は青年独特の熱情をこめて反応を示し始めるのである。2 The First duty of education of adolescents 思春期教育の第一任務充分な精神的成熟というものは必ずしも生理的成長に伴わない。しばしばこの時期の複雑な問題の故に人間の身体だけが成長し心は未熟といぅことにもなりがちである。だから教育者の最初のつとめは彼等の生得的な創造能力を逃さないよう均衡のとれた思春期たらしむべく助力を送ることである,この心やりはacademicな適合,技術的訓練に先行すべきものである。3 The Full scope of art in education 教育に於ける芸術の広領域,芸術といぅものは人生経験の諸反応を形に現わすことだと理解された。又すべての個人の精神的肉体的潜在力の具現,成就の可能性を暗示するものである。従ってすべての芸術,音楽,劇,物真似等も絵画,彫刻,建築等と同様に考慮の中に入れるべきである。これについては多数の支持者があって次期総会のテーマに, artからartsへの問題としてとりあげられることになった。4 The Furtherance of moral education by art 芸術による道徳教育の助長,道徳的,倫理的教育は円満な人格発展の中核であることに間違いない。勿論芸術それ自身が道徳を創造するわけでぱない。然し少くとも人生に対してこれから遠ざけたり,又これを破壊したりするものではなく,芸術による教育は道徳の構成的要因を数多用意しているものであることは事実である。本来芸術的達成には心と身体の同時的訓練が要請されている。従て表現の可能性の為道具や材料の統御ということも必要になってくる。尚芸術は社会の道徳的思想を人間の心の中へ伝達したり保持したりするに有効な手段であることも銘記しなければならない。5 The practical element in art appreciation 芸術鑑賞の実利的要素,人類的教養の立場からも,個人の住む特別社会の立場からも鑑賞指導は教育に磨きをかける意味で基本的要素である。かって〓々我々は諸種の芸術を組合せる形でこの目的達成を実証して来た。諸種の芸術を組織的に結合して刺戟暗示を与えるのにも思春期は最適の時機であろう。然し純粋な理論的指導では鑑賞の目的はとげられない。充全な鑑賞に先立って材料や道具に関する初歩的な理解をさせたり又制作意慾に捲込むことも大切である。創造的活動によって青少年が一つのものをしあげたという達成感,満足感は他の抽象的指導では到底望み得ないことであろう。6 Art as a corrective to the lack of balance in contemporary education 同時代の教育の均衡欠如を是正する為の美術,ある傾向として特に目立つ西欧教育の中で一方純粋知識の達成を目指すものや,又一方技術訓練の熟達に傾くものがあるが,普通教育としての均衡を正しく保つためにも芸術の必要を強調せねばならぬ。芸術を通しての教育という概念は教育に全体として働くカリキュラムの統一完化という解釈に於て成立する。7 The unifying function of art in education 芸術教育の統一的機能芸術は従来の盛沢山のカリキュラムと張合って別な分科と解するのでなく,思春期教育に対して他と同格の基礎的要素であると解すべきである。芸術部門の中でも他の色々な学習と同じ創造過程へ,融合させてゆくのが本来ですべて只指導上の便宜でそれらが分けられていると解したい。8 The place of art in the curriculum 教科中芸術の位置 青少年の教育でアートの重要な理由として学校時代全体を通じてこれがカリキュラムや,学校の空間,建物又その育てる人々の内で最も好適な時機に与えられるということが根本問題である。尚この分野の才能が深く身についていなければならぬという認識をもたせなければならない。すべての生徒は更に芸術的諸学習が効果的に受けられるよう,設備材料等その選択範囲を広く用意されなければならない。9 Conclusion 総括 美術は一般教育に於て青少年の成熟助成の為最も効果的な手段である。