著者
松永 敦夫 石川 浩
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.265-270, 2014-07-01

今日,主要国特許庁から特許公報の全文がデータベースとして提供されている。このデータベースを自らサーチし,また必要に応じ審査経過情報にもアクセスして,誰もが関連する特許情報を取得することが可能になっている。特許情報の科学技術情報としての利用促進は,特許制度の要である。しかしながら,特許明細書は,出願人が特定の意図をもって技術情報を開示するものであり,また,玉石混交であることから,その利用には注意を要する。特許情報の利用者は,特許制度を良く知り,また技術分野毎の戦略のパターンを知って,特許情報を評価することが重要である。小論では医薬品に関する特許情報の評価や利用例を中心に紹介する。
著者
福島 幸宏
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.515-518, 2015

歴史資料のデジタル化とオープンデータ化について,いくつかの事例を想定しつつも,その課題を抽出して広く援用できるように論じる。まず,その対象をなるべく広げることを主眼に,歴史資料とは何かについて論じる。次に,デジタル化の一連の作業段階に応じて留意すべき点を述べる。すなわち,対象資料決定の段階,資料の整理・メタデータ付与の段階,実際のデジタルデータ作成の段階,公開の段階である。
著者
都築 涼香 大森 照夫 山本 光三 岡 紀子 杉山 典正 出口 哲也 仲 美津子 松原 智子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.130-134, 2017-03-01 (Released:2017-03-01)

本研究は,新市場参入を検討している営業部隊のための効果的な情報分析に関するものである。下町ロボットと名付けられた仮想の会社は高感度加速度センサーを製造販売しており,これを武器に成長が期待される介護・支援ロボット市場へ参入するケースを想定した。加速度センサーの販売先として可能性が高い企業6社を選定し,具体的な営業活動をイメージしながら必要な情報を収集・分析した。本稿では,従前の情報分析の提供先としてあまり馴染みのなかった営業部隊に着目し,営業部隊の営業戦略支援のための具体的な情報提供手法について報告する。
著者
小林 由佳
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.123-127, 2017-03-01 (Released:2017-03-01)

働く人のメンタルヘルスケアにおいて,これまで事業所の取組みは徐々に広がっているものの,不調を呈した一部の人に向けた取り組みのみでは全体の悪化に歯止めをかけることは難しいことが実態からも示されてきた。不調者対応に加えて,今後は組織全体の健康度を向上させることによって,働く人の働きがい,幸福,生産性,不調者の減少につなげていくポジティブメンタルヘルスの観点が重要となる。組織全体の健康度を向上させるためには組織の心理社会的資源を個人と組織の両面から高めることが必要であり,この取り組みを通して多様な人材(立場,性別,年代,健康状態など)が受け入れあえる状態を目指していくことが望まれる。
著者
中島 幸子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.470-474, 2013-11-01

国立国会図書館(以下,NDL)では2012年8月〜9月に,科学技術分野の学協会を対象に,学会誌・論文誌,会議資料の刊行及びNDLへの納本状況について調査するため,アンケートを実施した。その回答から,学協会出版物は従来の冊子体での発行のほかに,CD-ROM,オンライン提供等,多様な形態で発行されていることが判明した。また,会議録の納本状況が良くないことがわかり,会議資料の収集強化に向けて,納本制度の広報等を一層進めていく必要性を認識した。さらに,NDLでは2013年7月からオンライン資料の収集を開始したが,当面の納入義務対象に含まれない学会誌・論文誌と会議資料が多いことも判明した。
著者
栗山 正光
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.461-466, 2004-09-01
被引用文献数
2

OAIS参照モデルは,デジタル情報の長期保存システム構築に関する有力な指針であり,国際標準規格ともなっている。本稿では,保存のためのメタデータに焦点を絞り,0AIS参照モデルに示された情報パッケージの概念と,それに基づいて行われているメタデータの枠組み規定の実際について論じる。OAIS参照モデルは,デジタル情報の保存活動を行っている諸機関で広く認知されているものの,それぞれが規定する実際の保存メタデータの枠組みは,0AISの情報パッケージの構成とはかなり異なった形でなされているのが実状である。個々のニーズと相互運用性・再利用性とのバランスが今後の課題となる。
著者
高原 良文
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.621-628, 2008-12-01

丸善は,1960年代から70年代における学術情報流通の大きな転換期にあって,外国雑誌や洋書など印刷媒体の進化を伴う学術情報流通の多様化と市場環境の変化に対応すべく,1970年代中頃に情報産業への進出を図る。ロッキード社との提携に向けられた丸善の積極策が奏功し,1977年わが国に世界最大規模のオンライン情報検索システムDIALOGを導入する。本稿では,DIALOG導入に至った経緯,DIALOG日本センターとしてのMASISセンターの役割,情報検索サービスの普及活動,MARUNETの構築と通信回線事情,データベース作成機関との連携強化など30年前のオンライン草創期から1980年代の発展期を振り返る。
著者
林 和弘 太田 暉人 小川 桂一郎
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.188-192, 2006-04-01
被引用文献数
1

日本化学会は1989年から英文論文誌の電子化に着手し,試行錯誤の末,J-STAGEを効果的に利用した日本独自の電子ジャーナルを構築した。その結果,読者数の増大と,投稿数の増大につながり,出版期間の短縮と事業収支の改善にも成功した。この結果を踏まえて,2005年より電子ジャーナルの有料化を開始し,一定のアクセスを確保しながら電子ジャーナルの購読管理体制を整えることができた。本稿では,日本化学会電子ジャーナル事業の現状と,オープンアクセスへの対応,さらに,より良質のジャーナルを目指して行っている取り組みを紹介し,日本の学会系英文誌出版の課題について考察する。
著者
鈴木 哲也
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.8-13, 2017-01-01 (Released:2017-01-01)

ICTが高い利便性を持つことは疑いない。しかし,学術サーキュレーションの電子化が,教育・研究に負の効果をもたらすという研究もあるように,必ずしも,ICTは,光明ばかりを与えてくれないことを,我々は意識すべきである。その上で,電子化の限界や問題点をどう補完するか,どんな性格のものであればICTが効果を発揮するのかという問題意識のもとに,研究内容や成果発表の目的に応じてメディアを仕分け,コスト/効果,採算性も見極めつつ,学術成果公開にICTを導入すべきである。本稿では,京都大学学術出版会におけるリッチコンテンツ型電子書籍の実験的取り組み,特にiPadアプリ型電子書籍『わくわく理学』の経験をもとに,学術書籍の電子化の持つ問題点と当面の課題について,具体的に考える。
著者
屋ヶ田 和彦
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.612-614, 2016-12-01 (Released:2016-12-01)

これまでの経験と,情報科学技術協会の3i研究会での活動,それを活かした社内での取り組みを紹介し,私の仕事に対する思いや姿勢について述べた。私は,様々な仕事や所属部署に就く事ができ,様々な業種の多様な人材が集まって創造する事の楽しさ,難しさを数多く経験させてもらってきた。できるだけ幅広い分野の人と出会い,コミュニケーションを取りながら,互いに考え話しあう事で,新しい考えが浮かびイノベーションへと結びついて行くのだと思う。そしてこれまでの体験を活かして,「この人の調査なら」と顧客に信頼されるような,調査の専門家:インフォプロを目指したいと考えている。
著者
田島 定尚
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.608-611, 2016-12-01 (Released:2016-12-01)

日本マイクロソフトでは,働き方改革のリーディングカンパニーを標榜し,グローバルなインフラを活用しつつ日本独自の制度整備も進め,マイクロソフトのOffice 365を始めとしたICTを効果的に活用することで「フレキシブルワークスタイル」を全社で実践している。またテレワーク週間を主催し,賛同企業と共に社会全体の働き方改革に取り組んでいる。これらの事例の紹介を通じて,今働き方改革が必要とされる背景や,推進するためにどのような取り組みが必要と考えられるのか,また働き方改革が企業経営にもたらす効果とその検証結果などについて解説する。
著者
新保 史生
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.11, pp.560-565, 2016-11-01 (Released:2016-11-01)

個人情報保護法及び行政機関等個人情報保護法が10年ぶりに改正された。法改正の影響は,すべての図書館に及ぶわけではないため,各図書館は改正による影響を受けるか否か確認が必要である。改正に伴い図書館が対応な必要な事項がある一方で,要配慮個人情報の取得制限が新たに定められたものの,当該情報に関係する個人情報関係資料を除籍対象資料に含める必要がないことはもとより,除籍基準の改定なども不要である。改正法の解釈により図書館における新たな過剰反応が生じないよう,改正個人情報保護法対応にあたっての要配慮事項について解説する。