著者
石川 徳幸
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.9, pp.434-439, 2018-09-01 (Released:2018-09-01)

情報通信技術の発達にともない,人びとの情報接触行動も次第に変化し,紙媒体を基軸とした新聞産業は明らかな衰退期に入っている。そのため,現在の新聞業界はビジネスモデルの転換を迫られているが,そうした議論の中で常に取り上げられるのが電子新聞をはじめとするデジタル化の問題である。本稿の目的は,新聞がこれまでに取り組んできたデジタルサービスの歴史的過程を概観するとともに,そうした中で変化してきた新聞のメディアとしての特性について検討することにある。さらに,現在の新聞を取り巻く環境を概観することによって,問題の本質を掴み,向かうべき方向性を示唆することを企図している。
著者
坂元 徹
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.343-347, 2018-07-01 (Released:2018-07-01)

知的財産を取り巻く環境は劇的に変化しており,膨大な特許情報をグローバル視点で迅速かつ的確に概要・要点を分析することが求められている。このような状況の下,多くのAI技術を活用した特許調査・解析ツールが開発されており,「Xlpat」もその1つである。本稿では「Xlpat」の基本的機能や使用例について簡単に報告する。
著者
野崎 篤志
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.316-325, 2018-07-01 (Released:2018-07-01)

新聞・雑誌やニュース等で人工知能というキーワードをほぼ毎日見かけるようになってから久しい。2015年以降各種ベンダーからリリースされたAI搭載型特許調査・分析ツールの限界を知る上でも,AIの基礎知識について知ることは重要である。本稿では本特集号の各論を理解するための基礎として,AI・ディープラーニングの概要と各種統計データから見る第3次AIブームの振り返り,最近のAI搭載型特許調査・分析ツールのまとめと最近リリースされたツールの概要紹介,そして個別の特許情報業務におけるAIツールの今後の進化と利用・活用方法やAIツールとの付き合い方について述べた。
著者
佐藤 恵子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.211-215, 2003
参考文献数
6
被引用文献数
1

科学技術振興事業団(JST)は,日本の電子ジャーナルサイトが,他の電子ジャーナルサイトやデータベースとのリンクを効率的に行うために,JSTリンクセンターを開発し,2002年9月より運用を開始した。JSTリンクセンターの中核となるデータベースであるリンクマスタ,リンク情報を管理するためにJSTリンクセンターに登録されたコンテンツに対して付与されるJOI(JST Object Identifier),引用文献の自動解析等を中心にJSTリンクセンターの仕組みについて述べる。また,JSTリンクセンターの利用イメージをJ-STAGEからPubMedへの引用文献リンクを例に挙げて紹介する。
著者
佐藤 義則
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.526-531, 2009
参考文献数
45

GIS(Geographic Information System)は,地図インターフェイス上でのさまざまな情報の視覚化にとどまらず,分析と意思決定を支援するツールとして大きな発展を遂げた。近年では,時間軸を導入した歴史GIS(Historical GIS)の活用も進んでいる。本稿では,図書館や情報センターにおけるGISの活用,特に,古地図等の資料のデジタル化や時間空間データベースの活用および関連するツールの整備について,現状を整理することを目的とする。また,今後の整備においては,図書館・情報センターという枠組みを超えた幅広い協力が必要であることを示す。
著者
長屋 俊
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.267-267, 2018-06-01 (Released:2018-06-01)

昨今の図書館をめぐる情報環境の変化の流れは速く変化を捉え続けること,その上で状況を把握し実践に移すことの必要性が高くなってきています。ITに限らずものづくり技術やサービス開発力を持つ企業との連携は現在の変化の流れの中をいわば航海し続けていくために必要といえるでしょう。こうした連携事例は他の図書館/企業に対して新しいサービス展開の視点/技術提供の可能性を示してくれるはずです。本特集「図書館と企業の連携」はこのような意図で企画いたしました。各論1では十文字学園女子大学の石川敬史氏,日本事務器株式会社の渡辺哲成氏に人間型ロボットPepperを利用した新サービスの開発やガイダンス動画作成などについて司書課程の学生と企業との連携・協力により学びあいながら図書館活動を創造する実践事例を執筆いただきました。各論2では株式会社カーリルのふじたまさえ氏に様々な図書館と連携した同社サービスの事例やサービス設計時に考慮している点について,特に技術的レベルやコミュニケーションにおけるコストに関する課題の解決策について執筆いただきました。各論3では平賀研也氏に県立長野図書館におけるネーミングライツ制度導入による株式会社内田洋行との戦略的提携「知識情報ラボ『UCDL(ウチデル)』」の目的や取組み,効果,制度導入時の留意点について執筆いただきました。各論4では図書館づくりと子どもの本の研究所の平湯文夫氏に家具づくりと部屋づくりによって図書館の利用を促すよう演出する「平湯モデル」の開発及び事業展開を通じて得た知見,今後の同モデルの展開可能性について執筆いただきました。各論5では国文学研究資料館の松原恵氏,小宮山史氏,山本和明氏に歴史的典籍NW事業の江戸料理事業を通じた人文学オープンデータ共同利用センターやクックパッド株式会社とコラボしていく中で見えてきた可能性と課題について執筆いただきました。各図書館の規模の大小に関わらず網目としての結びつきの一部分であればネットワークの構成要素としての他館から受けられる恩恵によって自館のサービス可能性を拡大させることができます。図書館はこうした図書館同士の結びつきのネットワークを拡大・活用し資料・情報提供の質及び量を担保しサービス展開してきましたが,本号で取り扱ったように図書館同士だけではない図書館と企業というもう一つ別のレイヤーも眼前に広がっています。本特集が読者諸賢にとって日々の活動における一助となれば幸いです。(会誌編集担当委員:長屋俊(主査),小山信弥,松本侑子,水野翔彦,南山泰之)
著者
平湯 文夫
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.281-284, 2018-06-01 (Released:2018-06-01)

日本の図書館も,ひと頃前までの,ごく一部の人たちの利用から,全市民に利用を広げようとして革命がおきて半世紀になるが,まだまだである。まだ利用を求めることを知らない多くの市民にまで広げていくにはどうしたらよいか。筆者は,公立図書館や学校図書館で,優しく機能的な家具づくりと部屋づくりの開発と実践につとめてきて,それなりの成果をえてきた。今回は,その経験とノウハウを,大学図書館や専門図書館にも広げていけないかを考えてみた。あわせて,IT化が進む中で,閉架から資料の公開を広げて,資料の原物を五感でとらえられる図書館にしたら,図書館利用を深め,広げていけるはずだと考察してみた。
著者
長谷川 正好
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.600-603, 2017-11-01 (Released:2017-11-01)

情報専門家の社会的任務を考えた。そして,それを達成するための技術と知識以前のものとして熱力学の第二法則などを取り上げて議論した。また,情報システム構築・運営のために市場原理を情報分野に適用することが不適切であることを述べた。更に,コンピューターと人間の脳の違いを述べ,それぞれの長所を有効活用した共同作業の可能性について考察した。最後に情報専門家が拠るべき情報理論を挙げて論じた。
著者
小野寺 翼
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.156-159, 2018-04-01 (Released:2018-04-01)

ソーシャルメディアの台頭によりインターネット上での生活者と情報との接点は大きく変化した。この変化にともない広報発信という視点でも従来のマスメディア以上に生活者視点の重要性が高まっている。本稿では,ソーシャルメディア普及のきっかけやメディア特性,Facebook,Twitter,Instagramといった代表的なプラットフォームの特性を紹介している。複数の企業に対しソーシャルメディア活用の支援をしてきた筆者の観点で,広報発信のあり方を紹介する。ソーシャルメディアにおける広報発信の根本となる考え方を理解いただけるのではと考える。
著者
船守 美穂
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.92-98, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)

近年,大学図書館業界においても,「大学IR」という言葉を耳にするようになったため,本小論では,大学IRの成り立ちや概要,大学IRが抱える課題を紹介しつつ,これからの大学図書館と大学IRの関わりの可能性について考察する。日本の大学図書館については,大学IRのための基礎データ収集の観点から,1)教学IRに資する,学生の図書館利用状況,2)研究IRに資する,学内で輩出される学術成果の把握などが期待される。大学業務システムや研究情報管理システムの整備,相互連携が進んでいる欧米の大学では,これらを利用した3)機関データの管理・保全や,4)同システムの利用支援も大学図書館の役割として想定されているが,日本ではこれは難しい。
著者
木下 和彦 川瀬 直人 大田原 章雄
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.214-220, 2008-05-01

本稿では,インターネット上で公開・配布されているソフトウェアを活用する上で,基本的に知っておきたい事柄について概略を説明する。ソフトウェアにはフリーソフトやシェアウェアのほかに,フリーソフトウェアやオープンソースソフトウェアと呼ばれる類のものがあることを整理し,こうしたソフトウェアを探す場合には,Vectorや窓の杜といったソフトウェアの提供サイトを利用するとよいことを述べる。さらにソフトウェアのダウンロードやインストール方法について,特に初心者がつまづきやすい点について説明し,最後に利用上の注意について,特に職場で使用する場合に気をつけたいことについて触れる。
著者
齊藤 良平
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.55-59, 2018-02-01 (Released:2018-02-01)

ブランドと商標の違いはあるのか,あるとすればどのような違いがあるのか。ブランドはそれを通じて消費者が特定の企業や商品を特定できる点からすると,「企業や商品の特徴や性質(パーソナリティ)を示すものの総体」であるのに対し,商標はそれを構成する一要素である。ブランドを保護し,強化する目的は消費者と企業や商品を結びつけるコネクションを作り,結びつきを強めることによって価格や規模,技術以外の点で市場の優位性を得ることにある。本稿の後半ではその具体的な企業の取り組みと知的財産の関係について解説する。
著者
南山 泰之
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.49-49, 2018-02-01 (Released:2018-02-01)

2018年2月の特集は「意匠権・商標権」です。内閣の知的財産戦略本部が決定した「知的財産推進計画2017」によれば,知的財産は「企業・個人の経済活動や創造活動を支える礎」とされ,国際競争力の強化を図り,今後の繁栄を確保するための最重要課題,と謳われています。本協会の活動においても知的財産たる特許や著作権は非常に重要なトピックとなっており,本誌でも単独の記事のみならず特集テーマとしても度々取り上げてきました。しかしながら,私たちが知的財産として保護すべき権利はこれに留まらず,今回の特集テーマともなっています意匠権・商標権や,その他様々な法的権利が存在しています。今日におけるウェブの発展によって侵害の態様が複雑化している中,これらの様々な権利によって,何がどこまで法的に保護されるのか,の基礎を改めて確認しておくことは有益と思われます。本特集では,上記のような特集趣旨のもと,6人の方々から論考をいただきました。初めに,ユアサハラ法律特許事務所の青木博通様からは,意匠権・商標権の全体像として,法制度上の概要を詳細に解説いただきました。西村あさひ法律事務所の齊藤良平様からは,ブランドの意義やその活用戦略と,商標権・意匠権の活用による法的保護の具体的な手法についての論考をいただきました。独立行政法人工業所有権情報・研修館の宗裕一郎様からは,特許,実用新案,意匠及び商標等の産業財産権関連の工業所有権公報等を無料で検索・照会可能なデータベースである,J-PlatPatの使い方を詳述いただきました。株式会社マークアイの中村哲様,大井麻美様からは,商標調査の実態と,調査活動に資する商標データベースに関する詳細な紹介をいただきました。持田製薬株式会社の石川浩様からは,現場における豊富な知財教育の経験に基づいた論考をいただきましたいずれの方々からも,実務のご経験を背景にした極めて実践的な内容をご執筆いただいており,本特集記事を通読することによって,意匠権・商標権に馴染みがない方々にとっては学び始めのステップとして,既に担当されている方々にとっては,知的財産権の体系を様々な角度から多角的に捉えることができるものと考えています。本特集が,知的財産の保護の重要性をより深く理解し,私たち一人一人が意識を高めていくための一助となることを期待します。(会誌編集担当委員:南山泰之(主査),長屋俊,田口忠祐,小山信弥)
著者
石川 浩
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.71-76, 2018-02-01 (Released:2018-02-01)

「国民一人ひとりが知財人材」を国は目指している。知財教育についての国の取り組みを最初に紹介し,次いで,知財教育をする側,受ける側に共通の考え方・心構えを紹介する。目指すべき知財専門人材は,知財の創造・保護・活用を推進できる者ということになるが,その入口は知財に興味を持ち続け,知財マインドを醸成することから始まる。その後に,企業の知財部門で行われている教育の一部状況を紹介する。そこで,特許出願業務,調査業務,知財経営について触れる。出願と調査は車の両輪業務であり,知財経営は知財情報の再構築から始まる。
著者
中村 哲 大井 麻美
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.65-70, 2018-02-01 (Released:2018-02-01)

日本国内の商標については様々な書籍等も出版され,また特許庁やその関連組織,または弁理士事務所,地方自治体などからも多くの情報が発信されている。web検索などでも比較的容易に情報を得ることができる。対して海外商標調査や海外商標及びデータベースについて必要な情報を収集することは,それほど容易とはいえない。本稿では当社が多く扱う海外商標調査の概要について説明し,その中でどのように海外庁商標データベースが使われ,何に留意すべきかを簡単に述べたい。また重要な海外庁商標データベース,特筆すべき機能,注意すべき点などについても触れる。
著者
宗 裕一郎
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.60-64, 2018-02-01 (Released:2018-02-01)

本稿では,「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」及び「画像意匠公報検索支援ツール(Graphic Image Park)」による意匠検索の方法を紹介する。J-PlatPatは,意匠公報の検索,経過情報の照会等の機能を有する特許情報提供サービスである。キーワードや日本意匠分類等を入力することにより意匠公報を検索することができる。Graphic Image Parkは,画像意匠を含む意匠公報を効率的に検索するための支援ツールである。このツールに自分の画像デザインをドラッグ&ドロップするだけで,イメージマッチング技術による機械的な評価に基づいて,既存の登録意匠を共通の特徴をもつものから順に表示させることができる。