著者
別所 正博 坂村 健
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.582-588, 2017-11-01 (Released:2017-11-01)

IoT時代に活躍できる人材には,コンピュータ・サイエンスを身につけることと,自分と違う能力をもつ仲間と連携できることが重要だと考えられる。2017年4月に開設した東洋大学情報連携学部(INIAD)は,このような考えの下で独創的な教育を行っている。INIADでは,連携を身につけるための空間と,先進的なIoT環境を備えたINIAD Hub-1という校舎を新たに建て,コンピュータ・サイエンスの教育や,様々なプロジェクトのフィールドとして,その環境を活用している。本稿では,IoT時代の教育の観点から,INIADの取り組みを紹介する。
著者
鈴木 ゆかり 関 美分
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.25-31, 2006-01-01 (Released:2017-05-19)

限られた人員構成の中, マニュアルを使って短時間で引継ぎを行い, 確実に成果を出していくことを私たちは求められている。しかし, それを可能にしているところはどれぐらいあるのだろうか。なぜうまくマニュアルを活用できないのか。そして, マニュアルを活用していく際, 多くの人が見過ごしている点は何なのか。新任者の能力向上に大きな影響を与えるのは直接OJTを行う指導者だといっても過言ではない。そこで指導する側の心構えについて再確認をし, マニュアルについては具体的な事例を用い, 活きたマニュアルにするためのコツと, 確実に成果を出すための効果的な引継ぎ方法について伝えていきたい。
著者
李 慧瑛 下髙原 理恵 緒方 重光
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.643-649, 2017-12-01 (Released:2017-12-01)

本稿では,テキストマイニングを用いて自然言語文から未知の知見を見つける際の強みと弱みについて述べる。医中誌Webで,「情報」「科学」「技術」をキーワードとして検索した論文表題の分析例を参照しながら,強みと弱みを考察する。強みとして,人手では扱えないような膨大な量のデータに対して,数値を分析対象とする量的分析(多変量解析)と文字を分析対象とする質的分析(形態素解析)の両方を行うことが出来る。一方,弱みとして数値化されたデータでは表現できない現象の世界を分析する場合,暗黙知を抽出して形式知に置換する過程に課題が残る。
著者
藤井 篤之 中西 華子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.566-572, 2017-11-01 (Released:2017-11-01)

福島県会津若松市はビッグデータ・アナリティクス産業創出を目的としたスマートシティに取り組んでいる。本記事では筆者が所属するアクセンチュア株式会社による取り組みを中心に,同市のスマートシティの特徴と経緯および展望を紹介する。同市のスマートシティの取り組みを支える構造は,ICT専門大学である会津大学を中心とした,組織,人,データ基盤であり,スマートシティの各テーマにおける実証を通じて,地域に企業が集まり,人が集まり,産業が集まっている。今後は,取り組みを進める中で直面している,オープン性,プライバシー,競合性の各論点についての議論を深め,同市での取り組みの深化,他地域への展開を目指している。
著者
PENDLEBURY David A.
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.10, pp.546-549, 2017-10-01 (Released:2017-10-01)

ユージン・ガーフィールドは20世紀後半の情報革命の牽引者であった。彼は,著者が自分の論文の中の引用文献で作ったリンクを活用して,引用索引を科学文献検索の世界に導入した。引用索引は,研究者に新たに正確な情報検索の手段を提供するだけでなく,科学文献から科学の構造と動向研究を可能にし,科学をマッピングする方法に拡大するとともに,国,研究機関,雑誌,著者の研究のパフォーマンス分析にも導入されている。彼は,情報科学者としてだけでなく,科学と芸術分野やホームレス支援の社会福祉団体へも多大な貢献をおこなった。デービッド・ペンドルベリー(安藤聡子 訳)
著者
入矢 玲子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.43, no.11, pp.1027-1035, 1993
参考文献数
21

ILLINETは,イリノイ州全体をカバーする規模のリソース・シェアリング・システムである。1960年代に組織づくりを始め,現在では公共,大学,専門など館種を問わない約2500館が参加し,年間の図書館間貸出冊数は200万冊を超える。この成功は「情報交換」面では,2000万件以上の資料が検索でき,よく改良された貸出システムをもつILLINET-オンラインが保証した。「モノの移動」の面では,ユニークな24時間図書館間バン配送システムが可能にした。さらに「ネットワーク」では,州を15のライブラリー・システムに分割して地域密着度を高めつつ,ILLINETがそれらを統合する高次のサービス組織となったことが注目される。「システム」として,ネット内に階層構造をつくり,サービスの質によって分担を変えたことも成功の大きな要因だろう。この基礎には,情報伝達の効率化への米国人の高い意識があり,それが,州・政府からの予算の額,法制化の迅速さに反映している。

2 0 0 0 OA 編集後記

出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.440-440, 2017-08-01 (Released:2017-08-01)
著者
大井 雄一 宇佐見 和哉
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.409-413, 2010-10-01

現代のストレス社会のなか,労働者は様々なストレスに曝され,うつ病をはじめとした精神疾患のために休業を余儀なくされる労働者が増加し社会問題となっているが,図書館員にとってもそれは例外ではない。労働者において精神疾患の発症を予防するためには,ストレスというものの捉え方および対処の仕方について積極的に考え,マネジメントすることが必須となる。労働者のストレスを考える上では,職業上のストレスのみならず,職場外でのストレスや個人のストレス対処能力などさまざまな要素が関連している。これらに対してストレスモデルを用いながら,多角的な視野をもってストレスマネジメントを行うことが疾病予防につながっていく。
著者
原田 雅子 大久保 三四朗 高 仁子 田村 隆生 森 敦子 山口 恵美子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.315-321, 2017-06-01 (Released:2017-06-01)

オリンピックの経済効果は,競技会場新設や観戦関連消費等の「直接効果」よりも,都市インフラ整備や観光需要増加による「間接効果」が大きいと試算されている。そこで本稿は,東京オリンピック組織委員会のプロジェクト長から要請を受けたプロジェクトメンバーという設定で,東京オリンピックを『見せる場』として,インフラ輸出,観光需要を増加すべく,体験・体感を通して訪日外国人にアピールすべき日本技術・文化を検討した。アピールすべき日本技術・文化の選定は,「マーケットイン」の視点で訪日外国人のニーズを重視した。ニーズ抽出にはグローバルなオープンデータを活用し,対応する日本技術シーズは特許・学術文献解析と企業情報から選定,文化シーズについては日本政府のクールジャパン戦略や各省庁の情報から選定し,日本技術・文化の体験・体感方法までを総合的に検討した。
著者
新保 史生
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.11, pp.560-565, 2016

<p>個人情報保護法及び行政機関等個人情報保護法が10年ぶりに改正された。法改正の影響は,すべての図書館に及ぶわけではないため,各図書館は改正による影響を受けるか否か確認が必要である。改正に伴い図書館が対応な必要な事項がある一方で,要配慮個人情報の取得制限が新たに定められたものの,当該情報に関係する個人情報関係資料を除籍対象資料に含める必要がないことはもとより,除籍基準の改定なども不要である。改正法の解釈により図書館における新たな過剰反応が生じないよう,改正個人情報保護法対応にあたっての要配慮事項について解説する。</p>
著者
小山 憲司
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.9, pp.372-378, 2015-09-01 (Released:2017-04-13)

本稿は,情報通信技術の発達に伴うコレクション構築の現状と課題について,国内の大学図書館を中心に検討した。その結果,情報通信技術はオンライン出版物をはじめ,電子的に提供されるコンテンツの増加をもたらすとともに,多様な提供方法を開発しつつあることが確認された。一方,今なおハイブリッド図書館の時代にあるなか,冊子体資料,電子資料のいずれにも対応しつつ,コレクションを維持・管理することが図書館に求められていることも明らかとなった。情報通信技術によって,より電子的な情報入手の環境が整備されつつある現在,利用者の情報利用行動をも考慮した情報アクセス環境を整備していく必要がある。
著者
福山 樹里
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.54-60, 2017

<p>本稿の目的は,Europeanaが国も分野も異なる様々なデジタルアーカイブからメタデータを収集し,管理し,提供している方法を,公開されている文書類をもとに解説することである。はじめに,メタデータを収集しているアグリゲータモデル,収集したメタデータの処理工程,公開と出力までを概観する。次にEuropeanaのメタデータモデルであるEDMに焦点を当て,その開発方針と特徴を整理する。その後EDMを有効に機能させるメタデータの運用について,品質確認プロセスも含めて説明し,最後にEDMに関わる今後の課題をまとめる。</p>