著者
富山 明俊 長谷部 雅彦 大山 玲子 亀田 倫子 杉山 典正
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.129-135, 2021-03-01 (Released:2021-03-01)

本研究は,コモディティ化した掃除機市場を対象とし,新規参入の成功例として国外企業2社(サイクロン掃除機:ダイソン社,ロボット掃除機:アイロボット社)に着目し,掃除機市場で高いシェアを獲得した要因を明らかにするために,特許,意匠,商標,新聞・WEB情報を収集し分析を進めた。分析の結果,ダイソン社は掃除機市場のサイクロンのカテゴリ,アイロボット社はロボット掃除機のカテゴリにおいて,シェア拡大と同時に特徴的な出願を行っていること,後発類似製品の出現を許しているものの,追随させない高いシェアをブランド力によって確保していることが明らかになった。そこで,対象企業の知財戦略について,戦略展開マップとSWOT分析により考察を行った。
著者
伊賀 公一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.119-124, 2021-03-01 (Released:2021-03-01)

色覚の多様性に配慮したカラーユニバーサルデザイン(CUD)が社会的に求められている。色の識別に困難を持つ人は色がどう見えるのか。社会は彼らをどう扱ったか,色で情報を目的どおりに伝えるためはどのようにすべきかについて記載する。
著者
三浦 まゆみ
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.113-118, 2021-03-01 (Released:2021-03-01)

資料のユニバーサルカラーデザインというテーマで,わかりやすく読みやすい資料作成の具体的な手法をまとめた。色の見え方は誰もが同じではなく色覚異常や高齢者の加齢による色覚変化などによりさまざまな色覚特性があり,見にくい配色のパターンがあるため,それを踏まえて色を選定することであらゆる人にとって快適なカラーデザインとなる。また,色の三属性,トーン,配色によるイメージ表現,色の機能的効果(誘目性,明視性,可読性,識別性)といった色彩学の基本の解説と共に,対象者や目的別の資料作りを効率よく作成する色使いを5つのポイントとして紹介している。
著者
山本 早里
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.107-112, 2021-03-01 (Released:2021-03-01)

教育施設における色彩計画の2事例を挙げ,コンセプト,内容,効果を詳述した。1件目は筑波大学の築40年,約4000戸の学生宿舎を毎年数棟ずつ改修した事例,および福利厚生施設の改修の事例である。建物の形状を利用してアクセント色を用いたり,隣接する棟に共通するベース色を用いたり工夫をした。2件目は茨城県立土浦第三高等学校で,築40年を経て改築した事例である。外部にはあまり使われない色をアクセント色に使い独自色を高めたり,特別教室の各室のイメージカラーによるアクセント色を内部色彩に用いたりした。これらの色彩計画の結果,学生や生徒によい影響が見られるなどの効果が得られたことに言及した。
著者
海老澤 直美
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.93, 2021-03-01 (Released:2021-03-01)

2021年3月号の特集は「色彩による情報提供」です。数多あふれる情報から欲しい情報を瞬時に得ようとする時,まずは目に入る情報のうち文字ではなく色で判断していることが多いのではないでしょうか。例えば,トイレの入口のマークで男性が青,女性が赤という色がもし逆だとしたら間違える確率は高くなるのではないでしょうか。図書館などの現場においても,利用者に情報を的確にわかりやすく提供するにあたり,案内表示,オンライン蔵書目録のインターフェース,什器類の空間デザインなど,あらゆる所で色彩が関係しています。また,プレゼン資料やデータ分析における可視化など情報を視覚的に分かりやすく伝える手段としても色彩は用いられています。さらに,色覚バリアフリーという言葉があるように,色の識別に困難を持つ人もおり,色使いには配慮が必要です。そこで今回の特集では,情報提供を的確に行うために,色彩がどのように活用できるか,基礎知識や注意点を解説するとともに活用事例を紹介します。まず初めに,篠田博之氏(立命館大学)からは,色とは何か,そのメカニズムなど色彩の基礎知識を解説いただき,さらに応用技術やアイディアを紹介いただきました。続いて,日髙杏子氏(芝浦工業大学)からは,色彩という情報のコミュニケーションを取るために編み出された,色の表現方法のひとつである色彩を体系的にした表色系について解説していただきました。そして,山本早里氏(筑波大学)からは,実際に手掛けられた教育施設の建築物・インテリアの色彩計画の事例を紹介いただき,色彩の持つ効果と重要性を解説いただきました。三浦まゆみ氏(インリビングカラー)からは,資料作成における誰もがわかりやすく見やすいユニバーサルデザインの基本を解説いただき,対象者や目的別の資料作りを効率よく作成する色使いのポイントを具体的に紹介いただきました。最後に,伊賀公一氏(NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構)からは,色識別に困難を持つ人は色がどう見えるのか。そして,色で情報を目的どおりに伝えるためにはどのようにすべきかを当事者としての視点からも解説いただきました。本特集が,読者の皆様のお仕事などにおいて,色彩の重要性を把握し,色彩を活用して情報を的確に伝える一助となれば幸いです。(会誌編集担当委員:海老澤直美(主査),南山泰之,南雲修司,長谷川幸代)
著者
矢口 勝彦
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.8-15, 2021

<p>TRC(図書館流通センター)の電子図書館サービスは,2011年1月に1号館として堺市立図書館(大阪府)に導入して以降,公共図書館において昨年度までで75自治体,年間平均8~9自治体のペースで採用されてきた。ところが,今年度になってコロナ禍における緊急事態宣言下の臨時休校,臨時休館時の読書,学習支援ツールとして注目され,2波,3波に備えるべく急激に採用が増えており今年度1年間の採用数が,昨年度までの導入数とほぼ同程度になることが予想されている。本稿では,TRCの電子図書館サービスを例にとり,電子図書館の概要,特長,導入メリット,課題,電子図書館を取り巻く環境,学校連携,教育現場での電子図書館の活用事例を紹介する。</p>