著者
足達 義則 青木 孝志
出版者
International Society of Life Information Science
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.84-89, 2001-03-01 (Released:2019-04-30)
参考文献数
4

呼吸の仕方は、ある程度意識的に変化させることができる。これによって、他の不随意器官に影響が現れることが知られ、安静や瞑想に用いられている。本研究では、3種類の呼吸法;普通呼吸(何も意識しない通常の呼吸)、丹田呼吸(下腹部に意識を集中した腹式呼吸)、および腹筋振動呼吸(笑いと模倣した、呼気を短く強く数回に分けて行う呼吸)について、血中酸素濃度、皮膚電気抵抗、および脈波形への影響について調べた。特に、脈波形についてはフラクタル次元解析を用いて変化の様子を検証した。これらの検討により、呼吸法を変えることによって脈波形、ノイロ値、血中酸素溶存率は大きく変化し、他の器官に影響している可能性が見いだされた。
著者
小久保 秀之 世一 秀雄 山本 幹男
出版者
International Society of Life Information Science
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.294-301, 2004-09-01 (Released:2019-05-03)
参考文献数
23

いわゆる遠当てと呼ばれる武道の技を研究した。遠当ては、離れた相手に対する非接触の攻撃技と言われている。1回の実験で、武道熟練者6ペア(日本の武道3ペア、中国の武術系気功3ペア)、対照として非訓練者6ペアを用いた。各ペアの被験者は別室に入り、通常の情報伝達経路を遮断した。そして、送信者が受信者に向かって信号伝達動作を行ったときの受信者の応答を測定した。受信者は静電遮蔽室に座り、2重盲験・無作為の条件下で、送信者は1試行80秒間に1回だけ送信動作を行った。送信者・受信者はそれぞれスイッチボタンを持ち、そのボタン動作の記録が生理データとともに記録された。実験の結果、送信時刻前後における受信者の左手労宮の皮膚表面温度の異常な変化は見られなかった。受信動作・送信動作の時間一致性について、有効データ797を解析した結果、全体としては顕著な時間一致性は見られなかった。中国の武術系気功ペア2組において、+11秒の時点に統計的有意なピークが見られた(p<0.05, one-tail)が、この遅延ピークが遠当てによるものであるなら、その理由は送信動作が比較的長めだったためと考えられた。
著者
原口 鈴恵 小竹 潤一郎 陳 偉中 Dmitri V. PARKHOMTCHOUK 張 トウ 山本 幹男
出版者
International Society of Life Information Science
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.373-380, 2001-09-01 (Released:2019-04-30)
参考文献数
7
被引用文献数
4

バイオフォトンは、生体や物質から自発的に放射される極めて微弱な発光である。本研究では、バイオフォトン・イメージング・システムを用いて、意識集中による指先のバイオフォトン変化の測定を試みた。測定は健康な一般人7人について1試行10分間の意識集中とコントロールとして1から100まで数えるという軽作業とを3回ずつ行った。その結果、意識集中により指先のバイオフォトン強度が確認され、意識集中による変化は被験者によって上昇する者と下降する者の2種類に分類された。
著者
古賀 良彦
出版者
International Society of Life Information Science
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.179-186, 2004-03-01 (Released:2019-05-03)
参考文献数
4
被引用文献数
1

我々は、香りが生体に与える効果を脳の機能の変化というレベルで評価する試みを行い、脳波の分析によってその変化を詳細に捉えることができることを示してきた。今回は、コーヒーの香りの効果について評価を行った結果について紹介する。コーヒーはその香りによってリラックス感を得たり、ほどよい緊張感を取り戻す効果があることが知られている。我々は、コービー豆6種を選び、脳波の分析によって豆の種類による効果の差異を検討した。リラクセーション効果の測定には、アルファ波の分析を用いた。グアテマラ呈示時のアルファ波パワー値は、マンデリン、ハワイコナに比べて有意に高く、コントロールおよびモカマタリと比較しても高い傾向がみられた。一方マンデリンは、コントロールに対しアルファ波を減少させる傾向がみられた。また、認知機能の生理学的指標としては事象関連電位P300を用いた。 P300潜時は、ブラジルサントスは無臭時、グアテマラ、モカマタリ呈示時に比べて有意に潜時が短かった。また、ブルーマウンテンよりも短い傾向がみられた。これらの結果は、コーヒーの香りは豆の種類によって影響が異なるので、目的に応じて豆を使い分けることにより、顕著な効果を得ることができることを示すものである。脳波をはじめとして、最近、目覚しい進歩を遂げた脳機能画像を利用することにより、今まで未知の部分が多かった匂いとヒトとの関わりに関する研究が飛躍的に発展することが期待される。
著者
アン サンヒョン ソン ミンギュ キム ソンウン アン スンチャン リュウ チャンス イー ウルスン イー スンホン
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.169-173, 2005-03-01

本研究院で開発した気修練法である脳呼吸の修練過程で通常、知覚しにくい対象についての情報を得る現象が認められた。これをHSP(Heightened Sensory Perception)と名づけた。HSPは、体感覚訓練に基づきその能力が開発されるという点から、これまでのESP(Extrasensory Perception)とはまったく異なる概念である。本稿は、第一に、1998年以降、HSP能力を証明するために行われたデモンストレーションの状況と結果をまとめたものだ。第二に、HSPの科学の最前線に向けて試みた脳波の測定とfMRI実験について盛り込んでいる。実験では被験者は目を隠したままモニターにランダムに現れる刺激(色、形)を透視し、統制実験では目を開いたまま同じ条件の実験を行った。HSP状態で脳の特定の部分が活性することが認められ、アルファ波とガンマ波の時間、空間的な変化を観察した。最後に、実験の分析にあたって提起された課題について簡単な議論を行った。
著者
樋口 雄三
出版者
International Society of Life Information Science
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.387-390, 2003-09-01 (Released:2019-05-03)
参考文献数
9

最近、ようやく気功が広く知られるようになり、大学病院でも気功を取り入れて治療をしているところが現れている。気功には多くの功法があるが、自分で練功した場合は、アドレナリン、ノルアドレナリン、コルチゾールなどが40分間の錬功直後に減少し、ナチュラルキラー(NK)細胞活性、インターロイキン(IL)-2などが増加した。これらのことから交感神経活動水準が低下し、ストレスが緩解し、免疫能が向上することが明らかとなった。また、外気治療においては患者のNK細胞活性は治療直後にやや減少し、40分後に増加した。遠隔治療においても同様な傾向が認められた。著明な効果を現す気功師の多くは、霊的エネルギーを利用しており、今後、スピリチュアルヒーリングの解明が課題である。
著者
奥 健夫
出版者
International Society of Life Information Science
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.150-159, 2004-03-01 (Released:2019-05-03)
参考文献数
60

本研究では、すべての物理現象を説明可能な量子重力理論の有力候補であるホログラフィック原理に基づく現代宇宙論の観点から、意識のメカニズムに関する一考察を行うことを目的とした。ホログラフィック理論によれば宇宙は一枚のホログラムにコード化されており、究極理論は場や時空ではなく情報に関する理論になる可能性が指摘されている。人間の意識は情報から形成され、また意識はエネルギーを有すると考えられる。情報理論におけるシャノンエントロピーは、すべての自由度を考慮すればエネルギーに変換可能であり、またエネルギーは物質へ可変である。本研究では、意識の一形態である情報がエネルギーに変換され生命エネルギーとなり、その一部が物質化して身体を形成する原子を形成しているモデルを提案した。宇宙の時空は4次元のため、すべての情報が3次元境界面に記録されていることになり、そのI_<HB>&le;.2R^2×10^66 bits のコード情報が意識に対応していると考えられる。
著者
河野 貴美子 櫛田 浩平
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.91-96, 1996-03-01

強制的な瞑想誘導による脳への影響を調べるべく、通常は半眼・腹式長呼吸にて行う坐禅瞑想を、あえてアイマスク着用、強圧的呼吸負荷のもとに行った。目隠しにより、α波は増大し(脳活動抑制)、後頭から前頭にかけ、全汎性に出現した。後頭-前頭間のα波lag time (τm)は、目隠しと共に強圧的な呼吸負荷により、長くなる傾向が見られ、一見深い瞑想を思わせた。α波の周波数は、強圧短息呼吸を続ける内、徐々に低くなった。これも曹洞禅などの、深い禅定に見られる傾向である。しかし、このとき眼球の激しい動きに伴うδからθ帯域に属する3〜5Hzの波が頻発し、極度な大脳抑制状態を強引に生み出す危険性を暗示していた。
著者
上田 至宏
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, 2005-09-01

東洋医学では、自然治癒力という言葉がよく使われますが、その目指す健康体とはどのように決定されているのでしょうか。また疲れたときある"つぼ"とよばれるところを押しますと飛び上がるほど痛いことがあります。"つぼ・ひびき""気がながれる"という言葉もよく耳にします。このような現象を、現在の医学でどこまで説明できるかを演者らが行った実験例を示しながら解説ます。そしてこれからの医療に必要なものを考えていただきたいと思います。
著者
渡部 俊彦
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.81-90, 2007-03-01

1848年にアメリカで発生した叩音事件から科学者らによる心霊現象の研究、近代心霊研究が始まった。欧米を中心として、心霊現象や死後の霊魂存在を実験によって探求する研究が行われ、イギリスでは心霊研究協会(SPR)が生まれた。さらに、霊魂存在や霊魂との交信の可能性を認めるスピリチュアリストが生まれた。ここから、新しい人生指導原理であるスピリチュアリズムが誕生した。欧米の心霊研究は浅野和三郎によって日本に紹介され、彼は心霊科学研究会を設立し日本スピリチュアリズム(日本神霊主義)を生んだ。脇長生が日本神霊主義を発展させた。さらに桑原啓善がイギリスの霊界通信の内容を加味させて、ネオ・スピリチュアリズムを作り出した。
著者
高木 治
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, 2011

量子力学の世界観においては、それまで物理学の基本的な前提と考えられてきた、実在性・局所性・因果性という概念が破綻してしまう可能性がJ.S.ベルによって指摘された。この中で、実在性とは客観的なものであり、量子論的物体(素粒子)の実在に関しては、観測者(人間)の自由な意志による主観的な選択の余地はないはずである。ところが、量子論的物体が実在するかどうかを確認するには、何らかの方法で観測者が測定をすることが必要となるが、もし観測者に測定方法の選択に自由意志が存在するならば、量子論的物体にも観測結果を左右する自由意志が存在するという驚くべき結論が、コンウェイとコッヘンによって2006年に示された。これは、「自由意志定理」と呼ばれているが、その中では自由意志の存在が人間というマクロな生物から、非生物であるミクロな素粒子にまで拡張されることを示している。ここでは自由意志定理の意味と、そもそも自由意志とは何かについて考察をする予定である。
著者
河野 貴美子 石 継明 段 立葉
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.22-31, 1996-03-01 (Released:2017-04-25)
被引用文献数
1

気功師38名(中国人20名、日本人18名)および気功は素人の受け手一般人29名の脳波を測定した。気功中は、α波と共にθ波が増大すると言われている。しかし、気功師の安静時、θ波出現は8名(21.1%)、外気功28例中6例(21.4%)、内気功19例中7例(36.8%)で、いずれのθ波も2〜3周期の短いものが全汎性に、かつ一連(約10分間)の実験中、数回現われたに過ぎない。気を受けた一般人の37.9%にθ波が現われたのに比較し、気功師に多いとは言えず、また安静時より気功中に増えるとも言えなかった。そこで、α波の周波数変化を調べた。気功師38名の安静閉眼時、α波のピーク周波数は平均9.55±0.14Hzであったが、外気功中は9.74±0.18Hz、内気功中は10.05±0.22Hzといずれの場合も増大した。しかし、気功師個々には、速波化タイプと徐波化タイプがあり、外気功の7名(26.9%)、内気功の7名(41.2%)が徐波化タイプであった。曹洞禅や阿字観瞑想(密教系瞑想法)など仏教系の瞑想では深い瞑想中α波の周波数は遅くなる。超越瞑想(TM)ではほとんど変化がなく、わずかに速波化であった。TMは、心の中でマントラを唱えつつ、集中することで瞑想に入る。気功も同様に気のイメージの様なものが関与し、それへの集中があるものと思われた。徐波化する者の気功法には、瞑想法的な要素が考えられる。しかし、彼等は安静時から周波数が高いものが多く、僧侶においてα波が徐波化してθ波が現われるのと違い、θ波出現者との間に相関は見られなかった。
著者
小林 常雄
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.121, 2017 (Released:2018-06-13)
参考文献数
31

癌細胞は突然変異によってできるという説が宣伝されてきたが、遺伝子プロジェクトによる治療計画は殆ど失敗してきました。公衆衛生学や微小癌の研究から、遺伝子異常説が間違いであることが判明しています。今回、癌のミトコンドリアの呼吸代謝を特異的に抑制する薬を用いて、ミトコンドリアの幽霊化が"癌化の本質である"ことを証明しました。同時に、ミトコンドリアが18億年前に、古細菌に共存して、高等細胞が出来たとき、何故、ミトコンドリアの呼吸遺伝子が、核に9割、ミトコンドリアに1割、配置されたかの生物学上の謎が解明できました。また癌は、胎児と同様にできますので、その原理を使えば、腫瘍マーカー総合検診(TMCA)で、癌を癌に罹る前から、また癌になってからでも、画像診断の100倍の精度で、ダイナミックに診断ができますから、癌の予知予防も、癌の再発予防も簡単にできるようになりました。
著者
有田 秀穂
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, 2015

脳幹・背側縫線核のセロトニン神経はオキシトシン受容体を備えているので、脳内オキシトシンの分泌が増えるとセロトニンが活性化され、不安や緊張、鬱などストレスフルな気分を解消させる。オキシトシンは子宮収縮や乳汁分泌を促す母親のホルモンとして古くから知られてきたが、最近の研究で、男性も未婚の女性も、すなわち性別や年齢に関係なく分泌される脳内物質であり、その役割は、視床下部のストレス中枢を抑制して、HPA軸(視床下部・下垂体・副腎システム)を抑え、ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌を減少させることが明らかにされた。その活性化因子は、グルーミング行動であり、マッサージ、エステ、リフレクソロジーなど心地よいスキンシップ、友人や家族との団欒、などである。これらの社会的癒し行動は、ストレス解消術として知られてきたが、その背景に、オキシトシンという脳内物質が働いていることが判明した。この点について、我々の最近の研究を紹介しながら、解説する。
著者
朱 潤龍 朱 怡怡
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.244-263, 1999-09-01

この総説は中国人体科学における最新の進展状況を報告するものである。「耳で字を読む」という報告が発表されて以来、精力的な調査研究が多数なされてきた。本論文では、論文・研究報告・ビデオ記録で発表され、新聞・雑誌・学会で取り上げられて世に広く知られたものを、以下の4つの観点から要約した。1)超感覚的知覚(ESP)の研究、2)念力(PK)の研究、3)その他の研究、4)理論と仮説。
著者
ネルソン ロジャー・D 小久保 秀之
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.185-192, 2014-09-01

地球意識計画(GCP)と呼ばれる長期継続実験は、同期的に生成されたランダムデータの流れの中から、大規模な出来事によって生じるランダムでない構造を探索する。地球規模の乱数発生器(RNG)ネットワークが、最多で世界65箇所の並列ランダムデータの系列を記録し、「世界的な出来事(素晴らしい祝典や悲劇に対する広範囲の精神的・感情的な一時的反応と定義)」が起こっているときに期待値からデータが偏るという仮説を厳密な実験で検証する。現在進行中の再現実験は、指定された出来事の期間、ネットワーク中の相互作用を測定する。そして過去15年以上にわたる450件以上の公式仮説の結果は十分に期待値から離れており、帰無仮説に対して1兆分の1以下である。対照実験によって従来の物理学的説明や実験エラーは除外され、また実験計画法によって解釈が制限される。実験結果は、ある種の人間の意識が効果の源として含まれていることを示唆している。ランダムデータの微かな構造化は、人間の可干渉な注目と感情が物質世界に効果をもたらすことを示している。
著者
小長井 ちづる
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.76-81, 2006-03-01

香りにはストレス緩和作用があることや気分をリフレッシュさせる効果があることが広く認められている.われわれは,これまでに,香りの脳機能に与える影響について,特に脳波の分析により評価してきた.今回は,加熱食品および嗜好飲料の香りについて検討した結果を中心に紹介する.食品の加熱や貯蔵中に起こる成分間反応として代表的なアミノ・カルボニル反応では,多くの香気成分が生成する.そこで,未加熱,浅煎り,中煎り,深煎りの加熱段階の異なる大豆および糖とアミノ酸を添加した加熱大豆とその対照加熱大豆を調製し,香りが脳機能に与える影響の差異を,α波を指標として検討した.中煎り大豆の場合には有意なα波の増大が見られ,また,アミノ酸と糖を添加して加熱した大豆はそわ対照大豆に比し有意にα波が多かった.ビールホップの香りの脳機能に対する影響について,濃度の影響および効果の性差を検討したところ,男性では,P300振幅については濃度間に有意な差が認められたが,女性では差がみられず,ホップに関しては男性の方が濃度の差に敏感であるという特徴的な結果が得ちれた.コーヒー豆の種類によるリラクセーション効果および認知機能に対する影響の差異については,豆の種類によってそれらの効果には差異があることが明らかとなった.この差異を利用し,目的に応じて豆の選択をすることによって,それらの効果をより効率良く得ることができると思われる.
著者
尾崎 真奈美 奥 健夫
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.107-114, 2007-03-01

スピリチュアル・ヒーリングと呼ばれるものの中には多様なものがふくまれている。その中には、物理現象に過ぎないものであっても、単に科学的に未検証である治療法から、心身相関的に説明ができるもの、非局在意識を想定しなければ説明が不可能な現象まで混在している。本研究においては、スピリチュアル・ヒーリングに関する科学的検証を概観した上で、スピリチュアル・ヒーリング本来の意味を提出する。スピリチュアリティーは心も体も超越した概念であるが、身体の現象として現われうる。スピリチュアル・ヒーリングも同様に、非局在意識、すなわち魂のレベルの癒しであるが、心理学的には、許し、存在のありのままの受容、それにともなう高い道徳的変容として説明されよう。つまり、魂の癒しと心身の健康状態に関連はあるものの、本来的な意味では二者は同一ではない。スピリチュアル・ヒーリングすなわち魂の癒しは、また、主体の意図的な努力で獲得していくというより、すでにすべての存在に無条件で与えられている恩寵という側面が存在する。主体がその事実を意識化することでスピリチュアル・ヒーリングは達成される。スピリチュアル・ヒーリングの現場で起こる問題として、魂の癒しではなく心身の癒しに執着することから生じる、スピリチュアル・ハラスメントに関しても警告した。