著者
高田 健二 川村 大伸
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.47-60, 2018-07-15 (Released:2018-08-15)
参考文献数
40

近年外国人労働者や留学生は増加傾向にあり,多くの企業で外国人労働者の雇用ニーズが高まっている.本稿では,離職意思,役割ストレッサー,および組織的支援の構造化を目的として,日本国籍と中国国籍の大学生アルバイト従業員を対象に2母集団分析を行った.役割ストレッサーの構成概念である「仕事の量的負担」と「役割葛藤」が,職務満足の構成概念である「全般的満足感」に負の影響を与えること,「役割葛藤」と「全般的満足感」の影響間に「知覚された組織的支援」の負のモデレータ効果があることを示した.2国籍間に大きな違いは見られず,大学生アルバイト従業員の過剰な仕事量や職務の矛盾を調整することで,国籍を問わず離職意思を低減できることが新たな知見として得られた.
著者
野本 多津 小林 秀明
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.303-310, 1998
参考文献数
11

プリント基板は, 市場ニーズの多様化に伴う多品種化, 対象製品の小型化・軽量化に伴う高密度実装化等が進み, 作業の高度化, 複雑化に伴う組込不良, はんだ不良等の各種製造不良が発生しやすくなっている.これら製造不良の中で, 部品の実装位置等, 設計方法が原因で発生するものに関しては, 設計での事前対策が要求されている.そこで, 不良率低減, 生産性の向上を目的とした不良対策支援システムにおいて, 階層的クラスタ分析を用いた不良発生傾向抽出方式にて不良実績情報を分析し, 基板・部品特性ごとの不良発生傾向データを抽出する.このデータを用いて, 設計への事前対策指示や設計対象の基板と類似した基板・部品の検索を行う.本論では, 不良発生傾向抽出方式の検討結果と処理方法を詳述する.
著者
大坪 正和 倉重 賢治 亀山 嘉正
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.231-242, 2006-08-15
被引用文献数
2

本研究では,中学校を対象とした時間割編成問題に取組んだ.この問題は複雑な制約条件を有しており,依然手作業に頼る場合が多く,その作成は非常に困難である.実際,クラス数24のある中学校では,4,5人の教師が1週間程度の時間を費やして作成しており,これらの教師には大きな負担を与えている.この時間割編成問題に対して,タブーサーチを用いた三つの解法を適用した.解法Iは,すべての科目を割り当てた初期解から,制約条件をすべて満たした実行可能解を求める基本的な方法である.一方,解法IIは,制約の強さにより対象科目を三つのグループに分類し,制約が強いグループから順に割り当てを行う方法である.まず,最初のグループの科目からなる部分解を作成するために,これらの科目のみを割り当てた初期解を生成し,制約違反がなくなるまでタブーサーチを適用する.続いて,この部分解に,次のグループの科目を加えて,新たな制約違反がなくなるまで再度タブーサーチを適用する.これらのプロセスを最終グループの科目を割り当てた実行可能解が得られるまで繰り返す.解法IIIは,解法IIで分類した最後のグループに属する科目を,さらに,学年ごとに細分化し,合計5グループに分けてから順に割り当てを行う方法である.実問題を解くことによって,解法IIの有効性を明らかにした.続いて,実行可能解の取得にかかる計算時間には,近傍解の探索クラス数や制約条件の重み付けが大きく影響することも示した.さらに,実行可能解の分布状況に関しても言及した.
著者
浅野 誠 太田 宏
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.335-343, 1997-02-15
被引用文献数
3

実生産では, 食事時間, 機械のメンテナンス期間や休日のような操業させたくない時間帯が存在する.そのような稼働停止時間帯は事前に設定され, ジョブの分割処理が不可能な場合には制約条件となる.本報ではまず, ジョブごとに到着時刻と納期が異なり, 稼働停止時間帯と処理順序に依存して異なる段取り時間を考慮した最大納期遅れ最小化の単一機械スケジューリング問題を扱い, 分枝限定法に基づく解法アルゴリズムを提供する.さらに, 得られたスケジュールの納期遅れをできるだけ回避したいときに, 休日出勤やメンテナンスの後回しで対応し, そのための勤務時間の調整や振替休日, メンテナンス時期の再設定を可能にするために, 停止時間の長さを厳守した上で稼働停止時間帯を移動し, 最大納期遅れを減少させるスケジューリングアルゴリズムを提案する.提案法は, 複数の納期遅れ減少スケジュールの作成が可能であり, 納期遅れをできるだけ回避したスケジュールの作成を支援するものである.
著者
水野 浩孝 森山 弘海 羽田 隆男
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.268-277, 2015 (Released:2015-03-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1

サプライチェーンにおいて,最終需要の変動が増幅されながら上流側へ伝搬するブルウィップ効果と呼ばれる現象が知られている.ブルウィップ効果の抑制には最終需要情報の共有が有効と言われているが,現実のチェーンでは情報共有の実現は必ずしも容易ではない.本論文では,チェーンの各段階が上流段階に発注する際に,発注情報とともに最終需要情報も伝達するモデルを取り上げる.このモデルでは,上流側ほど遅れがあるものの,最終需要情報共有が実現される.評価式ならびにシミュレーション実験によりモデルを評価し,時間的に遅れた最終需要情報であっても,各段階がそれらを共有することでブルウィップ効果を抑制できることを明らかにした.
著者
朝倉 涼次 勝又 大介 玉置 研二
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.37-48, 2016

機器の故障原因の迅速な特定のために,原因特定に要する作業時間の期待値に基づいて作業を指示する方法を提案する.本方法では,故障原因特定のための2種類の作業,すなわち故障原因の候補を絞り込むための診断作業と,真の故障原因を特定するための確認作業をノードとするグラフィカルモデルを用い,グラフィカルモデルを分割した小規模なグループごとに期待値最小となる作業順序を決定する.故障原因を乱数で発生させるモンテカルロシミュレーションを用いて提案方法を評価し,従来の作業指示方法と比較して原因特定にかかる作業時間を短縮できることを確認した.
著者
北村 拓海 椎名 孝之
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.37-45, 2021-04-15 (Released:2021-05-15)
参考文献数
13

プロジェクトの遂行において,作業の所要時間は作業の工数と作業へ投入される資源数によって決定される.資源の投入数を増加することによって,所要時間は短縮される.さらに資源の投入数の増加に伴い,作業にかかる費用は増加する.このような問題は,時間費用トレードオフ問題 (The Time/Cost Trade-off Problem) と呼ばれる.本研究では,時間と費用の関係が反比例の関係にあると仮定する.作業の所要時間が確率変数によって定義されるような曲線型時間費用トレードオフ問題に対して,確率計画法による定式化と解法および数値実験結果を示した.
著者
松本 卓夫 久保寺 静 志田 敬介 松川 弘明
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.65-74, 2021-04-15 (Released:2021-05-15)
参考文献数
22

近年スマート工場に関する研究が注目を浴びている.Industry 4.0に代表される第4次産業革命ではスマート工場が主役となっており,多くの研究論文が発表されている.しかしながら,その多くは自動化,知能化,IoT(Internet of Things), AI (Artificial Intelligence) に関するものであり,運営における同期化や柔軟性を考慮した設計に関する研究は見られない.本研究では,プロセスチーズ工場における乳化工程と充填工程を対象とし,設備償却費用,稼働費用,同期化費用,および柔軟性費用を考慮した設計問題を考える.スマート工場は必要なものを,必要な時に,必要な量だけ,効率よく製造することが必要条件であり,需要の変動など外部環境の変化や内部環境の変化に柔軟に対処できるように設計する必要がある.工場を設計するときに運用,同期化,柔軟性を考慮することが工場のスマート化に貢献できると考え,投資決定変数と運用決定変数を用いてモデル化を行う.乳化工程と充填工程には複数の設備を設置することができるとし,設備能力と台数の組み合わせを最適化することを目的とする.投資と運用を同時に考える場合,目的関数が非線形になる.そして,組み合わせ数が膨大になり組み合わせ爆発を起こすため,問題の特徴を用いて階層化し,効率的に最適解を求めるアルゴリズムを提案した.また,提案モデルは数値実験を通じてその妥当性を評価し,さらに事例研究を通じて既存工場の運営を評価すると同時に,非合理的な投資を合理的にするための分析を行った.
著者
小野里 拓也 佐藤 眞木彦 井田 憲一
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.157-165, 2019-10-15 (Released:2019-11-15)
参考文献数
24
被引用文献数
1

病棟看護師の勤務スケジュール作成は, 看護師長ら多忙なスタッフが多大な作業時間と労力を費やす消耗的な作業である。従前より自動化が強く望まれているこの問題は, ナーススケジューリング問題 (NSP) と呼ばれており, 異なるレベルの制約が縦横に絡まった複雑な組合せ最適化問題である。NSPに対して, 多くの最適化手法により様々な研究がなされている。中でも遺伝的アルゴリズムなどのヒューリスティクス手法が有望な結果を出しているが, その多くは実用規模の問題に対して, 全ての制約違反を解消した解の導出を実現できていない。またNSPには, 有料の製品も幾つか提供されているが, 経費が予算と折合わないことが間々ある. 更には, 商用ソフトのあるものは膨大な計算コストが必要だったり, また別のものは問題の性質によっては探索性能が安定しないなど, 問題を抱えているものもある。そこで本研究では, 遺伝的アルゴリズムを用いて, 実用時間内に安定して最良スケジュールが導出できるNSPシステムの開発を目指す。このシステムでは, 看護師間の勤務バランスを考慮しながら, 勤務シフトに関する要請とシフトパターンの制約を充足する解を導出することを目標とする。
著者
浅野 誠 太田 宏
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 = Journal of Japan Industrial Management Association (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.218-227, 1998-10-15
被引用文献数
2

本論文では, 機械に稼働停止時間帯が設定され, 各ジョブには納期厳守制約と生産開始時刻の非負制約のある単一機械スケジューリング問題を考える.稼働停止時間帯は, 休憩時間, 休日や機械の保守期間などの操業させたくない時間帯であり, 稼働停止時間帯ではジョブの生産はできないが, 残業や休日出勤などによって停止時間の短縮が可能である.また, スケジュールの最初のジョブの生産開始時刻は非負でなければならない.納期は顧客からの要求に従って設定され, 納期遅れは許されず, 納期に合わせて製品が出荷されるため, 生産終了時刻から納期までは製品を在庫として保持しておくための費用が必要である.この問題を解くために, 本論文では, 納期余裕にかかる在庫保持コストと稼働停止時間帯の停止時間短縮コストの総コスト最小化の近似スケジュール導出アルゴリズムを提案する.そのとき, 稼働停止時間帯の停止時間の短縮にかかるコストは, 停止時間を稼働時間にするための残業費用や機械の保守期間短縮に要する費用に相当する.さらに, 提案アルゴリズムの諸特性を数値実験により示す.
著者
高橋 奈津美 山本 久志 秋葉 知昭 肖 霄
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.232-243, 2018-01-15 (Released:2018-02-15)
参考文献数
9

本論文は,全点間信頼度と総コストの2つの評価尺度を考慮したネットワーク設計問題に対し,効率的なパレート最適解探索アルゴリズムの提案を目的とする.従来のアルゴリズムは全点間信頼度の算出に対して効果的なアルゴリズムであるものの,全ての部分ネットワークについて全点間信頼度とコストの計算を行っているため,パレート最適解の探索の際には,エッジ数が増加するにつれ多くの計算時間を必要とする課題があった.効率的なパレート最適解探索のために,本論文では,連結されるエッジの効率やパレート最適解のランクなど,パレート最適解となる部分ネットワークが持つ要素を調査した.そして得られた傾向と性質を踏まえ,計算が必要な部分ネットワークの制限を行う方法を提案する.この探索空間の制限により,得られる最適解がパレート最適解の真部分集合となるため,提案手法のパレート最適解探索の精度と計算時間の評価を行う.
著者
角 晴美子 稲田 周平
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.47-57, 2020-07-15 (Released:2020-08-15)
参考文献数
15

近年のインターネットを通じたeコマースの急速な進展により,商品の流通コストの削減や納入リードタイムの短縮に向けたサプライチェーン全体の合理化が求められている.商品の商流と物流の接点になる物流センターの役割が高まっており,そこでの効率向上が重要なテーマになってきている.このような問題意識のもとで,本稿では顧客からの注文に基づいて商品棚から商品を回収する物流センターでのオーダーピッキング作業に着目し,この作業を効率化するための方法を考察する.センター内に垂直ならび水平方向に通路を配置したトラディショナル・レイアウトを評価の基準にして,1)作業フロアのレイアウト変更と2)商品の保管位置の変更による効果を検証する.論文の前半では,物流センター内に配置される通路の幅と商品棚の大きさが十分に小さいと仮定したもとでの数理モデルを構築し,上記1)と2)を個別に実施した場合の効果をピッキング作業者の移動距離の観点から評価する.また,論文の後半では,上記1)と2)を組み合わせた複合方策を提案し,その効果を評価している.方策1では,商品の集積地点を倉庫フロアの下辺中央に移動すると共に斜めの通路を導入する.更に,出荷頻度に応じて商品を2段階に分けた上で保管位置を決めるクラス別保管が行われる.方策2では,商品の集積地点を倉庫フロアの下辺中央に移動すると共に,倉庫フロアを45度の斜め線で区切ってクラス別保管が行われる.結果として,提案したいずれの複合方策も,基準とするトラディショナル・レイアウトでの作業に比べて作業者の平均移動距離が25%以上短縮されることを明らかにした.
著者
古賀 裕之 谷口 忠大
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.144-156, 2014 (Released:2014-11-14)
参考文献数
19

本稿では話し合いにおいて,参加者の自由な発話タイミングを阻害することなく,均等な発話を促すことのできるコミュニケーション場のメカニズムとして発話権取引を提案する.発話権取引では参加者に等しい数の発話権が与えられ,これを自由に行使することで参加者は話し合いに参画することができ,また,発話権は自由に融通しあう事ができる.このメカニズムの特徴を実験に基づいて検討した.また,経済学的な考察を与えた上で,付加的な要素として発話振興券を導入し,その導入効果を実験に基づき評価した.発話権取引は,話し合いにおいて誰かが司会を行う負担を減らし,また,意思表示や理由に関する発言数を増やすことが分かった.
著者
浅野 誠 太田 宏
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.292-297, 1996-12-15

ジャストインタイム生産環境では, 納期は顧客からの要求に従って設定され, 納期遅れは許されず, また, 納期に合わせて製品が出荷されるため, 生産終了時刻から納期までは製品を在庫として保持しておかなければならない.在庫費用の最小化を図るため, 納期厳守下で重み付き納期余裕最小化の単一機械スケジューリングを考えるときに, 計画期間の基準時刻を0とし, すべてのジョブの着手可能時刻を0とすると, 納期厳守の制約と生産開始時刻の非負制約から, 与えられた問題の解が不能となる場合がある.その場合, 実生産では何らかの対処を行い, 実行可能スケジュールを作成しなければならない, 本報では, そのような納期厳守スケジュールが存在しないときの対処法として, 生産時間短縮の可能な場合を扱い, 生産時間の短縮コストと納期余裕にかかる在庫コストとの総和最小化の納期厳守スケジュールを作成するための近似アルゴリズムについて述べる.また, 提案アルゴリズムの諸特性を数値実験により示す.
著者
浅野 誠 日野 昌樹 太田 宏
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.226-234, 1999

本論文では, 着手可能時刻と納期の制約の下での総在庫コスト最小化の単一機械スケジューリングを扱い, 分枝限定法に基づく最適アルゴリズムを提案する.ここで, 着手可能時刻は, ジョブのすべての先行作業が終了する時刻や原材料の供給可能な時期を意味し, 着手可能時刻以前に生産の開始ができない.一方, 納期は顧客によって設定されるため, 納期遅れが許されず, また, 生産終了時刻から納期まではジョブを在庫として保持しておくための費用が必要となる.本問題は, 実行可能スケジュールの作成すら容易ではなく, また, 最適スケジュールには遊休時間が挿入されうるため, ジョブの順序付けにあたり, 各ジョブの終了時刻を考慮しなければならない.提案法では, Backward-WSPTルールによるスケジュールを利用した子ノード生成方法が用いられ, さらに, 割り付けられるジョブ数の異なる子ノードが生成される.また, 提案法において, 探索の途中打切りによって得られる解が良い近似解を与えることを数値検証により示す.
著者
松田 眞一 吉野 睦 仁科 健 石井 成
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.244-250, 2018-01-15 (Released:2018-02-15)
参考文献数
8

混合系直交配列表は実験計画でよく用いられるが,結果に応答曲面法を適用することがある.L18, L36直交配列表は2因子交互作用が他の列と均等に交絡しないことが知られているが,応答曲面法を適用する際の問題点は明らかではない.本論文では,交絡の可視化に基づくパターンの分類を行い,応答曲面法を適用する場合にどの列を用いるべきかをCNに基づいて検討する.結果として最適と思われる利用列を指摘することができた.
著者
関 庸一 亀倉 大和
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.161-172, 2012-10-15 (Released:2017-11-01)
参考文献数
18
被引用文献数
1

本研究では,POS等により収集される販売履歴データから,単一商品の日々の売価を設定する方法を提案する.まず,販売数量がポアソン分布し.価格弾力性が一定であるという仮定の下で.一般化線形モデルを推定することにより.販売数量を予測する方法を提案する.これにより,ストアレべルで日々の単一商品の価格と販売数量から,モデルのパラメータとして価格弾力性と需要曲線が推定できる.ポアソン分布の仮定により,日々の少ない販売数量での価格弾力性の推定が可能となる.第2に,推定される価格弾力性,売価,仕入価格の三変量の粗利水準への関係を明らかにすることで.粗利を最大とする売価の設定法を与え,日々の粗利を極大化する方法として,定価政策と特価政策の二つがあることを示す.また,長期に販売政策を考える場合に価格弾力性を制御することができれば,短期利益を犠牲にした低価格の訴求などにより,より高い粗利を実現できるシナリオが存在することを示す.最後にドラッグストアでのPOSデータを用いた推定事例で価格弾力性を推定し,対象店舗の価格戦略を検証する.
著者
曹 徳弼 圓川 隆夫
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.321-330, 1998
参考文献数
14
被引用文献数
1

本研究は多期間配送スケジューリング問題において, 車両台数や時間(資源)を一定にしたもとで, その利用率を最大にすることにより在庫や欠品削減を図る資源利用率最大化問題を提案するものである.具体的には1つのデボがN個の小売店に商品を供給する場合の多期間配送計画問題を考え, 週末に需要が高くなるような周期的に変動する需要に対して, 与えられた資源の利用率を最大化するとともに, 小売店における在庫水準と欠品率を最小限に押さえるための多期間配送計画モデルを構築し, その解法を提案した.提案したモデルおよび解法の有効性を検証するために, 自動販売機の実データとFTPサイトからのテストデータを用いて現状法および従来法を比較対象に数値実験を行った.その結果, 時間の利用率は最大99.67%まで上げるとともに, 平均最大在庫, 平均在庫, および欠品率を最大17.35%, 25.7%, および14.77%それぞれ削減でき, 資源利用率最大化の効果が表れた.
著者
佐藤 公俊 中本 達也 中島 健一
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.77-83, 2018-07-15 (Released:2018-08-15)
参考文献数
10

本研究では,生鮮食品のPOS(Point Of Sales:販売時点情報管理)データを用いて最適な値引き販売の開始時刻を求め,販売収益および廃棄率への効果を明らかにする.Feng and Gallego(1994) により導かれた総期待売り上げの最大化のための値引き時刻決定アルゴリズムを適用し,在庫量に依存する時間についての閾値型で与えられる値引き戦略を視覚的に示す.さらに,最適な割引価格についても数値的に検討する.その結果,現状の販売方法と比較し,約17.4%の収益改善効果が得られた.