著者
鈴木 秀男 宮田 知明
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.71-79, 2002-04-15
被引用文献数
2

世界の経済活動におけるサービス産業の役割はますます増加し, サービスをどのように顧客に提供し, 満足してもらうかというサービス・マーケティングの問題が重要となっている.また, 成熟市場において, 既存顧客をどのように維持していくか, すなわち顧客ロイヤルティの向上に重点が置かれている.本研究では, ファーストフード業におけるサービス・クオリティ評価の構造化とサービス・クオリティ, 顧客満足度とロイヤルティとの関係を調べるための構造モデルの構築を行う.適用例として, マクドナルドとモスバーガーの2つのファーストフードチェーンを取り上げる.
著者
大宮 望 山本 久志 大場 允晶 丸山 友希夫 中邨 良樹
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.92-99, 2016 (Released:2016-09-07)
参考文献数
13

近年,情報システムは企業にとって経営上,なくてはならない存在となってきている.情報システムの保守工程は,開発工程より費用が多く掛るといわれており,経営課題の一つとなっている.その原因の一つに,バグに関係する問い合わせがある.この問い合わせは,発生することを予測することが出来ないため,準備が出来ずに対応に多くの時間を要する.バグに関係する問い合わせが発生する要因については,様々な研究がなされているが,明確な分析はなされていない.そこで本研究では,バグに関係する問い合わせの内容,時間及び件数をクラスタ分析し,考察することによって,その発生要因を明らかにする.これをもとにバグに関する問い合わせの発生を,予測するモデルを提案する.これに加えて,予測モデルを実現場で利用するために「情報提供シート」も合わせて提案する.
著者
紀 永儒 柳川 佳也 宮崎 茂次
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.297-305, 2010-02-15
被引用文献数
1

病院の外来患者待ち時間を短縮するために,本研究では,待ち行列理論を用いたイベント駆動型ネットワークの方法を利用する.そのため,まずは対象になる病院の診療科の待ち行列全体をイベント駆動型ネットワークモデルで構築し,病院の総合受付の到着分布とサービス分布のモデルはM/G/sとする.次に,患者歩行速度を所与とし,診療科間の距離に比例して診療科間の患者の移動時間を決めた上で,患者の期待滞留時間と期待サービス時間に基づく割振りディスパッチングルールを提案する.その後,患者が次に受診しうる診療科の窓口が複数ある場合とない場合,さらに複数のとき,それらの診療科の窓口が空いている場合と空いていない場合に対して,提案ディスパッチングルールによって患者をスケジューリングする.最後に数値実験を通して,患者の総待ち時間への提案の効果を検証する.
著者
添田 大智 加幡 美音 開沼 泰隆
出版者
Japan Industrial Management Association
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.23-29, 2015

2011年3月11日,日本を大震災が襲った.震災を通し,今,日本では防災への意識が高まっている.ロジスティクス分野も震災時の救援物資の輸配送に関する検討が多くなされ,物資が被災者のもとに十分に届かないという事態に対する対策が課題とされていた.本研究では,東日本大震災の実際の物資の流れから避難所と市町村レベルの集積所の関係に着目し,ロジスティクス・モデルの提案を行っている.本研究の目的は,災害の混乱状態の中で被災者の物資に対する満足度の最大化を実現するロジスティクス・モデルの提案である.特に,避難所では様々な物資に対してニーズがありその需要に応えるべく,多品種ネットワーク・フローの考えを用いたモデルの提案を行った.また,被災者の需要量を平等に満たすべく,平等な供給に着目した目的関数を設定し,より現実的な災害時のロジスティクス・モデルの提案を行っている.最後に,東日本大震災で被害を受けた福島県相馬市を例として数値実験を行い,本研究で提案したモデルの有効性を検証している.
著者
熊澤 光正
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.343-350, 2006-10-15
参考文献数
18
被引用文献数
3

近年,トヨタ生産方式で開発された多工程持ちの導入に伴い,歩行を伴う立位作業の導入が進んでいる.本研究は,歩行を伴う立位の縫製加工業に新規に従事した高卒女性従業員について,16週間にわたり「自覚症状しらべ」を用い経時的調査を行ったものである.同時に,経験者,他の作業姿勢との比較を行った.この結果,今回の分析対象者は自覚疲労の訴えは第1週が高くしだいに減少し,ゴールデンウイークで再度増加するものの,自覚疲労の側面からは,速やかな作業への適応がみられた.また,他の作業姿勢との比較では,自覚疲労の側面からは,立位より低く椅子座位とは同程度であった.
著者
古賀 裕之 谷口 忠大
出版者
Japan Industrial Management Association
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.144-156, 2014

本稿では話し合いにおいて,参加者の自由な発話タイミングを阻害することなく,均等な発話を促すことのできるコミュニケーション場のメカニズムとして発話権取引を提案する.発話権取引では参加者に等しい数の発話権が与えられ,これを自由に行使することで参加者は話し合いに参画することができ,また,発話権は自由に融通しあう事ができる.このメカニズムの特徴を実験に基づいて検討した.また,経済学的な考察を与えた上で,付加的な要素として発話振興券を導入し,その導入効果を実験に基づき評価した.発話権取引は,話し合いにおいて誰かが司会を行う負担を減らし,また,意思表示や理由に関する発言数を増やすことが分かった.
著者
西口 宏美 辛島 光彦 齋藤 むら子
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.137-144, 2008
参考文献数
19

本研究は,地域社会において提供される社会資源を要介護者のニーズに対応可能なものとして整備していくための指針を得るために,通所リハビリテーションで提供される介護とリハビリテーション・サービスに対する利用者の満足度と利用時のwell-being感について把握することを目的としている.介護老人保健施設で提供される通所リハビリテーションの利用者59名を対象に,提供されているサービスに対する満足度と利用時のwell-being感に関する調査を行ったところ,以下のような結果が得られた.(1)利用者は,提供されるサービスについて概ね高い満足感を抱いており,その中でも特に入浴介護に対する満足度が高かった.また,男女間で満足度の異なるサービス項目がみられ,特にコミュニケーション活動においては女性群の方が高い満足度を示した.(2)サービス利用時の well-being感においては,性差や他の利用者との人間関係により差異が見られ,女性群ならびに人間関係に満足と回答した群においてwell-being感が高かった.以上の結果より,要介護者のニーズを満たすためには,介護サービス利用者の性差や他の利用者との人間関係について十分配慮し,きめ細かいサービスの提供が必要であると考えられる.
著者
青木 洋貴
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.247-256, 2007
参考文献数
17

本研究は,高度な認知・精神作業であるとともに,審美的な観点も重要となるような印刷広告制作作業に対して,IE的なアプローチの有効性を示すことを意図し実施している.本論文では,このような印刷広告制作作業のうち,特に広告レイアウト作業に着目している.IEの基本となるタスク分析をここで実施するために,観察されるアクションならびにプロトコルデータを用いることで適切に記録するためのタスク記述方法を提案している.さらにこの記述に基づき,作業遂行にあたってのデザイナの創造性診断に向けた基本的な考え方ならびに実施手順についても提案する.一連の方法を熟練したデザイナを用いた印刷広告制作実験により得られたデータに対して,ここで提案する方法を試験的に適用した.この適用から,デザイナの作業における進行・停滞状況の把握が可能であること,および定量的な評価が可能となることを示した.
著者
丸山 友希夫 松本 耕成 山本 久志 中澤 智秀 田邊 昌宏
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 = Journal of Japan Industrial Management Association (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.283-292, 2004-12-15
被引用文献数
3

1日の配水量予測については, 需要に影響を与える要素と配水量との相関関係から, 重回帰分析による予測方法が提案されている.本論文では, 給水地域の経済状況の変化等をトレンドとして考慮した1日の配水量予測の方法を提案し, 実測値と予測値の予測誤差率を用いて予測精度の評価を行ったところ, 既存研究より予測精度が向上する結果を導いた.さらに, 予測精度は予測式を導く際に必要となる調整要素に関わると考え, 予測精度を向上させると考えられる調整要素について統計的手法を適用して追及した.その結果, 本論文における予測範囲内においては, 予測方法, 回帰データ選定期間, 使用した過去年数に有意差が認められた.
著者
董 彦文 中村 塁 北岡 正敏 太田 宏
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.17-24, 1997-04-15
被引用文献数
2

現実のスケジューリング問題では, 作業時間が正確に決められない場合が多い.不確かな作業時間をファジィ数として取り扱うことによって, 人間の主観的判断に合致しており管理者により理解しやすい解は得られるが, ファジィ数の演算を導入することが必要となり, いろいろな計算上の問題が生じる.そこで, 本論文では, 非一様型並列機械スケジューリング問題を対象として, 作業時間が三角型または台形型ファジィ数であるファジィスケジューリング問題を解決する簡便解法を提案した.つまり, 与えられたファジィスケジューリンダ問題の中で, 各々のファジィ作業時間をその一般化期待値GMV(Generalized Mean Value)値で置き換えて非ファジィのスケジューリング問題を生成し, この非ファジィの問題の最適(良)解を求めることによって, 与えられたファジィスケジューリング問題の最適(良)解を得ることができることを示した.また, 計算例を通じて提案解法の有効性を確認した.
著者
荒川 雅裕 冬木 正彦 中西 弘樹 井上 一郎
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.603-612, 2001-02-15
被引用文献数
3

生産スケジューリング業務においてスケジュールに納期遅れジョブが発生した場合, 計画担当者は現有の設備・工数内で遅れジョブを出さないようスケジュールの改善を試みるが, 遅れジョブの発生が不可避と判断した場合には, 工場の保有能力を上位の計画部署より認められた許容範囲内で追加し遅れジョブの削減に努める.しかしながら, 最小の追加能力で納期遅れジョブ数を最小にするには, どの期間, どの設備に, どの程度の能力を追加すればよいかを決定することは難しい.ここではパラメータ空間探索改善法を能力追加を決定する問題に適用し, シミュレーション法に基づく系統的な能力調整法を提案する.さらに, 現実の計画条件データを用いてその方法の有用性を示す.
著者
福永 厚
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.493-502, 2000-12-15

本論文では, テレビ会議などのメディアを介したコミュニケーションと対面のコミュニケーションの違いを分析するためにマルコフ解析を使う方法の提案と, 実際にテレビ会議と対面との比較実験から得られたデータへ適用した結果について述べている.マルコフ解析では, 会議における発言行動を確率事象と捉え, 誰から誰に発言が移ったかという発言推移をマルコフ過程と見て, 平均訪問時間, 平均到達時間, 平均再帰時間を計算した.比較実験では, 会話相手の識別性が異なる3種類のテレビ会議環境と対面環境とで被験者を使って会話をさせた.得られた発言データを使って前述の3つの時間を計算いたところ, それらにはコミュニケーション環境の違いがよく現れていた.
著者
荒木 匠平 小村 亜唯子 平井 裕久
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.15-26, 2022-04-15 (Released:2022-05-15)
参考文献数
21

国内旅行情報サイトを分析対象として,ホテルの口コミに対してテキストマイニングを行い,口コミ内容とランキングとの関係を明らかにすることを目的とする.そのために,口コミの文章データに対してLDA(Latent Dirichlet Allocation)モデルに基づく潜在意味解析を行い,口コミ内容に関する変数(トピック指数)を作成した.そして,トピック指数を説明変数,ランキングを目的変数とする重回帰分析を行った.結果として,口コミデータから3つの内容(風呂・温泉,清潔さ,ウイルス感染対策,スタッフ対応,家族との食事)が抽出され,それを基に5つのトピック指数を作成した.そして,ランキングに対して,「ウイルス感染対策」「スタッフ対応」「家族との食事」のトピック指数が統計的に有意な正の影響があることを明らかにした.
著者
紀 永儒 柳川 佳也 宮崎 茂次
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.297-305, 2010-02-15 (Released:2017-11-01)
参考文献数
9
被引用文献数
1

病院の外来患者待ち時間を短縮するために,本研究では,待ち行列理論を用いたイベント駆動型ネットワークの方法を利用する.そのため,まずは対象になる病院の診療科の待ち行列全体をイベント駆動型ネットワークモデルで構築し,病院の総合受付の到着分布とサービス分布のモデルはM/G/sとする.次に,患者歩行速度を所与とし,診療科間の距離に比例して診療科間の患者の移動時間を決めた上で,患者の期待滞留時間と期待サービス時間に基づく割振りディスパッチングルールを提案する.その後,患者が次に受診しうる診療科の窓口が複数ある場合とない場合,さらに複数のとき,それらの診療科の窓口が空いている場合と空いていない場合に対して,提案ディスパッチングルールによって患者をスケジューリングする.最後に数値実験を通して,患者の総待ち時間への提案の効果を検証する.
著者
鈴木 佐俊 小林 学 後藤 正幸
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.63-76, 2023-07-15 (Released:2023-08-15)
参考文献数
29

家庭用電力消費量データには世帯単位の生活スタイルの情報が含まれており,耐久消費財や世帯向けサービスのマーケティングに有用な情報である.しかし一般的に電力消費量はスマートメータで主幹電力のみが検針されており,家電製品の稼働状態は推定する必要がある.従来ディスアグリゲーション技術を用いて各家電製品の電力消費量を推定する試みはいくつか研究されているが,追加センサが必要になるなど実用上はコスト面の問題が存在した.これに対し,本研究ではマーケティング用途に特化した世帯属性情報として観測された主幹電力データから家電製品の稼働・非稼働を推定することに特化した問題を定型化し,混合正規分布を用いてスナップショットでの状態推定モデルを提案する.またシミュレーション実験により,提案モデルが実用上有効な正解率を有していることを示すとともに,推定のインプットとなる機器状態の事前確率分布と提案手法との関係性について示す.本モデルは追加センサを必要としない,低いコストでマーケティングに利用可能な世帯のエネルギー消費傾向情報を得る世帯属性の推定方法であり,エネルギー事業者にとって世帯を対象とした省エネ推進等の施策のための基礎情報として活用が期待できる.
著者
柿本 陽平 大前 佑斗 豊谷 純 原 一之 高橋 弘毅
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.77-89, 2023-07-15 (Released:2023-08-15)
参考文献数
20

2021年9月現在,COVID-19が世界的に流行し日本の外食産業においては,店舗の営業形態が強く制限されている.多くの飲食店はガイドラインに従った感染予防対策を講じており,特に顧客同士の物理的距離が保てるような座席表を作成する,という手法がよく見られると思われる.しかし感染リスクを削減する座席割当は,店内の混雑状況により常に同一とは限らない.そこで本研究は,店舗運営者が感染リスクを単一のパラメータθにより定量的に調整することができる座席割当モデルを提案する.パラメータθは店舗内の空間全体に対する感染リスクの閾値となる.提案したモデルを仮想の飲食店に適用した結果,店舗の収益損失を減らしつつ感染リスクの削減効果が期待できること,単一のパラメータにより感染リスクと収益を調整できることが確認された.
著者
山本 久志 浜田 康平 長塚 豪己
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.218-225, 2009-10-15 (Released:2017-11-01)
参考文献数
16

ある試行列において,同じ結果がk回またはk回以上連続して発生したものをオーダーkの連と呼ぶ.本論文では.s種類の結果を有するn回の試行におけるオーダーkの連の数の確率分布について考える.連を数える方法として4種類のカウント方法が提案されているが,本論文では,オーバーラップを許さない場合(TYPE I)にオーダーkの連の数の確率分布を効率的に計算するための算出方法を提案する.そして,提案した算出方法の効率性の評価のために計算時間オーダーを求め,さらに数値実験により全数列挙法と計算時間の比較を行う.その結果,本論文で提案する算出方法が,特に試行回数nが大きなシステムにおいて効果的である事を示す.
著者
渡部 和雄
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.1-11, 2015 (Released:2015-06-15)
参考文献数
32

電子書籍は多くの利点を持つが,現状では出版物市場の1割以下を占めるに過ぎない.そこで,電子書籍の利用促進の示唆を得ることを研究目的とした.電子書籍利用とインターネット利用の親和性の高さに着目し,まずは消費者の電子書籍や情報受発信に対する意識や行動について質問紙調査を行った.そして,回答の探索的因子分析を行ったところ,電子書籍の長所・短所,ネットで情報収集・発信など7つの因子が抽出された.検証的因子分析を経て,構造方程式モデリングを用いて,消費者の電子書籍利用意向モデルおよび電子書籍利用頻度モデルを構築した.これらのモデルを基に,電子書籍事業者向けに消費者の電子書籍利用を促進する方策を提案した.
著者
加藤 拓巳
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.12-23, 2020-04-15 (Released:2020-05-15)
参考文献数
52

再購入率を高めることは,企業の効率的な利益に貢献する.したがって,その要因を特定し,効果的に投資することが重要である.しかし,多様な企業活動や顧客との接点を横断的に評価した事例は少ない.本研究では,自動車業界の企業・商品・販売会社の観点から,再購入意向に寄与する要因を共分散構造分析で評価した.その結果,販社スタッフの魅力が最も効果的であり,次いで商品の魅力,企業ブランドイメージが寄与することが明らかになった.企業において,プロジェクト数が増大し,大きな負担になるケースが散見される.各部門から上がってきたプロジェクト計画の優先順位を全社的な視点で概算的に判断できる基準を持つことは有益である.
著者
楊 添翔 山下 遥 後藤 正幸
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.54-69, 2022-07-15 (Released:2022-08-15)
参考文献数
22

年間累積購買金額がある額を超えると顧客のステージが上位へ向上し,ポイントなどの特典を提供する会員ステージ制というマーケティング施策がある.この仕組みにより,企業側は,顧客の購買意欲を高めるだけでなく,その購買履歴データを得て優良顧客の特定などの分析に用いることが可能である.この仕組みのもと,会員ステージ間での購買特性の差異を明らかにすることは様々なメリットがある.一方,多様な嗜好を有した顧客が混在した対象データに対しては,クラスタリングモデルを構築することが顧客理解のために有用である.しかし,会員ステージ間で独立に顧客クラスタリングを適用した場合,得られたクラスタを会員ステージ間で紐付けて比較分析することができない.本研究では,会員ステージ間でクラスタ分布の差異が分析できるモデルとその学習アルゴリズムを提案する.