著者
古川 善也 安部 主晃 中島 健一郎
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.1-9, 2019-10-31 (Released:2020-02-06)
参考文献数
40

In this study, we investigated whether the moral self-licensing effect, a phenomenon where the past experience of moral behavior allows for immorality, alleviates guilt and prosocial behavior accompanying immoral behavior. As a moral licensing manipulation, we used an autobiographical recalling task that asked participants to recall their experiences where they engaged in prosocial behavior toward their friends in the past (e.g., Cornelissen, Bashshur, Rode, & Le Menestrel, 2013; Jordan, Mullen, & Murnighan, 2011). Subsequently, we manipulated the participants’ feelings of guilt using the scenario method. The results showed a significant interaction between moral licensing and guilt manipulation. More specifically, in the guilt-induced condition, participants who recalled their prosocial experiences felt less guilt toward present immoral behavior than those who did not. Further, for prosocial behavior, we conducted a moderated mediation analysis using guilt scores as a mediator and guilt manipulation as a moderator. The results showed that, only in the guilt-induced condition, moral licensing reduced prosocial behavior through the guilt scores. These indicate that last behavior as well as behavioral history what they had done before influences guilt and guilt-induced behaviors.
著者
戸谷 彰宏 中島 健一郎
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.84-92, 2017-12-25 (Released:2017-12-25)
参考文献数
19
被引用文献数
2

Our purpose is to examine the affect-free claim in terror management theory. Lambert et al. (2014) reported findings that disconfirm the claim that mortality salience (MS) manipulation does not produce any changes in self-reported affect including negative affect, which is the affect-free claim. As a conceptual replication of their findings, we conducted three studies to examine whether MS manipulation influences self-reported mood. Participants in Study 1 were college students, while Studies 2 and 3 included individuals in their 20s and 50s who were recruited using a web survey. Multiple-choice questions (Studies 1 and 2) and open-ended questions (Study 3) were used as experimental manipulation. Through these three studies, it was shown that MS manipulation elevated negative mood regardless of the experimental manipulation type and participants’ age. In these studies, participants did not demonstrate a cultural worldview defense. Results suggest that we should reconsider the affect-free claim in terror management theory.
著者
清水 陽香 中島 健一郎
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.27.1.4, (Released:2018-04-05)
参考文献数
38

防衛的悲観主義者(DP者)は,方略的楽観主義者(SO者)に比べて自尊心が低く不安が高い一方で,パフォーマンス前の準備を入念に行い,その結果SO者と同程度に高いパフォーマンスを示すとされている。一般に高い不安や低い自尊心は準備およびパフォーマンスを阻害するにもかかわらず,DP者が課題の事前準備に取り組むことができる理由はいまだ明らかになっていない。本研究では,その理由としてDP者には潜在的自尊心の高さがあると考え,DP者の顕在的自尊心と潜在的自尊心に着目した検討を行った。研究1では,質問紙調査によって認知的方略による顕在的自尊心の差異を検討した。また研究2では,Name Letter Taskを用いて潜在的自尊心の差異を検討した。研究1, 2の結果,DP者はSO者に比べて顕在的自尊心は低いものの,潜在的自尊心はSO者と同程度に高いことが示された。
著者
矢澤 順根 古川 善也 中島 健一郎
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.16-24, 2020-07-31 (Released:2020-07-31)
参考文献数
36

Although previous studies suggest that critical thinking may be beneficial to interpersonal relationships (e.g., Hirooka et al., 2000), no empirical studies investigated this effect. Therefore, to investigate the same, we focused on empathic accuracy as an important factor in establishing and maintaining good interpersonal relationships. One hundred and forty-three individuals participated in our web experiment and survey via a crowdsourcing service. We measured critical thinking ability and orientation using the Japanese Watson-Glaser Critical Thinking Appraisal and the critical thinking orientation scale. We conducted the Asian Reading the Mind in the Eyes Test to assess participants’ empathic accuracy. We also measured systematic thinking skills using the Cognitive Reflection Test as a relevant variable. Multiple regression analysis showed that empathic accuracy was positively related to critical thinking ability, but not to critical thinking orientation and systematic thinking. These results suggest that critical thinking ability, especially reasoning ability, may be particularly important for increasing empathic accuracy toward nonverbal information.
著者
中島 健一郎 礒部 智加衣 長谷川 孝治 浦 光博
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.122-131, 2010 (Released:2010-02-20)
参考文献数
30
被引用文献数
3 5

本研究の目的は次の2つである。ひとつは,文化的自己観と集団表象(common identity group vs. common bond group: Prentice, Miller, & Lightdale, 1994)の関連を検証することである。もうひとつは,この関連が個人の経験したストレスフルイベントの頻度によってどのように変動するか検討することである。そのために本研究では大学1年生を対象とする縦断調査を行った。その結果,独自に作成した集団表象尺度が想定どおりの2因子構造であり,信頼性も許容できる範囲であることが示された。加えて,予測されたように,相互協調性とcommon bond group得点に正の関連があり,common bond group得点において文化的自己観とストレスフルイベントの経験頻度の交互作用効果が認められた。相互協調的自己観が優勢な個人の場合,ストレスフルイベントの経験頻度が少ない群よりも多い群においてcommon bond group得点が高いのに対して,相互独立的自己観が優勢な個人の場合,これとは逆の関連が示された。しかしながら,common identity group得点において予測された効果は認められなかった。この点に関して,個人の集団表象と内集団の特徴との一致・不一致の観点より考察がなされた。
著者
中島 健一
出版者
The Human Geographical Society of Japan
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.23-40, 1981-02-28 (Released:2009-04-28)
参考文献数
27
被引用文献数
2 2

1) 北アフリカにおける農耕および家畜の起源については正確な資料がととのっていない。サハラ南部・東部の周辺地方では,旧石器時代晩期(c. 10500 B.C.)に,野草の種実の栽培をはじめたが,新石器時代への連続性については明らかでない。K.W.ブッツェルをはじめ,さいきんの研究によると,エジプトの農耕起源は,近中東地方からの影響のもとに,それらの諸地方から2000±500年ほどおくれて,下エジプトのメリムダやファイユームに始まり,上エジプト・ヌービア地方へ発展していったことを指摘している。エジプトの農業起源を明らかにしようとするとき,新石器時代の資料は,たしかに,ヌービア以北のナイル河谷地帯やデルタ地方に多く,近中東地方からの伝播を裏づけているようである。M.N.コーエンは,その伝播説に反論して,アフリカ固有の農業起源を示唆しているが,なお実証性に乏しい。後氷期の北半球にはいくたびかの気候変動があった。それらの気候変動は,動植物の生態・分布をきびしく制約し,採集=狩猟・なかば家畜飼養の遊牧民たちの生存形態や移動様式,さらに,ナイル河谷のエジプト人たちの歴史形成に顕著な影響をおよぼした。とくに,北半球の中緯度地帯における「亜降雨期」(c. 5500-2350 B.C.)の介在は,農耕および家畜の起源に決定的な影響をあたえた。北アフリカでは,この時期の降雨量はやや多く(100±50mm),冬季にも降雨があった。「亜降雨期」への移行にともなって,エジプトの新石器時代は,さいきんの研究によると,デルタやファイユーム低地から始まっているが,冬季の降雨にめぐまれた丘陵斜面や山麓,ワディの谷口地帯でも,いっせいに“石器革命”をむかえていた。2) サハラ南部・周辺地方やヌービア・上エジプト東部の丘陵地帯に残る多くの岩刻画からみて,それらの諸地方における動物群集はきわめて多種であり,豊富であった。野生動物の馴化にかんするかぎり,農耕発展の径路とは逆に,サハラ南部・東部・周辺地方から,ヌービァ・上エジプトへ拡延していったようである。K.W.ブッツェルによると,その主役は,サハラの採集=狩猟民となかば家畜飼養をともなう東部ハミートの遊牧民たちであった。F.E.ツォイナーは,初期農耕時代に家畜化された哺乳動物として牛や水牛をあげている。東部ハミートの遊牧民たちは,エジプト人が牛を知る1000年も前から,牛を飼育していたのである。3) やや温暖・湿潤な「亜降雨期」は,紀元前4千年紀のなかころから変動し,北アフリカの気象条件は乾燥化しはじめた。そのころ,サハラやその周辺地帯・スーダン・ヌービア・上エジプト地方では,あきらかに,動物群集の最初の断絶がおこっている。ヌービア・上エジプトのナイル河谷の周辺地方から,サバナ景観が荒廃し,象・さい・きりんなどをはじめ,やがて,かもしか類などのサバナの動物群集が消滅しはじめた。そのころ,それらの諸地方の採集=狩猟民やなかば家畜飼養の遊牧民たちはさかんに移動している。4) ナイル川の放水量は,紀元前4千年紀末以降,「亜降雨期」の終息とともに,減少しはじめた。季節的氾濫の水位は,「亜降雨期」のピークに比較して,ヌービアでは8-9m,ルクソール(テーベ)では4-5mほども低下した。河谷のエジプト人たちは,サバナ景観の荒廃と野生動物の減少,あまつさえ,いちじるしい人口増加による食糧危機に対面して,その不安と緊張・心理的圧迫から逃れるために,食糧の新しい生産方法について,その選択をせまられたにちがいない。エジプト人たちは,オアシスやワディの谷口地帯から,さいわい,放水量の減少によって干上ってきたナイル氾濫原へ進出し,まったく新しい食糧生産の方法-すなわち,それまでの旱地農法に比較して,土地生産性のたかい灌漑農法への道を選択し,ひらいていく。その過渡期はナカーダ第II期から王朝初期(c. 3300-3050 B.C.)であった。また,この時期には家畜飼養をも積極的にすすめた。王朝初期に,ナイル河谷の灌漑耕地は氾濫原の2/3にひろがり,c. 2000 B.C.の資料によると,農耕地と牧草地との面積が等しくなっている。「亜降雨期」への移行は“新石器革命”-すなわち,原始農耕および野生動物の馴化の端緒をなした。その終末・乾燥気候への転移(Wende)は,エジプトのナイル河谷では第2の農業革命-すなわち,貯留式の灌排水農法と家畜飼養とのいっそうの結合をとおして,エジプト古王国(Pyramid Age)への道をひらいたのである。
著者
中島 健一
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.445, 2014 (Released:2016-06-21)
参考文献数
4

ホップHumulus luplusはビール原料の1つとして,その雌株の毬花が風味付けや保存性向上のために利用されている.ビール特有の苦味は,主にフムロンや醸造中に変換されるイソフムロン等の苦味成分によるものである.本成分の存在は古くから知られていたが,昨年,遂に絶対構造の決定が成された.同様にホップの主成分であるキサントフモール(xanthohumol:XH,図1)に関する研究も興味深い.XH は,カルコン誘導体であり,がん予防効果について盛んに研究が行われてきた.Legetteらは,高脂肪食を与えた雄の肥満モデルラットにおいて,6週間XHを投与したところ,体重増加と空腹時血糖値上昇を有意に抑制することを報告したが,最近,その作用に関するさらなる研究が報告された.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Urban J. et al., Angew. Chem. Int. ed., 52, 1553-1555 (2013).2) Legette L. L. et al., Phytochemistry, 91, 236-241 (2013).3) Kirkwood S. J. et al., J. Biol. Chem., 288, 19000-19013 (2013).4) Krajka-Kuzniak V. et al., Toxicol. In Vitro, 27, 149-156 (2013).
著者
清水 陽香 中島 健一郎
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.21-30, 2018-07-01 (Released:2018-07-04)
参考文献数
38

防衛的悲観主義者(DP者)は,方略的楽観主義者(SO者)に比べて自尊心が低く不安が高い一方で,パフォーマンス前の準備を入念に行い,その結果SO者と同程度に高いパフォーマンスを示すとされている。一般に高い不安や低い自尊心は準備およびパフォーマンスを阻害するにもかかわらず,DP者が課題の事前準備に取り組むことができる理由はいまだ明らかになっていない。本研究では,その理由としてDP者には潜在的自尊心の高さがあると考え,DP者の顕在的自尊心と潜在的自尊心に着目した検討を行った。研究1では,質問紙調査によって認知的方略による顕在的自尊心の差異を検討した。また研究2では,Name Letter Taskを用いて潜在的自尊心の差異を検討した。研究1, 2の結果,DP者はSO者に比べて顕在的自尊心は低いものの,潜在的自尊心はSO者と同程度に高いことが示された。
著者
安 瓊伊 中島 健一
出版者
日本社会事業大学
雑誌
日本社会事業大学研究紀要 = Study report of Japan College of Social Work (ISSN:0916765X)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.139-155, 2014-03-01

本研究は2001年度から2010年度まで発行された介護関連学会誌の文献を対象に、介護と関連した研究傾向を分析し、その特徴と介護における現状と研究課題を検討する。459件の文献のタイトルと著者キーワードをテキストデータとして入力し、テキストマイニングの技法で分析を行った。形態素解析による分かち書き処理をして分解し、その構成要素を用いて対応分析とクラスター分析を行った。介護と関連して、認知症高齢者とその家族介護者に関連する研究、介護福祉士の養成教育のカリキュラムや実習、利用者と介護者の意識や従事者の職務満足度とストレスに関する研究など社会や制度政策の変化に伴ってそれと関連する研究が最も行われている傾向が示された。社会や制度・政策の変化と関連する研究と介護現場で求められている研究が最も行われたことが示された。今後、研究内容を吟味し、本研究から得られた知見を補強する必要がある。This study analyzes a tendency to study in conjunction with the care work for documents of care work-related academic journals published from 2001 to 2010 and examines the characteristic and present conditions and theme in the care work. We input titles of 459 documents as text data and performed analysis text mining. We processed leaving a space between words by the morphological analysis and disintegrated it and performed a correspondence analysis and cluster analysis using the component. It showed the tendency that studies were performed most in conjunction with dementia elderly people and family caregivers, curriculum and training of the education of the care worker, the consciousness of users and care givers, the duties satisfaction and the stress of care workers. It was performed most that the studies in conjunction with the change of society, a system and the policy, and the study for the care practice. We examine study contents closely, and it will be necessary to reinforce the knowledge obtained from this study in future.
著者
清水 陽香 中島 健一郎 森永 康子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.202-214, 2016-03-10 (Released:2016-03-21)
参考文献数
28
被引用文献数
3

先行研究では防衛的悲観主義(Defensive Pessimism: 以下DP)が,課題関連場面で高いパフォーマンスを示すために有効な認知的方略であることが示されている。しかし,DPが同様に対人関連場面において有効な方略となるかどうかは定かではない。そこで本研究では,DPが初対面の他者との相互作用場面における行動意図をどのように規定するか明らかにすることを目的に,女子短期大学生(N=202)を対象とする場面想定法を用いた質問紙実験を実施した。DP傾向が複数の他者との会話場面における状態不安や行動意図に及ぼす影響について検討した結果,DP傾向は状態不安と正の関連を持つと同時に,相手の反応に合わせるような行動意図や相手の意見を尊重するような行動意図と正の関連を持つことが示された。
著者
中島 健一朗
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.105-110, 2023 (Released:2023-04-21)
参考文献数
21
被引用文献数
1

ヒトを含め動物が生きていくうえで, 食欲は最も重要な本能の1つである。脳は食欲調節の中心的な役割を担い, その破綻は過食や食欲不振を引き起こす。これは最終的に肥満やサルコペニアにつながるため, 食欲をコントロールしつつ適切な食物 (栄養素) を摂ることが, 健康維持および未病状態の改善に非常に重要となる。食欲の特徴は全身のエネルギーを一定に保つ摂食 (恒常性の摂食) と食の美味しさを追求する摂食 (嗜好性の摂食) に分類できる点である。また, これらの性質は食物の機能という点から見ると, 脳が栄養, 感覚, 機能性成分を感知し, 評価・選択して摂取する仕組みと言える。近年, 脳内の摂食調節の複雑なネットワークが次々に明らかになってきたが, 本項では代表的な仕組みと今後の課題を紹介する。
著者
五井 龍彦 田中 裕久 中島 健一 渡辺 浩二
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会論文集 (ISSN:13446460)
巻号頁・発行日
vol.58, no.678, pp.203-209, 2010 (Released:2010-07-26)
参考文献数
6
被引用文献数
4 3

A half-toroidal traction drive CVT has a feature of small spin at traction pitch in whole speed ratio range of 1:4, which suits to transmit high rotational speed with minimum temperature increase of traction surface. Research activity on traction drive CVT has commenced in 1996 for applying it to an aircraft 24,000rpm constant-speed generator instead of a hydro-static transmission. This paper shows fundamental design of 90kW traction drive integrated drive generator, ``T-IDG", and stability analysis on a sensor-less electro-hydraulic speed control servo-mechanism by bond graphs. The performance test of T-IDG mounted on a test bench and an actual jet engine proved that the control system using sensor-less servomechanism can keep the generator speed within MIL-STD-704E allowable limit against steep changes of speed and load.