著者
宮本 貢 藤原 彰子 田中 仁詞 片木 敏行
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.173-180, 2013-11-20 (Released:2013-11-20)
参考文献数
37
被引用文献数
5

Acute aquatic toxicity of eight major metabolites of the pyrethroid insecticide metofluthrin, potentially formed via oxidation and ester cleavage in the environment, was examined using three representative species, fathead minnow (Pimephales promelas), Daphnia magna and green alga (Pseudokirchneriella subcapitata). All metabolites showed a wide range of toxicity but were more than a hundredfold and tenfold less toxic than metofluthrin to pyrethroid-sensitive (fish and daphnid) and -insensitive (algal) taxa, respectively; 0.44 to >120 mg/L (fish 96-hr LC50), 6.3 to >120 mg/L(daphnid 48-hr EC50), and 2.6 to >110 mg/L (algal 96-hr EyC50). The structural modification via ester cleavage and/or oxidation was found to significantly control the acute aquatic toxicity of the metabolites. The decreased lipophilicity in the metabolites generally resulted in much less acute toxicity, the extent of which was dependent on an introduced functional group such as formyl as a toxicophore and carboxyl causing a higher acidity.
著者
謝 肖男 来生 貴也 米山 香織 野村 崇人 秋山 康紀 内田 健一 横田 孝雄 Christopher S. P. McErlean 米山 弘一
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.58-61, 2017-05-20 (Released:2017-05-20)
参考文献数
10
被引用文献数
41

トウモロコシが生産する根寄生雑草種子発芽刺激物質の1つを単離し,その構造を各種機器分析により,methyl (2E,3E)-4-((RS)-3,3-dimethyl-2-(3-methylbut-2-en-2-yl)-5-oxotetrahydrofuran-2-yl)-2-((((R)-4-methyl-5-oxo-2,5-dihydrofran-2-yl)oxy)methylene)but-3-enoate(1)と決定し,ゼアラトン酸メチルと名付けた.ストリゴラクトンの生合成前駆体であるカーラクトンの13C標識体の投与実験から,1はトウモロコシ体内においてカーラクトンから生合成されることを確認した.1は根寄生雑草Striga hermonthicaおよびPhelipanche ramosaの種子に対して強力な発芽刺激活性を示したが,Orobanche minorの種子に対する活性は100倍弱かった.
著者
貞包 眞吾 酒井 智代 林 明子 大川 秀郎
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.410-413, 1998-11-20 (Released:2010-08-05)
参考文献数
9
被引用文献数
2

カーバメイト系除草剤クロルプロファム (IPC) の免疫化学測定法を確立した. パプテンとしてIPCのカルボン酸誘導体 (IPC-COOH) を合成し, それを牛血清アルブミンに結合させて免疫原を調製し, この免疫原をウサギに免疫して抗血清を得た. 調製した抗血清とマイクロプレート上の抗原 (IPC-COOHとウサギ血清アルブミンの結合体) との結合をIPCは競合的に阻害した. 次いで, プレートに結合した抗体の量を酵素標識抗ウサギIgGヤギ抗体を用いて求める方法によりIPCのELISAを確立した. IPCによる抗原抗体反応の50%阻害および検出限界濃度はそれぞれ140ppbおよび5ppbであった. 得られた抗体のカーバメイト系やウレア系の農薬に対する交差反応性は極めて低かった. この方法はジャガイモ中のIPCの測定に適用することができた. ジャガイモ中のIPCはメタノールにより抽出し, メタノール抽出液を20倍に希釈した後, 測定した. その検出限界濃度は0.3ppmであった.
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.407-414, 1995-08-20 (Released:2010-08-05)
著者
佐伯 学 矢野 哲彦 中屋 潔彦 玉田 佳丈
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.102-106, 2016-08-20 (Released:2016-08-23)
参考文献数
9
被引用文献数
5

Metazosulfuron is a novel sulfonylurea herbicide discovered and developed by Nissan Chemical Industries, Ltd., which exhibits excellent herbicidal activity against Echinochloa spp., annual and perennial weeds including sulfonylurea resistant biotypes in paddy fields at 60–120 g a.i./ha with good crop safety to rice. In addition, it has favorable toxicological, ecotoxicological and environmental profile. Metazosulfuron (trade name; Altair®) was registered and launched in Japan in 2013, and has been also introduced in Korea and China as of 2016. This paper describes a history of discovery, syntheses, herbicidal characteristics and crop safety of metazosulfuron.
著者
三浦 友三 馬渕 勉 東村 稔
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of pesticide science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.219-240, 2003-05

ピラフルフェンエチル(pyraflufen-ethyl)は日本農薬(株)によって創製され、実用化されたプロトポルフィリノーゲン酸化酵素(Protox)阻害型除草剤である。本化合物はコムギに対して高い安全性を示すと共に広範囲の広葉雑草に対して10g a.i./ha前後の低薬量で極めて高い除草活性を示す。特にコムギ栽培における難防除雑草の一つであるヤエムグラ(Galium aparine)に卓効を示す。ピラフルフェンエチルは日本ではムギ用除草剤として、エコパートフロアブルの商品名で1999年に農薬登録の許可を得て販売を開始した。また同時に果樹園の下草防除や非農耕地の非選択性除草剤として、グリホサートトリメシウム塩との混合剤であるサンダーボルトの販売も開始した。さらに、2001年バレイショ枯凋剤として、デシカン乳剤の販売を開始した。これらは海外においても14か国で登録・上市され、数か国で開発途上にある。本稿では、ピラフルフェンエチルの創出の経緯、工業的製造法、構造活性相関、除草活性、作用機構、各種毒性試験結果について概要を述べる。
著者
謝 肖男
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.175-180, 2016-11-20 (Released:2016-11-20)
参考文献数
57
被引用文献数
64

Strigolactones (SLs) are plant secondary metabolites that were first identified as germination stimulants for the root parasitic weeds witchweeds (Striga spp.) and broomrapes (Orobanche and Phelipanche spp.). In the rhizosphere, SLs also promote root colonization by arbuscular mycorrhizal fungi. In plants, SLs as a novel class of plant hormones regulate various aspects of plant growth and development. Herein I discuss structural diversity of naturally occurring SLs and their distribution in the plant kingdom.
著者
Said Salama Moselhy 浅見 忠男 Khalid Omer Abualnaja Abdulrahman Labeed Al-Malki 山野 博之 穐山 忠大 和田 隆之介 山岸 卓矢 彦坂 政志 岩川 純也 岡田 憲典 森 昌樹 Taha Abduallah Kumosani
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.79-82, 2016-08-20 (Released:2016-08-23)
参考文献数
25
被引用文献数
11

ポリアミンは,生長,分化や形態形成といった生体内の基本的な生理過程のみならず様々な環境ストレスへの抵抗性にも関与していることが報告されている.本論文では,ポリアミンの一種であるスペルミジンのイネいもち病に対する抵抗性を高める効果について報告している.まずイネへのスペルミジン処理がイネいもち病への抵抗性を付与することを,続いてサリチル酸シグナル経由の病害抵抗性マーカー遺伝子であるPR1bとPBZ1やファイトアレキシン生合成遺伝子であるCPS4やNOMTの発現を上昇させることを明らかにした.本論文はイネ病害抵抗性におけるスペルミジンの関与を初めて示した点に意義がある.
著者
片岡 良太 高木 和広 榊原 風太
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.326-332, 2010
被引用文献数
1

好気的にエンドスルファンを分解するMortierella sp.W8とCml-45の2株を有機塩素系殺虫剤が残留している土壌から単離した。接合菌によるエンドスルファンの分解はこれまでに報告がない。本研究で単離した菌株は、25℃で28日間培養することにより、α-エンドスルファンを70%以上、β-エンドスルファンを50%以上分解した。毒性代謝物であるエンドスルファンスルフェートの発生は少量に抑えられ、エンドスルファンジオールの生成が確認された。さらに、エンドスルファンエーテル、エンドスルファンラクトンが代謝物として検出された。エンドスルファンスルフェートを初期基質にした分解試験を行ったところ、スルフェート体は分解できないことが確認された。また、本菌は土壌洗浄法を用いて単離された菌株であり、土壌中で菌糸体として存在していたことが示唆された。そのため、今後、エンドスルファン残留土壌のバイオレメディエーションに有望な菌株であると考えられる。
著者
吉原 照彦
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of pesticide science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.542-546, 2010-11-20

セオブロキシドは植物ホルモンであるジャスモン酸を生成するため,その活性は多岐に亘る.活性を有するか否かについては,セオブロキシド投与後のLOX活性とLOXタンパク質の変化を調べる.LOX活性は反応生成物をUV測定することにより,LOXタンパク質はウエスタンブロット法により可能である.サツマイモ(ベニアズマ,ベニサツマ),東洋蘭[春蘭, 鉄骨素心],キク(寒桜),イチゴ(宝交早生)についてLOX活性がみられたことから,セオブロキシド処理により何らかの効果が見られると忠われる.
著者
杉浦 広幸 藤田 政良
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.433-438, 2003
被引用文献数
1

エテフォン散布が、露地栽培での夏秋ギクの伸長生長における影響、花芽分化や葉色との関係について調査した。供試したいずれの品種もエテフォン散布区の伸長生長は、散布を受ける期間中は抑制され、その後時間が経過して花芽分化が総包りん片形成期から小花形成期となる時期に速く進み、開花が近くなると停止した。花芽分化抑制のためエテフォン200mg/lの3回散布後1000mg/lを散布したところ、'精雲'と'サマーイエロー'は高所ロゼットになり、その後節間伸長が回復してエテフォン200mg/lの3回散布区と同じ高さに伸長した。摘心とエテフォン散布による伸長生長への影響を調査したところ、無摘心のエテフォン散布区と摘心のエテフォン散布区の生長を比較すると、前者は後者に比べて前半の伸長生長が遅れ、その後短時間で進み草丈は追いついた。また、後者の上部展開葉の葉色が明緑色から濃緑色に変化する時期が、前者に比べて遅延した。以上より夏秋ギクにエテフォンを散布処理すると、散布後直ちに花芽分化、伸長生長および上部葉の濃緑色化を抑制するが、時間経過とともに伸長生長抑制活性は低下し、最終的には草丈の伸長生長を促進した。
著者
杉浦 広幸 藤田 政良
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌(Journal of Pesticide Science) (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.433-438, 2003
被引用文献数
1

エテフォン散布が、露地栽培での夏秋ギクの伸長生長における影響、花芽分化や葉色との関係について調査した。供試したいずれの品種もエテフォン散布区の伸長生長は、散布を受ける期間中は抑制され、その後時間が経過して花芽分化が総包りん片形成期から小花形成期となる時期に速く進み、開花が近くなると停止した。花芽分化抑制のためエテフォン200mg/lの3回散布後1000mg/lを散布したところ、'精雲'と'サマーイエロー'は高所ロゼットになり、その後節間伸長が回復してエテフォン200mg/lの3回散布区と同じ高さに伸長した。摘心とエテフォン散布による伸長生長への影響を調査したところ、無摘心のエテフォン散布区と摘心のエテフォン散布区の生長を比較すると、前者は後者に比べて前半の伸長生長が遅れ、その後短時間で進み草丈は追いついた。また、後者の上部展開葉の葉色が明緑色から濃緑色に変化する時期が、前者に比べて遅延した。以上より夏秋ギクにエテフォンを散布処理すると、散布後直ちに花芽分化、伸長生長および上部葉の濃緑色化を抑制するが、時間経過とともに伸長生長抑制活性は低下し、最終的には草丈の伸長生長を促進した。
著者
Masahiro Haramoto Homare Yamanaka Hiroyasu Hosokawa Hiroshi Sano Shinsuke Sano Hiroshi Otani
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.116-122, 2006 (Released:2006-05-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1 11

The control efficacy of a novel fungicide, cyflufenamid, (Z)-N-[α-(cyclopropylmethoxyimino)-2,3-difluoro-6-(trifluoromethyl) benzyl]-2-phenylacetamide was studied. In field trials, a low dosage (25 ppm) of cyflufenamid (10%WG) showed excellent efficacy in almost all plants against powdery mildew caused by various pathogens in agricultural production. Cyflufenamid also had high efficacy against brown rot in stone fruits caused by Monilinia fructicola. The fungicidal properties of cyflufenamid were investigated to elucidate the high performance of the compound in the field. Pot tests against cucumber powdery mildew indicated that cyflufenamid has excellent preventive, curative, long residual, translaminar and vapor phase activities at low concentrations. © Pesticide Science Society of Japan
著者
濱田 崇宏 麻薙 峰子 里沢 智美 安楽城 夏子 番場 伸一 東村 紀一 明瀬 智久 平瀬 寒月
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.152-158, 2014-08-20 (Released:2014-08-20)
参考文献数
26
被引用文献数
2 28

The target site of tolprocarb, a novel systemic fungicide used for controlling rice blast, was investigated. Tolprocarb decolorized the mycelia of Magnaporthe grisea; the decolorization was reversed by adding scytalone or 1,3,6,8-tetrahydroxynaphthalene (1,3,6,8-THN). This result suggested that the target site of tolprocarb was polyketide synthase (PKS), which regulated polyketide synthesis and pentaketide cyclization in melanin biosynthesis. Further, we produced a transgenic Aspergillus oryzae, which possessed the PKS gene of M. grisea, and performed in vitro assays of PKS using membrane fractions from the transgenic A. oryzae. Compared with some conventional melanin biosynthesis inhibitors (cMBIs), tolprocarb only inhibited PKS activity in vitro. These results indicated that tolprocarb’s target protein in M. grisea was PKS, which differentiates this fungicide from other cMBIs.
著者
篠原 信
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.90-94, 2008-02-20 (Released:2013-12-07)
参考文献数
19
被引用文献数
1
著者
上山 純 斎藤 勲 上島 通浩
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.87-98, 2010

現在、ヒトにおける低用量のピレスロイド系殺虫剤曝露に関するリスク評価は、一般には食事からの残留農薬摂取量評価により行われている。ヒトを対象とした研究から得た個人曝露レベルに関する情報は少ないが、それはピレスロイド曝露の生物学的モニタリングが容易でないことに理由の一端がある。この障壁は近年、分析化学の進歩により克服されるようになった。高速液体クロマトグラフ質量分析計やガスクロマトグラフ質量分析計を用いることにより、ピレスロイド系殺虫剤の尿中代謝物の分離及び高感度の定性・定量を、今日では確実に行うことができる。本総説では、尿中ピレスロイド代謝物の生物学的モニタリングについて全体像を提示するとともに、一般生活者集団における尿中代謝物量に関する報告を整理する。そして、環境衛生学領域におけるこのモニタリング研究の将来展望について述べる。