- 著者
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中西 良文
- 出版者
- 日本教授学習心理学会
- 雑誌
- 教授学習心理学研究 (ISSN:18800718)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, no.2, pp.60-69, 2020 (Released:2022-11-07)
本研究は現実のテスト結果における成功/失敗の原因帰属について自由記述法で検討を行ったものであるが,特にこれまで主要な帰属因として扱われてきた努力帰属に関して,方向的な側面を含むものを方略帰属として弁別し検討を行った。また,原因帰属を行った後に,次の解決のためにどのような学習方略を用いようとするのかについても検討を行った。高等学校の1・2年生153名(男性97名・女性54名・不明2名)を対象に,社会科(現代社会もしくは地理)の定期テストにおける学業成績の原因帰属と,次の解決のための方略について自由記述で回答を求めた。その結果,最も多く挙げられた帰属因は,普段の学習における方略に該当する,勉強方略であった。また,成功の場合は勉強方略への帰属が最も多かったが,失敗の場合は努力帰属が勉強方略への帰属よりもやや多く,また,成功の場合との対比で勉強方略への帰属の割合に比して,テスト方略への帰属の割合が高かった。さらに,原因帰属を行った後に考える,次の解決のための方略については,失敗の原因帰属では学習の環境を整えるといった間接的にしか学習に関わらない方略がより挙げられやすいことが見いだされた。