著者
中村 健太郎
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.249-255, 2014-01-01 (Released:2014-01-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1

超音波振動から直線運動や回転運動を得る超音波アクチュエータについて,摩擦駆動の超音波モータを中心に,その原理と構成例,得られる特性について解説する.圧電セラミックス素子で発生した往復運動である振動から一方向運動を得るための原理として,複合振動形と進行波形に分けて説明し,複合振動形を例に得られるべき性能を論じる.また,それぞれの方式で直線運動を得る構成方法,回転運動を得る構成方法を具体的に紹介する.また,効率や寿命を改善する最近の試みについても述べる.
著者
三浦 道子
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1_57-1_65, 2009-07-01 (Released:2011-07-01)
参考文献数
17

これまで産業界をけん引してきたMOSFET の微細化を推進することが難しくなってきている.これは,微細化によって達成された高性能化を有効に利用する用途が限られてきたことのほかに,微細化によって応用を難しくするMOSFET の特性が顕著になってきたことが挙げられる.一方,エコ社会の実現には,低消費電力回路設計への要求が高い.これを実現するには,MOSFET の微細化は避けて通れない.1970 年代に回路シミュレータが開発されて,たくさんのトランジスタを複雑に組み合わせて様々な性能を持った回路が設計できるようになった.このとき以来長く用いられてきたのが,Meyer モデルで,様々の近似を用いてトランジスタ特性を簡潔な式で記述している.しかし複雑な特性を呈する微細MOSFET にはモデルの精度が不十分になってきた.そこでトランジスタ特性を物理原理に基づいて記述する,表面ポテンシャルモデルが開発され,モデルの主流になりつつある.この変遷をMOSFET特性に基づいて解説する.
著者
木村 康則 Matthew DEPETRO 谷岡 秀昭
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.311-317, 2011-04-01 (Released:2011-04-01)
参考文献数
27

米国で医療制度改革法案が成立したことにより,医療現場の効率化や健康保険制度の改革などが進んでいる.本稿では,これらを推進するための有効な手段と考えるmHealthと呼ばれる考えを紹介し,それを実現するための生体情報を取得するためのセンサ技術特に血圧と血糖値の測定手法に関して現状を紹介する.また,このアプローチが真に実現されるための課題も述べる.
著者
小野 定康 藤井 哲郎 藤井 竜也
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.2_10-2_33, 2009-10-01 (Released:2011-07-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

本稿では, 日本発の超高精細4K ディジタルシネマの開発とハリウッドをはじめとする映像専門家の間で高い評価を得るに至った歴史について述べる. それは決して平たんな道ではなかったし, これからも様々な問題に遭遇するであろと予想している. しかしそれらがあっても, この超高精細画像を使う究極のコンテンツと呼ばれるディジタルシネマが最終段階に入ってきたことは確実になって現在に至っている.
著者
平石 邦彦
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.257-264, 2013-04-01 (Released:2013-04-01)
参考文献数
24

業務プロセスを記述する手法は,企業情報システムを構築する技術の一部として発展してきた.近年では,医療プロセスの詳細なモデル化やそれを用いた潜在的なリスク発見など,人間の介在する,より複雑なプロセスのモデル化及び分析に関する研究開発が進んでいる.本稿では,人間系を含む複雑なプロセスのモデル化に必要な機能を明らかにし,更に,幾つかの既存のプロセス記述手法について解説する.
著者
泉 知論 山内 寛紀
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.3_45-3_52, 2009-01-01 (Released:2011-05-01)
参考文献数
19

工学の技術を医療診断と治療に生かす方向の一つとして、超小形ロボットを使って、生体情報をモニタリングしたり、体内病巣を治療したりする、いわゆる低侵襲医療が活発化してきている。これは、人形ロボットと同様、工学の幅広い分野に関連している。五感の役割をする各種マイクロセンサ技術、センサ情報の信号処理技術、自立移動を実現するドライブ技術、超小形バッテリや燃料発電及び生体発電などのエネルギー技術、生体表面に優しい材料技術、ユビキタス無線通信技術、そして、これらを実装するLSI技術やフィルム基板実装技術などである。ここでは、実用化の先陣を切っているカプセル内視鏡と生体センサの動向を紹介する。また、これらマイクロロボットや生体センサの頭脳として開発した、私たちの体内コンピュータLSIを一例として紹介し、その応用例と発展の展望を述べる。
著者
上瀧 剛 内村 圭一
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.95-101, 2012-10-01 (Released:2012-10-01)
参考文献数
28

カーナビゲーションやインターネットによる地図検索サービスの普及に見られるようにディジタル地図が活用されている.近年では,スマートフォンなどの携帯端末や航空画像との重ね合わせ表示のサービスなど,ますます活用が進んでいる.また,都市計画や防災・災害対策においても,ディジタル地図情報は非常に重要な基礎要素となる.しかしながら,ディジタル地図の作成はいまだに人手によるものが多く,地図の作成・更新にかかるコスト及び時間は膨大である.したがって,これらの作成にかかる作業を計算機を用いて低減を図る研究が数多くなされてきた.本稿では,その研究の一つである,筆者らがこれまで取り組んできた航空画像解析による道路地図生成技術を紹介する.そして,現状の技術的な課題及び今後の展望について述べる.
著者
梶原 誠司 佐藤 康夫
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.3_71-3_77, 2008-01-01 (Released:2011-03-01)
参考文献数
21
被引用文献数
1

半導体製造プロセスの微細化やSoC(System-on-a-Chip)の高速化に伴い,遅延故障のテストの重要性が高まっている.論理回路の遅延故障のテストには,高精度な測定を可能にするDFT(Design for Testability)やテストパターン印加の仕組み,フォールスパスを考慮し故障の伝搬経路長を考慮したATPG(Automatic Test Pattern Generation:自動テストパターン生成),SoCのテストでは,高速クロック生成,複数クロックドメインへの対応等の総合的アプローチが必要である.本論文では,基本となる遅延故障のテスト手法を解説する.
著者
大濱 靖匡
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.2_40-2_52, 2008-10-01 (Released:2011-05-01)
参考文献数
24
被引用文献数
1

情報通信網の高度化,複雑化,大域・広範化が地球的規模で進む現代の情報化社会において,多端子情報理論の枠組みとその成果の重要性が増している.その一方で,多端子情報理論には,基本的で重要であるにもかかわらず,いまだ解決されていない様々な問題がある.本稿では,多端子情報理論を支える柱の一つである多端子情報源符号化の研究を概観し,これまでに提起された基本的未解決問題の幾つかについて述べる.その中の一つとして,二つの情報源に対する分散符号化の枠組みにおける伝送率・ひずみ領域の決定問題がある.この問題に関しては,最近,情報源がガウス形で二乗誤差ひずみの場合に完全な解決が得られた.この解決には,筆者の得た研究成果が深く関与している.ガウス形情報源に対する上記の未解決問題の完全解決に関しては,そのエッセンスを筆者の研究成果との関係も含めて詳しく紹介する.