著者
三浦 修
出版者
東北地理学会
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.120-127, 2019 (Released:2020-07-18)
参考文献数
38
被引用文献数
1
著者
三浦 修 平塚 明
出版者
岩手県立大学
雑誌
総合政策 (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.411-428, 2004-03-31

かつて生活や生産のための資源として利用され管理・維持されてきた里山が、現在いろいろな方面から注目され、その保全のための研究、管理の実践運動、地域資源としての景観評価が試みられている。 ほぼ80年前に活躍した宮沢賢治は多くの文学作品を残したが、そこには、その後岩手県域でリストアップされた希少植物も登場する。その多くは草地、二次林、溜め池、河川などの里山に生育していた植物である。 作品中の希少種を手掛かりとして、1910年代後半から1920年代の岩手県における、草地を中心にした里山植生のダイナミズムを復元した。この80年間に植生が大きく変化した原因は、人々の生活と生産が里山依存を弱めた結果、植生管理が放棄されたことにある。シバ草地やススキ草地の遷移により、遷移初期相に適応した植物(オキナグサ、キキョウ、オミナエシなど)が衰退し、消滅した。また、サクラソウは管理が放棄された薪炭林や農用林の林冠層が発達した結果、林床の光環境が悪化して衰退した。
著者
米地 文夫 三浦 修 平塚 明
出版者
岩手県立大学
雑誌
総合政策 (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.391-409, 2004-03-31

宮沢賢治の作品にしばしば登場する「標本」と「証拠」という語について、自然科学の立場から検討を加えた。自然愛好家であり教師でもある賢治は、「標本」を、展示用、教材用の見せる「もの」としての「標本」sampleと考えていた。彼は本質的に研究者ではなく、彼の「標本」には, 研究者がより重要と考える《研究の材料、研究の保証となる証拠としての「標本」specimen》は含まれていなかった。「標本」specimenを、研究者は「こと」を説明する科学的な「証拠」voucherとして用いる。しかし賢治はこれらは「標本」と呼ばず、「証拠」と書いている。賢治は一種の不可知論者でもあったので、学者が挙げる「証拠」が描く世界像は、時代とともに変わると考えていたのである。
著者
厚井 聡志 新井 康祐 野上 彩子 當間 勇人 山本 正英 三浦 修 長尾 俊景
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.1487-1491, 2020 (Released:2020-11-06)
参考文献数
15

75歳男性。糖尿病性腎症による末期腎不全にて維持血液透析中,透析導入10年後に血清亜鉛55 µg/dlと低下し,亜鉛含有胃粘膜保護薬(polaprezinc)の処方が開始されると,徐々に汎血球減少が出現・持続した。投与開始4ヶ月後,血清亜鉛129 µg/dlと上昇し,亜鉛含有胃粘膜保護薬の投与は中止されたが汎血球減少は進行し,当科に紹介された。WBC 1,700/µl,Hb 8.9 g/dl,Plt 9.5×104/µlと汎血球減少を認め,WT1 mRNA 76 copy/µgRNAと若干高値だった。骨髄像で巨赤芽球様変化や環状鉄芽球があり,骨髄異形成症候群を鑑別に挙げたが,血清銅<2 µg/dl,血清セルロプラスミン3 mg/dlと低値であり,亜鉛過剰に起因する銅欠乏による造血障害と考えた。ココアの摂取による銅の補充で汎血球減少は改善し,補充開始4ヶ月後の骨髄像で当初の形態異常は消失した。慢性腎臓病患者や透析患者の亜鉛補充時には銅欠乏による造血障害に注意が必要と考えられた。
著者
三浦 修
出版者
岩手県立大学
雑誌
総合政策 (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.127-149, 2010-05

岩手県の自生種のシラカンバ(カバノキ属)、導入種のドイツトウヒ(トウヒ属)、導入種のポプラ(ヤマナラシ属)の植栽によって、当時の農村景観を改善できると賢治は考えた。現在の農村景観計画に相当するこのアイディアは、田村(1918)が提唱した装景に由来する。ここでは、3属の樹木を賢治の「装景樹」と呼び、どのように作品に描かれたかを詳細に記載した。賢治が実際につくった景観計画案やその実践のプロセスをも明らかにした。作品描写の分析によって、賢治の科学(植物生態学など)的リテラシーを考察した。さらに、装景樹の着想について、当時の林学や植物学において、樹木や森林の美が研究されたことや、造園学とその実践学が確立したことなどの学問的な時代背景を考察した。
著者
三浦 修
出版者
東北地理学会
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.102-105, 2012 (Released:2013-05-11)
参考文献数
16
被引用文献数
2
著者
三浦 修
出版者
岩手県立大学
雑誌
総合政策 (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.115-136, 2011-07

宮沢賢治の作品研究や読解には、岩手県の風土の研究や理解が不可欠といわれる。童話「虔十公園林」は、この風土を主要な舞台とし、当時の都市公園の景観が背景に描かれている。風土は自然環境と社会環境で捉えられる。ここでの論考は、次の3点にまとめられる。1)この短篇に出現した人口林の種スギと自然林の種ブナについて、作品にどのように描かれているかを分析し自然景観の植生景観を復元した。ここで復元されたスギ優占の屋敷林、社寺林などは、地域の人々が生産や生活のために造った、人文景観の集落景観でもあった。一方、宮沢賢治が、自然林のブナをどのような生態学的特性をもつ植物と捉えていたかは解明できなかった。2)短篇の題名にもなった術語「公園林」は、1912年に出版された林学者本多静六著『造林學本論』に由来し、農村のスギ植栽林を都市の児童公園の緑地に変換するこの物語において、重要な役割を果たす科学的内容をもっていた。しかしながら、その概念を作品に適用した宮沢賢治には、科学的中身の吟味や用法の適否を検討することなどの関心が薄かった。3)「虔十公園林」は児童公園の機能を付与されている。このアイディアは、日本の都市公園成立に関わる文献と報道情報や、東京などの都市公園から構築された。とくに、1924年の関東大震災復興事業案に提示された小公園は、この短篇成立に重要な役割を果たした。

1 0 0 0 OA 修吾全集

著者
三浦修吾 著
出版者
隆文館
巻号頁・発行日
vol.上巻, 1922
著者
中野 優 伊庭 裕 山田 陽 三浦 修平 今野 光彦 和田 卓也 丸山 隆史 八田 英一郎 栗本 義彦
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.25-29, 2020-01-15 (Released:2020-02-01)
参考文献数
18

症例は71歳男性.11年前に大動脈弁閉鎖不全症に対して大動脈弁置換術,1年前に急性A型大動脈解離に対して上行大動脈置換術がそれぞれ他院で施行されていた.今回,激しい心窩部痛を自覚し緊急搬送された.来院時の血圧70mmHgで,造影CTにて人工血管の末梢側吻合部の仮性瘤と仮性瘤内から右肺動脈への血流を認めたため,緊急手術となった.右腋窩動脈送血,右大腿静脈脱血で体外循環を確立して全身冷却を開始してから胸骨正中切開を行った.低体温循環停止,選択的脳灌流を確立して観察すると,末梢吻合部小弯側が約3cm離開していた.部分弓部置換術で再建し,また右肺動脈前面に穿通孔を認めたためウシ心膜パッチで閉鎖した.術後経過は良好で,22病日にリハビリ目的に転院となった.仮性瘤の肺動脈穿破による左-右シャントによる急性心不全のため血行動態が破綻し,緊急での再々開胸手術にて救命し得た1例を報告する.
著者
三浦 修
出版者
東北ジャーナル刊行会
雑誌
The Tohoku Journal of Experimental Medicine (ISSN:00408727)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.196-202, 1936-12-30 (Released:2008-11-28)
参考文献数
2
被引用文献数
1 1

Clitocybe acromelalga, Ichimura, ein giftiger Pilz, dessen Genuss bei Menschen Vergiftung mit heftigem Schmerz und Nekrose in den Extremitöten verursacht, ruft bei Höhnen eine nekrobiotische Verönderung des Kainmes and der Bartlappen, in denen sick eine hyaline Degeneration mikroskopisch nachweisen lösst, hervor, wöhrend er bei anderen Tierarten, wie Möusen, Ratten, Meerschweinchen und Kaninchen nicht imstande ist, eine solche Verönderung herbeizuführen. Die nekrobiotische Verönderung von Hahnenkömmen wird wie die Sensibilitötsstörung bei Möusen durch zwei verschiedene wasserlosliche Substanzen hervorgerufen, von denen die eine durch Bleiazetat geföllt und durch Kochen zersetzt wird, wöhrend die andere dagegen mit Bleiazetat keinen Niederschlag bildet und kochbestöndig ist. Für die technische Hilfe bei der Ausführung dieser Versuche bin ich Herrn Prof. S. Nasu im Pathologischen Institut zu Dank ver-pflichtet.