著者
石山 礼蔵 石原 元
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:18847374)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.71-90, 1977

水産庁ならびに東京水産大学の採集により得られた北西太平洋のソコガンギエイ類(<I>Bathyraja</I>)の標本から, 1)体各部の相対長, 2)計数的諸形質, 3)斑紋の有無, 4)体背面に分布する大小の疎の有無, 5)軟骨性頭蓋の構造, 6)交接器の構造, 7)卵殻の構造などの組合せで, この海域に分布する既知11種のソコガンギエイとは異なる5種が区別された.<BR>上記5種はそれぞれ新種として, 噴水孔前縁が深くくぼむツムラカスベ<I>Bathyrja caeluronagracans</I>.やや小さい交接器を持つノトロカスベ<I>B.notoroenais</I>, 体背面に白色斑のあるモンツキカスベ<I>B.trcaculata</I>, 体背面の肥大棘が連続して並ぶコマンドルカスベ<I>B.lindbergi</I>, 体背面の小棘がまばらなスベスベカスベ<I>B.minispinosa</I>と命名した.<BR>石山が1952年に発表したマツバラエイ<I>B.matsubaraa</I>は前4種と諸形質が類似し, 殊にこの種の副模式標本は本研究でノトロカスベと同定されたため, 新種5種の記載と共にマツバラエイを再記載し, 6種の類縁関係を動物地理学的に考察した.
著者
Meyer Katherine A.
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:18847374)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.101-112, 1977

三宅島において1974年6月から1975年秋にかけて, ニシキ・ベラの生殖行動と性構造を観察した.産卵は6月中旬から9.月中旬まで続き, その間の水温は20.0~28.0℃であった.求愛行動はまれに午後に観察されることもあるが, 産卵は午前だけに限られた.<BR>195尾の調査個体のうち, 52.8%は雄, 44.6%は雌(残りは不明)であった.雌雄ともに同範囲の体長分布を示したが, そのうち特に大型の個体についてだけみれば, 雄の数は雌より多い.本種は雌性先熟現象により雄に2型を示す.体色相の変異についても観察し, initial phaseは未成魚, 雌, 一次雄, 二次雄に認められるが, terminal phaseは一次雄, 二次雄に限られる.ペア形成産卵と群れ形成産卵の両型が観察されたが, 本研究水域では後者がより頻繁であった.求愛行動および産卵行動の記載を行ない, 同属の他の魚種との比較検討を行なった.
著者
McDowall M. 仲谷 一宏
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:18847374)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.377-383, 1987

以前には分布が確認されていなかったチリ南部からAplochitonidaeの<I>Aplochiton zebra</I> Jenynsと.<I>A. taeniatus</I> Jenynsの2種を報告する.本研究に用いられた最大の標本は以前に知られていた最大の個体 (両種ともに240mmLCF) よりはるかに大きく, <I>A.zebra</I>で304mmLCF, <I>A.taeniatus</I>で384mmLCFであった.魚体の大きさ, 海に極めて近い所からとれていること, 脊椎骨数が多いことなどから彼らは両側回遊型のライフサイクルをもっているものと考えられる.
著者
座間 彰
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:18847374)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.518-523, 1988

チリ南部のフイヨルドおよび水道水域で得られた<I>Austromenidia smitti</I>の体長-体重関係および生殖腺の発達について調査した.体長 (X) と体重 (Y) の関係はY=1.819・10<SUP>-6</SUP> X<SUP>3.342</SUP>で表わされた.早熟雄を除くと体長175mm以上の個体が産卵すると推定された.産卵期は南半球の初春から初夏で, 完熟状態の雌の生殖腺熟度指数は10.0以上であった.
著者
Moyer Jack T.
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:18847374)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.76-81, 1987

浮性卵を産む礁魚の多くは, 産卵の際に雌雄が上方へ突進する (spawning rush).この行動は親魚と卵が捕食されないための防衛行動であると考えられているが, 未だ検証されていない.本研究では1981年に三宅島においてニシキベラのグループ産卵を461回観察し, 他魚種による親魚の捕食を定量的に調べた.その結果, 7種の魚が合計206回親魚を襲うのが観察された.この内171回はspawning rush中の魚に対して行われたが, 一度も成功しなかった.spawning rush前のbobbingやmilling中の親魚に対しては35回の攻撃があったが, これにより4尾の親魚が捕食された.すなわち, 全体としての捕食者の成功率は1.9%にすぎなかった.これに対し, 卵は9種のプランクトン食性魚類の捕食を受け, その頻度は213回中90回 (42.3%) に達した.以上の結果から, spawning rushは親魚の捕食者に対する防衛としては有効であるが, 卵の捕食者に対してはほとんど効果のないことが判明した.この他7種の礁魚のspawning rushと卵捕食との関係についても述べた.
著者
藤田 矢郎 与賀田 稔久
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:18847374)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.426-434, 1984

The present paper deals with ovarian maturation by hormone injection and morphological development of the amberjack, <I>Seriola aureovittata</I> Temminck et Schlegel.Ovarian maturation of the amberjack during the spawning season was successfully induced by injection of either "Gonatropin7" (Teikoku Zoki Mfg.Co.Ltd.), or <I>Hypophthalmichthys molitix's</I> pituitary homogenate, or H.molitrix's pituitary homogenate combined with "Gonatropin".The last dosage was evaluated to be the most effective and reliable.The spawning period seemed to ex-tend from late April to the mid-May in the Sea of the Goto Islands.On May 14, 1977 the authors performed artificial fertilization of the specimens which were artificially induced to mature by the hormone injection, and reared the hatched larvae to grow to the juvenile stage.The eggs of the amberjack are pelagic, spherical in shape and 1.27-1.50mm in diameter.The yolk is roughly segmented and contains a single colorless oil globule of 0.34-0.36mm in diameter.The perivitelline space is narrow.During embryonic development, many melanophores and xantho-phores appear on the embryo and oil globule.Hatching took place in 96 hours after artificial fertilization at water temperatures between 15.5 and 20.4°C.The newly hatched larvae were 4.45-4.55mm TL and had 26 (12+14) myomeres.Characteristic features at the larvae were that the oil globule was situated at the anterior part of the segmented yolk which was extended slightly beyond the head and that the granules existed on the marginal fin which was densely pigmented with xanthophores.The yolk was almost all absorbed when the larvae attained 5.23-5.45mm TL, 4 days after hatching.In a 9-day old postlarva, 6.25mm TL, small denticles appeared on the margin of the upper jaw and there were 4 opercular spines on the preoperculum.In a postlarva 19-days after hatching, 7.5mm TL, the notochord was turned up and caudal, dorsal and anal fins with rudiments of rays were beginning to develop.In a 30-day old juvenile, 15mm TL, the coloration of the body was pale greyish black with the characteristic 2 yellow bands situated at the anterior part of the trunk and the caudal region.In a juvenile of 40-days, 23mm TL, 3 4 greenish dark brown cross bands appeared on the posterior part of the side of the body.The number of the bands increased to 7 at a size of 45mm TL, but such bands had disappeared in a specimen of 195mm TL.
著者
中坊 徹次 田 祥麟
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:18847374)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.195-196, 1986

韓国南東部にあたる慶尚北道蔚珍郡平海面金音里の沿岸から, 韓国初記録のネズッポ科ネズッポ属魚類の1種, <I>Repomucenus beniteguri</I> (Jordan et Snyder) (新韓国名: Nal-Tot-Yangtae;和名: トビヌメリ) を採集し, 記載した.記載した標本は雄1個体で, 10-20mの砂底からヒラメ底刺網によって採集された.
著者
荒井 孝男
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:18847374)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.286-290, 1979

ソコダラ科の一稀種<I>Mesobius aniipodum</I>がニユージーランド沖より採集された.本種は模式標本1個体が報告されただけであった (Hubbs and Iwamoto, 1977).今回採集された12個体の標本によって, 原記載の不十分な点および新たに得られた知見について補足した。本種は今のところ若魚と成魚がニュージーランドから知られているだけである.
著者
荒井 孝男 Iwamoto Tornio
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:18847374)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.238-246, 1979

水産庁開洋丸のオーストラリア・ニュージーランド沖漁場調査の際, タスマニアとニュージーランド沖より得られたソコダラ科の1新種<I>Coelorinchus kaiyo-maru</I>を記載した.本種は吻が長く鋭く尖り, 吻長が眼窩径の1.4~1.9倍, 鼻骨中・側突起が吻の前側縁に沿って癒合しない;眼下隆起縁上の変形鱗列は後鼻孔下から2列になる;吻部上面両側の無鱗域は極めて狭い;胴部を暗青色の帯が完全に取巻いている;発光器は肛門直前の小黒色無鱗域で極めて短く, 二次発光腺を欠くことで他のトウジン属の種と区別される.米国エルタニン号によってフォークランド諸島沖より得た1個体は体部の鱗上の中央棘列が肥大しない等の点を除いて, ニュージーランド・タスマニア産のものと明瞭な相異は認められなかった.この相異が地理的なものか, 種を異にするものかは, 将来多くの標本を基に検討する必要がある.尚, 本種は最近<I>C.innotabilisa</I>大型個体として報告された (Iwamoto, 1978).
著者
宗原 弘幸 Paul Judy M. Paul Augustus J.
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:18847374)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.73-75, 1994

アラスカ湾北部, 氷河フィヨルド地帯, リザレクション湾において, 春季のカサゴ目仔稚魚の出現状況を調査した.標本採集はNIOTトロールを用い, 湾内3地点において1991年4月2日から7月9日まで, ほぼ毎週行なった.42回の曳網でカジカ科10, トクビレ科1, クサウオ科1, およびギンダラ, 合計13タイプ75個体のカサゴ目仔稚魚が採集された.これらのうち, ギンダラを除く12種は, 沈性粘着卵を産むこと, および湾内の流速などから判断して, 湾内で繁殖しているものと考えられた.調査期間中の各タイプの平均分布密度0.28-8.96/1000m<SUP>3</SUP>は, 同様の方法で同時期に採集されるスケトウダラおよびニシンの数値と比べて極端に低く, カサゴ目仔稚魚は本調査海域における春季のプランクトン消費者としての役割は小さいとみなされた.しかし, 氷河の影響がないアラスカ湾南東部のオーク湾およびアラスカ湾西部のコディアック島周辺では, カサゴ目魚類, 特にカジカ科魚類は主要な出現仔稚魚となっており, これらのことから, 低温低塩分濃度, 大量にシルトを含んでいることなどで特徴づけられる氷河フィヨルド地帯は, 北太平洋東岸に生息するカサゴ目魚類にとって, 好適な棲み場ではないことが示唆された.
著者
矢野 和成
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:18847374)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.421-425, 1988

東シナ海とジャワ海から得られた1新種フトシミフジクジラを記載した.本種は吻端から第1背鰭棘までの長さが, 棘から尾鰭上葉起部までの長さより明らかに短いこと, 尾鰭の長さが頭長よりも短いこと, 鱗は非常に小さく棘状であり, 体側面ではほとんど規則正しく配列しているが, 頭部背面の眼間付近および腹部では明瞭に配列していないこと, 生きている個体の体色は上方部では紫色がかった黒色, 一方腹部, 腹鰭上方部の斑紋, 尾鰭の斑紋は濃い藍色をしていること, 腹鰭上方部の斑紋が後方部で幅が広いこと等で他種と容易に区別される.
著者
常木 和日子
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:18847374)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.27-38, 1986

オステォグロッスム類を中心に, 各種真骨魚類の間脳脳室周囲器官を組織学的に調べた.オステオグロッスム類 (ピラルク, ナイフフイッシュ, ジムナルクス) の神経性下垂体は, 正中隆起と神経葉とに分化しており, 全骨魚類と高等真骨魚類の中間型を示す。血管嚢はバタフライフィッシュやジムナルクスでは欠如するが, ナイフフィッシュではよく発達している.ジムナルクスには松果体も存在しない.副生体はバタ州ライフィッシュを除くオステオグロッスム類や, 数種のスズキ目魚類に存在する.ハゼ科やフグ科等の高等真骨魚類では, 背嚢や横帆を欠く代りに, 間脳脈絡叢が発達している.真骨魚類における脳室周囲器官の存否やその分化程度には, かなり系統類縁性が反映されているように思われる.
著者
安田 富士郎 望月 賢二 河尻 正博 能勢 幸雄
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:18847374)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.118-124, 1971

相模湾一帯及び伊豆諸島より得られたムツおよびクロムツ172個体について.8計数形質, 20計量形質, 体色及び内部形態として頭蓋骨, 前上顎骨の比較検討を行なったところ, 4計数形質, 体色及び内部形態で両者を識別することが出来た.<BR>以上の点からクロムツとムツとを同一種として取扱うことは適切でなく, 別種の魚として扱われるべきである.
著者
明仁 坂本 勝一
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:18847374)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.100-112, 1989
被引用文献数
1

The striped goby was characterized by having more than 50 scales in a longitudinal row and 2 black longitudinal bands from the head to the tail. It has been regarded as 1 species since Tomiyarna (1936) grouped several nominal species into one, <I>Tridentiger trigonocephalus</I> (Gill, 1858). But detailed study has revealed that it can be classified into 2 separate species, <I>T. trigonocephalus</I> and <I>Tridentiger bifasciatus</I> Steindachner, 1881, on the basis of the difference mainly in the forms of the sensory canals and pectoral fins and in the coloration. <I>T. trigonocephalus</I> has been collected from Hokkaido to Kyushu in Japan, and in Korea, China, and Hong Kong abroad. It has immigrated into both California, U.S.A., and New South Wales and Victoria, Australia. <I>T. bifasciatus</I> has been collected in the same area as <I>T. trigonocephalus</I> in Japan, and in the Soviet Union, Korea, China, and Taiwan abroad. Both species inhabit brackish and sea water with stony bottoms, and are often found in the same place. However, <I>T. trigonocephalus</I> has seldom been found in very dilute brackish water, and <I>T. bifasciatus</I> has not been found in undiluted sea water. The type specimen of <I>T. trigonocephalus</I> has not been found, but the identification to <I>T. trigonocephalus</I> was decided on the basis of the closeness of the numbers of the 2nd dorsal and anal fin rays to those of the original description, which were 14 and 13, respectively. In addition, the type specimen was collected in the port of Hong Kong, where the water is not diluted and is unlikely to be suitable as habitat for <I>T. bifasciatus</I>.