著者
吉安 裕
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大學學術報告. 農學 (ISSN:00757373)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.1-162, 1985-11-15

メイガ科ミズメイガ亜科は鱗翅目の中では特異な群で, 大部分の幼虫が水生生活を行う。また, 水田生態系では農業害虫または益虫として注目される種を含んでいる。世界から約700種が知られ, おもに熱帯から亜熱帯にかけて種類が多い。我が国では井上(1982)によってミズメイガ亜科(広義)9属29種が報告されている。本論文は, 日本各地の研究機関所蔵の標本や, 筆者が収集した国内・国外の標本にもとづき, 日本産ミズメイガ亜科(広義)の分類学的再検討を行った結果をとりまとめたものである。その結果, 我が国からミズメイガ亜科9属32種1亜種, シダメイガ亜科3属5種をみとめた。本論文ではこれらの学名を明らかにするとともに, 両亜科及び各亜科内の属や種の定義及び記載を行った。ミズメイガ亜科では1属6種を新たに記録した。そのうち1属は新属, 4種は新種, 2種は日本未記録種である。また, 1新亜属を記載するとともに, 5種について属名と種名の新結合を明らかにした。一方, シダメイガ亜科では, 2新属4新種を明らかにした。これらの2亜科の属, 亜属, 種の識別をするために, 検索表を作成した。また, ミズメイガ亜科に関しては幼虫と蛹の検索表を付し, 応用昆虫学の観点から, 食草の判明したものについては, そのリストを作成した。日本産の種については, できる限り雌雄交尾器, 幼虫, 蛹の形態を図示した。一部外国産の種についても同様な図示を行った。成虫の斑紋については, 従来用いられてきた名称を統一し, 新しい定義を行ったほか, 雄交尾器については新形態用語を提案した。ミズメイガ亜科とシダメイガ亜科との系統的な関連性について, Roesler (1973), KuzunezovとStekolnikov (1979), Speidel (1981)などを参照して考察を行った。その結果, ミズメイガ亜科はオオメイガ亜科と, シダメイガ亜科はヤマメイガ亜科と近縁であることが推定された。
著者
笹川 滿廣
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大學學術報告. 農學 (ISSN:00757373)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.29-36, 1967-10-15

スズメガ類幼蟲における密度依存的な多型現象については従来知見がなかったので, クチナシを加害するオオスカシバについて幼虫期の生息密度によって体色や発育にどのような影響をうけるかを検討したところ, 明らかに密度に依存した変異がみられた。すなわち, ふ化直後から集合状態で育った幼蟲は第2令期から体色が黒化し, 第4令期に入れば4つの色彩型に区別できる。通常野外で見られる全体淡緑色の幼虫は全幼虫期を通じて単独飼育した場合に多く現われ, 密度の増加につれて黒化程度が増大し, 特に全幼虫期間中集合飼育をすれば最高度の黒化をみた。しかも黒化は第1令期の幼虫密度によって決定される。全体暗褐色型幼虫の出現には低温も多少関与しているようであるが, 光の有無は黒化には全く影響を及ぼさない。また全体淡緑色型幼虫は黒化型に比べて非常に多量の食物を摂取し, 酸素消費量もはなはだ多い。幼虫密度の増加と共に死亡率は極度に高くなり, 蛹体重は有意に減少するが, 幼虫および蛹の発育日数, 頭幅そして幼虫体重(第5令期を除く)については本実験の生息密度間では有意差を認めなかった。以上の結果から, 単独生育をする淡緑色幼虫が生活により適応していると考えられる。
著者
伊藤 五彦
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大學學術報告. 農學 (ISSN:00757373)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.38-50, 1966-09-01

デンドロビウム・ノビルの開花時に切り取った花の子房を用いて, 培養管外の器官を無菌的に培養する部分無菌培養法(器外器官培養法)により, 稔性のある種子を含む果実を培養した。糖の種類および濃度は子房の発育に影響を与え, 6%のしょ糖が果実の発育に適していた。果実の発達には糖以外の有機栄養は必要ではないが, 少量の有機物質の添加は発育を助長した。50∿500ppmのペプトンの添加は, 果実の発育を促し, 種子稔性を高め, ココナットの添加は, 特に果実の発育に有効であった。
著者
齋藤 秀樹 今井 英行 中口 努 久後 地平 川瀬 博隆 竹岡 政治
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大學學術報告. 農學 (ISSN:00757373)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.46-58, 1989-11-18
被引用文献数
8

林分1ha当りの生殖器官各部分の生産量(乾重と個数)について, ミズナラの若齢Y林分と老齢O林分とを比較し, 種子生産に関係する要因を考察した。各部分の生産量はトラップ法で測定し, 花粉については開花前の雄花序試料に含まれる花粉量と林分の開花雄花序数を掛けて求めた。調査は若齢林が3年間, 老齢林は5年間行った。主な知見は次の通りである。(1) 落果は多く, 8月末で80&acd;90%に達した。これは同化物質の節約になる。(2) 雄花序1個当りに含まれる花粉量は年によって9.3&acd;16mgと0.8&acd;1.2×(10)^6個の範囲にあった。(3) 乾物生産量(kg/ha・yr)は次の通りである(左側が若齢林, 右が老齢林。括弧内は平均値)。開花雄花序(花粉なし) : 7.7&acd;38.5(20.1);17.8&acd;55.9(42.2)。花粉だけ : 11&acd;43(26);24&acd;78(61)。雌性部分 : 81.7&acd;544.4(244.2);25.7&acd;256.4(158.8)。生殖器官合計 : 100&acd;625(291);68.0&acd;379(262)。(4) 各部分の乾物生産量の年次変動は3&acd;10倍(最大値/最小値)であった。しかし老齢林では, 連続4年間の雄花生産の変動は小さく(1.3倍), これはアカマツ林の場合に似ていた。(5) 雄性部分の乾物生産量が生殖器官全体に占める割合は, 若齢林が20%前後, 老齢林では種子豊作年に30&acd;40%で, 凶作年には60%前後を示した。(6) 花粉の乾物生産量は, 開花雄花序(花粉をのぞいた残り)より数%&acd;10%多い。(7) 花粉粒の生産量(個/ha・yr)を求めると若齢林が1.2&acd;5.3(平均2.9)×(10)^<12>, 老齢林2.8&acd;7.9(同5.2)×(10)^<12>となった。この最大値はスギ, ヒノキのそれより少ない。しかし, ミズナラの年次変動はこの2樹種より小さい。老齢林の値はアカマツ林にほぼ一致している。(8) 雄花序, 花粉粒, (総)雄花の個数生産量の年次変動は大きかったが, 雌花に対する雄花序及び花粉粒の数比は2倍以内の小さな変化であった。雌花1個に対して放出された花粉粒は若齢林が1.3&acd;2.4×(10)^6個, 老齢林1.9&acd;4.3×(10)^6個である。既報の2老齢林を加えた比較から, 林分によって雄花対雌花の比率に著しい偏りがあり, これは林齢と無関係であった。(9) 種子の豊作年には結実率が高かった。結実率の上昇は, 巨視的には放出される花粉粒の多少に関係がありそうである。これは将来, 解明しなければならない問題である。
著者
国松 豊 川勝 剛
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大學學術報告. 農學 (ISSN:00757373)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.81-85, 1959-09-01

最近養鶏家の間で冬季特に厳寒期に卵黄が硬化し, 卵白との混和が不可能となる卵黄硬化卵(所謂スポンヂ卵)が多数発見されている。筆者等は卵黄硬化卵に関係があると思われるカポツク粕20%添加配合飼料と実際に卵黄硬化卵の産出が見られたと云う配合飼料を用いて卵黄硬化卵の産出試験を行い, 得た卵黄硬化卵についての一般所見, 卵黄の一般化学組成, 卵黄脂肪の特性について調査したのでその結果を報告する。(1) 0°&acd;3℃で貯蔵した場合, 正常卵の卵黄は硬化しなかつたが, 卵黄硬化卵は明らかに同温度で卵黄が硬化し, 卵白との混和も不可能であつた。又卵黄色も卵黄硬化卵の方が色が濃く橙色を帯びていた。但し温度が上昇すれば除々に軟化し, 間もなく正常卵と同様の性状・色沢を示すに至る。(2)卵黄の一般成分の内水分含量は卵黄硬化卵が正常卵のそれに比してやや低い値を示している。(3)卵黄硬化卵より抽出した卵黄脂肪の沃素価は正常卵のそれに比して低い値を示した。この点恐らく飼料中の飽和脂肪酸を含む油粕類が卵黄脂肪に影響を与えて沃素価を低めたものと思はれる。卵黄脂肪については更に燐脂質或は不鹸化物についての調査が必要であるが, 恐らく飽和脂肪酸を多く含む油粕類が飼料中に添加されると卵黄脂肪中の飽和脂肪酸の割合が多くなり, その結果沃素価の低い, 融点及び凝点の高い脂肪となるため0°&acd;3℃で卵黄が硬化したものと想像される。
著者
齋藤 秀樹 井坪 豊明 神田 信行 小川 享 竹岡 政治
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大學學術報告. 農學 (ISSN:00757373)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.31-46, 1990-11-19
被引用文献数
7

大形種子をもつ樹種では再生産器官にどれほどの同化産物が流れるのか, 虫媒花樹種は花粉が少ないのかなどを明らかにする目的で, 京都府芦生のトチノキ2林分で6年間の調査を行なった。主な結果は次の通りである。(1)花粉を含めた生産量合計は, 豊作に2t/ha・yr, 平均1.2t/ha・yr程度, 0.5t/ha・yrが凶作の値である。合計値は他の樹種に比べて多くはないが, 種子では多い部類にはいる。(2)乾物生産の配分は, 凶作年(40%)を除くと, 雌性に集中する(65&acd;85%)。(3)雄花, 両性花の開花数の年次変動は小さい。(4)雄花と両性花の性比には林分差があり, 0.013&acd;0.037と0.048&acd;0.085である。(5)開花前の1雄花に含有する花粉量は246&acd;321×(10)^3個, 1.56&acd;1.88mgである。(6)1雄花の花粉量に林分開花数を掛けて推定した林分の花粉生産量は, 年により5.29&acd;12.7(平均9.13)×(10)^<12>/ha・yr, 32.0&acd;87.4(同55.9)kg/ha・yrになる。他の林分は, これらの値より20%少ない。(7)トチノキ林の花粉数は風媒花樹種にほぼ等しいか, むしろ多い。(8)種子の豊作は両性花の多い年に起こる。高い結実率も豊作の原因の一つとなる。結実率は, 例外の1年があるが, 花粉数の多少と並行して推移する。胚珠1個の形成に準備された花粉数は1.3&acd;3.2×(10)^6,他の林分はこの1/2である。
著者
桂 〓一 河野 又四
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大學學術報告. 農學 (ISSN:00757373)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.49-51, 1959-09-01

Phytophthora capsici LEON.菌游走子嚢の発芽の2型の発現に及ぼす散光と暗黒の影響について実験したが, 間接及び直接発芽共に明暗両区の間に差異が認められたかつた。茄子果実上に形成せしめた游走子嚢と, その游走子嚢を時計皿の2ccの蒸溜水に懸濁したものとの両者に対して, 夫々0,1,2,3,4.5,6,7.5,9分間紫外線を照射したが, 照射1分後間接発芽に対して著しい阻害作用を及ぼし, 3分後に致命的となつた。これに対して直接発芽はうける影響が緩慢であつた。
著者
田中 國介 松井 健二
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大學學術報告. 農學 (ISSN:00757373)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.95-101, 1987-11-18

バクテリオファージラムダベクターEMBL 3を用いた遺伝子ライブラリーの作製法を植物のDNAに対して効率が上がるように改変した。核DANはイネ胚芽より調製したが, 制限酵素の基質とするためには, セシウムクロライド平衡密度勾配遠心で精製する必要があった。単離したDNAはMbo Iで部分分解し, 主にFrischaufら(J. Mol. Biol. 170 827 (1983))の方法により, バクテリオファージラムダベクターEMBL 3アームと結合した。バクテリオファージDNAとイネ胚芽DNAの結合効率は, ポリエチレングリコール(PEG)6000の添加で上昇した。更に, PEG6000はin vitroパッケージングの効率も上げた。結合反応とパッケージングに対するこの改良された方法は, 植物の遺伝子ライブラリー作製に一般的に適用することが可能であろう。
著者
笹川 滿廣 赤松 学
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大學學術報告. 農學 (ISSN:00757373)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.26-30, 1978-11-30

近年, 京都市及び安城市で, ハウス栽培植物(ユリとキュウリ)の根部を食害するハエ幼虫による被害が問題になっている。両地で採集された標本を調査したところ, 本害虫はクロバネキノコバエ科の新種であったので, チビクロバネキノコバエBradysia agrestis Sasakawaと命名し, ここに記載したほか, 2・3の生態的知見を述べる。成虫の寿命は雄で約6日間, 雌は産卵後間もなく死亡するので約4日である。雄は翅を振動させながら雌に接近し, 生殖器の交接後は互に逆方向を向いて数分間交尾する。雌は通常25卵くらいの卵塊を腐植物の裏側に2&acd;3塊に分けて産みつける。親雌は個体によって雌雄いずれかの単性を産み, その比は1 : 1である。幼虫はトウモロコシ寒天培地での人工飼育が可能であるが, 種々のそ菜の葉や根も摂食することを確かめた。幼虫は4令を経過して蛹化する。理論的発育零点は卵で5.8℃, 幼虫では9.0℃, 蛹では8.7℃であり, 卵から蛹期までの発育有効積算温度は193.1日度である。
著者
奈良 新治郎
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大學學術報告. 農學 (ISSN:00757373)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.50-54, 1967-10-15

直播栽培においては当然省力という面から播種作業においても機械播きが中心となるが, その場合播種様式の最も普通なのは条播である。そこで二毛作地帯における乾田直播を条播様式で実施する場合の適正条間と播種量, 換言すれば栽植密度を知る目的で, 農林22号を供試し, 条間を20,33,50cm, 播種量を4,8,12kg/10aのそれぞれ3段階設け, それらを組み合わせて, 小麦刈跡に6月17日(1962)乾田直播(手播き)し, 主として収量の面から検討した。その結果, 漏水が多く, ある程度瘠薄な田圃における晩期条播様式の乾田直播においては, 条間を20cmぐらいとし, 株間は少なくとも2cm以上あけ, 1m間苗立本数を30-40本(m^2当り苗立本数は150-200本)にするのが適当であるとの結論に達した。
著者
桂 [キ]一 宮田 善雄
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大學學術報告. 農學 (ISSN:00757373)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.51-56, 1966-09-01
被引用文献数
1

Phytophthora capsiciの遊走子の走流性に関する研究を行なった。ガラス細管の先端より脱イオン水を静かに流出させる装置をつくり, 遊走子けんだく液中に挿入して観察したところ, 適当な流速のもとで, 管口部に顕著な遊走子の集泳が起こった。これは明らかに遊走子が走流性を示したことを意味する。暗視野照明と照度計を組み合わせた測定法によりとらえた遊走子の集泳状態は, さきに報告した走電性や走化性の場合とほぼ同様の様相を呈し, 流速が早い場合は特有の阻止帯の形成もみられた。遊走子が集泳を起こす位置は, 管口から流出した水の流速が, 遊走子の游泳速度と等しくなる地点とよく一致し, したがって, 管内流速がほぼ130μ/secの場合, 管口直前に顕著な集泳を起こすことがわかった。このことから, 流水の刺激は遊走子の方向性にのみ関与し, 運動速度にはほとんど影響を及ぼさないものと考える。遊走子が刺激として感ずる流速の最低限界は, 明らかになしえなかったが, きわめてわずかな水の流れをも感知するようである。本病菌遊走子が走流性を有することは, 降雨時に寄主植物体の上部から下部へ生じた雨水の流れに抗して, 遊走子が植物体に到達し, あるいは, それを泳ぎ上る可能性を推察させ, 植物疾病の伝播における1つの新たな機構を提起するように思われる。
著者
齋藤 秀樹
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大學學術報告. 農學 (ISSN:00757373)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.47-57, 1990-11-19

落葉資料に欠けるアカマツ壮齢林(40,60,75及び85年生)で調査を行なって落葉型, 林分間での落葉の同調性, 気温と落葉期の関連などを考察した。主な結果は次の通りである。(1)落葉盛期は秋であった。秋の落葉期に二つのピークをもつ林分があった。春5月にも小ピークがみられた。(2)地域内の林分では, 林齢とは無関係に, 落葉の季節変動は同調していた。近接の林分ほど高い同調性を示した。(3)秋の落葉盛期は暖かさの指数が低い年ほど早期にあらわれた。地域間(82&acd;130℃・month)でも同じ傾向がみられた。(4)既往の資料を含めて落葉型を考察すると, 日本のアカマツ林は秋型である。例外として, 個体の占有面積がある限界値(0.7m^2/tree, 15,000/ha)より小さい林分では, 春の小ピークが肥大し, 生育期に盛期をもつことがある。これはアカマツの分枝, 葉の着き方, 個葉の長さなど形態上の特徴にもとずく, 狭小な空間への適応の低さに起因すると考えた。これは密度効果であり, 大畠・渡辺が指摘するマツの過去の性質の発現でもある。(5)春(生育期)の落葉が顕著な林分の年間落葉量は, 秋だけの盛期の林分に比べて多い。
著者
木村 光雄 上田 静男 傍島 善次 青木 朗 国村 昇
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大學學術報告. 農學 (ISSN:00757373)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.15-20, 1959-09-01

1958年の8月6日&acd;10月28日にわたり, 葡萄のMuscat of Alexandria種の1年生1芽挿苗木を材料として砂耕栽培を行い, これに有機界面活性剤として, Polyoxyethyleneglycol Octyl Phenol Etherの4種類を夫々濃度を(10)^<-3>, (10)^<-4>及び(10)^<-5>としLauryl Alcohol (30mol) Ethylene Oxyde Co-polymerを濃度(10)^<-4>, (10)^<-5>及び(10)^<-6>として培養液に添加し, 有機界面活性剤の存在が葡萄の生育に及ぼす影響を調査した。その成績は次の如くである。1)有機界面活性剤の濃度がPolyoxyethleneglycol (×) Octyl Phenol Etherは(10)^<-3>, Lauryl Alcohol (30mol) Ethylene Oxyde Co-polymerは(10)^<-4>では高濃度に過ぎて供試樹は途中で枯死した。2)有機界面活性剤の濃度をPolyoxyethyleneglycol (×) Octyl Phenol Etherは(10)^<-4>, Lauryl Alcohol (30mol) Ethylene Oxyde Co-polymerは(10)^<-5>で添加すると供試樹の生育に好影響を及ぼす可能性がある。
著者
国松 豊 市原 俊治
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大學學術報告. 農學 (ISSN:00757373)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.42-49, 1967-10-15

冷蔵中および冷蔵卵蔵出し後における卵質の変化を調査する目的で本試験を行なった。シェーバー種産卵鶏の産んだ産卵当日の鶏卵を5ケ月間室温1℃温度70%の冷蔵庫に冷蔵し15日毎に卵質変化を調査した。気室の深さおよび直径, 卵白高そしてHaugh unitは最初の1ヶ月間急激に変化するが, その後の変化は比較的ゆるやかであった。卵重及び比重の変化は冷蔵期間中を通じて直線的に減少し, 冷蔵5ヶ月間の卵重減少率は, 3.2%であった。しかしながら卵黄高, 卵黄直径及び卵黄係数は殆んど変化しなかった。1・2・3・4および5ヶ月冷蔵した冷蔵卵を冷蔵庫より蔵出して後, 30℃の恒温器内に置き1日目より22日目まで3日毎に蔵出し後の卵質変化を調査した。対照区として新鮮卵も恒温器内に置き同様に調査した。冷蔵卵の比重, 卵白高, Haugh unitは, 冷蔵中に変化しているため蔵出し後における変化は, むしろ新鮮卵の方が顕著であり, 10日以後の変化は冷蔵卵も新鮮卵も殆んど同じであった。新鮮卵と冷蔵卵の間の卵黄高・卵黄直径及び卵黄係数の変化は殆んど同じ傾向であった。冷蔵卵は蔵出し後早いもので7日目より, 全体的には13日目より腐敗卵が見られた。