出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.9, pp.594-600, 1981-09-25 (Released:2009-05-25)
被引用文献数
4 3
著者
佐生 愛 増村 威宏
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.362-367, 2015-05-25 (Released:2016-05-20)
参考文献数
20

交通手段の発達により,世界中の人々がさまざまな国を行き交う時代となった.それに伴い,新興・再興感染症の世界的な流行が危惧されている.現在では,感染症予防策として注射型のワクチン接種が施行されているが,予防効果と取り扱いの簡便さから,経鼻・経口といった粘膜からワクチンを接種する粘膜ワクチンが注目されている.植物科学分野では,1990年代初頭から,医療用として用いられるペプチドやタンパク質を生産する場として遺伝子組換え植物を利用する研究が報告されるようになった.筆者らは,長年イネ種子貯蔵タンパク質の合成・蓄積機構に関する研究を進めてきた.その仕組みを利用すると,イネ種子胚乳組織を医薬品などの有用物質生産の場に変換できる可能性が見いだされた.
著者
児玉 龍彦
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.156-160, 2018-02-20 (Released:2019-02-20)
参考文献数
7

遠藤 章博士によるスタチンの発明は,人類史上はじめてコレステロール合成の本格的な制御を可能にし,肝臓やマクロファージをはじめとするヒトの細胞におけるコレステロール代謝の解析が大きく進み,メガスタディによる動脈硬化の予防の実証を可能にした.そのインパクトは20世紀の世界の医薬品開発と臨床医学を大きく変えた.年1兆円以上のブロックバスターを生み出し,グローバルなメガファーマの成立をうながした.だが,スタチンの影響はそれにとどまらない.コレステロールのメガスタディの評価は新たな論争を生み出し,単純化した標準治療や,コレステロールをはじめとする脂肪制限の栄養学には大きな批判も生まれている.スタチンの多面的作用の検討から,人体内の神経,血管,骨免疫系などにおける膜脂質とベシクル輸送におけるコレステロールのシグナル分子としての役割を明らかになりつつある.遠藤章博士のスタチンの発見は,医学薬学のパンドラの箱をあけ,21世紀の生命情報科学の創成をうながしている.
著者
物部 真奈美
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.504-511, 2021-10-01 (Released:2022-10-01)
参考文献数
43

緑茶(Camellia sinensis L.)には免疫に関与する成分が含まれているが,免疫を賦活する作用があるものや,またその逆の作用を示す成分もある.しかし,緑茶の淹れ方や品種を選ぶことで,そのバランスを大きく変えることができる.ここでは,免疫に関与する緑茶成分と報告されている生理活性,温度による緑茶成分の溶出性の違いについて解説する.