著者
岩坂 泰信 小林 史尚 皆巳 幸也
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.4-12, 2010-03-20 (Released:2010-03-25)
参考文献数
24
被引用文献数
3

There has been interest in bioaerosols that have been linked to health hazards for humans, animals, and plants. Additionally, recently possible contributions of bioaerosols to atmospheric processes become a large concern from the view point of interaction between climate-weather and bioaerosol, especially the potential of micro organisms as ice nuclei. However knowledge on atmospheric bioaerosols is extremely poor due to the technical difficulty in measurement of bioaerosols in the atmosphere. Recently some investigators tried to collect atmospheric bioaerosols on high mountains and/or high tower to understand the transport processes, the environmental stress on micro biota in the atmosphere, the concentration and diversity of micro organisms in the atmosphere. Now the science of bioaerosols is world-widely accepted as large break-through in atmospheric science, aerosol science, environmental science, and others. The concentrations and diversity of bioaerosols in the atmosphere and the changes in their temporal-spatial are essential knowledge to clarify the long range transport of bioaerosols and the atmospheric processes affected by bioaerosols, and the environmental effects of micro organisms transported in long range. Balloon borne measurements were actively made in Kanazawa, Japan and Dunhuang, China in 2005-2009 suggesting that Kosa (Asian dust) particles were effective carriers of micro biota. Mixture states of Kosa and micro biota certainly suppress the environmental stress such as ultra-violet solar radiation, dryness and low temperature. The papers in this special issue of EAROZORU KENKYU are mainly based on these balloon borne measurements, and the newest information is described. Considering that the westerly wind frequently transports lots of Kosa particles from arid and semi-arid regions in China and Mongolia to downwind including Japan, the effect of Kosa bioaerosol mixture on environment, weather and health is of large concern in downwind areas. The paper by Kohshima (this issue) describes interesting and valuable topics in order to discuss the effects of Kosa bioaerosols on environment.
著者
牧 輝弥 小林 史尚 柿川 真紀子 鈴木 振二 當房 豊 山田 丸 松木 篤 洪 天祥 長谷川 浩 岩坂 泰信
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.35-42, 2010-03-20 (Released:2010-03-25)
参考文献数
23
被引用文献数
2

The microbial communities transported by Asian desert dust (KOSA) events have attracted much attention as bioaerosols, because the transported microorganisms are thought to influence the downwind ecosystems in Japan. In particular, halotolerant bacteria which are known to be tolerant to atmospheric environmental stresses were investigated for clarifying the long-range transport of microorganisms by KOSA. Bioaerosol samples were collected at high altitudes within the KOSA source area (Dunhuang City, China) and the KOSA arrival area (Suzu City, Japan). The microorganisms in bioaerosol samples grew in media containing up to 15 % NaCl, suggesting that bacteria tolerant to high salinities would remain viable in the atmosphere. The PCR-DGGE (Denaturing gradient gel electrophoresis) analysis using 16S rRNA genes sequences revealed that the halobacterial communities in bioaerosol samples belonged to the members of the genera Bacillus and Staphylococcus and that some bacterial species belonging to Bacillus subtilis group were similar among the samples of both cities. Moreover, some sequences of B. subtilis group were found to be identical for the species collected at high altitudes and on the ground surfaces. This suggests that active mixing of the boundary layer transports viable halotolerant bacteria up to the free atmosphere at the KOSA source area, while down to the ground surface at the KOSA arrival areas.
著者
岩坂 泰信 張 代洲 小林 史尚 牧 輝弥 柿川 真紀子 洪 天祥
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

タクラマカン砂漠での気球観測では上空に浮遊する黄砂の約10%が微生物と合体していた。黄砂が偏西風帯にまで舞い上がった時点ですでに微生物を付着させている可能性が高い。能登半島での観測は、黄砂濃度上昇時に微生物濃度が上昇し「黄砂とともに大気圏を移動している」ことを強く示唆した。立山山頂付近の積雪の黄砂層の微生物多様性はタクラマカン砂漠のものと高い類似性があり、砂塵発生源地からの長距離移動・拡散を示唆した。
著者
岩坂 泰信 TROCHKINE Dmitri
出版者
金沢大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003

東アジア起源の鉱物粒子、いわゆる黄砂の性状を調べる目的で2004年の3月と10月に直接観測を行った。いずれの観測においても、気球搭載の自動インパクター集塵装置(AIS)を使用したことにより黄砂発生源地域(敦煌市、中国)上空、特に自由対流圏高度に存在する大気中粒子状物質(大気エアロゾル)の採集に成功してる。このAISは大気エアロゾルをサイズ別に採集できる2段式インパクターを3個装備可能で、高度別に試料を得られるのが特徴である。これと並行し、同様の技術で地上における大気エアロゾルの採集も行った。また、AIS放球後短時間のうちに同じく気球搭載の光散乱式粒子個数濃度測定器(OPC)を打ち上げ、どの高度にどの大きさの粒子が卓越しているのか、という粒子の分布状態も調べられた。黄砂が大陸内部で発生した後、長距離輸送される過程でどのような変質をうけるのか、この問題解明には、発生源と風下地域の両地点での比較が必要である。汚染物質と黄砂の関連を調べる目的で、東アジア有数の都市域である北京市内においても係留気球を用いた観測を行っている。各地点で採集された大気エアロゾル試料は後にエネルギー分散型X線分析器(堀場、EMAX-500)搭載の走査型電子顕微鏡(日立、S-3000N)により粒子個々に観察、分析された。その結果、発生源地域上空、自由対流圏で採集された(より長距離輸送に寄与すると思われる)黄砂の粒子表面は季節を問わず「きれい」な状態にあったことがわかった。一方、風下地域で採集された黄砂の粒子表面には硫酸塩等の存在が確認されている。黄砂に含まれる硫黄の含有量が母体となる黄砂の組成、採集時の相対湿度などに依存していたことから、風下における硫酸塩の存在は粒子表面で起きる不均一反応によりSO_2が酸化され、生成した結果であると指摘した。以上の結果は学術雑誌に投稿準備中である。
著者
岩坂 泰信
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.127-133, 1994-06-20 (Released:2010-08-27)
参考文献数
11
著者
岩坂 泰信
出版者
日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.803-809, 2013-10
著者
岩坂 泰信
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.47-52, 2014-01-31
著者
岩坂 泰信
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.597-602, 2013-07-31
著者
川平 浩二 岩坂 泰信
出版者
富山工業高等専門学校
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

オゾンホ-ルと温室効果の相互関連について、主としてデ-タ解析により研究を行ない,以下のような研究成果が得られた。南極域の春,10月を中心に生じるオゾンの急激な減少であるオゾンホ-ルは,1980頃に顕著になって以来年々減少し,1991年には史上最低値のオゾン量ガ観測されている。この減少の直接的要因は,フロンガスに含まれた塩素が,ー85・C以下の気温のとき生じる極成層圏雲の氷滴の表面上で不均一反応によって急激に増加し,オゾン消失反応の触媒作用を行なうことによる。したがって,オゾンホ-ルが何故1980年頃から顕著になり,今後どのように推移していくかを考えるとき,気温の長期変化がどうなっているか,それと合わせて大気の循環にどのような変化が見られるかを明らかにすることが必要である。本研究では,米国の国立気象センタ-(National Meteorological Center)が解析した,1979年から1988年の10年間の高度場より,気温と風を求めて解析を行なった。月平均値に関して,以下の点が明らかになった。1.オゾンの急激な減少の生じる高度(10ー20km)で,極夜期間に長期の1方的な気温低下がみられることから,温室効果による成層圏の冷却と考えた。この傾向は,10年間にわたり,かつ極夜期間はオゾンによる加熱が働かないため、気温低下は力学効果か温室効果によるが、力学効果は2ー5年の周期をもつことから,温室効果による。2.月平均の帯状風の1980年代の変化を求めた。意外なことに,オゾンホ-ルの発達と対応がみられなかった。年々振動はあるが、長期の一方的変化は,見いだせなかった。ところが,1970年代年期初期との比較を行なうと,冬から春にかけてのどの月についても,極域では近年風が弱まり,一方60・S付近の中緯度では逆に,風が強くなっている。さらに,大規模波動の振幅を比較すると,近年は著しく弱くなっている。このことは,オゾンホ-ルの発達を促す循環の変化が,1970年代の半ばごろに確立し,現在まで続いているという,新しい知見をもたらした。その他の解析と合わすと,温室効果に伴う循環奉の変化が起こっており,しかもその変様相は,徐々にではなく,ある期間に比較的急激に起こったといえる。この結果から,オゾンホ-ルの発達は,温度効果による成層圏の気温 低下と循環の変化が先行して生じ,その発達の基本条件を作ったとの,1987年に提起した筆者の独自見解を支持するものといえる。特に,温室効果による循環の変化は,この研究が初めて明らかにしたといえる。
著者
岩坂 泰信 飯田 孝夫 NELLBER R. 藤原 玄夫 SHOW G. 李 敏熈 金 潤信 よん 知本 石 広玉 長田 和雄 林 政彦 松永 捷司 柴田 隆 GONG Shiben 李 敏煕 こん 知本
出版者
名古屋大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

粒子状の硫黄酸化物あるいは窒素酸化物のグローバルな循環は地球環境の変動過程とさまざまなつながりをもっている。火山性の硫酸エアロゾルの極地域への拡散が極成層圏のオゾン消失にあたえる影響などはその代表的なものでる。中緯度地域に発生の起源を持つ物質が北極圏へ輸送される過程、およびそれが全球規模の物質循環にしめる役割を明らかにすることを主たる目的とし、本年度は以下のような観測研究を行なった。中国、韓国、日本、およびアラスカ(アメリカ)で、黄砂(対流圏)や火山灰(成層圏)、あるいは硫黄酸化物や窒素酸化物からなるエアロゾルの高度分布やその時間変化を図ること目的として;アラスカでは成層圏エアロゾルの濃度変動を知るためのライダー観測をフェアバンクス郊外で平成6年から7年にかけての冬期および7年から平成8年にかけての冬期に行なった。これらの研究からは、アラスカ地域においてある期間は北極圏の典型的な様相を示すがある期間は名古屋地方とほとんど同様なエアロゾル分布をしめすなど、きわめて変化の幅が大きいことがわかった。また自由対流圏においては頻繁に中緯度地帯からエアロゾルをはじめとする大気物流が運ばれていることを示している。また一方では、極成層圏の物質が圏界面下から中緯度へ流失したことによると考えられる現象も見いだされている。同時に、この地域において多点試料採集を計画するための予備調査も実施した。生成7年度に行なった観測結果を、ノルウェーで実施されている成層圏観測の結果と比較した結果極渦周辺で極起源の成層圏物質の分布が著しく極渦の動きに左右されていることがわかった。この問題についてはすでに成果報告がなされつつある。中国では、平成6年度の夏期間に北京市郊外において大型気球による対流圏成層圏の観測をおこなった。これらの観測は、この地域において土壌起源物質の活発な自由対流圏への供給が示唆される結果が得られており、東アジアから西太平洋域における大きな大気化学物質の供給源であることを示唆している。またこのような大気の運動に連動して生じていると考えられる成層圏起源のエアロゾル粒子、オゾンなどが成層圏から自由対流圏に流入している現象も見いだされている。これの結果の詳細は現時点では取り纒め途中であり、成果報告されているものはそく法的なものにすぎないが、今後機会をみて合同の国際シンポジュウムをもち成果を世に問う計画である。中国の研究者とのあいだでは、今回使用した放球場所とは異なる場所での気球実験が検討中である。韓国では、多点観測のための予備調査を実施し、関係機関を訪問すると同時に共同の試料採集計画を検討した。韓国での多点観測ネットワークと日本における観測ネットワークを結んだ、大気成分の長距離輸送観測計画を実施することになった。観測結果は、年度末に互いに交換し相互比較することとしている。また、今後の観測の発展には韓半島でのライダー観測が必要との認識を共通にもつことができた。このことに備えて、観測に適する場所の予備調査を行ない漢陽大学キャンパス内に設置場所を第1の候補地とした。中国大陸から偏西風によって運ばれ、韓半島上空を通過して日本へ飛来する大気と直接日本上空へ達する空気塊を比較すると、韓半島を通過したものには韓半島上空で地上起源の汚染大気と混合し変質したと考えられるものが観測された。
著者
土器屋 由紀子 岩坂 泰信 梶井 克純 山本 正嘉 山本 智 増沢 武弘
出版者
江戸川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

2004年に無人化された富士山測候所を有効に活用し、国際的な視点に立って、多方面に開かれた総合研究施設とすることを目的として調査研究を行った。主要な行事としては、2006年11月22,23日に国際ワークショップ/シンポジウムを開催した。以下に内容を要約する。(1)富士山は工業発展の著しい東アジア大陸の東に位置しており、偏西風の通り道であり、大気汚染の観測サイトとしての価値は大きい。(2)富士山測候所の施設はまだ十分利用可能であり、利用されずに放棄されるのは資源の無駄と考えられる。最近、中国のWaliguan山、台湾のLulin山に大気化学観測地点が新設されている。ハワイのマウナロア、さらに中央アジアの山などを含めた高所観測ネットワークの中で富士山の観測が不可欠である。(3)航空機の宇宙線被爆の観測にとっても、富士山はユニークな連続観測地点である。(4)日本で唯一永久凍土が確認された富士山におけるコケ類の調査は地球温暖化を目視できる「指標」であり、今後、より詳しい継続的な観測には測候所を基地として利用することが望ましい。(5)富士山頂で7年間サブミリ波望遠鏡による冬季観測を成功させた技術を活かすことによって、天文学並びに超高層大気化学への利用が可能である。(6)高山病の原因の究明や高所トレーニングにとって富士山測候所は有用な施設である。(7)脂質の代謝機構の解明や、耳の蝸牛機能に対する低圧低酸素環境の影響など医学研究にも測候所の施設は有用である。(8)廃止になった筑波山測候所を生き返らせ、リアルタイムの気象データの配信を含めて水循環の研究に用いている筑波大学の業績に学ぶところが大きい。(9)新しい分析化学的な手法や新素材の開発・応用などにも低温・低圧の高所研究施設として測候所は利用できる。
著者
井関 将太 定永 靖宗 松木 篤 岩坂 泰信 佐藤 啓市 竹中 規訓 坂東 博
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.256-263, 2010-11-10 (Released:2011-06-05)
参考文献数
25
被引用文献数
2

石川県能登半島珠洲で2008年12月からオゾンと一酸化炭素の測定を行い、東アジアの汚染された地域からの長距離輸送の観点から、季節変動・日内変動について解析を行った。オゾンと一酸化炭素濃度は、季節変動として春に高濃度、夏に低濃度となった。珠洲に到達する気塊を、後方流跡線解析を用いて、ロシア・中国・日本由来に分類したところ、春にロシアや中国からの大陸由来の割合が高くなり、夏に日本由来の割合が高くなった。区分別に見ると、中国由来の気塊が一年を通して高濃度となり、同じ大陸由来でも、ロシア由来の気塊は日本由来よりも低濃度になる傾向が見られた。日内変動を見ると、各月においてO3は日中の午後に最高値を示すが、COは一貫した変動を示さなかった。O3の日内最小値の月変動は、気塊の由来と長距離輸送中の光化学O3生成によるものであり、日中のO3増加量の月変動は、観測値近傍での光化学O3生成であると考えられた。また、日中のO3増加量と積算日射量との間には高く正の相関があることが明らかになった。
著者
渡辺 幸一 朴木 英治 久米 篤 青木 一真 中野 孝教 石田 仁 松木 篤 岩坂 泰信 松木 篤 田中 泰宙
出版者
富山県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

高所に出現する弱い黄砂(バックグランド黄砂)の動態やその自然環境へ及ぼす影響を評価するため、立山において、エアロゾル粒子、微量気体成分、降水、霧水、積雪などの観測・分析を行うと共に、植生への影響について検討した。年度による程度の違いはあるものの、毎年秋期に「バックグラウンド黄砂」の影響がみられることがわかった。立山山の植生は、大気汚染物質だけでなく、黄砂粒子の影響も大きく受けている可能性が示唆された。また、立山での観測と並行して、回転翼航空機による富山県上空大気観測も行った。観測結果から、高所では高濃度の光化学オキシダント物質に植生が晒させやすいと考えられる。
著者
岩坂 泰信 金 潤ソク
出版者
金沢大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

韓国で、2005年3月に、韓国気象研究院の協力を得て、エアロゾルゾンデを使い大気中のエアロゾル数密度と粒径の計測を行った。地上付近から、成層圏まで順調に観測され、その初期的な結果は、国際的なプロジェクトであるABC(Atomospheric Blown Cloud)プロジェクトのもとで運営されているホームページ上で公開した。韓国において、開催されたABC国際シンポジュームでもその成果は発表されている。インドで2005年12月に開催されたアジアエアロゾル会議および金沢大学21COEが主催した2006年3月の国際シンポジューム、においても、観測結果の解析・吟味の進捗に合わせて上述の結果を発表した。観測された高度分布は、エアロゾル濃度の高い層が何層か重なっており、これまでにACE-Asiaプロジェクトなどで観測された結果と極めてよく似た様相を呈している。上空の水蒸気分布(客観解析データより推定されたもの)などと比べてみると、性質が大きく異なった空気が何層にも重なっていることが示唆される。現在、詳細な解析結果を雑誌投稿準備中である。2005年8月には、中国科学院の大気研究グループと長白山系の予備調査を実施した。予備調査の結果、中国科学院が生態研究や二酸化炭素の濃度モニタリングを行っている長白山のふもとの施設に大気観測用の諸施設を設置し、長期大気モニタリング基地を建設するのが至当と判断された。同地域は、韓国の関係研究者も予備調査を実施しほぼ同様の結論を得ている。また、これを機会に中国の延辺大学およびその他の機関との共同研究体制が出来つつあり、今後の研究の発展の準備が出来上がった。この観測施設は、広い分野の研究者にも利用可能にするべく準備中である。引く気球実験は、2006年4月に放球の予定で、それに向けて種々の準備を行ってきた。中国のチンタオよりエアロゾルゾンデを放球し東シナ海あるいは日本海上空をゆっくりとした速度で上昇させながら横断するコースを取ることによって、大陸の空気がどのようにして海洋の空気を混合し性質を変えてゆくのかを明らかにする計画である。