著者
大竹 伝雄 東稔 節治 久保井 亮一 高橋 保夫 中尾 勝実
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.366-373, 1979-07-10 (Released:2009-10-21)
参考文献数
16
被引用文献数
3 1

液体エジェクターをガス分散器として用いたときの, スロート内の流動状態, 生成気泡径, 槽内ガスホールドアップについて実験的に検討した.スロート内の流動状態は, スラグ流, 環状流, 気泡流, ジェット流に大別でき, これら各領域を気液流量比 G/L 対スロート内液流速 uLT 基準のFroude 数, Fr (=uLT2/gDT) の線図で示した.気泡径分布, ガスホールドアップ εG, 体面積平均気泡径 dBvs の Fr や G/L に対する依存性は, 遷移 Froude 数 Frc を境に大きく変化する. Fr≦Frcのスラグ流-環状流領域では, 気泡径分布の幅は広く, G/Lを増加するとその標準偏差は増加し, εG も同一ガス流量の条件下の気泡塔における値 εG0 と変わらない. Fr>Frc の気泡流-ジェット流領域では, 1~4 mm の小気泡が均一に分散した流れとなり, Frを増加またはノズル-スロートロ径比 DN/DTを減少すると, εG は増加し, dBυs は減少する.各領域における平均気泡径, ガスホールドアップは, Fr, G/L および DN/DT を含む実験式で相関された.
著者
坂東 芳行 倉石 迪夫 西村 誠 服部 真 竹下 功
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.803-809, 1988-11-10 (Released:2009-10-21)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

ガス吸込み式気液同時吹込みノズルを備えた気泡塔の流動特性について実験的に検討した.吸込みガス量およびガスホールドアップは, 液流量の増加につれて, 増大した.また, 前回報告したエアリフトと気液同時吹込みノズルを組合せた場合と比較した.本測定条件下では, 吸込みガス量についてのノズル部の最適寸法は次のようであった.ノズル長さ/ノズル径= 20 ~ 30オリフィス径/ノズル径 =0.5 ~ 0.6また, ノズル径 30mm以下では, ノズル径が大きいほど, 動力当たりの吸込みガス量は高くなった.一方, ガスホールドアップについては, 操作条件により最適ノズル径が変った.気泡塔内においては, エアリフトと組合せた場合と同様, 噴流部および斉流部が観察され, 気泡径は小さく, ガスホールドアップおよび気液界面積は高くなった.ガスホールドアップ, 気液界面積のエネルギー効率は本方式の方がエアリフト式よりも高かった.
著者
大平 勇一 楠木 史子 空閑 良壽 吉田 豊 小幡 英二 安藤 公二
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.545-548, 2004-07-20
参考文献数
11
被引用文献数
7 7

藍藻スピルリナおよび緑藻クロレラの比増殖速度に及ぼす通気量の影響について実験的に検討した. クロレラを培養する場合, 通気量5 mL・s<sup>-1</sup>以上で比増殖速度がほぼ一定になるのに対し, スピルリナの培養では通気量6 mL・s<sup>-1</sup>で比増殖速度が最大となった. スピルリナの培養には最適通気量があり, 過剰通気はスピルリナの比増殖速度を低下させることがわかった.
著者
森 芳郎 菅沼 彰
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.197-201, 1975-03-10 (Released:2009-10-21)
参考文献数
6

Under an assumption that particle size x follows log-normal distribution in its parent population, any population mean particle size defined byΓ= {∫∞0xa+bƒ(x)dx/∫∞0xbdx} 1/cor Γ=exp {∫∞0 (lnxe)ƒ(x)dx} can be estimated by the following Hatch-Choate formula.gH=exp (Aμ+Bô2) μ=n∑i=1yi/n, ô2n∑i=1 (yi-μ) 2/ (n-1) yi=lnxi(A, B) = {a/c, a2+2ab/2c} or {e, 0} This estimate gH, which may be called sample mean particle size by Hatch-Choate, follows asymptotically log-normal distribution, that is, h=ln gH follows asymptotically normal distribution N {Ω, D2 (h)}.Ω=lnΓD2 (h) = (A2/n) σ2+ {2B2/ (n-1)} σ4So far as sample size n is larger than about 100, the distribution of h= ln gH can be approximately expressed by N {Ω, D2 (h)}. Owing to this conclusion, some of statistical tests and inference about population mean particle sizes become possible with a numerical table of t-distribution.
著者
三村 富雄 松本 公治 飯島 正樹 光岡 薫明
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.6-10, 2000-01-10
参考文献数
10
被引用文献数
1 6

石炭焚き火力発電所排ガス条件下の炭酸ガス分離について化学吸収法の適合性を試験した.<BR>新吸収剤KS-3による排ガス量450m3/hのパイロット試験結果から, SOx濃度50ppmの条件で約200時間の運転では熱安定性塩の蓄積は少なく問題なく運転できることが確認できた.<BR>更に, 吸収再生性能については低下傾向が見えないことと, LNG焚き条件のケースと同等の高い良い耐腐食性が得られたことから, 充分長時間運転できることが推定できる.
著者
三谷 知世 市村 綾香 下村 耕平 小池 奈緒子 大城 英俊 柳田 友隆 江 耀宗
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.877-881, 2000-11-10 (Released:2010-03-15)
参考文献数
18
被引用文献数
5 6

火山灰土壌に硫酸第一鉄を混和し5000℃で焼成した吸着剤のリン酸イオン除去能力について検討した. リン酸イオンの除去速度は初期に速く, その後徐々に低下し, 平衡になるのに数十日間を要した. 液のpHが低いほど焼成土壌によるリン酸イオン除去量は多くなった. 液のpHは時間の経過とともに中性付近に収束した. 初期pHを酸性にした場合のpH上昇は, イオン交換反応によるAI3+及びFe3+からのOH-の放出によると考えられた. 初期pHをアルカリ性にした場合のpH低下は, 焼成土壌から溶出したAl3+, Fe3+の加水分解によるH+の生成によるものと考えられた. SV=2 (1/hr) で焼成土壌の粒子を詰めたカラムにリン酸イオン溶液を流通させたところ, pH 6.00の場合65日間, pH 7.55の場合35日間, 流出水のリン酸イオン濃度が1mg/dm3以下に保たれた.
著者
畑中 千秋 原口 俊秀 井手 俊輔 後藤 宗治 後藤 雅宏 中塩 文行 大友 直也
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.930-934, 1996-07-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
10
被引用文献数
3 3

Enzymatic esterification reaction of erythritol and oleic acid was carried out in the reaction system of controlled water content. A higher conversion was obtained when the water content in the system was adjusted ranging from 1, 000 to 4, 000 ppm. It was shown that the water in such systems was bound to the enzyme protein and needed for appearance of the enzyme activity. The process of crystallization of erythritol appeared to be effective for the acceleration of lipase-catalyzed synthesis.
著者
山崎 浩 篠崎 勝彦 平田 雄志
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.683-688, 1999-09-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
14
被引用文献数
1

凍結濃縮のための氷晶製造技術として掻面型製氷機と側面にフィルターを有する縦型円筒フィルターを連結させ, 氷晶含有比率0.50~0.53の柱状氷晶ケークを製造する技術を開発した.フィルター上部から連続的に排出する氷晶ケーク中の氷晶粒子は製氷機から生成したスラリー中のものと比較して平均粒子径が約2~4倍に成長した.この現象は主にフィルター内で氷晶ケークと濃縮液が分離する過程で生じることが確認された.このような氷晶の成長は主に氷晶間の接触・融合によるものであると考えられる.さらに柱状氷晶ケークをガラス製カラムフィルターに充填し, 冷水で氷晶ケーク内の濃縮液を押し出し置換することにより, 氷晶ケーク内の残留溶質分濃度はmg/lオーダーとなり, 濃縮液をほぼ完全に回収することができた。この方法は遠心分離法と比較して優れた回収性を示し, しかも, 濃縮液の希釈がほとんどないことが明らかになった.
著者
山崎 浩 篠崎 勝彦 平田 雄志
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.704-707, 1998-07-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
9
被引用文献数
1

10kg/m3CCNa溶液を用いてアイスライニングによる凍結濃縮における氷晶層中への溶質の取り込みについて撹拌回転数Nとブライン温度と溶液の氷点との温度差ΔTをもとに検討した.溶質のみかけの分配係数Kへの影響はΔTよりNの方が大きい.ΔT=2.8~7.9℃, 撹拌回転数N=20~400min-1の条件下における氷晶層の成長速度は10-7~10-6m/sである.氷晶層への溶質の分配係数Kは氷晶層の成長速度より, むしろ, その氷晶層の表面状態の影響を受ける.氷晶層の表面状態は凍結界面の溶液側の撹拌によって影響を受け, 弱い撹拌条件下では複雑な形状の氷晶層が生成し, その比表面積は大きくなる.そのため氷晶表面に付着する溶質量が多く, 結果的に氷晶層に取り込まれる溶質量も多くなるものと考えられる.
著者
山崎 浩 矢沢 久豊 平田 雄志
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.30-36, 1998-01-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
9
被引用文献数
6 9

ジャケット付き撹拌晶析槽の内壁面に予め形成した氷層から氷晶を成長させることによってのみ溶液が濃縮される新しい凍結濃縮法 (アイスライニング法) を開発した.セファロスポリンCNa溶液の凍結過程について濃縮液の濃度と液量を測定することにより, 本法はアイスライニングを使用しない単純凍結と比較して高濃縮液の回収に極めて優れていることが明らかになった.溶質の見かけの分配係数は, 濃縮液の溶質濃度に対する氷の溶質濃度の比として定義した.実験の結果, 分配係数は, 供給液濃度が低い場合, ブライン温度と供給液の氷点が小さい場合, また, 撹拌速度が大きい場合に減少した。さらに, 本法は, 蒸発濃縮法と比較して濃縮液中の溶質の劣化がほとんどないことが確認された.
著者
加々良 耕二 家田 成 安田 広宣 生島 宗治 五島 俊介
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.257-264, 1995-03-15 (Released:2009-11-12)
参考文献数
7
被引用文献数
2 1

トリアルキルウレアには安定形のA形晶, 準安定形のB形晶と不安定形のC形晶が存在する.準安定形のB形晶を製造するために, 本化合物のトルエン中での晶析挙動をIRを用いて調べた.晶析温度が318,333Kの場合, 過飽和度SBに対応してB形晶, (A+B) 形晶及びA形晶が析出したが, 時間経過に伴ってB形晶はA形晶に転移した.298KではSBには無関係にC形晶が析出し, A形晶に転移した.B形晶からA形晶への転移速度定数κ, 転移が始まるまでの待ち時間θAに対する晶析条件の影響を500mlの晶析槽で調べ, さらに, 2l及び200l晶析槽を用いてスケールアップの検討を行った.以上の実験結果に基づき, 200lスケールで晶析実験を行った結果, A形晶を全く含まないB形晶を製造することができた.
著者
加々良 耕二 町谷 晃司 高須賀 清明 河合 伸高
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.437-443, 1995-05-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
8
被引用文献数
6 4

テトラリン体の精製における溶媒媒介転移を抑制するために, 転移に及ぼす晶析温度, 溶媒組成および撹拌速度の影響についてDSCを用いて検討を行った.転移の過程を経時的に追跡した結果, ある待ち時間を経たのちS字型の曲線を示しながら, 準安定形のA形結晶から安定結のB形結晶に転移した.転移過程を溶液濃度一定, すなわち過飽和度が一定の領域に対して成長速度式を用いて解析し, 総括転移速度定数, およびB形結晶が析出し始めるまでの待ち時間と種々な晶析条件との相関を求めた.この基礎実験結果に基づき, 500lスケールでパイロット実験を行った結果, 安定形のB形結晶を含まない準安定形のA形結晶のみを製造することができた.
著者
百永 真士 矢澤 久豊
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.438-443, 1988-07-10 (Released:2009-10-21)
参考文献数
9
被引用文献数
2 2

抗圧利尿剤チエニル酸のNa塩からのフリー化および結晶変換反応における反応促進と結晶粒径制御のために第2媒体の添加法を検討し, メチルイソブチルケトンが良好な添加剤であることを見いだした.また, 溶液中のチエニル酸結晶の界面エネルギーと製品粉体特性値との間に相関性のあることを明らかにした.次いで本反応晶析のスケールアップをZパラメータを適用して行い, 良好な結果を得た.
著者
吉野 寿高 百永 眞士 篠崎 勝彦 矢澤 久豊
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.906-913, 1997-11-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
13

精製結晶として得られた医薬品の大部分は, 添加剤を混合して錠剤を造り, 服用される.このような医薬品に対して要求される最も重要な特性は, 錠剤からの溶出速度が所定値に調節できることである.錠剤の溶出速度は結晶の内部構造, 粒径, 添加剤との親和性などによって変化する.このような薬・剤複合化技術の開発として, 活性ビタミン剤であるオクトチアミンの晶析を行い, 最適な錠剤化が可能な晶析法および条件を確立した.さらに, 本晶析法のスケールアップ因子についても検討を行った.
著者
加々良 耕二 山崎 広志 矢沢 久豊
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.604-609, 1994-09-15 (Released:2009-11-12)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

フォスミドマイシン精製晶析は液滴からの溶媒の物質移動を伴う結晶化過程と, 撹拌による析出結晶の機械的破砕過程を含む複雑な晶析法である.本晶析法によって得られるフォスミドマイシンの粒径および粒径分布をコントロールするため, 5lベンチスケールおよび200l一パイロットスケールで実験を行い, 粒径に関しては単位体積当たりの撹拌所要動力 (n3d5/V) およびZ因子が, また粒径分布に関しては単位時間当たりの流体の平均循環回数 (nd3/V) が装置形状・スケールに関係なく良好な相関関係を与えることを見出した.さらにこの因子を仕様の異る無菌室の200l晶析槽に適用した結果, 製剤化に適した所望の粉体特性を有するフォスミドマイシンが得られた.
著者
百永 真士 日比 文夫 矢澤 久豊
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.192-197, 1984-03-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
7
被引用文献数
2 2

バッチ操作におけるフェノキシ酢酸化合物の晶析を検討した.その結果, 製品代表粒子径Dpおよびその粒径分布関数のMax F (Dp) は下記の攪拌効果を含んだ式で相関された.Dp=4.64×10-2-8.75×10-5 NdθcMax F (Dp) =-420 Z+1.02×103ここで, θcは平均循環時間, Zは攪拌速度 N, 攪拌翼径 d, 攪拌槽径Dおよび粒子径Dpを含む無次元数である.前2式は80倍の幾何学的に非相似な晶析器のスケールアップにおいて, 粒径分布を制御するために適用できた.これより, スケールアップ因子Zは幾何学的に非相似な晶析槽のスケールアップにも適用できるものと考える.
著者
百永 眞士 大西 賢 矢澤 久豊
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.553-561, 1992-09-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

充填性や流動性の良い粉体特性を有したセファゾリンナトリウム (化学式 : C14H13NaN8O4S3) の多形β形結晶を晶析することを目的として実験条件の検討を行った.その結果, 物理的, 化学的に安定なβ形の結晶を取得するためには, 水-ソルミックス (EtOH-IPA-アセトンの混合溶媒のことで, 各々の比は85%, 5%, 10%) 混合溶媒系で晶析温度の違いによる結晶の溶解度差を利用した晶析法が有効であることを見いだした.また, セファゾリンナトリウムに構造が類似したジアミノモノカルボン酸構造を有した化合物, またはL-リジン, L-アルギニンのようなアミノ酸を微量添加することによって, 板状結晶から針状晶が凝集した球形の凝集結晶に晶癖を調整する方法が確立できた.本晶析法によって医薬品のバイアル充填, カプセル充填に好適な結晶を得ることができた.さらに, 浮遊撹絆動力比Z因子をパラメータとして用いることによって, 粒径と粒径分布制御およびスケールアップが可能なことを明らかにした.
著者
古賀 敬一 川上 良一 加々良 耕二
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.1174-1179, 1996-09-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
8
被引用文献数
2 3

チアゾール酸には, 1.5水和物, 無水和物が確認されていたが, 今回, 新たな0.5水和物が出現したので, 各多形結晶のメタノール水溶液中における転移挙動を水分計, X線回折を用いて調べ, 多形間の相互関係を明らかにした.各多形結晶の転移はメタノール濃度に依存し, 1.5水和物の場合, 0~30Vol%では転移は起きず, 50~80Vol%では0.5水和物へ, 85~100Vol%では無水和物へ転移した.その際, 無水和物の種晶を1Wt%添加すると, 80Vol%でも無水和物へ転移した.0.5水和物の場合, 80~95Vol%では転移は起きず, 100%で無水和物へ転移した.無水和物の場合, 0~40Vol%では, 1.5水和物へ転移したが, 50~100Vol%では転移は起きず無水和物のままであった.
著者
古賀 敬一 平林 敏 加々良 耕二
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.430-436, 1995-05-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
6

チアゾール酸1.5水和物を安定的に無水和物に転移させる新しい晶析法を開発するために, 転移溶媒としてメタノールが最適であることを確認し, メタノール水溶液において種々の晶析を行った.その結果, 転移速度に及ぼすメタノール濃度, 晶析温度, 種晶添加効果および撹拌速度の影響を明らかにし, 安定的に無水和物へ転移させる晶析法を見い出した.
著者
三宅 義和 牟田 哲也 石塚 勝也 白石 智之 岩崎 仁 森 康維
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.929-935, 1995-09-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
12

水溶液中でのテトラクロロ金 (III) 酸のアセトンジカルボン酸による還元反応を紫外・可視分光光度計で測定した.金イオン濃度の減少速度は, 210nmでの吸光度の時間変化から得られ, その反応速度は金イオンとアセトンジカルボン酸濃度に比例した.その速度定数の活性化エネルギーの値が-21.2kJ/molと得られ, この過程が金コロイドの核生成過程に対応していると推論された.一方, 生成した金コロイドは530nm付近に最大吸収波長があり, その波長での吸光度の時間変化は誘導時間を有し, シグモイダル曲線で表された.誘導時間は金イオン濃度, アセトンジカルボン酸濃度及び温度の増大につれ減少した.この過程の活性化エネルギーの値は85kJ/molであり, この誘導期間中に金コロイドの成長が進行することが示唆された.