著者
大石 勉 平岡 節郎 加藤 禎人 多田 豊 全 炯圭 山口 隆生
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.907-911, 1998-11-20
参考文献数
12
被引用文献数
2 1

バイオリアクターとして実用化されている特殊撹拌翼 EGSTAR (イージースター) の動力特性を実験的に明らかにした.邪魔板無しの所要動力は摩擦係数と修正 Re数を用いたパドル翼に対する亀井ら (1995) の動力相関式の形でまとめることができた.パドル翼に対する翼相似パラメーターγ<I>n</I>p<SUP>0.7</SUP><I>b/H</I>は EGSTARでは1.57γ(<I>d/H</I>)(<I>h</I><SUB>d</SUB>/<I>d</I>)<SUP>0.59</SUP>と修正された.邪魔板有りの所要動力は亀井らの動力相関の手法を用いることができた. EGSTAR撹拌翼の完全邪魔板条件とそのときの動力数は次式で示された.<BR>(<I>BW/D</I>) <I>n</I><SUB>b</SUB><SUP>0.8</SUP>≧0.74 (<I>h</I><SUB>d</SUB>/<I>d</I>) <SUP>0.12</SUP><BR><I>N</I><SUB>Pmax, ε</SUB>=3.7 (<I>h</I><SUB>d</SUB>/<I>d</I>) <SUP>0.59</SUP> (1-ε) <SUP>-1.1</SUP>
著者
竹永 勇治 縄田 雅裕 坂田 信行 瀬沼 勝 渡辺 泰三 佐藤 忠司 土佐 哲也
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.204-206, 1991
被引用文献数
1

The removal of pyrogen using immobilized histidine by a batchwise method was investigated. The pyrogen adsorption depended on ionic strength and was influenced by the shaking speed. The concentration of pyrogen in liquid phase decreased to less than 0.1 ng/cm<SUP>3</SUP> from 20 ng/cm<SUP>3</SUP> by batchwise adsorption with the immobilized histidine when the ionic strength was lower than 0.10 mol/dm<SUP>3</SUP>. This indicates that pyrogen could be removed practically by batchwise adsorption.
著者
兪 善昊 杉川 裕介 植田 利久
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.357-363, 2009-07-20 (Released:2009-07-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

ノンエレメントミキサーは,主流に,主流流路に垂直に同一間隔で接続された複数の支流から流体を注入させることにより,流体が引き伸ばしと折り畳みの効果を受け,混合を促進させるミキサーである.主流流路中心軸に垂直な断面の混合の様子をレーザ誘起蛍光法(LIF)を用いて可視化し,得られた断面像から界面の大きさの時間変化の様子を明らかにし,対流混合促進のメカニズムについて検討を加えた.支流本数n,支流押し出し周期Tpを変化させ,断面像観察,境界線長さLの測定を行った.その結果,以下の結論を得た.支流本数が増えるほど,すなわちnが大きくなるほど,混合のパターンは複雑になる.特に遅延座標系の位相空間でのLの形状より,nが大きくなるとカオス的挙動を示すことが示唆された.またLは時間的に変化し,その周期はTpと一致する.Lの時間平均値Lはnが大きくなるほど大きくなる.その増加は指数関数的な増加であり,このことは本ノンエレメントミキサーが,Kenicsタイプのスタティックミキサーと同様の混合促進特性を有していることを示している.
著者
上和野 満雄 上ノ山 周 山本 一巳
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.760-765, 1995-07-10
被引用文献数
5 3

本報で提示するリアルタイム多点温度計測法は測定対象物における多点の温度を同一時刻に計測しパーソナルコンピュータにて一定時間間隔で表示できるものである.すなわち, リアルタイム多点温度計測法の基本的な原理は, 多数の熱電対で検出された出力信号をアナログ信号として増幅し, 一定時間間隔毎に同一時刻にサンプル&ホールド回路に取り込み, ホールドしている間にアナログマルチプレクサによって各ホールド回路から, 順次トランジェントメモリー内でA-D変換してパソコンにより処理し表示できるものである.本測定により, 非定常的にして時々刻々と変化をする熱移動現象を詳細に捉えることができる.<BR>応用例としては, 従来から使用されている走査型測定法に比して, 本法の有用性を両者の測定法を用いた攪拌槽内の熱的混合状況の測定により明らかにすると共に, 重合時における槽内の温度分布変化の測定を試みた.
著者
生島 豊 畑田 清隆 斉藤 功夫 伊東 祥太 後藤 富雄
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.511-518, 1989-05-10 (Released:2009-10-21)
参考文献数
24
被引用文献数
4 4

超臨界二酸化炭素を用いて, イカ内臓中からドコサヘキサエン酸 (DHA) の選択的抽出分離を試みた.その結果, 流通系抽出装置内に硝酸銀を担持した分離チャンバーを組み入れることにより, 昇圧過程のみで何等の後処理操作を必要とせずに, 原料中に含まれていた DHA 量の約80%を濃度90重量%以上の純度で抽出分離できた.さらに超臨界二酸化炭素への各種エントレーナー添加による抽出効率への影響が検討され, ヘキサン, 酢酸エチル, アセトン系エントレーナーにより抽出効果が向上することがわかった.また溶解度パラメーターを含んだパラメーターによって, グリセライドモデル混合物だけでなく, 本試料のような天然物へのエントレーナー添加効果を相関した.
著者
近藤 和生 松本 道明 吉田 貴司 園田 高明
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.542-547, 2000-07-10
被引用文献数
1 2

本研究では, リチウムに対して高い選択性を期待できる新規な抽出試薬である含フッ素フタロシアニン誘導体 (ヘキサデカ (2, 2, 2-トリフルオロエトキシ) フタロシアニンおよびヘキサデカ (2, 2, 3, 3, 3-ペンタフルオロプロポキシ) フタロシアニン) を合成した. まずこれらの抽出剤によるアルカリ金属の抽出平衡を測定した. 低pH領域ではどの金属イオンもpH依存性を示さず, イオン対の形で抽出され, またリチウムおよびカリウムについては高pH領域ではpH依存性を示し, カチオン交換型の抽出が生じているものと推察された. これらの抽出反応における抽出種および抽出平衡定数を決定した. 高pH領域では両抽出試薬ともにリチウムに対して選択性を示した. この領域でヘキサデカ (2, 2, 2-トリフルオロエトキシ) フタロシアニンによるリチウムイオンの抽出速度を平面接触型撹拌槽を用いて測定した. 抽出速度過程は, 抽出試薬の拡散過程によって律せられていることが推察された.
著者
島田 直樹 冨山 明男
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.15-24, 2005 (Released:2005-02-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

著者らが開発した(N+2)-field modelを圧縮性混相熱流動解析用に修正し,各相密度の温度,圧力依存性を考慮できる数値解法をTomiyamaらが提示した解法を基に構成した.本数値解法は非圧縮流れ解法の枠内で構成でき,エネルギー保存式は分離して解ける.さらに,時間刻み幅に対する制約はCourant条件であるため,圧縮性流れ用の数値解法よりも大きな時間刻み幅を用いて安定に計算を実施できる.構築した計算手法の妥当性を検証するため,三つの計算を実施した.はじめに,密度の圧力依存性を考慮した本解法の性能を検証するため,大きな静水圧差下の気泡流を計算した.計算結果から,提案した解法が気相密度低下による気相体積流束の増加を良好に予測できることを確認した.次に,ダクト壁面から流体を加熱した際の気泡流を計算し,圧力に加えて温度の変化が体積流束に及ぼす影響を検証した.これらの計算結果から,提案した解法が密度変化による気液各相体積流束の変化を良好に予測できることを確認した.最後に工業装置の計算例として,気泡塔を計算した.提案した手法により,計算時間の膨大な増加を回避しつつ,塔の性能評価に必要な各種変数(気泡径,ボイド率,流速,温度など)の計算に密度の温度・圧力依存性が考慮できることを確認した.
著者
宮川 洋光 本田 克美 宗像 健
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.134-138, 1989
被引用文献数
2

精留効果の組成による変化の原因を究明する目的で, <I>N<SUB>OG</SUB></I>の著しい変化を報告しているLiangらの実験とできるだけ同一の条件のもとに実験を行った.その結果<I>N<SUB>OG</SUB></I>は組成とともに大きく変化することが認められた.<BR>また, 表面張力特性による検討を行うため, この系の沸点液の表面張力を測定したところ, ある組成で極大値をもち, この組成を境としてネガティブ系からポジティブ系に変化することがわかった.また, Moensの提案したstabilising-indexを用いれば<I>N<SUB>OG</SUB></I>との関係がかなりよくまとめられることがわかった.
著者
佐藤 一省 前田 法史 小川 範之
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.632-635, 1995-05-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
3
被引用文献数
1 1

The minimum power of impeller required for complete suspension of solid particles, based on Zwietering's criterion, was measured for single and twin impeller systems. The effects of the configuration of vessel and the number of impellers on the minimum required power were examined.The minimum required power per unit liquid volume Pfv for a single impeller system increased gradually as the length ratio of long side to short side A/B incresed over 1.5 Pfv for a twin impeller system remained nearly constant at a lower value than that of a single impeller system in the range of A/B=1.52.25.The Pfv of a pitched-blade turbine was below 1 / 2 of the value of a flat-blade disc turbine under the same conditions and was independent of the rotational direction of each impeller.
著者
駒沢 勲 黒見 眞 東稔 節治
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.223-229, 1987-03-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
8
被引用文献数
3 4

ロイコマイシンA5, ノルエフェドリンおよびフェネチルアミンのような弱塩基性の生理活性物質の水溶液pH調整による物理抽出および逆抽出を行った.有機溶媒として酢酸ブチルおよびクロロホルムを用いた.各抽質の分配データから酸解離定数および分配係数を求めた.各抽質のカチオンと有機リン酸抽出試薬HDEHPとの錯体形成による化学抽出も行った。抽出試薬の保持率全域に適用できる抽出平衡式を求めた.いずれの抽質に対しても抽出種はHAX・2(HX), HAX・(HX) およびHAXの3種類で統一的に表現できる.ここでHXおよびAはHDEHPモノマーと塩基性物質を表す.ノルエフェドリンとフェネチルアミンの抽出特性は化学抽出の導入によって大きく向上する.しかし, ロイコマイシンは逆抽出をロイコマイシンカチオンが不安定となるpH域で実施するため有利ではない.
著者
岡安 祥夫 片山 正樹 篠原 徹
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.8-12, 1996-01-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
8

工場プラントの運転安定化, 要員極少化の技術課題の一つとして, アミノ酸 (リジン) 精製工程における結晶の色測定への画像処理技術の適用が検討された.これまで結晶溶解液の分光光度計の透過率を人手により測定し監視していたが, 常時分析はできず, オンライン測定方法の導入が望まれていた.本論では分光光度計の原理である光の透過率の式と結晶面における光反射の式との関係を解析し, 画像処理測定値による透過率の推算式を導出した.この推算式の各パラメータを, 画像処理の実験により決定することによって, 推算式により検量誤差 3% の精度で分光光度計の実測透過率を推定できることが確認された.さらにカラー画像処理システムを実プラントに設置し, リジン結晶の色の 24 時間オンライン測定を実施することによって, その実用性の評価がおこなわれた.
著者
鄭 相鐵 今石 宣之 朴 興吉
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.385-392, 1995-03-15
被引用文献数
2 1

水平管型ホットウォールCVD反応器を用い, 種々の操作圧力下で, 酢酸亜鉛を原料としたZnO薄膜を合成し, 膜性状に及ぼす操作変数の影響を検討した.ミクロトレンチ上の成膜形状と管軸方向の成膜速度分布を, ミクロおよびマクロな数値シミュレーションにもとづいて検討した.実験結果からCVD機構が圧力によって変化することが示唆された.実験結果を説明するためのモデルが提案された.モデルから, 高圧力下では, APCVDに関する前報で示したと同様に, 酢酸亜鉛から直接表面反応を経てZnO膜が形成されることが示された.低圧下では気相反応で活性種が生成され, それが管壁へ拡散し, 速い表面反応を経て成膜される.中間圧では, 気相中の活性種が窒素などによって失活されるとモデル化できることを示した.10~300Torrの中間圧力域では, これら2つの反応経路が共存するが, 活性な中間体は窒素分子との衝突で失活される.活性中間体から原料に戻る逆気相反応速度が窒素濃度の3乗に比例すると仮定することで, 実験結果を, 完全ではないが, ほぼ説明できた.
著者
松隈 洋介 高谷 真介 井上 元 峯元 雅樹 上島 直幸
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.402-408, 2006-09-20
参考文献数
8
被引用文献数
2 3

光化学スモッグや悪臭公害の主要な原因の一つになっている,低濃度溶剤をハニカム型ゼオライトを充填した回転式吸着塔を用いた,TSA方式で除去・濃縮するシステムについて最適化のためのシミュレーション計算を行った.本研究では,各パラメータが溶剤回収率,所要加熱量および濃縮倍率に及ぼす影響を検討することにより,最適条件の選定を行った.<br>この結果,53000 m<sup>3</sup> (STP)·h<sup>−1</sup>の排ガスを処理する装置の最適形状は,層高0.8 m,吸着,加熱再生およびパージ部の分割比が300°/30°/30°で,最適操作条件は,再生ガス流量15000 m<sup>3</sup> (STP)·h<sup>−1</sup>,再生ガス温度453 K,回転数14 rphであることがわかった.また,処理ガス流量が変化しても,比較的簡単な制御により,所定の性能を維持できることがわかった.<br>このような計算により,排ガス条件と目標性能に即した装置の最適設計を行うことが可能であることがわかった.
著者
尚 〓善 今駒 博信 岡崎 守男 国友 猛
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.52-59, 1989-01-10 (Released:2009-10-21)
参考文献数
8

本研究は繊維質断熱材中のふく射伝熱量の推定法に関するものである.3種類のアルミナ-シリカ系繊維質断熱材の293K, 723Kにおける1.5~27μmの波長範囲に対する反射率および透過率をそれぞれ分光実験より求め, 4流束モデルを用いて単色減衰係数および散乱アルベドを算出した.ふく射に対する拡散近似が成立する場合に対してこれらの値を用いて350K~800Kのふく射伝熱の減衰係数を推定した.これとは別に, 373K~773Kの範囲の定常法伝熱実験結果より得た有効熱伝導度と既に著者らが報告している伝導伝熱モデルを用いてふく射の減衰係数を求め, 両者を比較したところ一致は良好であった.
著者
稲垣 照美 上江洲 智政
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.263-271, 2012
被引用文献数
11

本研究は,相変化蓄熱媒体の1つであるエリスリトールの熱物性を評価し,その熱輸送プロセスとしての水平密閉矩形容器内自然対流の伝熱特性を実験的に検討したものである.ここでは,エリスリトールの熱物性値に対する温度依存性や過冷却現象などを評価し,実使用形態に合わせた熱輸送プロセスに必要不可欠な伝熱データベースを提示した.また,実測した熱物性値に基づいて水平密閉矩形容器内自然対流の熱伝達率を再整理することで,従来から提案されている伝熱相関式と比較・検証しながら液相状態下の自然対流の伝熱特性を解明した.その結果,エリスリトールの熱物性値に対する温度依存性を解明するとともに,その過冷却現象には冷却速度の影響を受けた過冷却現象が存在することを明らかにした.また,本研究で新たに実測した熱物性値を適用することにより,液相状態下の自然対流熱伝達は,先に提案されている水平密閉矩形容器内自然対流熱伝達に関する伝熱相関式と良好な一致を示すことが明らかになった.
著者
松隈 洋介 定形 薫 垣上 英正 井上 元 峯元 雅樹 安武 昭典 岡 伸樹
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.146-152, 2006 (Released:2006-04-20)
参考文献数
7
被引用文献数
6 16

地球温暖化の主要な原因の一つになっている,火力発電所からの排ガスに含有されるCO2を,ハニカム型ゼオライトを充填した回転式吸着塔を用いたTSA方式で除去・濃縮するシステムについて最適化のためのシミュレーション計算を行った.本研究では,各パラメータがCO2回収率と所要加熱量に及ぼす影響を検討することにより,最適条件の選定を行った.この結果,14000 m3 (STP)·h−1の排ガスを処理する装置として,直径14.5 m,層高0.5 mのロータ回転型吸着層を用いると,最適操作条件として,加熱再生ガス温度:423 K,再生ガス流量:80000 m3 (STP)·h−1,回転数:3–4 rphが得られた.なお,若干性能は低下するが,上記仕様の装置で70000 m3 (STP)·h−1の排ガス処理も可能であることがわかった.また,本システムにより排ガス中のCO2濃度(13.5%程度)を1回の操作で90%以上にまで濃縮できることがわかった.さらに,これらの結果に基づいて,処理ガス流量が180万m3 (STP)·h−1の時の実機の装置イメージを提案した.この場合の吸着層寸法は,直径14.5 m,層高0.5 mを26段たてに積重ねる構造とすると,全塔高は26 m程度と予想される.
著者
松隈 洋介 松下 雄一 垣上 英正 井上 元 峯元 雅樹 安武 昭典 岡 伸樹
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.138-145, 2006 (Released:2006-04-20)
参考文献数
12
被引用文献数
7 11

地球温暖化の主要な原因の一つになっている,火力発電所からの排ガスに含有されるCO2をハニカム型ゼオライトを充填した回転式吸着塔を用いた,TSA方式で除去・濃縮するための基礎試験,パイロット試験およびシステム最適化のため吸脱着挙動のシミュレーション計算を行った.この結果,CO2の平衡吸着量は濃度と温度の関数としたLangmuir型で,また気–固間の物質移動と熱移動のJ因子はいずれもRe数の関数として一つの式で表示できることがわかった.次いで,実機を模擬した,内径460 mm,充填層高480 mmのパイロット試験により,CO2の回収率は80%以上可能であることを確認した.さらに,物質移動や熱移動などを考慮した回転式吸脱着装置のシミュレーション計算を実施した.まず,基礎試験結果およびパイロット試験結果とシミュレーション計算結果を比較することにより計算の妥当性を確認した.次いで,吸着,加熱再生,パージおよび冷却の各工程におけるCO2の吸脱着挙動を把握し,システム最適化への指針を得た.
著者
大江 修造 高松 秀明
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.275-279, 2000-03-10 (Released:2010-03-15)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

溶媒和モデルを用いた気液平衡における塩効果の推算法を先に提案した. 本モデルにおいては, 混合溶媒の蒸気圧降下を考慮する事によって沸点及び全圧の推算を行っている. 混合溶媒の蒸気圧降下を示す活量係数は構成する各純溶媒+塩系における溶媒の活量係数との間に加算性が成立するとした. 本報においては, 蒸気圧降下を示す活量係数をより正確に表現するために, 異種溶媒間補正係数を導入した関数形を新たに提案した. この補正のための関数形は, [1] 混合溶媒の蒸気圧降下を示す活量係数の極値を表し, [2] 純溶媒の時, 補正を行わず, [3] 多成分系への拡張を可能にするという特徴を有する. これにより混合溶媒+塩系における蒸気圧降下の推算精度を格段に向上できた. さらに, 2成分溶媒+塩系で決定した異種溶媒間補正係数を用いて3成分溶媒+塩系の沸点の推算を行ったところ良好な結果が得られた.
著者
大江 修造 高松 秀明
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.275-279, 2000-03-10
被引用文献数
1

溶媒和モデルを用いた気液平衡における塩効果の推算法を先に提案した. 本モデルにおいては, 混合溶媒の蒸気圧降下を考慮する事によって沸点及び全圧の推算を行っている. 混合溶媒の蒸気圧降下を示す活量係数は構成する各純溶媒+塩系における溶媒の活量係数との間に加算性が成立するとした. 本報においては, 蒸気圧降下を示す活量係数をより正確に表現するために, 異種溶媒間補正係数を導入した関数形を新たに提案した. この補正のための関数形は, [1] 混合溶媒の蒸気圧降下を示す活量係数の極値を表し, [2] 純溶媒の時, 補正を行わず, [3] 多成分系への拡張を可能にするという特徴を有する. これにより混合溶媒+塩系における蒸気圧降下の推算精度を格段に向上できた. さらに, 2成分溶媒+塩系で決定した異種溶媒間補正係数を用いて3成分溶媒+塩系の沸点の推算を行ったところ良好な結果が得られた.
著者
鷲見 裕史 倉知 清悟 廣山 徹 梅田 良人 大島 一典 垣内 博行
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.312-317, 2009-05-20 (Released:2009-05-27)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

本研究では,ゼオライト系吸着材を用いて,吸着器と蒸発/凝縮器を同一の容器に収納した一体型吸着式ヒートポンプユニットの評価を行った.蒸発/凝縮温度293 K,吸着温度303 K,脱着温度363 K,切り替え時間150 sの条件において,理論出力4.35 kW,COP 1.64に対して,今回試作した一体型吸着式ヒートポンプユニットでは出力3.27 kW,COP 1.37を得た.サイクル切り替え直後は熱交換器や吸着材などの顕熱による加熱が支配的となり,吸着熱や凝縮熱の生成速度が遅いため,切り替え時間を短くするとCOPが小さくなった.外気温が下がると蒸発性能が低下し,給水温度が高くなると吸着温度の上昇に伴って吸着量が減少するため,COPや出力が低下した.