著者
岡島 幸代 山田 武敏
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.700-703, 1989-06-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
6

重度発達障害児の夜泣き, 興奮, 暴力などの対応には療育面での工夫が必要なことはもちろんであるが, 特に夜間は人手の問題もあつておもうにまかせない. 抗痙攣剤を必要とする児が大部分であり, トランキライザーの併用は, 副作用をさらに増やすおそれもある. そこで漢方エキス剤を用い, 一応満足すべき状態を得ている. 今回夜泣きには甘麦大棗湯・抑肝散を, 興奮・暴力のある女児に加味逍遥散を用いた. 障害児の随証療法は正しく行うことが困難なので, 方剤の構成生薬の薬理作用と, 先人の経験の踏襲で方剤を選択したが, 投与に難渋することなく, 副作用もみられず, 一応の成果がえられた. 漢方の特性を生かせる分野として今後も広く活用されるべきものとおもわれるので報告した.
著者
寺畑 喜朔
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.25, no.11, pp.865-866, 1971-11-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
3
著者
末吉 悦代 濱田 暁子 出口 弦舞 大薗 洋 高橋 晴奈 内川 研
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.186-189, 2006-03-20 (Released:2011-10-07)
参考文献数
15

多様な病態を呈し, リハビリテーションをすすめる上で考慮する点の多い頚髄損傷患者に対する, 当院での作業療法を紹介する.訓練開始時期においては, 安定した座位姿勢を作りながら机上での作業といった機能訓練を行い, 日常生活動作としては食事や整容動作の獲得を目指す. 活動性が向上する時期では, 動的なバランス訓練を行い, 日常生活動作としては, 複合的な更衣, 移乗, 排泄動作などを行っていく. また, 近年増加傾向にある不全頚髄損傷では, 移動能力を把握することと柔軟性の低下した身体に根気よくアプローチすることがポイントである. 高齢頚髄損傷では合併症を呈する割合が高く, 特性を踏まえた対応が求めれる. また, 家族に対しても身体的, 精神的な負担を考慮しながらサポートしていく必要がある.
著者
続木 陽子 佐藤 勉 永山 正雄
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.1085-1090, 1989-10-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
15

優位側視床梗塞による健忘症候群の1例につき, 131I-IMP SPECTにより検討を加えた. 症例は73才女, 右利き. 傾眠と一過性の右上肢不全麻痺で発症した. 数日で意識清明化した後にも健忘症状が持続し, 14~16日後の神経心理学的検査で言語性短期記憶, 計算, 抽象的思考の障害を認めた. CTスキヤンにて左視床前核群, 背内側核, 前腹側核にわたる梗塞巣がみられた. SPECT所見では, 発症後18日目に左視床の他に左前頭葉と側頭葉に広汎な脳血流低下が示唆され, 発症後41日目には左前頭葉下部にのみ異常が残つた. 視床前・内側部の限局性病変が大脳皮質機能に影響し, これが症状の発現と関係した可能性が考えられた.
著者
岡嶋 泰一郎 下池 朋子 井上 薫
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.279-283, 1997-06-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
4

9名の肥満症患者で, 高たんぱく・低カロリーダイエット食, ハイプロッキー®(クッキーおよびリゾットタイプ)を用い, 減量治療を行った. 9名中, 5名は14日間ハイプロッキーのみ(916kcal/日)を摂取し, 軽度ではあるが有意の体重減少が得られ, 総コレステロール値も低下した. 9名中2名ではハイプロッキー以外のカロリー摂取(200~300kcal)があったが体重は減少傾向を示した. 他の2名ではハイプロッキー摂取を10日間行い, 以後は低カロリー食を摂取したが, 体重は減少傾向を示した. 全例, 治療の支障となるような副作用はなかった. 以上の結果より, ハイプロッキーは肥満症治療に有用であるが, ハイプロッキー単独で長期のダイエットを行うことの困難性も示唆された. ハイプロッキーは減量治療の動機づけなど短期に使用することで肥満治療における有用性が期待される
著者
手墳 正二 森奎 郎 岡部 鈴子 萩原 和男 久保 宗人 岩沢 敬 来馬 真一 高島 敬忠 黒森 信治 林 明
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.497-502, 1972 (Released:2011-10-19)
参考文献数
5

Epidermal ridges on hands and feet develop during the first trimester of gestation and remain unchanged thereafter for life.Dermatoglyphic aberrations associated with chromosomal defects are sometimes recognized according to the dermatoglyphics of cerebral palsy and severe mental retardations.The purpose of this study is to investigate certain features of dermatoglyphics in Japanese afflicted with cerebral palsy and severe mental retardations.The materials used in the present survey were composed of 330 Japanese with cerebral palsy (295) and severe mental retardations (71). The “Foot-printer” of the Hollister Company were applied to records of finger, palm and sole patterns. The analysis of dermal patterns were cogfarmed to the Cummins and Midlo's method and the Walker's method.As a result of analysis, abnormal frequencies were observed on dermatoglyphics of these individuals as compared normal controls. Abnormal findings were recognized on finger prints, atd angles, axial triradius, interdigital patterns, simian lines and hallucal patterns. Especially, these characteristics were found on cerebral palsy with severe mental retardation and severe mental retarded groups more than cerebral palsy.
著者
宮地 直恒 金子 操 遠山 有能 菊池 慶行 吉田 康洋 池尻 公二
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.47-50, 1986-01-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
4

当院にて, 脳卒中リハビリテーシヨンを開設以来, 寝たきりからの脱却という目標で治療を行つてきた. 昭和56年~58年にわたる3年間の患者の動向について, 実際の入院や外来に当つての調査や体験である. まず病型では, 脳梗塞が脳出血より多く, 全国の平均に類似していた. 次に, 若年者の脳出血が増加している傾向がみられた. 合併症などもつものもいて, その理学療法も単一ではない. 体力や予備力測定の目安として運動時酸素消費は, 四肢機能が低いと低下する傾向があり, また3年間の統計では, 全身的にも運動機能的にも改善がみられ, Br. のstageで1度以上向上したものが下肢で45%にみられ, 理学療法の効果は著しい. またADLも日々変化する要求に対して応じてゆくには, 病院として, 今後の老人対策を考えながら, 多方面にわたる可能性を追求すべきであると思われた.
著者
小川 克仁 安間 秋靖
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.239-241, 1982-03-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
9

健康女性対照群および妊婦血清中フエリチン濃度を測定した. 対照に比し妊婦において血清フエリチン値の低下を認めた. また同時に測定したへ毛グロビンとの間に正の相関を認めた. 生理的状態下において血中フエリチン濃度が生体の鉄貯蔵量を反映することから, 妊娠時に認められる貧血は鉄欠乏状態が, その原因の一つと思われた. したがつて血清鉄測定と同様, 妊婦の血清フエリチン測定は, 潜在的な貧血の診断, あるいは鉄剤による治療のparameterとして臨床上有用であると思われた.
著者
甲斐 福代 鵜養 恭介 江口 里美 西沢 茂樹 田中 勤 山口 清子 田沢 四男 杉 薫 村石 州啓
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.39, no.8, pp.698-702, 1985

急性心筋梗塞の合併により, 心機能の低下している関節症状の強い, 慢性関節リウマチ患者に対し, 血漿急速冷却を加えた血漿交換療法(Double Filtration Plasmapherasis: DFP)を行つた. 回路には, 2つのフィルターを用いた. 第1フィルターで分離した血漿は, 冷却槽で0°-4℃に冷却した後, 第2フィルター一に入り, ここでCryoproteinを除去し, 残りの血漿とPPF, 25%アルブミンを恒温槽で暖めてから, 血球成分と合流させ返血する方法をとつた.<br>DFPにより, 関節の運動痛, 腫脹は著しく軽減し, ベツド上で寝たきりの生活から, 歩行による外来通院が可能となつた. 検査データでは, 関節痛の消失と共にβ, γグロブリン(β-g, γ-g)が低下して, アルブミン(Alb)が上昇し, 高IgA血症が改善された. しかし, CRP, RA因子は陽性のままであつた. 本法の副作用は特にみられず, 薬物療法, 及び外科療法で, 治療効果の少なかつた慢性関節リウマチ患者に有効であつた.
著者
川村 力 花山 耕三 永田 雅章 亀井 敦行
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.416-420, 1988-05-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
20

視床出血後hyperkinésie volitionnelle (HV)を呈しクロナゼパムが著効した3症例を経験した. 視床出血後のHVの報告は本邦では他に1例のみと少ないが, 全例出血後ある期間を経てHVが出現している. 同様のことがpalatal myoclonusでもしられ, 一つの仮説として血管障害後のdentatorubroolivary系におけるdenervation supersensitivityが想定されている. そこで視床出血後, 視床腹中間核に経時的にdenervation supersensitivityが生じ, HVを発現させたものと考えられた.
著者
伊藤 宗元 猿田 栄助 渡部 健次 吉田 君江 渡辺 チョ
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.448-452, 1965

Recently it has been recognized again that importance of fibrinogen on clinical field, while the method of fibrinogen assay required a lot of time and skillful work, which disturbed to get quick results on clinical use.<br>Authors have been measuring plasma fibrinogen upon several diseases by a turbidimetric method using ammonium sulfate according to Fowell who first described in 1955 and we followed up their changes related with the age, menstruation and course of diseases.<br>The average value of plasma fibrinogen among 10 healthy male (age between 23-41) was 362.2mg%, and 10 healthy female (age between 17-32) was 388.5mg%. During premenstrual and menstrual period of healthy female showed apparent increase of that value.<br>Nineteen cases of lung cancer was high as much as average 907.4mg%, while 15 cases of the other part of cancer (gastric, hepatic and uterine) showed average 590.3mg% of fibrinogen.<br>The far advanced pulmonary tuberculosis showed apparent increased value than the mild cases. Pleurisy revealed highest value among tuberculosis, while it decreased to normal value by adequate treatment.<br>Unfortunately we have not experienced any case of afibrinogenemia (both of the congenital and secondary), which has been noted to be the most frequent cause of massive hemorrhage during delivery.<br>The plasma fibrinogen among the other diseases were as follows: 1) normal value in acute leucemia and aplastic anemia, 2) slight increase in allergic purpura, 3) apparent increase in multiple myeloma, 4) increase or decrease in hepatitis, different by the type of disease, 5) slight increase in hypertensives and and diabetics.

1 0 0 0 OA 多系統萎縮症

著者
小長谷 正明
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.159-165, 2003-03-20 (Released:2011-10-07)
参考文献数
45

多系統萎縮症は運動失調, 治療抵抗性パーキンソニズム, 自律神経症状など, 複雑な病状を呈する神経変性疾患である. 筋萎縮性側索硬化症に匹敵するほどの難病であり, 神経難病を診療する国立療養所への入院患者は少なくない. 国立療養所鈴鹿病院での筆者の長期経過観察例の経験に基づいて, 本症の病態についてレビューした. 画像による橋・小脳系や錐体外路系の萎縮進行, 入浴時低血圧, 悪性症候群, 中枢性呼吸障害, 内分泌障害, および, 臨床, 画像, 病理面からの進行性大脳半球萎縮について述べた. 臨床的検討や病理例を集約し, 病院の解明や治療法の開発を行うことが重要である.
著者
渡部 忠興 鈴木 三郎 渡部 正臣 何 騰験
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.592-594, 1978

いわゆる早産成熟児というものが, 臨床的に正常期産児, 晩期産児とに比べてどのように優劣の差があるのか検討してみた. 分娩予定日不確実なものや, 多胎, 妊娠中毒症, 骨盤位, 帝王切開など異常分娩を除いて, 昭和41年から昭和50年までの10年間の当院分娩例8890例の中から, 体重2800g以上の成熟児及び3500g以上の過熟児を妊娠38週以前(いわゆる早期産), 妊娠38~42週(いわゆる正常期産), 妊娠42週以降(いわゆる晩期産)の3群について初産, 経産とに区分し, それぞれ胎児体重, 胎盤重量, 胎児胎盤重量比, 前早期破水頻度, 分娩所要時間, 出血量, 児死亡率, Apgar Score, 鉗子吸引分娩率, 生理的体重減少日数, 生理的体重減少重量, 臍帯脱落日について検討した. その結果妊娠38週以前は129例, 妊娠42週以降94例でコントロール群として正常期産例を無差別に抽出したところ, Apgar scoreを除きすべての項目で差を認められなかつた.
著者
生田 房弘
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.257-269, 2008

[開会の辞]Edogawa College of Neurological Science (E-CNS)と申しますのは, 江戸川を挟んで国府台病院の湯浅, 西宮, 墨東病院の鎌田, 順天堂浦安病院の田中が中心になりまして, われわれはいまだ学徒である, ともに学ぼうということで企画された学舎です. 平素は症例検討を行っているのでありますが, 本日は特別講義ということであります. この特別講義のねらいあるいは意図がどこにあるのかをはじめにご紹介します. それは「常に変わらない学問に対する情熱をもって新たな道を拓かれた先人に学びたい. そのお人柄に触れたい. また, 懐かしい恩師の講義を再びお聞きしたい」ということに要約されます. そこで, 本日は第1回の特別講義ということで, 本特別講義に最もふさわしい先生, 新潟大学名誉教授生田房弘先生をお招きしております. 生田先生をご紹介します(順天堂浦安病院 田中).
著者
大塚 次男
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.17-18, 2004

平成11年3月に国立病院療養所再編成計画の見直しがなされ, 政策医療として19分野の特定疾患に対し, 診療はもちろんのこと, 「臨床研究」, 「教育研修」, 「情報発信機能」も含めた一体となった医療提供体制の整備を行うことが明示された. その中には総合情報ネットワークシステムの整理充実も謳われている.<br>情報化により放射線診療の質, 効率が高まれば, 国立病院療養所の局面の1つでもある政策医療の推進にも大きく貢献すると考えられる. 本シンポジウムでは政策医療を推進するために放射線技師が情報技術とどのように関わっていくべきかを多方面から検討した.<br>国立京都病院上垣氏, 国立療養所村山病院田仲氏からは, 国立病院, 療養所というそれぞれの立場からIT化の現状と問題点, 各政策医療分野への取り組みについての報告がなされた. 国立病院岡山医療センター小倉氏からは, 意義ある病院情報システムを構築する手順として, 病院のコンセプトに基づいたシステム設計, 業務内容の見直しと標準化を計ることの重要性が述べられた. 国立小倉病院田上氏は, インターネットを利用した病診連携システムの構築と運用経験について報告し, 地域医療及び病院経営に貢献できる可能性を示した. 国立がんセンター中央病院塚田氏からは, 多地点テレビカンファレンスの紹介を中心に, がん診療施設情報ネットワークを政策医療推進のために活用する方法について提言があった.<br>IT化への取り組みは施設によって大きく異なっているが, 本シンポジウムの発表内容は, 今後ネットワークを構築あるいは拡充する施設において大変参考になったと考える. 施設としての明確なコンセプトを軸に取りこぼしないネットワークを構築されるよう願う.
著者
水城 まさみ
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.399-407, 2004

あらゆる疾患の発症には環境要因と遺伝的要因が大なり小なり関わっているが, 化学物質過敏症(MCS)の発症に環境要因が大きな役割を果たしていることは間違いない. 化学物質過敏症外来を受診した患者の中で, 症状発現にあたって何らかの化学物質曝露のエピソードがある者32名にMCSのスクリーニングのために問診表QEESI(日本語版)を実施し, 環境要因となる化学物質不耐性因子と症状, 日常生活障害度との関連をみた. 化学物質不耐性因子のうち殺虫剤・除草剤, ガソリン臭, ペンキ・シンナー, 消毒剤・クリーナー, マニキュア・ヘアスプレーなどは筋, 心循環, 認識, 神経症状と強い相関がみられた. また日常生活障害については車の排気ガス, 殺虫剤・除草剤, ガソリン臭など屋外環境要因で影響が強く, MCSの発症予防のためには屋外環境要因の改善も必要であることがわかった.
著者
大渓 俊幸 綱島 浩一 齋藤 治 堀 彰 加藤 進昌
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.706-712, 2002-12-20 (Released:2011-10-07)
参考文献数
15

統合失調症の入院が長期化する要因を検討した. 調査期間を1992年6月30日から1997年6月30日の5年間とし, 対象患者は調査開始の1992年6月30日からさかのぼること2年間の間に国立精神・神経センター武蔵病院に入院した71例とした. これら71例中, 調査期間の5年間に退院して外来に移行した患者43名から, 入院期間が1カ月以内の患者4名を除いた39名を外来移行群とし, 調査期闇終了後も引き続き入院していた患者15名を入院継続群とした. これら両群で, 1992年の時点での病歴, 精神症状, 総合評価尺度との関連, 入院継続患者では5年間の精神症状の変化について検討した. 要因解析に用いる症状評価尺度は, Manchester scale (MS), ward behavior rating scale (WBRS)とし, 抗精神病薬の投与量は, haloperidolに換算して検討した. 1992年の調査時点では, 外来移行群は入院継続群よりもMSの各スコアとWBRSのスコアで陰性症状関連項目が高得点であったが, 陽性症状関連項目では有意差がなかった. また, 継続入院群では, その間に陰性症状が悪化するが, MSで高いスコアの陽性症状では改善がみられなかった. 今回の結果から, 退院を阻害する因子としては, 陰性症状よりも陽性症状やそれにともなう問題行動の有無が強く関連する可能性が示された.
著者
田中 靖久
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.361-362, 2008-06-20 (Released:2011-10-07)
参考文献数
11
著者
村上 学
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.63-64, 2007-01-20 (Released:2011-10-07)