著者
柴田 博仁 高野 健太郎 田野 俊一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.2131-2141, 2016-09-15

本稿では,タッチ操作可能なタブレット端末での読みの評価をとおして,テキストをポインティングしたりなぞったりする行為(テキストタッチと呼ぶ)が,読みに与える影響を分析する.特に,文書内容を批判的に考察するアクティブリーディングにおけるテキストタッチの効果を検討する.最初の実験では,紙文書とタブレット端末での校正読みのパフォーマンスを比較する.結果として,タブレット端末よりも紙文書で読むほうが多くの誤りが検出された.ビデオ分析の結果,参加者は紙で読む際に頻繁にテキストタッチを行っており,テキストタッチの頻度と誤り検出率に正の相関が観察された.このことから,テキストタッチは校正読みを効果的に支援しており,タブレット端末ではテキストタッチが促進されないために誤り検出率が低下したことが考えられる.この仮説を検証するため,第2の実験では,紙文書へのインタラクションを制限して文書校正を行う実験を行った.結果として,文書に自由に触りながら読むことが許される条件に比べて,文書に触らずに読む条件で有意に誤り検出率が低下し,テキストタッチは読みのパフォーマンスに影響を与える重要な要因であることが分かった.この結果をふまえ,タッチ操作可能なタブレット端末でのアクティブリーディングの支援方法を議論する.
著者
佐々木 勇介 田野 俊一 橋山 智訓 岩田 満
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.744, pp.7-12, 2004-03-19
被引用文献数
2

近年情報技術の発展に伴い,計算機によってアートやデザイン活動を支援できるようになり,様々なツールを使うことで複雑で綺麗な絵を容易に作成できるようになってきた.しかし,それゆえ逆に人間の創造性や感性を阻害しているという場合も存在する.そこで本研究では,デザイナの創造性,感性を阻害せず,逆に創造性,発想性を高めるデザイン支援システムとして,「発散型思考」と「収束型思考」を活性化させるスケッチ支援システムの構築を目標とした.
著者
隅山 淳一朗 橋山 智訓 田野 俊一
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.29, 2015

ゲーム分野における人工知能は、近年急速に進化しており、長年の目標であった「人間を超える」ことを達成しつつある。強さを追求したNPCの次の段階として、人間を楽しませるための人間らしいNPCの追及に焦点を当てる必要がある。本研究では、不完全情報ゲームの一つであるぷよぷよを用いて、人間のプレイを模倣するゲームAIの作成を目的とする。人間のプレイデータから定石形を抽出する手法について紹介する。
著者
豊田 由起 藤江 夕佳 小井土 祐三 平原 由規 田野 俊一 岩田 満 橋山 智訓
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.683, pp.49-54, 2006-03-15
参考文献数
13

本研究では、子供が現実世界でぬいぐるみやおもちやなどの実世界素材を対象に、あたかも自分自身が魔法使いになったかのように、その変化を身振りでグラフィカルなif-thenルールとして作成し、論理的な考え方、ルールに基づく推論、プログラミングの考え方などを、複数人で楽しく遊びながら体得することができるプログラム環境を提案する。デスクトップタイプからルームタイプへと拡張したことにより、カメラ・プロジェクタを複数用いたため、それらの器材の制御、マッチングの精度向上、複数人で床で遊べる新たなUI設計を行った。
著者
山本 健 田野 俊一 橋山 智訓 岩田 満
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第31回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.16-19, 2015 (Released:2016-02-26)

人間が知的創造的活動を行う上で記憶は重要である。しかし、高度化した情報メディアとのインタラクションは複雑化し、複雑なインタラクションを用いることで記憶に悪影響を与えることが問題とされている。記憶には短期記憶と長期記憶の二種類あり、両側面から問題について検討する必要がある。短期記憶の問題として、短期記憶の容量は限定的であるにもかかわらず、インタラクションに短期記憶の容量を使用してしまいアイディアの忘却が生じる。長期記憶の問題として、外部記憶装置に頼った記憶に関するメタ記憶の欠如により、記憶にアクセスできず記憶の死蔵が発生する。本研究では、情報メディアとのインタラクションに関して問題を指摘し、解決方法の提案を行う。
著者
田中 成俊 橋山 智訓 市野 順子 田野 俊一
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第29回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.101, 2013 (Released:2015-01-24)

チェスや将棋を始めとするゲームを題材として、コンピュータで人間と同様の知能(AI:Artificial Intelligence)を実現させようとする試みは古くから行われている。近年では、ボードゲームだけでなくコンピュータゲームでのFPS(First Person Shooter)やRTS(RealTime Strategy)、アクションゲームなど、さまざまなジャンルでAIコンペティションが開かれている。しかし初期のコンピュータゲームであるローグライクゲームでは、数少ない研究例があるだけで、その後の発展はみられない。本稿では、現在もプレイされているローグライクゲームの特徴を挙げ、既存のAIコンペティションとの対比を行い、ローグライクゲームのコンペティションを設計することで新たな課題を提供する。
著者
兵野 洋一 田野 俊一 市野 順子 シュ ビン
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.418, pp.93-98, 2010-02-11

アルファベットを特定のルールに従って組み合わせる事で,英単語を漢字のような方形の文字として表現する「新英文書法」という現代美術の作品がある.この作品を美術館の来館者にインスタレーションとして体験してもらうため,コンピュータで文字を生成するアルゴリズムをアーティストと共に検討し,キーボードから入力されたテキストをその場で処理して出力するプログラムを開発した.
著者
ズルキフリー ムハマド 田野 俊一 岩田 満 橋山 智訓
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.3, pp.771-783, 2008-03-01
被引用文献数
4

近年の情報技術の発展により,多くの人は文書を作成するためにワードプロセッサを用いている.しかし,日本語入力は仮名漢字変換に起因する問題点を多く抱えているため,メモ書きのように,素早い入力,及び高い集中力が要求される作業においては,キーボード入力より手書き入力の方が有効ではないかと考えられる.そこで,本研究では入力速度,及び認知的負荷に着目し,日本語メモ書き作業における手書きとキーボードの比較実験を行い,手書き入力の有効性を定量的に評価した.被験者としては,22〜30歳の情報系大学院生10〜15名である.実験結果から,まず入力速度に関しては,キーボードよりも手書きの方が速く入力できるということが分かった.また,あらかじめ記憶させた内容を思い出しながら入力するタスクでは,キーボードよりも手書きの方が記憶した内容を多く入力できるということが分かった.更に,ビデオ及び音声を視聴しながら,手書き及びキーボードでメモを取るタスクでは,キーボードで入力されたメモの方が内容が不十分であり,被験者のビデオ及び音声の内容に対する理解度も低いということが分かった.
著者
隅山 淳一朗 橋山 智訓 田野 俊一
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第31回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.1-4, 2015 (Released:2016-02-26)

ゲーム分野における人工知能は、近年急速に進化しており、1997年にはチェスのグランドチャンピオンに勝利し、2013年には将棋のプロ棋士に勝利するなどの成果を挙げている。このことは、ゲームAIの長年の目標であった「人間を超える」人工知能を作ることを達成しつつあることを意味している。強さを追求したAIの次の段階として、人間を楽しませるための人間らしいAIの追求に焦点を当てる必要がある。本稿では、不完全情報ゲームの一つであるぷよぷよを用いて、人間のプレイを模倣するゲームAIの作成を目的とする。ここでは、熟練者のプレイデータからプレイ特徴量を抽出し、その特徴量を用いて、人間の模倣AIを作成する。
著者
裴 秉哲 田野 俊一 市野 順子 江崎 朋人 橋山 智訓
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.239-244, 2010-02-15

近年、情報技術の発達により高度なデザインシステムが用いられているが、逆にデザイナの創造的な活動を阻害しているという事例が指摘されている.この問題を改善するため、3次元表示や3次元スケッチを利用したデザインシステムが盛んに研究されている.しかし、それらのシステムは著しく環境を制限される上に、大掛かりな計測機器を用いるという問題点を有している.そこで、本研究ではPTAMを用いることでカメラ一台という安価かつ簡易な装置のみによりVision-Basedな3次元空中描画を実現するアルゴリズムを提案する.
著者
隅山 淳一朗 橋山 智訓 田野 俊一
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 (ISSN:18820212)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.1-4, 2015

ゲーム分野における人工知能は、近年急速に進化しており、1997年にはチェスのグランドチャンピオンに勝利し、2013年には将棋のプロ棋士に勝利するなどの成果を挙げている。このことは、ゲームAIの長年の目標であった「人間を超える」人工知能を作ることを達成しつつあることを意味している。強さを追求したAIの次の段階として、人間を楽しませるための人間らしいAIの追求に焦点を当てる必要がある。本稿では、不完全情報ゲームの一つであるぷよぷよを用いて、人間のプレイを模倣するゲームAIの作成を目的とする。ここでは、熟練者のプレイデータからプレイ特徴量を抽出し、その特徴量を用いて、人間の模倣AIを作成する。
著者
平林 里葉子 田野 俊一 市野 順子 松村 一男
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.33-41, 2009 (Released:2016-11-30)
参考文献数
9

Current map systems fail to provide the information that a walker really needs. Because the information that the walker wants is always changing. Current map systems are inadequate because of giving only one index in indication of a map. The conventional map expression technique have used only one kind of indexes such as a sight substance, a hearing substance, or a sensitivity substance. In contrast, an aim of our study is map expression of the forms that system compound, and each layer supplements them each other. Our map is made by investigating at first which kind of map should be used for the promotion of the human geographical recognition. Therefore this paper investigated the number of the landmark in their recognition and the difference between persons who could read a map well and who could not. We carried out three experiments. The first experiment is designed to find out the differences in the concrete landmark between persons who understood a map and who cannot read a map. The second experiment was based on the result of the first experiment and clarified of the important element except the visual object in the human cognitive map. The third additional experiment was performed with the result of the second experiment to examine how map system show multimedia elements. The technique of four kinds of map expression designs was implied from the result of three experiments. And the Layerd-map model is proposed as a presentation method to display them adequately.
著者
加藤 美治 橋山 智訓 田野 俊一
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.61-84, 2023-03-25 (Released:2023-03-25)
参考文献数
67

超VUCAな時代において日本は、社会課題の解決や新規事業、新製品創出を目指すために、多くの人の考え方や異種分野の知識を連携する必要がある。これらP2Mにおける戦略型プログラムのミッション達成には、組織を超えて創造性や自発的な行動を促すP2Mのコミュニティが有効とされている。そしてP2Mのコミュニティを活性化させるためには、異種分野の参加者が時間・空間を超えて共通ミッションを達成するためのプラットフォームの構築が求められている。しかしP2MのコミュニティにおけるICTの利用は、コミュニケーションの支援に留まっている。本研究ではP2Mのコミュニティの価値基盤を起点とし各論文、書籍を調査し、Webで利用するプラットフォームの必要要件とそれを実施する方法を明らかにした。異種分野の参加者のモチベーション向上、議論の可視化、人や情報のマッチングを行う新たな手法の開発が重要な要件となる。これら必要要件からP2Mにおける実践コミュニティを支援するWebプラットフォームの詳細機能を考察した。さらにWebプラットフォームのユーザーインターフェースを提案した。機能については評価用システムで先行評価を実施し有効であることを確認した。
著者
江崎 朋人 橋山 智訓 平林 里葉子 市野 順子 田野 俊一
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第26回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.99, 2010 (Released:2010-11-05)

可能性クラスタリングでは、クラスタ数をあらかじめ決める必要がなく、クラスタ中心がデータの密集した場所に収束する性質がある。そこで、密集地探索に適用したところ、良い結果が得られたので報告する。
著者
永田 雄樹 橋山 智訓 田野 俊一 市野 順子
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第28回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.572-573, 2012 (Released:2013-07-25)

近年、急速に発展してきている生体情報の計測技術を用いて、スポーツや遊び、リハビリテーション等の分野において活用する応用例も増えてきている。例えば得られた情報を効果的に可視化したり、運動モデルを用いてフィードバックをすることにより、人間の動作の改善が行われている。 本研究ではダーツを例としたスポーツにおける運動スキル支援システムについて発表する。スキル支援の方法として、熟練者の生体情報を参考にして、初心者に対する物理的補助を行うシステムを提案する。
著者
田中 成俊 橋山 智訓 市野 順子 田野 俊一
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.29, pp.101, 2013

チェスや将棋を始めとするゲームを題材として、コンピュータで人間と同様の知能(AI:Artificial Intelligence)を実現させようとする試みは古くから行われている。近年では、ボードゲームだけでなくコンピュータゲームでのFPS(First Person Shooter)やRTS(RealTime Strategy)、アクションゲームなど、さまざまなジャンルでAIコンペティションが開かれている。しかし初期のコンピュータゲームであるローグライクゲームでは、数少ない研究例があるだけで、その後の発展はみられない。本稿では、現在もプレイされているローグライクゲームの特徴を挙げ、既存のAIコンペティションとの対比を行い、ローグライクゲームのコンペティションを設計することで新たな課題を提供する。
著者
松本 紀子 小坂 忠義 中島 洋平 櫻田 崇治 田野 俊一
雑誌
情報処理学会論文誌コンシューマ・デバイス&システム(CDS) (ISSN:21865728)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.11-23, 2020-10-06

物流市場では,荷主企業より物流業務を包括的に受託する3PL(3rd Party Logistics)事業と呼ばれる事業形態が拡大してきている.3PLでは,コストの6割をピッキング作業が占めることもあり,ピッキング作業効率の向上が重要な課題なっている.そこで,直感的な指示提示に有効なAR技術の活用による効率向上が期待されているが,実用化には至っていない.本研究では,ピッキング作業の効率向上のために,ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を使ったARによる直感的な指示を行うピッキング作業支援システムを開発し,その効果を検証した.HMDによる表示は,実際の視野角に対して表示画角が制限されており,実用化の障壁となっていると考え,VRにより複数のHMD表示画角を再現し,比較分析を行った.その結果,ピッキング作業には70度の表示画角が必要であることが分かった.