著者
永井 修 中村 浩之
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.20-29_1, 2000-09-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
17
被引用文献数
2 3

山梨県南西部に位置する “七面山大崩れ” は安政の東海地震 (1854) で大崩壊したという説が一般的であったが, 今回七面山と関連の深い日蓮宗久遠寺の古文書や文献を精査の結果, “七面山大崩れ” は1600年代には既に崩壊してきたことが明らかとなった。また “七面山大崩れ” は過去に発生した幾度かの地震や毎年の削剥を経て現在の地形に至ったものであり, 一度の地震をひきがねとした大規模崩壊ではない。特に毎年の削剥量は冬季における凍結融解によるものが大半であり, 七面山における特異な地形, 地質と南向き斜面の微気候が崩壊の拡大に影響している。
著者
古谷 尊彦
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.25-28, 1982-10-01 (Released:2010-03-16)
参考文献数
8
著者
小川内 良人 山崎 勉 山崎 孝成 菊池 章 小原 喜幸 保坂 金雄
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.38-45_1, 1998-09-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
6
被引用文献数
3 3

1997年5月, 八幡平熱水変質地帯に発生した澄川地すべりは, 地すべり発生と同時に水蒸気爆発と土石流が発生した特異な地すべりである。すべり面は, モンモリロナイトを多量に含む変質した第四系の澄川凝灰岩上面に形成されている。ボーリングの孔内温度は, すべり面に近づくにしたがって上昇し, すべり面以深では100度に達する。地すべり地内の地下水は弱アルカリ性を示し, 埋没した澄川温泉の酸性泉とは際だった違いを見せている。澄川凝灰岩を覆う焼山火山噴出物には, キレツの発達した安山岩溶岩が分布し, 地下水の通路となっている。地すべり発生の素因は, 変質して粘土化した澄川凝灰岩の存在と, 基盤が円弧スベリを発生しやすい凹面型を呈していたことである。
著者
岡本 隆 浅野 志穂 松浦 純生 Jan Otto LARS
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.39-47_1, 1999-09-15 (Released:2011-02-25)
参考文献数
15

スカンジナビア半島やカナダに分布するクイッククレイは鋭敏比が8以上で構造的に非常に不安定である。そのためクイッククレイ堆積域では河川侵食や地盤の凍結・融解, 工事にともなう振動によって地すべりが頻発する。著者らはクイッククレイ堆積域での地すべりの挙動と間隙水圧, 気象要素の関係を把握するため, ノルウェーのクイッククレイ地すべり地に試験地を設定し, 地すべりの自動観測を1997年11月から開始した。観測は, 降水量, 融雪水量, 気温, 地温, 間隙水圧, 地すべり移動量についておこなっている。電源を設置した小屋が計器のフィールドの近くに建てられ, 観測データは小屋の中のデータロガーによって15分間隔で収集されている。本報告では, その観測システムについて報告するとともに, 1年間の観測から得られた若干の結果についても併せて報告する。スカンジナビア半島やカナダに分布するクイッククレイは鋭敏比が8以上で構造的に非常に不安定である。そのためクイッククレイ堆積域では河川侵食や地盤の凍結・融解, 工事にともなう振動によって地すべりが頻発する。著者らはクイッククレイ堆積域での地すべりの挙動と間隙水圧, 気象要素の関係を把握するため, ノルウェーのクイッククレイ地すべり地に試験地を設定し, 地すべりの自動観測を1997年11月から開始した。観測は, 降水量, 融雪水量, 気温, 地温, 間隙水圧, 地すべり移動量についておこなっている。電源を設置した小屋が計器のフィールドの近くに建てられ, 観測データは小屋の中のデータロガーによって15分間隔で収集されている。本報告では, その観測システムについて報告するとともに, 1年間の観測から得られた若干の結果についても併せて報告する。
著者
山田 剛二 小橋 澄治 草野 国重
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.11-24, 1971-08-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
3
被引用文献数
2 5 7
著者
矢田部 龍一 八木 則男 佐藤 修治 長谷川 修一
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.42-49_1, 1997-09-15 (Released:2011-02-25)
参考文献数
10
被引用文献数
3 4

本報告は四国の中央構造線に沿った道路建設に伴い発生した地すべり地の特性について検討を行ったものである。その結果, 地すべりは大半が切土に伴う崩積土のすべりであり, 規模は比較的小規模なものが多く, また, 中央構造線の断層破砕帯の地すべり地の粘性土のせん断抵抗角は小さく, 難工事となりやすいことがわかった。
著者
伊藤 陽司
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.32-41_1, 1996-12-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

空中写真から, 645箇所のランドスライド地形を判読し, それらの分布, 形態, 規模や滑動方向の特徴, 地形, 地質との関係, 最近発生した斜面災害との関係を解析した。 “グリーンタフ” や凝灰岩薄層をはさむ頁岩を主とする新第三系分布地域には小規模なものが集中し, それらの多くは岩屑スランプの形態を示す流れ盤型地すべりである。地すべり多発地質である新第三系を覆ってキャップロック構造を形成する第四紀陸上溶岩類の周縁部には大規模なものが数多く存在し, それらは岩盤スランプ, 岩盤崩壊や岩屑なだれの形態を示す。第四紀成層火山体の山頂, 山腹にはその山容を大きく変える地すべり, 崩壊, 岩屑なだれやさまざまな規模の溶岩ドームの崩壊がある。ランドスライド地形の斜面では集中豪雨や地震に起因して古い滑動地塊の再滑動や滑落崖での新たな崩壊が発生しており, 防災上, 少なくとも住宅・道路に近接するランドスライド地形の斜面には注意が必要である。
著者
守隨 治雄
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.13-23_1, 1999-09-15 (Released:2011-02-25)
参考文献数
45
被引用文献数
2 2

地すべり運動が生じると地すべり土塊はより安定な位置へ移行するが, 第三紀層地すべりでは, 繰り返し再活動が生じている。その原因としては, 移動するにつれてすべり面がよりすべり易い性状や鉱物組成に変化している可能性がある。そこで, 本研究は, それらを解明するために, 運動履歴の異なる5つの第三紀層地すべりを選び, 主として, 地質学的観点から, 第三紀層地すべり地におけるすべり面の発達過程とすべり面粘土の生成を調べた。その結果, 粘土化するほど土の摩擦抵抗は低下すること, 粘土の中でもスメクタイトの摩擦抵抗はとくに小さいことを考慮すると, すべり面付近が凝灰岩もしくは凝灰質な地質よりなる第三紀層地すべりが繰り返し再活動する原因は, 移動に伴うすべり面近傍の粘土分の増加と地下水の影響によるスメクタイトの生成にあることがわかった。
著者
斎藤 迫孝 上沢 弘
出版者
公益社団法人 日本地すべり学会
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.7-12, 1966-02-01 (Released:2011-02-25)
参考文献数
5
被引用文献数
8 6
著者
横田 公忠 矢田部 龍一 八木 則男
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.15-23_1, 1998-12-15 (Released:2011-02-25)
参考文献数
21

蛇紋岩地帯では地質境界部で多くの地すべりが発生している。本論文では, この理由を蛇紋岩の生成過程にまで遡って鉱物学的に検討している。具体的には, 顕微鏡観察, X線回析, 蛍光X線分析により蛇紋岩の鉱物学的特性を調べ, また, 文献調査に基づく検討を行っている。それらの結果, 蛇紋岩の特性は蛇紋岩と磁鉄鉱それとブルサイトが共存しているところにあり, 風化に弱く細粒化しやすいが, すべり面と成り得る小さなせん断抵抗角を持つ粘土鉱物は生成されない。蛇紋岩体に隣り合って, 緑泥石層などが形成されやすく, これらはすべり面と成り得る粘土鉱物を生成しやすい。したがって, 蛇紋岩体との境界部で多くの地すべりが発生しやすいと結論できる。
著者
宜保 清一 陳 信雄 江頭 和彦 林 義隆 周 亜明
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.50-56_1, 1997-09-15 (Released:2011-02-25)
参考文献数
19
被引用文献数
3 2

本報告は四国の中央構造線に沿った道路建設に伴い発生した地すべり地の特性について検討を行ったものである。その結果, 地すべりは大半が切土に伴う崩積土のすべりであり, 規模は比較的小規模なものが多く, また, 中央構造線の断層破砕帯の地すべり地の粘性土のせん断抵抗角は小さく, 難工事となりやすいことがわかった。