著者
岩坂 泰信
出版者
日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.803-809, 2013-10
著者
真鍋,淑郎
雑誌
天気
巻号頁・発行日
vol.40(特集), 1994-03-31

大気中の二酸化炭素増大に伴う気候変化の研究は大気・海洋結合モデルを使ってすでにいくつか行われており, おもに数10年先の予測がなされてきた.(Bryan et al., 1982;Schlesinger et al., 1985;Bryan et al., 1985;Bryan et al., 1988;Washington et al., 1989;Stouffer et al., 1989;Manabe et al., 1990;Manabe et al., 1991;Hansen et al., 1988;Cubasch et al., 1992).しかし, より遠い将来の予測はあまり注目されてこなかった.炭素ガスが増加すると, 地球の平均温度の永年的上昇を通じて海洋大気の結合システムの大規模現象が影響を受け, 気候が大きく変わるので, その効果は非常に重大である.たとえば, 海洋の熱塩循環が大きく変わる可能性がある.氷期の終わりころ, 温度上昇と氷床融解にともなって海洋循環が突然変わったらしいというBroeckerの議論(Broecker, 1987)も, その可能性を示唆する.ここでは, 海洋大気結合気候モデルを用いて, 炭酸ガス量の2倍ないし4倍増加による全球気候の数100年間の変動を計算した.結論的には, 500年後の全球平均気温上昇は, 炭酸ガス2倍増の場合は3.5度, 4倍増の場合は7度に達する.また, 海水の熱膨張による海面水準の上昇はそれぞれ1mと1.8mに及ぶことがわかった(氷床の融解が加わると, 海面上昇はこれよりさらに大きい).さらに, 炭酸ガス4倍増の時は, 海洋の温度構造や力学構造が著しく変わる.すなわち, 海洋の熱塩循環はぱったり止み, 温度躍層がぐっと下がる.というまったく新しい安定な状態に落ち着いてしまう.このような変化は海洋深層との物質の交換を阻害するので, 大気海洋結合系の炭素循環や生物地球化学過程に大きな影響を及ぼす可能性がある.
著者
池田 芳三
雑誌
天気
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.487-488, 1995
著者
川口 貞男
雑誌
天気
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.493-494, 1995
著者
水野 建樹 近藤 裕昭 吉門 洋
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.171-180, 1993-03-31
被引用文献数
9

関東地方では,移動性高気圧の後面から総観規模の寒冷前線が通過し去る間,内陸部下層に逆転層が形成され東京湾上に局地不連続線が生じる場合がある.初冬にはこの不連続線の形成に伴って大気汚染が悪化する.観測によれば,局地不連続線はそれまで関東平野部をおおっていた大気に比べて相対的に暖かい西よりの風が,中部山岳を北回りにあるいは南回りに関東内陸部上空に達したとき出現しており,これは関東内陸部では中部山岳部が壁となって下層によどみ域が発生する一方,関東南岸には障害物がないため西よりの風が卓越しているためと考えられる.局地不連続線は両者の気団間で出現する.このとき,館野上空 1000m程度の風向は約210〜310度にあり,館野高層データから求めたフルード数は風向によって変化するが,およそ0.3〜1.3程度であった.また局地不連続線は,それに先だって南〜西よりの風が少なくとも半日程度持続しているとき多く出現していることがわかった.
著者
和田 範雄 泉 岳樹 松山 洋 近藤 純正
出版者
日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.13-22, 2016-01

測器近傍の障害物の有無が気温に与える影響を定量的に評価するため,放射による観測誤差が最大で0.04℃の高精度な測器による気温観測を行い,空間広さ(「周囲の障害物と測器との距離」と「障害物の高さ」との比)に注目して解析した.観測は,首都大学東京南大沢キャンパスの陸上競技場の芝地上6地点において,2014年8月22日~9月17日に行い,その内1地点では不織布の囲いを設置して,空間広さが小さい状態を人工的に作り出した.その結果,日中は,空間広さが小さくて天気がよいほど気温が高くなり,いわゆる日だまり効果(測器近傍の障害物による風速の減少に伴う地上気温の上昇)の影響が示唆された.一方,夜間は,空間広さが小さい地点ほど気温が低くなった.これは,囲いによる風速減少により上空大気との熱交換が抑制されるとともに,囲いの中に冷気がたまりやすくなることで放射冷却の効果が強められたことが原因と考えられる.また,日中と比べて夜間には地点間の気温差は小さくなったが,これは日中と夜間の正味放射量および風速の違いを反映したものと考えられる.
著者
後藤 隆雄
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.809-816, 2000-11-30
著者
大和田,淳
雑誌
天気
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, 2002-05-31
著者
島田,守家
雑誌
天気
巻号頁・発行日
vol.43, no.8, 1996-08-31
著者
伊集院 久吉
出版者
日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.5, no.9, 1958-09
著者
松下,拓樹
雑誌
天気
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, 2005-09-30

2004年2月に北海道の岩見沢周辺で発生した雨氷現象について, 地上気象観測資料と客観解析資料を用いた解析を行った.その結果, 岩見沢で着氷性降水があった期間は, 22日21時30分頃から23日5時頃までであり, 雨氷が発生した地域は, 岩見沢から滝川までの約40kmの範囲と推定された.着氷性降水時, 岩見沢における地上気温は-0.5℃前後で推移し, 雨氷の形成環境としてはそれほど低い気温状態ではなかった.しかし, 雨氷表面における理論的な熱収支計算によると, 北東からの6m/s前後の風による通風効果によって負の熱フラックスが増加し, 雨氷が発達しやすい大気環境であったことが示された.
著者
牛山,素行
雑誌
天気
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, 1993-01-31

1991年3月23日未明,長野県中部の山岳地帯で発生した雨氷現象について,発生時間中の移動調査や直後に実施した聞き取り調査などによって,発生の状況を詳しく調べた.今回の雨氷現象は,長野県中部の山脈の北側斜面のほぼ標高1200〜1800mの範囲内で確認できた.総観規模の気象データでは,雨氷発生の条件とされる0℃前後の気温逆転層は確認できなかったが,発生地付近の地上気温データからは,現象発生時に標高2000m付近に暖気が入ってできた0℃前後の気温逆転層が解析された.しかし,同時間帯に山脈の南側斜面では気温逆転は見られず,山脈の存在が現象発生に影響を及ほすものと考えられた.雨氷発生域内では,発生中の気温変化がほとんど無く,ほぼ0〜-1℃の範囲で安定していた.雨氷発生中の降水量は1〜3mm/hと少なく,このため森林等への被害には至らなかった.