著者
根元 裕樹 泉 岳樹 中山 大地 松山 洋
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.86, no.4, pp.315-337, 2013-07-01 (Released:2017-12-05)
参考文献数
38
被引用文献数
1

1582(天正10)年,岡山県の備中高松で備中高松城水攻めが行われた.近年の研究では,備中高松城の西側の自然堤防を利用した上で基底幅21 m,上幅10 m,高さ7 mの水攻め堤が3 kmにわたって築かれたとされているが,わずか12日間でこの巨大な堤防が本当に築けたのか,その信憑性が疑われている.そこで本研究では,流出解析と氾濫解析を組み合わせた水攻めモデルを開発し,水攻め堤の有無と高さによる複数のシナリオで備中高松城水攻めを再現して,水攻めの条件について考察した.その結果,水攻めには上述したような巨大な堤防は必要なく,足守川からの水の流入,備中高松城西側の自然堤防,それに接続する南側の蛙ヶ鼻周辺の水攻め堤があれば十分であることが示された.また,この結果と史料を考慮すると,蛙ヶ鼻周辺の水攻め堤は,その高さが約3.0 mであったと考えるのが合理的であるという結論に至った.
著者
根元 裕樹 中山 大地 松山 洋
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.84, no.6, pp.553-571, 2011-11-01 (Released:2016-09-29)
参考文献数
15
被引用文献数
3 6

山梨県甲府盆地の西部,釜無川と御勅使川の合流部付近には信玄堤と呼ばれる治水施設群がある.信玄堤に関する歴史的研究では,近世以降に築かれた可能性や,自然に起こった流路変遷を固定化するための工事であるという見解が示されてきた.しかしながら,自然科学的研究は少ないため,本研究では洪水氾濫シミュレーションを行って,これらの治水能力を再評価した.現在の地形をスムージングした地形に各施設(石積出,白根将棋頭,竜岡将棋頭,堀切,竜王川除,かすみ堤)を配置し,dynamic wave model による御勅使川の洪水氾濫シミュレーションを行った.その結果,御勅使川の過去の流路が再現され,各治水施設が及ぼす影響を確認できた.これによると,石積出→白根将棋頭→堀切→高岩(岩壁)→竜王川除という順に設置されなければ,信玄堤は有効に機能しない.つまり,これらの施設は近世より前に短期間のうちに意図的に築かれた可能性が高く,既存の歴史的研究成果とは異なる結果が得られた.
著者
成宮 博之 中山 大地 松山 洋
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.79, no.14, pp.857-868, 2006-12-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
47
被引用文献数
3 3 1

本研究では,東京都内にある30地点の湧水における過去20年間の水温の変化について調べた。また2005~2006年の渇水期と豊水期に現地で水温,pH,電気伝導度を測定し,実験室でSiO2濃度を測定したSiO2濃度は,湧水の背後にある洒養域の広さの推定に用いた.これらと,東京都が過去に実施した調査結果とを合わせることで,1987~2006年の湧水温に関する観測値が得られた.水温の観測値を地点,時期ごとに分類し,外れ値の影響を考慮して変化傾向を求めることができるKendall検定を適用したところ,解析対象とした23地点のうち,渇水期13地点,豊水期11地点において,有意水準5%で有意な水温の上昇傾向がみられた.湧水のSiO2濃度と,渇水期と豊水期の水温差との問には有意水準5%で有意な負の相関関係がみられた。このことから,湧水のSiO2濃度が高い場合,その湧水は相対的に滞留時間が長く,また比較的広い洒養域からなるものと考えられる.そして熱容量が大きいことから気温や環境の変化に対して水温の変化が顕著に表れない可能性が示唆される.
著者
松山 洋平
出版者
日本中東学会
雑誌
日本中東学会年報 (ISSN:09137858)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.145-159, 2013-07-15 (Released:2018-03-30)

The recent few decades have seen a growing number of studies on Māturīdism. At the same time, revision and publication of writings of Māturīdītes are proceeding apace. This study reconsiders past and present studies regarding Māturīdism and measures their scope and possible applications. Māturīdism can be helpful in four categories of applied research. First, Māturīdism should be reconsidered as a representative of the rationalistic tide in Sunnī theology. Therefore, it could lead to the societal cultivation of common ethics that can be shared with non-Muslims who do not accept the same revelatory values that Muslims do. Second, studies in Māturīdism may be applied to examine the internal and theoretical correlations between a legal madhhab and theological school, because Māturīdism is strongly connected to the Ḥanafī school of law. Third, studies on Māturīdism would be useful for reconsideration of the expansion process of Islam and development of thoughts in respective areas. Finally, Māturīdism may be an undeniable factor in contemporary activities and issues, e.g., in da‘wah activities in non-Muslim countries, and in the theological disputes between Salafism and traditional Sunnī regime, i.e., Ash‘arī-Māturīdism. Studies of Māturīdism may enrich the research perspectives of Islamic thought and Sunnī speculative theology, adding a new element to the ongoing discussion of contemporary issues.
著者
松山 洋平
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.75-98, 2011-06-30 (Released:2017-07-14)

本稿の目的は、ターハー・ジャービル・アル=アルワーニーのクルアーン解釈理論に焦点を当て、その思想のポストモダン性を描出することである。アルワーニーは、クルアーンの啓示と預言の封緘によって、神が明示的に世界に介入する「神的主権」が終結し「クルアーンの主権」の時代へ移行したと論じる。この「クルアーンの主権」理論は、シニフィエとしての神本体ではなく、クルアーンというシニフィアンに対して主権性を付与するものだ。但し彼は、「世界のキラーア(読解)」と「クルアーンのキラーア」の相互依存関係を指摘することで、その思考を法的な問題領域の内に留めた。そして、現代におけるイスラーム法の望ましい形として「少数派フィクフ」を提唱する。「少数派」として生きることを前提とするこの法概念は、ミクロロギーの世界でのみ正当性を持つ「小さな物語」を作り出す。本稿は、アルワーニーに限られない現代イスラーム思想界全体に密に浸透しつつあるポストモダン的なエートスを指摘するための準備作業の一環である。
著者
松山 洋平 マツヤマ ヨウヘイ Matsuyama Yohei
出版者
同志社大学一神教学際研究センター(CISMOR)
雑誌
一神教世界 = The world of monotheistic religions (ISSN:21850380)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.89-101, 2014-03-31

本稿の目的は、「不信仰の地」においてイスラームがいかに語られるべきかという課題に対するイスラームの神学的基盤を提示することである。そのために本稿では、スンナ派の代表的神学派の一つであるマートゥリーディー学派の信仰論に着目し、「不信仰の地」の非ムスリムの地位と、「不信仰の地」における信仰の要件の議論を考察する。マートゥリーディー学派においては、イスラームの教説が知られていない地域=「不信仰の地」の人間にも、造物者の存在を認識する義務が課される。これは一見「厳しい」見解であるが、この教説は逆説的に、「不信仰の地」においては、イスラームの正しい知識に基づかない神信仰が全き信仰として承認されるとする言説を生む。つまり、「不信仰の地」において人は、造物者の承認一点をもって信仰者として承認される。この圏域においてイスラームという宗教は、固有の信仰箇条の総体としての実定宗教としてよりも、唯一神信仰を呼びかける包括的メッセージとしての側面を強調し、提示されるべきである。This paper considers the theological basis for re-thinking how Islam is to be represented to non-Muslims in a land of infidelity, where little or no teachings and practices of Islam are known, with special reference to theories of Māturīdism. Regarding the theory on those who did not receive the propagation of Islam, Māturīdism, contrary to Ash`arism, does not acknowledge their immunity from the responsibility of believing in the Creator's existence, and requires them to have faith in it based on `aql (reason). This idea results in an attitude that validates the faith of an individual in a land of infidelity, who lacks knowledge about the essentials of the Islamic creed and does not fulfill core religious duties, and regards him as a true believer. This tenet of Māturīdism leads to the idea that in a land of infidelity, Islam could assume the form of a comprehensive call to monotheism, not the form of a positive religion, or cluster of specific tenets.
著者
酒井 健吾 長谷川 宏一 泉 岳樹 松山 洋
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

1. はじめに近年,小型の無人航空機(UAV; Unmanned Aerial Vehicle)を用いて撮影した複数の画像から地表面の三次元データを作成する手法が注目されている。UAVを用いてステレオペア画像を撮影し,SfM(Structure from Motion)ソフトウェアで処理すると,対象物の三次元点群データ,三次元モデルを作成することができる。さらに,この三次元モデルから,空間解像度数cmのオルソモザイク画像や数値表層モデル(DSM; Digital Surface Model)を得ることもできる。これらは条件によってはレーザ計測と同等の精度が得られるという報告がある(小花和ほか,2014)。一方,植生を対象とした場合,精度が落ちるという報告もされている(Harwin and Lucieer,2012)。これは,画像の解像度が十分でないこと,風により植生が動いてしまうこと,影になっている部分が再現されにくいことなどが原因として挙げられる。そこで本研究では,直下視画像に加えて,斜め視画像を加えてSFMで処理を行うことで,森林樹冠のDSM作成を試み,その再現精度の検証を行った。2. 研究手法対象地域は八ヶ岳南麓のカラマツ林(緯度35° 54' 34''N , 経度138° 20' 06''E)であり,2015年7月にUAVを用いて樹冠上から空撮を行った。機材にはK4R(K&S社)を使用した。K4Rは電動マルチコプタ(クワッドコプタ)であり,飛行にはGround Station(DJI社)の自律航行機能を利用した。UAVにコンパクトデジタルカメラGR(RICOH社)を搭載し,1秒間隔で写真を撮影した。K4Rのジンバルは角度を変えることができるため,直下方向に加えて前後方45°の撮影も行った。飛行方向は東西方向であり,約9,000m2の範囲に対し合計823枚の画像を取得した。次に,撮影したステレオペア画像を,SfMソフトウェアPhotoScan(Agisoft社)を用いて処理を行い,三次元点群データ,三次元モデルを作成した上で,オルソモザイク画像・DSMを作成した。これらの処理を,約250m2の範囲に対し,(1)対地高度100mから撮影した直下視画像70枚のみ,(2)(1)に,対地高度50mから撮影した直下視画像54枚を追加(3)(1)に,対地高度50mから撮影した斜め視画像54枚を追加という3パターンの画像を元に解析を行い,作成したDSMの再現性を比較した。3. 結果と考察3つのパターンで,空間解像度2~2.5cmのDSMを作成することができた。(1)では実際にギャップになっている部分もモザイクをかけたように,凹凸の少ない平坦な形状として表現されてしまった部分があった。一方,(2)や(3)にもこのような部分はあったが,(1)のものよりは少ないことが確認できた。三次元点群データを上空方向から見たときの画像で,点群がない部分(三次元形状が復元されていない部分)の面積割合を求めたところ,(1)では17.5%,(2)では12.8%,(3)では9.7%となり,直下視画像を加えた場合よりも,斜め視画像を加えた場合の方が,三次元点群データして再現された割合が多いことがわかった。この結果から,直下視画像に斜め視画像を加えることで,特にギャップなど直下視のみでは影になる部分の再現精度が上がる事が明らかになった。同じ枚数の直下視画像を加えた場合よりも再現度の向上率は高く,斜め視画像を加えたことによる効果の高さを示した。UAVとSfMソフトウェアによってDSMを作成する場合,UAV飛行のコストとリスクを減らし,処理時間を短縮するためにも,より少ない撮影回数,総飛行時間で必要なデータを取得する事が求められる。本研究はそのためのひとつの知見となることが期待される。今後の課題としては,精度のチェック,解像度の向上,斜め視画像の角度・方向の検討などが挙げられる。4. 参考文献小花和宏之,早川裕弌,齋藤 仁,ゴメスクリストファー : UAV-SfM手法と地上レーザ測量により得られたDSMの比較, 写真測量とリモートセンシング, 53, pp.67-74, 2014.Harwin, S. and Lucieer, A.: Assessing the accuracy of georeferenced point clouds produced via Multi-View Stereopsis from Unmanned Aerial Vehicle (UAV) imagery, Remote Sensing, 4, pp.1573-1599, 2012.
著者
泉 岳樹 松山 洋
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.69, no.581, pp.83-88, 2004
参考文献数
14
被引用文献数
7 9

Rooftop area and potential area for rooftop greening in Tokyo metropolitan area are estimated by analyzing polygon data of buildings and digital aerial photographs on geographic information system The followings are the results of this research 1) Rooftop area of buildings for public, commerce, residence and industry in 23 wards of Tokyo is estimated to be 16,491ha 2) The ratio of the potential area for rooftop greening is estimated to be 77 6% on average 3) Potential area for rooftop greening is 4,917ha, about 8% of 23 wards' area These results give important suggestions for planning scenarios of rooftop greening in Tokyo
著者
泉 岳樹 松山 洋
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.69, no.581, pp.83-88, 2004-07-30 (Released:2017-02-09)
参考文献数
14
被引用文献数
9 9

Rooftop area and potential area for rooftop greening in Tokyo metropolitan area are estimated by analyzing polygon data of buildings and digital aerial photographs on geographic information system The followings are the results of this research 1) Rooftop area of buildings for public, commerce, residence and industry in 23 wards of Tokyo is estimated to be 16,491ha 2) The ratio of the potential area for rooftop greening is estimated to be 77 6% on average 3) Potential area for rooftop greening is 4,917ha, about 8% of 23 wards' area These results give important suggestions for planning scenarios of rooftop greening in Tokyo
著者
八木 千裕 松山 洋 山本 裕 髙橋 姿
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.303-309, 2016-02-28 (Released:2016-04-06)
参考文献数
17

症例は,先天性下肢複雑奇形に対し頻回の手術が必要と診断され,麻酔科からの依頼により生後8か月時に気管切開術を施行した男児である。計7回の整形外科手術を終了し,4歳3か月時に気管支鏡にて声門下を確認したところ,カニューレ直上に気管内腔をほぼ閉塞する瘢痕組織を認めた。4歳7か月時に瘢痕除去術を施行したが,術後癒着による気管狭窄を認めたため,5歳4か月時に気管拡大術およびTチューブ留置術を施行した。2か月間Tチューブを留置後抜去し,5歳9か月時に気管孔閉鎖術を施行,その後の経過は良好であった。本症例を通して,気管カニューレ抜去困難症に至った反省点や同疾患への治療における工夫などを報告した。
著者
矢萩 恭子 松山 洋平
雑誌
田園調布学園大学紀要 = Bulletin of Den-En Chofu University
巻号頁・発行日
no.5, pp.217-256, 2010

本研究は、田園調布学園大学が平成18年4月に4年制・共学の保育者養成学科を開設して以来、1年次の必修科目として開講されている「子ども家庭福祉演習」において行ってきた授業内容の一部である「田園調布学園大学・川崎フロンターレ『託児室』」の過去5年間の総括と、そこから導き出された保育という専門分野への導入教育としての意義と課題を明らかにするものである。地域における大学の果たすべき役割の一つとして、保育者養成大学が地域や市民に向けて行っている子育て支援事業は、種々行われているが、プロサッカーチームとの産学協働事業として展開されている本事業は他に例を見ない試みであると言える。限られた時間と空間と人材を用いて、サッカー観戦に訪れるサポーターを保護者とする乳幼児を試合時間の前後にかけて預かることが果たして真の子育て支援と言えるかどうかの議論はもちろん欠かせないが、今回は、科目担当者として託児室実習に参加してきた受講生の参加レポートおよび授業アンケート等をもとに、保育の初学者である1年次生が本実習をどのように経験し、本実習が保育への導入教育としてどのような意義を発揮できているかを見ることとした。その結果、どの年度においても託児室実習は、受講生に強い印象と経験内容を保障していることが確認され、託児室実習から学生が子どもとかかわる上での疑問や困難を感じ、自分自身の体験を通して子どもや保育に関する多岐にわたる学びや気づきを得ていることが分かった。しかし、同時に、学外実習である託児室実習の運営および実施上の課題も否めない。今後も継続していく上での課題としては、大学とサッカーチームとの連絡・協力体制の維持・強化、専任スタッフ・運営事務局・科目担当教員との連携・協力、学科専任教員による引率分担、試合日程に左右される授業内容進行上の問題、2年次以上の経験者の参加希望の受け入れや1年次生との同時参加、事前・事後指導授業のもち方、などが託児室スタッフへのインタビューや、託児室を利用する保護者アンケートなどから明らかとなった。より意義のある導入教育とするために、サッカーチーム・大学・学科の協力を得ながら、改善を積み重ねていくことが今後も求められていると言える。
著者
松山 洋平
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.75-98, 2011-06-30

本稿の目的は、ターハー・ジャービル・アル=アルワーニーのクルアーン解釈理論に焦点を当て、その思想のポストモダン性を描出することである。アルワーニーは、クルアーンの啓示と預言の封緘によって、神が明示的に世界に介入する「神的主権」が終結し「クルアーンの主権」の時代へ移行したと論じる。この「クルアーンの主権」理論は、シニフィエとしての神本体ではなく、クルアーンというシニフィアンに対して主権性を付与するものだ。但し彼は、「世界のキラーア(読解)」と「クルアーンのキラーア」の相互依存関係を指摘することで、その思考を法的な問題領域の内に留めた。そして、現代におけるイスラーム法の望ましい形として「少数派フィクフ」を提唱する。「少数派」として生きることを前提とするこの法概念は、ミクロロギーの世界でのみ正当性を持つ「小さな物語」を作り出す。本稿は、アルワーニーに限られない現代イスラーム思想界全体に密に浸透しつつあるポストモダン的なエートスを指摘するための準備作業の一環である。