著者
日置 和昭 藤原 照幸 本郷 隆夫 山本 剛一 中岡 明
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.15-22, 2023 (Released:2023-03-25)
参考文献数
8

本研究では,廃棄物資源循環という観点から,廃ガラスカレット (GC) を圧密促進工法の一つであるサンドドレーン (SD) 工法の中詰め材料として有効利用するため,GC や SD 材として適用実績のある海砂,さらには SD 材としては不適応な山砂 (まさ土) に GC を混ぜた GC 混合砂を対象に,1/10 モデルの圧密土槽試験を考案・実施し,GC の SD 材としての適用性について実験的考察を行なった。その結果,① GC を用いた SD と海砂を用いた SD の圧密促進効果 (圧密速度) は,ほぼ同等と評価できること,② 山砂 (まさ土) も GC と混合させ粒度改良を施すことにより,海砂とほぼ同等の圧密促進効果 (圧密速度) を期待できること,③ 透水係数 ks が 5.5 × 10−5 ~ 1.7 × 10− 3 m/s の範囲にある SD 材では,圧密促進効果 (圧密速度) に大きな差異は現れないことが明らかとなった。
著者
田村 賢 杉山 耕平
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.29-37, 2019 (Released:2019-03-08)
参考文献数
22

カキ殻の有効利用法を開拓し,廃棄カキ殻の利用価値を向上させるために,本研究ではカキ殻粉末が陶器釉薬として容易に利用できるよう,施釉・焼成方法を確立した。ハンマーミルを用いて作製されたカキ殻粉末が市販の精製 CaCO3 粉末の代替品として釉薬の原料に使用できることを確認し,カキ殻粉末と粘土の混合系においてカキ殻粉末が過不足なく粘土と反応し,質の良いガラス層が得られる配合割合と焼成条件を明らかにした。鉄分や他の不純物元素を少量含んでいる天然粘土 (信楽粘土) とカキ殻粉末の混合系ではカキ殻粉末の配合割合が 30 wt% と 33 wt% のものが焼成温度1,200℃で溶融する。このうち,流動性に優れるのは 30 wt% のものであった。この配合割合 30 wt% のものを釉薬とし,実用品 (皿) として造形した素焼き基材の表面に塗布して焼成 (1,250℃で 1 h 保持) した結果,高い表面品質をもつ製品が得られた。
著者
福島 正明 伊部 英紀 若井 慶治 杉山 英一 安部 裕宣 呉 倍莉 北川 希代彦 鶴賀 重徳 志村 勝美 小野 栄一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.114-126, 2011 (Released:2011-05-11)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

PVCとPETを含む容器包装混合廃プラスチック油化処理技術において,外熱式ロータリーキルンを使用した熱分解装置の開発を行い,下記の結果を得た。(1)PVCとPETを含む混合廃プラスチックの熱分解油収率は,3P(PE, PP, PS) の熱分解油収率に比べて約20~30wt%低く,熱分解残渣は約20wt%高い。(2)ロータリーキルンは,連続処理運転よりもセミバッチ処理運転 (脱塩後の溶融プラ投入を一時停止し熱分解・残渣排出) が熱分解油の収率が高い。(3)脱塩素プロセスと熱分解プロセスを分離し,脱塩素と熱分解の同時並行処理を行い,熱分解の効率化を図ることができた。(4)脱塩素から熱分解まで装置を垂直に配置し,ポンプ等の移送設備を使用しない重力移送方式を採用し,溶融プラの流動性悪化に起因したトラブル発生を防止することができた。(5)廃プラ熱分解油は石油化学原料化が可能であることが明らかとなり,フィードストックリサイクルの対象油を軽質油から分解油に広げることが可能となった。
著者
栗岡 理子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.168-177, 2017

ノバスコシア州は,カナダで唯一埋立ごみ半減に成功した州である。現在も目標を定め,ごみ減量に熱心に取り組んでいる。同州の廃棄物政策の中核には,飲料容器のハーフバック・デポジット制度が据えられている。筆者は,同制度が廃棄物政策に果たしている役割を調査するため,ノバスコシア州を訪れた。その結果,ハーフバック制は環境対策財源機能を有した環境賦課金制度であり,それにより得られた資金は廃棄物政策に役立てられていた。すなわち,ハーフバック制では,リターナブル容器のデポジットは全額返金されるが,ワンウェイ容器は半額しか返金されない。その未返却デポジットは制度運営に使われ,余剰はごみ減量努力に応じて自治体へ分配されるなどしている。<br>また,ハーフバック制を図示し経済学的に考察することにより,ハーフバック制には賦課金的性格があることを確認した。
著者
森 朋子 三ヶ尻 智晴 田崎 智宏
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.13-24, 2020 (Released:2020-02-29)
参考文献数
31
被引用文献数
1

本研究では,近年,普及が進んでいるインターネットを通じたリユース (以下,ネット型リユースという) に着目し,その利用経験が不用衣服の排出行動に及ぼす影響を分析した。衣服の購入が多い 15 ~ 49 歳の女性を対象にウェブアンケートと統計分析を実施した結果,ネット型リユースの利用を経験すると,リユースショップのような従来型のリユースルートよりもネット型リユースの活用を好むようになることがわかった。また,ネット型リユースを現在利用していなくても,過去に利用した経験があれば,不用衣服をごみとして廃棄する行動は抑制され,リユースショップ等に出す行動が促進されることも明らかとなった。これらの結果より,ネット型リユースの利用経験が,リユースの具体的な方法を学んだり,不用衣服のリユース品としてのポテンシャルを認識したりすることに役立っていることが示唆された。
著者
溝入 茂
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.125-137, 2012 (Released:2012-06-30)
参考文献数
61
被引用文献数
2 1

関東大震災による東京の人口移動により,東京市 (当時) の周辺町ではごみ・し尿処理が大きな課題になり,各町は競ってごみ処理体制の充実を図った。その中で1925年から26年にかけて起きたのが東京府目黒町と渋谷町の間のごみ戦争である。渋谷町が町のごみ焼却場を隣の目黒町に設置する計画を実行に移したため,目黒町の住民が反発し,遂には警察による逮捕騒ぎまで起きた。最終的には両町の間で妥協が成立し,渋谷町ごみ焼却場は目黒町に設置されたが,操業後もばい煙問題は解決できず,1932年の東京市との合併にあわせ廃止された。この経過を新たに見つかった資料を加えながら論じるとともに,迷惑施設の設置に関して考察した。
著者
徳永 晴樹 廣畑 昌章 大川 正晃 坂本 孝広 保田 武彦 入佐 英紀
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.184-198, 2017

熊本県内の事業所から,産業分類 (19分類) ごとに 10 % となるよう抽出し,水銀含有製品ごとの購入量,保有量,廃棄量等をアンケート調査した。また,県下を11地域に分け,約2,700人を対象に,家庭における水銀含有製品の保有量を調査した。アンケート調査の結果および既存の調査・統計資料を活用し,①県内への水銀流入量,②県内における水銀存在量,③県内における廃棄量および環境への水銀の排出量を推計した。<br>県内への水銀の流入量は,水銀を含む原燃料や水銀含有製品の入荷等で約 0.22 ton /年と推計された。存在量は,事業所約 1.3 ton,家庭約 2.1 ton の計約 3.4 ton であり,事業所,家庭ともに計測器が約 8 割を占めた。廃棄量は,約 0.038 ton /年であり,その 8 割強を事業所からの廃棄量が占めた。<br>これらの結果を基に,熊本県内における水銀のマテリアルフローを作成した。
著者
長田 文夫 永井 和代
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.19-29, 2009

ポリ塩化ビニル59.2%,フタル酸ジオクチル (以下DOPと略する) 29.7%,その他安定剤約12%から構成される軟質ポリ塩化ビニル (以下軟質PVCと略する) と,硬質ポリ塩化ビニルレジン (以下硬質PVCと略する) を,NaOH溶液濃度2~16mol/L,マイクロ波加熱により,反応温度100~200℃,反応時間0~1時間で処理し脱塩化水素挙動を調べた。この時,梱包時に使用される緩衝材のポリウレタンを0~0.2gそれぞれ添加した。反応温度190℃,2mol/L NaOH溶液,ポリウレタン0.02g添加,反応時間30分にて塩化物は98%除去でき,残渣は炭素と水素の化合物に転換されていることがわかった。反応後のNaOH溶液中から有機系アミンが検出され,ポリウレタンの加水分解由来のものと推察された。アミンにより脱塩化水素反応が促進されたと推測されるため,反応温度190℃,2mol/L NaOH溶液,反応時間30分にて,水和ヒドラジン,アンモニア水,トリメチルアミン,2-アミノエタノールを同様の条件で添加し脱塩化水素挙動を調べたところ,塩化物はそれぞれ最大99.6%,94.6%,96.3%,92.9%除去できることがわかった。アミンが共存することで,既知の方法よりNaOH水溶液の濃度は1/8の2mol/L NaOH溶液で行え,反応温度を下げることができ,脱塩化水素に有効であることがわかった。
著者
李 志霞 林 宏飛 山崎 仲道 上高原 理暢 井奥 洪二
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.361-370, 2009 (Released:2010-01-13)
参考文献数
20
被引用文献数
1

未利用スギ材の有効活用技術の開発を目指し,新規反応媒体である過熱水蒸気を用いて,100~200℃の飽和蒸気圧以下の圧力条件下で抽出温度,時間,水蒸気圧を変化させ,スギの葉から有機成分の抽出を行った。抽出温度100℃と比較し,170℃では約5倍の収率が得られた。また,水蒸気圧力が高く,抽出時間が長いほど収率は上昇した。抽出物については,温度および水蒸気圧が高いほど,分子量の大きい有機物質 (セスキテルペンおよびジテルペン) の抽出が促進された。さらに,ディスク拡散法を用いて18種類の土壌菌に対するスギ抽出物の生育抵抗性を調べた。温水および有機溶媒による抽出物と比べ,過熱水蒸気による抽出物は,カビおよび放線菌に対して優れた抗菌活性を示した。抽出物をGC-MSおよびGC-FIDで分析した結果,モノテルペンやセスキテルペン類が,これらの抗菌活性に関与していると考えられる。過熱水蒸気抽出は,抗菌活性成分の選択的抽出に有効であることがわかった。
著者
岡野 多門 安本 幹 安東 重樹
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.94-105, 2010 (Released:2010-04-15)
参考文献数
46
被引用文献数
9 4

難分解性の海洋浮遊ごみの実態を漂着量から推測する適切な方法を開発するために,鳥取県の3海岸で2005年から2008年までに8回の堆積ごみ調査を行った。漂着物の種類は多く,砂浜上で不均一に分布しているため,範囲を500mとして定形物に限り,それを90種に分けて調べた。それらの排出分野を屋外民生,屋内民生,漁業,農業,医療に分類した結果,民生品が最多となった。しかし品目によって再流出や埋没による消失速度が異なるため,品目間の個数比から漂着個数比を推測することはできない。したがって漂着量の測定には漂着物を撤去する定期的なモニターが必須である。また迅速化のためには各排出分野を代表する数品目を選んでモニターすることが不可避である。また精度と効率を上げるために定義が明確で個数が多く見逃しの少ない品目の選択が重要で,水没や分解しやすい品目,および地域固有性の高い品目を選ぶと排出源に偏りを生むことに注意が必要である。
著者
岡野 多門 加藤 郁美
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.25-37, 2015

海に流出した浮遊ごみの一部は海岸に漂着するため,漂着量は各国での固形廃棄物の管理体制の指標となる。ここでは日本からのごみの流出抑制を目的として,鳥取県の8海岸の延べ4 km区間で,8年間半の毎月の漂着ごみ量を測定した。その結果,漁業ごみが最も多く,ロープ,フロート,20 Lプラスチック容器の3種の年間平均漂着重量は約65 kg/(hm・y) であった。日本製漁具は少なかったが,飲料や洗剤,調味料容器,耐圧缶,およびライターの民生ごみの年間平均漂着重量は約28 kg/(hm・y) で,その約半分が日本のごみであった。最も深刻な日本ごみは小型のペットボトルで,近くの河川流域と海浜周辺で投棄されていた。この2つの投棄地からの漂着数の比は大型ペットボトルとタブ型飲料缶を説明変数とする重回帰分析で推定できる。これは漂着数と海浜での投棄数を推定するための初めての方法で,実効性のある排出防止対策の実施に利用できる。
著者
杉山 涼子 山田 秀
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.372-381, 2011 (Released:2012-01-17)
参考文献数
23
被引用文献数
1

エアゾール缶やコンロ用カセットボンベは,収集時や処理時に火災事故を起こしやすいが,事故発生状況と,分別排出方法や収集車両,穴あけ指導等の自治体の施策と関連づける研究は行われておらず,改善のための方策について十分に解析されていない。本研究では,全国の10万人以上の市および東京23区の287自治体を対象として質問紙調査を行い,火災事故の発生状況を把握しその改善策について定量的な分析を行った。平成21年度には人口10万人あたりの車両火災事故は1.5件,破砕施設の火災事故は0.7件発生しており,車両火災事故のほとんどは不燃ごみで発生し,エアゾール缶等による火災が52.5%を占めている。エアゾール缶等の不燃ごみとしての収集は避けること,不適正に排出された中身の残った缶を排除するような取り組みを行うこと,住民に対して分別を周知することが事故削減につながり,これらの条件を満たせば事故件数は減らせることが明らかになった。
著者
中村 謙吾 米田 稔
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.25-35, 2014 (Released:2014-03-28)
参考文献数
16
被引用文献数
4

蛍石を用いた精錬工程で発生する製鋼スラグを用いて,溶媒pHおよび温度変化による製鋼スラグの溶出量の検討を行った。また,溶出試験と同条件から粒径別の溶出量を検討した。溶出試験の結果,フッ素の溶出量は溶液のpHが影響していた。また,粒径別の溶出試験より表面からの深度に対する溶出領域と比較した場合,粒径が小さいほど推定溶出量と測定溶出値の差が大きくなった。一律推定溶出量と測定溶出量を比較すると,粒径を1.625-2, 0.425-0.5mmとした場合は各元素で0.1~10倍となった。試料粒径0-0.045mmの推定溶出量は,測定溶出量と比較して小さく (1/1000~1/10,000) なることが推測された。試料粒径0-0.045mmからの溶出は,溶出試験の溶出量に寄与しないことが示唆された。また,見かけ上製鋼スラグの溶出には,表面の1~0.1%の成分が関わっていることが示唆された。
著者
林 直行 松藤 康司
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.1-9, 2011 (Released:2011-03-24)
参考文献数
7

循環型社会の構築へ向けて各種リサイクル法が整備されている。しかし,対象製品は製造される多種多様な製品に比べると一部に過ぎないが,各企業は資源の有効な活用の促進に努めている。本研究では,企業の廃棄物削減への取り組みについて,CSR報告書の環境会計情報を基に評価および研究を行った。業種別では,電気・ガス供給業が多くの資源循環コストを使用していた。売上高に占める「資源循環コストの比率 (Resource Recycling Cost Ratio:RRC-Ratio)」に着目して分析を行った。その結果,再生資源卸売業における比率が高く,建設業では比率も高く資源循環コストも多いことがわかった。また,新たに,企業が廃棄物の削減への取り組みを判断する指標として「SWM指数 (SWM-Index)」を提案した。
著者
佐久間 美紀 天野 佳正 町田 基
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.337-343, 2011 (Released:2012-01-17)
参考文献数
27
被引用文献数
2 3

原料のモウソウチクを短冊状の竹チップにし,窒素気流中,500℃,昇温速度25℃/minで管状炉を用いて2時間炭化し竹炭を調製した。次にカリウムを多く含む灰分を残した状態の調製した竹炭を180℃,280℃および380℃で2時間空気酸化した。細孔特性はBET法,αs-plot法およびt-plot法にて,表面官能基はBoehm滴定にて求めた。表面積は未酸化竹炭が250m2/gであったのに対し,180℃の空気酸化で340m2/gに,380℃で680m2/gまで増大した。細孔容積は380℃の空気酸化により未酸化竹炭の0.16mL/gが0.31mL/gまで発達した。また380℃で空気酸化を行った竹炭は,1000℃での脱気処理によっても表面積・細孔容積ともに微増した。竹炭の表面官能基量は空気酸化により増加し,酸化温度の上昇に比例して増加した。380℃の空気酸化により表面官能基 (特にカルボキシル基) は未酸化竹炭の0.02mmol/Lから1.19mmol/Lまで増加した。低温炭化に続く空気酸化により,未酸化竹炭と比較して表面積・細孔容積ともに大きく,表面官能基の豊富な竹活性炭を調製できることを明らかにした。
著者
矢野 順也 平井 康宏 酒井 伸一 出口 晋吾 中村 一夫 堀 寛明
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.38-51, 2011 (Released:2011-03-24)
参考文献数
41
被引用文献数
11 2 2

国内都市部の一例として京都市を対象に,都市ごみ中のバイオマスである厨芥類および紙類の賦存量を推定した。厨芥類の発生量は22.2万ton-wet/年,紙類は22.3万ton-wet/年であり,ほぼ全量が焼却処理されている。これらを対象に利用システムの温室効果ガス (GHG) 削減効果およびエネルギー回収率を評価した結果,「バイオガス化 (高温乾式メタン発酵)+ガスエンジン発電 (GE)」は既存の「直接燃焼+蒸気発電」,「直接燃焼+堆肥化」よりも有利であった。また,バイオガス発電時の廃熱を利用する超高温可溶化技術を組み込んだ可溶化システムでは,現状の乾式方式に対してエネルギー回収率およびGHG削減効果で27%の向上が見込まれた。さらに,バイオガスの燃料電池利用により,GE利用の最大1.7倍まで効果向上が期待された。国内温室効果ガスの削減に向けて都市ごみ中バイオマスの高度なエネルギー変換技術の普及が望まれる。
著者
辻本 浩子 王 寧 肴倉 宏史 大迫 政浩
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.86-93, 2010 (Released:2010-04-15)
参考文献数
10
被引用文献数
2 1

溶融飛灰中の重金属の溶出を抑制させる方法として,液体キレート剤を用いた薬剤処理法が主流であるが,処理飛灰中の金属キレート化合物の長期安定性が懸念されている。本研究では,溶融飛灰のみ埋立処分を行い埋立開始から8年経過した最終処分場を対象に,表層から深さ5mまでの飛灰試料を採取し,金属キレート化合物の存在量の変化および重金属の溶出特性について調査した。その結果,埋立後の試料では金属キレート化合物の存在量の減少はPbで著しく,処理直後の10%以下となった試料も確認され,埋立後に金属キレート化合物が分解した可能性が高いことが示された。しかし,溶出試験でのPbの溶出濃度および処分場浸出水の実測値はすべて0.031mg/L以下と極めて低かった。pH依存性試験を実施したところ,pH14の条件でも鉛の溶出率は全含有量の10%以下であり,キレート化合物から分解したPbは強アルカリ性でも溶出しにくい化学形態であると推測された。