著者
苫米地 英人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告.IM, [情報メディア]
巻号頁・発行日
vol.96, no.29, pp.25-32, 1996-03-15

近未来型エンターテイメントのキーワードの一つは超臨場感であると考えられる。現実世界の体感と同等か場合によってはそれを超えるような臨場感の生成である。これを可能であることを予想する仮説がホメオスタシス仮説である。過去3年間にわたって当該仮説による記憶融合型仮想現実等が研究されているが、本稿では当該仮説の具体的な紹介と、これにより構築される近未来型エンターテインメントシステムについて紹介する。
著者
ソーントン 不破 直子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告.IM, [情報メディア]
巻号頁・発行日
vol.97, no.89, pp.13-18, 1997-09-12

最近とくにかまびすしい英語帝国主義論議は, 日本語のあるべき姿までを議論に巻き込み, 言語にコミュニケーションの手段以外のカを想定するイデオロギー論争となっている. 本稿は, 世界における英語の現状, 英語がこのように2兆人(世界の人口の3分の1)に日常的に使われるようになった歴史的背景と英語自体の特色を指摘し, 英語帝国主義論がいかに狭小な「日本人論」・「日本文化論」を基盤にした, 日本文化自体にとって危険な論議であるかを示す. そこから, そのような論議に対抗するためには, 日本の英語教育はいかにあるべきかという私見を述べる.
著者
宮沢 篤 駒野目 裕久
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告.IM, [情報メディア]
巻号頁・発行日
vol.96, no.29, pp.9-16, 1996-03-15

ピンポンをもとにした、商業的に成功した初めてのアーケードゲーム「ボン」が、米アタリゲームズ社で発明されてから、既に20年以上の歳月か流れている. 当時のゲームは、汎用ロジックICを組み合わせて設計されており、技術的に見ても未発達で、最も単純な対話型コンピュータグラフィックスの一応用分野でしかなかった。それから現在までに、世界中のさまざまな会社から、その時代の最も進んだコンピュータ技術を取り入れた、非常にたくさんのゲームが発表されてきた。今日のアーケードゲームは、幾多の技術革新を経て進化してきた、全く新しいインタラクティブなメディアである、と言えるかもしれない。本稿では、ゲームマシンのハードウェアを中心に、アーケードゲームを構成するいくつかの基本的な技術について解説する。
著者
野々垣 旦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告.IM, [情報メディア]
巻号頁・発行日
vol.94, no.58, pp.33-40, 1994-07-08

オーグメンテーションという概念はダグラス・エンゲルバートが70年代より主張しはじめたコンセプトである.エンゲルバートは先頃訪日し,アラン・ケイなどと「パソコンの将来展望」という演題で講演を行った.その中でもエンゲルバートは年来の主張であるオーグメンテーションという考え方に固執し,情報メディアが社会に入るに従ってますます「人間シスデネとツールシステムの統合化=オーグメンテーション」という概念が重要になると強調した.エンゲルバートはオーグメンテーションを組織のイノベーションの方法と位置づけ,その意味でグループウェアないしCSCW(Computer Supported Cooperative Work)として捉えるべきであると主張している.本論文はオーグメンテーションの概念を人間と情報メディアの関わりという観点から如何に置づけるべきかについて論ずる.
著者
大木 優 佐川 浩彦 崎山 朝子 大平 栄二 藤澤 浩道
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告.IM, [情報メディア]
巻号頁・発行日
vol.94, no.24, pp.41-48, 1994-03-11

手話は,聴覚障害者の日常会話言語の一つであり,主に手の動きによって単語や文を表現する言語である.本報告では,筆者らが開発中である手話自動翻訳システムについて述べる.手話自動翻訳システムは手話と日本語とを自動翻訳するシステムである.(1)手の形や位置データをデータグローブを使って入力し,手の動作を認識し,手話を日本語に翻訳する.(2)入力された日本語を手話に翻訳し,3次元コンピュータグラフィックスを使って手話アニメーションとして表示する.
著者
ましこ ひでのリ
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告.IM, [情報メディア]
巻号頁・発行日
vol.97, no.89, pp.1-6, 1997-09-12

いわゆるワープロ機能における漢字論議をみていて痛感されるのは, コスト感覚を度外視しているのではないかとおもわれる前提-たとえば「第2水準漢字程度の字数は不可欠」といった-である. たとえば固有名詞におびただしくあらわれる特異な表記をともかく伝統どおりに再生産しなければという官公庁等のこだわりは, 時代錯誤的なアナログ・フェティシズムとはいえまいか. 先天性の全盲者のおおくがのりこえてしまっている「日本語表記には漢字は不可欠」というおもいこみ. これらの再検討をふまえない, モジ・セットの議論は, 一歩距離をおいたとき, 悲喜劇としかいいようがない. 梅棹忠夫氏のといた, ワープロ=かなタイプ論は, いまだに検討にあたいする.
著者
庄司 裕子 月尾 嘉男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告.IM, [情報メディア]
巻号頁・発行日
vol.95, no.1, pp.19-26, 1995-01-13

昨今、通信販売やテレビショッピングが盛んである。将来的には、すべての商品をコンピュータネットワークを通じてオンラインで購入できるようになるであろう。この場合、ユーザである一般消費者は端末に向かって何が欲しいかを明確に伝える必要があるが、多種多様な製品の中から一つを選択することは困難なことが少なくない。特に、衣服などのようにファッション性が重視される製品(感性指向製品)の場合はなおさらである。従って、将来のproduct on demandシステムにおいては、消費者の意思決定過程を支援することが望ましい。著者らは、実際の感性指向製品の消費者行動における他者との相互作用を分析し、どのような情報の提示が意思決定に有効であるか調べている。本稿では、現段階での試みと、意思決定モデル作りへの展望について述べる。
著者
森本 英之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告.IM, [情報メディア]
巻号頁・発行日
vol.96, no.43, pp.3-8, 1996-05-17

横須賀市には縄文時代最古の遺跡がある。縄文文化の社会は、民主的で、自由で、平等で、好奇心に満ちていた。のちの市民社会を特徴づける情報の共有による民主、自由、平等の社会に似ていた。また、「縄文」は土器の模様に由来するが、その土器製作者は女性だった。横須賀市域を含む三浦半島は、江戸に近い漁村として財布と文化は女性が握っていた。ニューメディアの発展は、女性が使うかどうかにかかっている。横須賀の女性はメディアへの参加が活発だ。メディア・ミックスの展開が期待される。
著者
水野 貴弘 小俣 昌樹 今宮 淳美
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告.IM, [情報メディア]
巻号頁・発行日
vol.99, no.69, pp.79-83, 1999-08-20

本論文では,仮想空間内における両手操作でのさいころ作成実験と,その実験結果について述べる.さいころ作成実験は,片手でスペースポールを持ったキューブの回転と,もう片方の手にマウスを与え,さいころの目を入れるとした課題である.この課題状況で,3種類の異なる大きさのキューブと,各手が持つディバイスを交換させた.その結果,操作時間や操作中の被験者行動に違いがあった.それらを分析すると,ターゲットの大きさによって操作のしやすさが逆転することを得た.効率的な作業のための手の割り当ては,何をするかのタスクに関係するという先行研究での知見に,新たにタスク難度という尺度を必要とすることを本論文で導出した
著者
中西 泰人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告.IM, [情報メディア]
巻号頁・発行日
vol.97, no.62, pp.1-6, 1997-07-11

ICCオープニング企画展「"海市"・もうひとつのユートピア」の一環として、都市活動のシミュレーションを行った。遺伝的プログラミング(Genehc Programming)を用いたマルチエージェントシステムを、Java言語を用いてWWW上のサーバプログラムとして作成し、クライアントとしてJavaアプレットを作成した。淘汰が行われ新しい個体が作成される際の初期化データを、クライアントから送ることが可能であり、展覧会への参加方法を提供した。
著者
香取 啓志 上田 真知子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告.IM, [情報メディア]
巻号頁・発行日
vol.94, no.2, pp.31-38, 1994-01-14

インターラクティブな環境を実現するために,色々な試みが始まっている.今回の実験は,マルチメディアを利用出来るパーソナルコンピュータと,ディジタルSNGを組み合わせた,インターラクティブTVの実験を試みた.この結果,これまでのTV電話,衛星中継などとは一味違う快適な環境が実現出来た.この環境を実現したシステム,およびこれからの実用性について報告する.
著者
池田 香代子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告.IM, [情報メディア]
巻号頁・発行日
vol.95, no.62, pp.31-37, 1995-07-14

これまでうわさは、おもに社会学の分野で研究されてきた。しかし最近、とくに80年代に入ってからは、口承文芸としても、都市伝説、現代伝説などと呼ばれて、世界の先進工業国で蒐集、研究が進められてきた。メディアが発達しても、情報伝達の手段としてのうわさは、役割を終えていない。それどころか、すぐれた情意伝達の手段としても、うわさはマスメディア状況と相乗的に、また補完的に作られ、流布している。うわさからは時代の気分が読み取れる。それは漠然とした不安やその解消、満たされない願望やその充足などである。ここではうわさの文芸学的な研究分野である、現代伝説論を紹介する。
著者
坂本 忠明 望月 孝哲 今宮 淳美
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告.IM, [情報メディア]
巻号頁・発行日
vol.99, no.69, pp.13-18, 1999-08-20

メカニカルシャッタを使った瞬目実験で得た応答時間の分析をパンディモニアムモデルで検討する.瞬目実験は、実物図形や幾何図形を刺激とした有無判断である。課題の提示には、言葉を使った集約表現(たとえば苺クリームショートケーキ)と,合成表現(たとえば白い三角形の中に赤い丸形)、それに言葉を使わない図形同士の照合である,その結果として,(1)簡単な図形同士での照合課題の場合は1回の認知処理系で有無判断ができること,(2)具体的イメージをひとつの言葉で表現すると,認知処理系の回数が少なくなること,さらに(3)異なった認知地図が検討できたことなどを得た.
著者
伊藤 充男 杉村 貴士 島 和之 松本 健一 鳥居 宏次
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告.IM, [情報メディア]
巻号頁・発行日
vol.98, no.9, pp.13-18, 1998-01-29

WWW ぺージの記述が HTML 規格に準拠していない場合, その解釈は WWW ブラウザに依存して異なる. このため, その WWW ぺージの作者が使用しているブラウザと異なるブラウザを使用した場合, 作者が意図している表示と異なることが多い. WWW ぺージを作成するときは, HTML 規格に準拠して, 特定のブラウザに依存しないように作成することが重要である. しかし, 現実にほとんどの WWW ぺージはブラウザに依存している. 本研究では, HTML 規格に準拠した WWW ぺージの記述を支援する HTML エディタを作成した.このエディタを用いることにより, WWWぺージの作者が HTML 規格を習得しなくても, ブラウザに依存しない WWW ぺージを記述することができる.
著者
中小路 久美代 山本 恭裕 大平 雅雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告.IM, [情報メディア]
巻号頁・発行日
vol.99, no.69, pp.31-36, 1999-08-20

本論では,Collective Creativity-他者が生成/外化した「表現」を利用することによって喚起される個人の創造性-を支援するための二つのシステムを紹介し,その理論的枠組みについて論じる.IAM-eMMaとEVIDIIはともに,他のデザイナが入力した知識(ルール)や関連づけを利用することによって,デザイナの創造性を喚起するようなグラフィックイメージ(画像)を検索するシステムである.前者は,画像の色とタスク要件を関連づけるルールを用い,後者は,人と画像,感性語という三つ組を可視化するインタフェースを提供する.これら二つのシステムのユーザ観察を通して,(1)システムが提供する知識や情報に十分なコンテキストが与えられていること,(2)その知識や情報がデザイナにとって信用できるものであること,そして,(3)人間とシステムとの間でタスクのバランスがよくとれ,デザイナがタスクに対して「appropriation(専有性)」を感じられるものであること,という3点が,Collective Creativityを支援するシステムにとって重要な要件であることがわかった.
著者
細馬 宏通
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告.IM, [情報メディア]
巻号頁・発行日
vol.96, no.119, pp.47-48, 1996-11-28

新しい技術や倫理は、ひとたび使われ始めると、技術や倫理を作った者の思惑を越えて、さまざまな使用法が試みられるようになる。技術や倫理をユーザーが一方的に享受するのではなく、ユーザーが技術や倫理の可能性を発見していくこと。それが現在のネットワークで起こっていることである。電子ネットワークの技術やそこでの対人関係のあり方を論じるとき、(一人のユーザーでもある)研究者はまず、実際にその場で行われていることから学び、考える必要がある。インターネットにおける日記ブーム、自動テクスト生成など、発表者の関ったことも含めて、いくつかの事例を紹介し、技術や倫理が何を可能にしていくか、そこでどのような新たな感覚が生まれ、どのような新たな倫理を人は欲しようとするのか、討議していきたい。