著者
中西 泰人
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.759-766, 2010-07-15

「アーキテクチャ」という言葉は,建築やコンピュータのハード・ソフトの組織的な構造だけでなく,人の振舞いや相互行為のパターンにかかわる条件や環境の設計まで指すようになりつつある.インターネットには位置情報や写真といった実世界の情報が多く共有されそうした情報の即時性も高まるにつれ,建築・情報環境・社会秩序の「複数のアーキテクチャ」が重なりあう度合いはより一層高まるだろう.本稿ではそうしたアーキテクチャを実空間と情報空間からなる複合的なシステムと捉え,複合システムとして設計された都市計画や情報システムの事例を紹介し,そのようなシステムにおけるインタラクションデザインの課題および取り組みについて述べる.
著者
高橋 一成 辻 貴孝 中西 泰人 箱崎 勝也
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.108, pp.1-8, 2001-11-15

近年、携帯電話や電子メールなどの様々なメッセージングツールの普及に伴い、いつでもどこでもコミュニケーションを行えるようになり、場所や時間の制約がなくなった。その一方で、通信のコンテクストの複雑度は増加するばかりであり、スムーズなコミュニケーションが行えない場合も多くなりつつある。そこで我々は、ユーザの位置情報とスケジュール情報を用いて、WWWブラウザ機能付きの携帯電話に受信者の通信のコンテクストに応じた通信環境の優先順位を動的に提示し、それをユーザどうしで共有するシステムであるiCAMSを構築した。本稿では、サークル活動を行う10名の学生のグループおよび雑誌編集を行うSOHOワーカ10名のグループを対象とした運用実験について報告する。In recent years, with the spread of various messaging tools, such as a cellular phone and an E-mail, we became able to communicate with others anytime and anywhere and have gotten free from the restriction of time and the place. However, the degree of complexity of a communicative context has increased so that we can not have communicated with others smoothly. So, we constructed the system which presented the most suitable communication environment that users shared corresponding to the context of the communication of the receiving person dynamically by using the position information and the schedule information. In this paper, we describe the experiment for the group of ten SOHO workers who perform magazine edit and the group of ten students who perform club activities.
著者
上田 紀之 中西 泰人 真鍋 陸太郎 本江 正茂 松川 昌平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.39, pp.71-76, 2003-05-02
被引用文献数
6

コミュニティ内での情報提供や支援が円滑に行うことができるという点から,WebGISに注目し,活用する情報コミュニティが出現している.しかし,現在のWebGISは必ずしも使い勝手の良いシステムとはいえない.本研究では,「時空間ポエマー」と「カキコまっぷ」の両システムを統合するという形でGPSカメラケータイを用いたWebGISを構築し,現在のWebGISが抱えている様々な問題の解決を試みた.
著者
辻 貴孝 北岡 紀子 中西 泰人 大山 実 箱崎 勝也
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.77, pp.19-24, 1999-09-24
被引用文献数
2

ここ数年で、携帯電話やPDAの普及によりモバイル環境が一般的になり、場所や時間の制約がなくなった。その一方で、コミュニケーションのコンテクストの複雑度は増すばかりであり、円滑なコミュニケーションが困難となってきた。そこで、我々はスケジュール情報とPHSによる位置検索情報を利用し、受信者のコンテクストに応じて適切にメッセージを変換して送り届ける、動的メッセージングシステムを提案する。 本稿では、シチュエーションに応じた動的メゾセージ伝達システム「Context Aware Messaging Service」の概要と実装、および実証実験について述べる。In recent years, cellular phone and PDA(Personal Digital(Data) Assistants) have come into wide use and we have gotten free from the restriction of time and the place. On the other hand, the context of communication has been getting more and more complicated. Thus we construct a situation based dynamic messaging system, using receiver's schedule and location of PHS, which converts a message to suitable media according to receiver's situation. In this paper, we describe an overview of a situation based dynamic messaging system called "Context Aware Messaging Service", an implementation and a practical experiment.
著者
中西 泰人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告.IM, [情報メディア]
巻号頁・発行日
vol.97, no.62, pp.1-6, 1997-07-11

ICCオープニング企画展「"海市"・もうひとつのユートピア」の一環として、都市活動のシミュレーションを行った。遺伝的プログラミング(Genehc Programming)を用いたマルチエージェントシステムを、Java言語を用いてWWW上のサーバプログラムとして作成し、クライアントとしてJavaアプレットを作成した。淘汰が行われ新しい個体が作成される際の初期化データを、クライアントから送ることが可能であり、展覧会への参加方法を提供した。
著者
中西 泰人 辻 貴孝 大山 実 箱崎 勝也
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.1847-1857, 2001-07-15
被引用文献数
9

本稿では,位置情報とスケジュール情報を用いたコミュニケーションシステムであるContext Aware Messaging Service(以下CAMS)について述べる.CAMSは,PHSにより取得される位置情報とユーザの入力したスケジュール情報を用いてユーザの通信コンテクストを推定して,受信側の状況に最も適すると思われる電話番号やメールアドレスを動的に選択し,CTIサーバおよびメールサーバを用いてメッセージを動的に配送する.またシステムによる動的なメッセージの配送だけでなく,ユーザが位置情報およびスケジュール情報,転送状況をWWW上で共有する仕組みをCAMSが提供し,メッセージを送るタイミングやメディアを選択するための情報を発信者側に提示する.CAMSの設計および実装を行い,地理的に分散しつつさらにモバイル環境においてもコラボレーションを行うSOHO(Small Office Home Office)ワーカのグループを対象とした,2カ月半にわたる運用実験を東京都内にて行った.実験での通信ログの分析およびユーザへのヒアリングの結果から,CAMSによるメッセージの動的配送と通信コンテクストの共有が,コミュニケーション機会の損失を軽減する効果を確認し,グループへの帰属意識を向上させるという知見を得た.This paper describes a context-based dynamic messaging system, called ``Context Aware Messaging Service''. It uses schedule information and location information of the message addressee. According to the addressee's communication context (schedule, location, and available media), the system selects the most suitable telephone umber or e-mail address, and redirects each incoming message dynamically. It also writes the schedule and location information of users into an HTML file which users can share on the WWW.We had an experiment for two months in Tokyo and the users are a group of SOHO workers. We evaluated the system with their opinions and with the analysis of communication logs. Both dynamic message redirect and sharing communication contexts produced smooth communication. The users preferred sharing communication contexts and it improved feeling of a team.
著者
三浦 稔隆 中西 泰人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.353, pp.5-10, 2007-11-19
被引用文献数
4

現在,実空間の設計では社内コミュニケーション活性化を目的とした情報システムの導入など,実空間の設計と共に情報システムの開発が行われるようになってきた.また,ユビキタスコンピューティング環境は,多様なメディアとスケールによって構成される実空間で動作する情報システムであるが,現在そのような多様なメディアやスケールを用いて情報システムと実空間を統合的に設計/開発する手法は確立されておらず,それぞれ異なった手法で構築されている.そこで本研究では,情報空間と実空間の統合的な設計/開発を実現するソフトウェアCity Compilerと,City Compilerを用いた設計/開発手法であるCity Debuggingを提案し,その構想と設計について述べる.