著者
高鳥 浩介 高橋 恵子 鈴木 敏正 宇田川 俊一 倉田 浩
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.307-312_1, 1975-10-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
15

市販カビ醗酵型, 自然醗酵型サラミソーセージ31試料について菌類分布を調査し, 主要菌としてカビ醗酵型より P. cyclopium, P. viridicatum など Penicillum を,自然醗酵型より Cephalosporium sp., Mucor mucedo, M. racemosus, Aspergillus versicolor, P. cyclopium などを分離した. カビ醗酵型の Penicillum は主として加工上のスターターと考えられるが, 分離株の penicillic acid 産生能は認められず, カビ醗酵型ソーセージなどは食品衛生上一応支障ないものと考えられる.
著者
宇田川 俊一 戸矢崎 紀紘
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 = Japanese journal of food microbiology (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.163-169, 2000-09-30
被引用文献数
1 1

オーストリアから輸入されたチョコレートを汚染していた白色菌糸状のカビは, 分離した菌株の生育性状・形態観察の結果から, わが国では未報告の<I>Chrysosporium farinicola</I>と同定された.<I>C.farinicola</I>の有性時代 (テレオモルフ) は子のう菌類ハチスカビ目の<I>Bettsia</I>属とされている.しかし, ハチミツなどの天然基質を含む培地など5種類の培地を使用して培養したが, 子のう胞子の形成は認められなかった.<BR>本菌は麦芽エキス・酵母エキス・50%グルコース寒天培地 (MY50G, A<SUB>w</SUB>0.897) 上でよく生育し, 多量の分生子を形成, 白色, 粉状の集落となった.本菌の生育至適温度は30℃, 最低生育温度は15℃, 最高生育温度は37℃ 付近であった.また, pH3~9の範囲で生育した.<BR>本菌の耐熱性試験では, 65℃, 1分間の加熱処理でも生残率80~100%を示し, 死滅温度は65℃, 5分間であったため, 比較のために用いた子のう胞子を形成する好乾性糸状菌 (<I>Eurotium spp., Monascus lunisporas</I>) ほどの耐熱性はなかった.しかし, 薄壁の分生子を形成する<I>Aspergillus spp., Wallemia sebi</I>のような好乾性の不完全菌と比較すると, 厚壁の分生子を形成するために熱抵抗性が強かった.したがって, 本菌は水分活性の低い加熱食品の場合でもその熱抵抗性が事故原因となる可能性があり, その制御には70℃ 以上での十分な加熱殺菌が必要であると結論された.<BR>本菌の生育性状, チョコレートを用いた再現性試験の結果とこれまでの外国からの報告を重ね合わせて見ると, 甘味菓子類, 蜂蜜, ドライフルーツ, 製菓原料など糖質の食品における<I>Chrysosporium</I>のさらなる汚染事故発生の機会も十分あると思われる.
著者
堀江 義一 山崎 幹夫 宮木 高明 宇田川 俊一
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.516-519, 1971-12-05 (Released:2010-03-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1

Fungal content of 24 samples of various types of spices of which a half was domestic and the others were collected from the markets in U.S.A., was surveyed from the hygienic point of view on foodstuffs. From 15 mold-positive samples, 12 were estimated under heavy contamination. Twenty eight fungi were isolated from these spices and were identified. Except a few Fungi Imperfecti and Mucorales, the majority of the species was found to be belonging to the genera Aspergillus and Penicillium. In the genus Aspergillus, the members of A. glaucus, A. flavus, A. niger, A. terreus and A. versicolor groups were the predominant species on the Japanese samples. In Penicillium, the series commonly found was P. chrysogenum only appearing in paprika of Japanese sample. The important contaminants in U.S.A. samples were identified as representatives of the A. glaucus group. No aflatoxins were detected in CHCl3 extracts of the rice culture of A. flavus which were found in Japanese sage and pepper. Since some spices such as garlic powder are known to have a bacteriostatic or bacteriocidal property, it may be suggested from the result obtained that some spices are not subject to spoilage.
著者
山崎 幹夫 堀江 義一 宇田川 俊一 越後 多嘉志 君 政子
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.1-6_1, 1975-02-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
15
被引用文献数
3 2

国内および国外のはちみつ, 合計23試料について着生菌類の分離を試みたところ, はちみつ病原菌として知られる Ascosphaera apis のほか Chaetomium, Eurotium, Aspergillus, Cladosporium, Penicillium 属などの菌が分離された. 酵母に比べると一般に菌出現頻度は低く, 輸入試料に比べると国内産試料の出現頻度が低かった. グルコース, ショ糖の各濃度添加培地における分離菌の生育は可能であり, はちみつ自体における生育も可能であった. したがって, はちみつが発黴しにくい原因は単なる糖高濃度, 低pH性にあるだけでなく, 酵母による優先型環境のために菌の発育を妨げられるのであろうと推定される.

1 0 0 0 菌類図鑑

著者
宇田川俊一 [ほか] 著
出版者
講談社
巻号頁・発行日
1978
著者
矢口 貴志 田中 玲子 西村 和子 宇田川 俊一
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.51, 2005

2004 年,de Hoog 等が ITS 領域の系統解析で <I>Fonsecaea</I> 属を <I>F. pedrosoi</I> と新規提唱の <I>F. monophora</I> に分け,伝統的な分類における <I>F. pedrosoi</I> と <I>F. compacta</I> とは一致しないと報告した.そこで,当センター保存の臨床および食品由来の <I>Fonsecaea</I> 属に含まれる菌株について ITS 領域の塩基配列を決定し,既存のデータと合わせ系統解析を実施した.その結果,2 つの主要なグループに分かれ,日本産の分離菌は <I>F. monophora</I> と同じグループに類別された.このグループは,<I>F. pedrosoi</I>,<I>F. compacta</I> の代表株とは系統的にはっきりした違いを示し,de Hoog 等の" B タイプ",Tanabe 等の ITS-RFLP 解析による"タイプ 2 "にほぼ一致した.さらにこのグループは 2 つのサブグループに分かれ,その 1 つに日本産の菌株がすべて含まれ,もう一方のグループに南米由来の株が含まれていた.この結果は,日本産の <I>F. pedrosoi</I> が de Hoog らが示した <I>F. monophora</I> であることを示唆している.しかし,ITS 領域のみの結果から断定することは控えて,さらに複数の遺伝子解析の実施結果から判断したいと考える.
著者
宇田川 俊一
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.151-157, 1997-03-28 (Released:2011-02-25)
参考文献数
23
被引用文献数
2 2