著者
岩崎 利泰 冨田 雅典
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.668-673, 2009 (Released:2019-06-17)
参考文献数
6

放射線防護において,放射線が人に与える影響を表すためのモデルとして,しきい値なし直線(LNT)モデルがある。これは基準を安全側に考えるための管理目標値を示すためのものであるが,時として放射線はどんなに微量であっても量に応じた影響があるとの誤解の元となっている。電力中央研究所(電中研)では,低線量や低線量率のときに実際にどのような影響があるかを明らかにするため,生物学的な機構面から取り組んでいる。その概要について紹介する。
著者
鈴木 哲 田邉 賢一
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.79-83, 2022 (Released:2022-02-10)
参考文献数
6

東芝エネルギーシステムズと富士電機が共同開発している小型モジュール高温ガス炉は,固有安全性を活用して原子炉格納施設を簡素化すると共に,プラントを4モジュール構成とすることで大型軽水炉並みの電気出力を得るコンセプトである。また,早期実用化のため成熟技術である蒸気タービンを採用し,蓄熱設備との接続により電力需給変動を吸収する機動的運用を検討している。本稿では本高温ガス炉のプラント概要と,実用化に向けた取り組みについて紹介する。
著者
堀田 亮年 中田 耕太郎 佐田 幸一
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.727-731, 2010 (Released:2019-09-06)
参考文献数
9

シミュレーション技術が幅広い産業分野に普及するとともに,その信頼性をいかに確保するかということへの関心が高まっている。ISO9001の導入以来,検証(Verification)と妥当性確認(Validation)が品質管理のキーワードとなったが,シミュレーションのVerification & Validation(V&V)が今脚光を浴びつつある。原子力においては古くから存在し,かつ新しい側面も持つこのテーマについて計算科学技術部会における取り組みを中心に紹介する。
著者
佐藤 一憲
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.19-23, 2014 (Released:2019-10-31)
参考文献数
3

米国およびカナダにおいては,福島第一原発事故以降も原子力を温室効果ガスのほとんど出ないクリーンエネルギーと位置付け,エネルギー・ポートフォリオの重要な要素として引き続き利用してゆく方針である。一方,数年前には予測されていなかったシェールガス革命と呼ばれる状況は原子力発電所の新規建設の環境を一変させている。このような環境下での両国での原子力開発や発電等の動向について解説する。
著者
青山 道夫 山澤 弘実 永井 晴康
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.46-50, 2018 (Released:2020-04-02)
参考文献数
8
被引用文献数
1

福島第一原発事故により大気および海洋に放出された放射性物質の観測された核種,推定された放出量,放出の時間経過について,現在明らかになっていることを概観した。また,放出された核種について,その大気中,陸域および北太平洋での挙動についても纏めた。さらに,今後の研究課題として,良くわかっていないことを,1から3号炉の放出の配分と核種組成および海洋内部での中央モード水の挙動の観点で整理した。
著者
斯波 正誼
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.794-798, 2012 (Released:2019-10-31)
参考文献数
11

本稿は,福島第一原子力発電所の事故のような原子炉事故を防止するため,内外の原子力発電所で実施された津波に対する対策や全交流電源喪失などに関する多数の安全対策を紹介し,これらの対策の原子炉事故に対する実効性について論じている。そして内外の軽水炉の安全対策の脆弱な部分に関する情報に注意し,安全対策を強化することの重要性を強調する。
著者
石田 健二 岩井 敏 原口 和之 賞雅 朝子 當麻 秀樹
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.168-173, 2021 (Released:2021-02-10)
参考文献数
7

国際放射線防護委員会(ICRP)の幹細胞生物学に関するドラフト報告書「Stem Cell Biology with Respect to Carcinogenesis Aspects of Radiological Protection」は,2015年12月にICRP Publication 131(以降「Publ.131」と記載)「放射線防護のための発がんの幹細胞生物学」として発行された。同報告書には,放射線と幹細胞の動態に関する知見が示されており,発がんリスクに対する直線しきい値なし(LNT)モデルに基づく「現行の放射線防護体系」の見直しにつながる可能性がある。
著者
岩井 敏 熊澤 蕃 石田 健二 高木 俊治 猪狩 貴史 早川 信博
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.395-398, 2021 (Released:2021-05-10)
参考文献数
4

内部被ばくが発生した可能性がある場合,バイオアッセイ(尿検査,糞検査等)やホールボディカウンター(WBC:Whole Body Counter),肺モニターによる測定値と動態モデルを用いて,摂取した放射性核種の量が評価される。本稿では測定値と放射性核種の動態モデルを用いた摂取量評価法として有用な統計モデリング手法の概念である最尤推定法とベイズ推定法について解説する。
著者
岩井 敏 熊澤 蕃 石田 健二 高木 俊治 猪狩 貴史 早川 信博
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.391-394, 2021 (Released:2021-05-10)
参考文献数
8

放射性核種の体内摂取が生じた場合,バイオアッセイ(bioassay:尿検査,糞検査等)やホールボディカウンター(Whole Body Counter:WBC),肺モニターによる測定値から摂取量を評価するために体内動態モデルは重要な役割を果たす。ICRP(International Commission on Radiological Protection:国際放射線防護委員会)は体内動態モデルを開発し,数十年にわたりその改良を続けてきた。本稿ではICRPの体内動態モデルについて解説する。