著者
熊本 雄一郎 青山 道夫 濱島 靖典 永井 尚生 山形 武靖 村田 昌彦
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.137-148, 2017-03-05 (Released:2017-04-07)
参考文献数
56
被引用文献数
1 1

2011年3月の福島第一原子力発電所事故によって放出された放射性セシウムが,2014年末までの約4年間にどのように北太平洋に広がっていったのかについて,著者らが得た最新の観測結果も含めてレビューした.日本列島南方を東向する黒潮・黒潮続流に由来する黒潮フロントの北側,すなわち混合海域及び亜寒帯域に大気沈着または直接流出した放射性セシウムは,東向きに流れる北太平洋海流に沿って深度約200 m程度までの海洋表層中を,日本近海から東部北太平洋のアラスカ湾まで運ばれた.一方,黒潮フロントのすぐ南側の亜熱帯域北部に大気沈着した放射性セシウムは,冬季に同海域で形成される亜熱帯モード水の南への移流に伴って深度約200~400 mの亜表層を速やかに南方に運ばれた.これらの観測結果から,2014年末までに福島第一原子力発電所事故由来の放射性セシウムは西部北太平洋のほぼ全域に広がったことが明らかになった.
著者
青山 道夫 津旨 大輔
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2011年度日本地球化学会第58回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.63, 2011 (Released:2011-09-01)

福島原子力発電所事故等から環境に放出された人工放射性核種は希ガスを除き最終的には地球表面である陸面および海面に降下する。その後陸域および海域でそれぞれに固有の輸送過程に従い、再分布していく。本講演では、特に海洋での長期挙動について講演する。
著者
熊本 雄一郎 青山 道夫 濱島 靖典 岡 英太郎 村田 昌彦
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

2011年3月11日に発生した巨大地震とそれに引き続く大津波は、福島第一原子力発電所(FNPP1)の核燃料露出と炉心損傷を引き起こした。その結果、多くの放射性セシウム(134Csと137Cs)がFNPP1より漏えいし北太平洋に放出された。これまでの観測研究によって、日本近海の北太平洋に大気沈着および直接流出した放射性セシウムは北太平洋海流に沿って中緯度表層を東に移行しつつあることが明らかにされた(Kumamoto et al., 2016)。また、黒潮・黒潮続流の南側に大気沈着した放射性セシウムは亜熱帯モード水の亜表層への沈み込みによって、2014年末までに西部亜熱帯域のほぼ南端に相当する北緯15度まで南下したことが確認されている(Kumamoto et al., 2017)。一方、2011年から2015年の約4年余の間、北海道西部、新潟、石川、福井、島根、佐賀、鹿児島、愛媛、静岡県の各原子力発電所の沿岸域では、海水中放射性セシウムの継続な濃度上昇が確認されている(規制庁, 2016)。また、Aoyama et al.(2017)も2015/2016年に同沿岸海域における表面水中濃度の上昇を報告している。放射性セシウム濃度の上昇が観測された海域は黒潮系水の影響が比較的大きい沿岸海域であり、これらの結果はFNPP1事故で西部亜熱帯域全体に拡がった放射性セシウムが、時計回りの亜熱帯循環流によって日本沿岸に回帰していることを暗示している。しかしながら、西部亜熱帯循環域におけるFNPP1事故起源放射性セシウムの時空間変動は明らかではない。我々は2015年および2016年に黒潮・黒潮続流南側の西部亜熱帯域において、表面から深度約800mまでの海水中溶存放射性セシウムの濃度を測定したのでその結果を報告する。海水試料は、新青丸KS15-14(2015年10月)、白鳳丸KH16-03(2016年6月)、および「かいめい」KM16-08(2016年9月)の各観測航海において、バケツ及びニスキン採水器を用いて各10~20リットルを採取された。陸上の実験室(海洋研究開発機構むつ研究所)において硝酸酸性にした後、海水中の放射性セシウムをリンモリブデン酸アンモニウム共沈法によって濃縮し、ゲルマニウム半導体検出器を用いて放射性セシウムの濃度を測定した。濃縮前処理と測定を通じて得られた分析の不確かさは、約8%であった。北緯30-32度/東経144-147度で得られた134Cs濃度(FNPP1事故時に放射壊変補正済)の鉛直分布を、同海域において2014年に得られたそれ(Kumamoto et al., 2017)と比較した。その結果、深度100m程度までの表面混合層においては、2014年には約1 Bq/m3であった134Cs濃度が、2015/2016年には1.5-2.5 Bq/m3に増加したことが分かった。一方、深度300-400mの亜表層極大層におけるその濃度は、2014年から2016年の3回の観測を通じてほとんど変化していなかった(約3-4 Bq/m3)。この134Cs濃度の亜表層極大層は、亜熱帯モード水の密度層とよく一致していた。一方、同じく黒潮続流南側の北緯34度/東経147-150度における放射壊変補正済134Cs濃度は、2012年から2014年の約3年間に、表面混合層では検出下限値以下(約0.1 Bq/m3)から約1 Bq/m3に増加し、亜表層の300-400mでは約16 Bq/m3から約3-4 Bq/m3に低下したことが報告されている(Kumamoto et al., 2017)。これらの観測結果は、FNPP1事故から5年以上が経過した2016年までに、亜熱帯モード水によって南方に輸送されたFNPP1事故起源の放射性セシウムが同モード水の時計回りの循環によって、日本南方の西部亜熱帯域北部に回帰してきたことを強く示唆している。その他の起源(例えば陸水)の影響が小さいと仮定できるならば、表面混合層における2012年から2016年の間の134Cs濃度上昇(0.1 Bq/m3以下から1.5-2.5 Bq/m3)は、亜表層極大の高濃度水がentrainmentによって表面水に取り込まれたためと推測される。講演では、日本沿岸域の2015/2016年の観測結果速報も報告する予定である。この本研究はJSPS科研費24110004の助成を受けた。
著者
青山 道夫
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.134, no.2, pp.149-154, 2014 (Released:2014-02-01)
参考文献数
17
被引用文献数
1

Before the Fukushima Nuclear Power Plant 1 (FNPP1) accident, environmental 137Cs was already detectable originating from nuclear weapon tests conducted in the late 1950s and early 1960s. In the western North Pacific Ocean, 90Sr and 137Cs activities in surface water were 10-100 Bqm−3 in the late 1950s and early 1960s, then this parameter decreased gradually; 137Cs activity in surface water subsequently decreased to around a few Bq m−3. After the FNPP1 accident, 137Cs and 134Cs were released into the North Pacific Ocean by two pathways, direct discharge from the Fukushima NPP1 accident site and atmospheric deposition off Honshu Islands of Japan, east and northeast of the site. High-density observations of 137Cs and 134Cs in the surface water were carried out by 17 VOS cruises and several research vessel cruises between April 2011 and March 2012. The main body of radioactive surface plume of which activity exceeded 10 Bqm−3 traveled along 40°N, and reached the International Date Line in March 2012, 1 year after the accident. The radioactive plume was confined along 40°N when the plume reached the International Date Line. Zonal speed of the radioactive plume was estimated to be about 8 cm s−1, which is consistent with zonal speeds derived by Argo floats at the region.
著者
猪股 弥生 青山 道夫 濱島 靖典 山田 正俊
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

The 137Cs derived from the Fukushima Nuclear Power Plant Accident (FNPP1-137Cs) rapidly transported to the Sea of Japan several years after its release to the environment in March 2011. The inflow of FNPP1-137Cs had started in 2012 and reached to the maximum in 2015/2016, and has been still continued in the coastal site of Sea of Japan in the year of 2016. In the south of the Japanese islands, the FNPP1-137Cs activity concentrations showed subsurface peak in the seawater of which density correspond to the Subtropical Mode Water (STMW). These suggests that FNPP1-137Cs injected into the western North Pacific Ocean at south of Kuroshio were subducted into the ocean interior just after the accident, then transported southward/southwestward. A part of FNPP1-137Cs in STMW reaches the western boundary at lower latitudes, and obducted from under the Kuroshio, and is transported to the west of Kyushu by Tsushima Warm Current bifurcated from the Kuroshio. This pathway might be new finding of transport process from the western North Pacific Ocean to the SOJ. Almost same value of the 134Cs/137Cs activity ratio in the coastal region of the Japanese islands (ECS, SOJ, and south of the Japanese islands in the western north Pacific Ocean) also support this circulation route. The integrated amount of FNPP1- 137Cs entered in the SOJ until 2016 was estimated to be 0.20±0.023 PBq, which corresponds to 4.8 % of the total amount of FNPP1-137Cs in the STMW. The integrated amount of FNPP1-137Cs back to the North Pacific Ocean through the Tsugaru Straight in the surface layer was 0.081±0.005 Bq, which corresponds to 1.9 % of the total amount of FNPP1-137Cs in the STMW.
著者
熊本 雄一郎 青山 道夫 濱島 靖典 岡 英太郎 村田 昌彦
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

2011年3月11日に発生した巨大地震とそれに引き続く大津波は、福島第一原子力発電所(FNPP1)の核燃料露出と炉心損傷を引き起こした。その結果、多くの放射性セシウム(134Csと137Cs)がFNPP1より漏えいし北太平洋に放出された。これまでの観測研究によって、日本近海の北太平洋に大気沈着および直接流出した放射性セシウムは北太平洋海流に沿って中緯度表層を東に移行しつつあることが明らかにされた(Kumamoto et al., 2016)。また、黒潮・黒潮続流の南側に大気沈着した放射性セシウムは亜熱帯モード水の亜表層への沈み込みによって、2014年末までに西部亜熱帯域のほぼ南端に相当する北緯15度まで南下したことが確認されている(Kumamoto et al., 2017)。一方、2011年から2015年の約4年余の間、北海道西部、新潟、石川、福井、島根、佐賀、鹿児島、愛媛、静岡県の各原子力発電所の沿岸域では、海水中放射性セシウムの継続な濃度上昇が確認されている(規制庁, 2016)。また、Aoyama et al.(2017)も2015/2016年に同沿岸海域における表面水中濃度の上昇を報告している。放射性セシウム濃度の上昇が観測された海域は黒潮系水の影響が比較的大きい沿岸海域であり、これらの結果はFNPP1事故で西部亜熱帯域全体に拡がった放射性セシウムが、時計回りの亜熱帯循環流によって日本沿岸に回帰していることを暗示している。しかしながら、西部亜熱帯循環域におけるFNPP1事故起源放射性セシウムの時空間変動は明らかではない。我々は2015年および2016年に黒潮・黒潮続流南側の西部亜熱帯域において、表面から深度約800mまでの海水中溶存放射性セシウムの濃度を測定したのでその結果を報告する。海水試料は、新青丸KS15-14(2015年10月)、白鳳丸KH16-03(2016年6月)、および「かいめい」KM16-08(2016年9月)の各観測航海において、バケツ及びニスキン採水器を用いて各10~20リットルを採取された。陸上の実験室(海洋研究開発機構むつ研究所)において硝酸酸性にした後、海水中の放射性セシウムをリンモリブデン酸アンモニウム共沈法によって濃縮し、ゲルマニウム半導体検出器を用いて放射性セシウムの濃度を測定した。濃縮前処理と測定を通じて得られた分析の不確かさは、約8%であった。北緯30-32度/東経144-147度で得られた134Cs濃度(FNPP1事故時に放射壊変補正済)の鉛直分布を、同海域において2014年に得られたそれ(Kumamoto et al., 2017)と比較した。その結果、深度100m程度までの表面混合層においては、2014年には約1 Bq/m3であった134Cs濃度が、2015/2016年には1.5-2.5 Bq/m3に増加したことが分かった。一方、深度300-400mの亜表層極大層におけるその濃度は、2014年から2016年の3回の観測を通じてほとんど変化していなかった(約3-4 Bq/m3)。この134Cs濃度の亜表層極大層は、亜熱帯モード水の密度層とよく一致していた。一方、同じく黒潮続流南側の北緯34度/東経147-150度における放射壊変補正済134Cs濃度は、2012年から2014年の約3年間に、表面混合層では検出下限値以下(約0.1 Bq/m3)から約1 Bq/m3に増加し、亜表層の300-400mでは約16 Bq/m3から約3-4 Bq/m3に低下したことが報告されている(Kumamoto et al., 2017)。これらの観測結果は、FNPP1事故から5年以上が経過した2016年までに、亜熱帯モード水によって南方に輸送されたFNPP1事故起源の放射性セシウムが同モード水の時計回りの循環によって、日本南方の西部亜熱帯域北部に回帰してきたことを強く示唆している。その他の起源(例えば陸水)の影響が小さいと仮定できるならば、表面混合層における2012年から2016年の間の134Cs濃度上昇(0.1 Bq/m3以下から1.5-2.5 Bq/m3)は、亜表層極大の高濃度水がentrainmentによって表面水に取り込まれたためと推測される。講演では、日本沿岸域の2015/2016年の観測結果速報も報告する予定である。この本研究はJSPS科研費24110004の助成を受けた。
著者
本多 照幸 北原 照央 廣瀬 勝己 五十嵐 康人 青山 道夫
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.195-195, 2006

本研究では、1964年及び2000年福岡降下物試料(固形分)に中性子放射化分析やγ線スペクトロメトリ等を適用し、得られた定量結果を用いて、既報の近年における降下物試料の定量結果を含めて比較検討し、福岡降下物から見た大気環境の変動について考察した。その結果、1.1964年福岡における全降下量は、2000年に比べて数倍から十数倍多かったが、その原因は土壌ダストによるものであり、通年において土壌ダストが全降下量を支配し、2.ウランの起源は、土壌だけでなくフォールアウトも含むことが示唆された。また、3.REEパターンより、1964年試料では11月と12月が黄砂のパターンに近く、これらの月では黄砂の寄与が比較的大きく、さらに、4.Th/Sc比より、近年試料(特に2000年長崎と福岡)の方が1964年福岡試料より黄砂の寄与が大きいことが判明した。
著者
廣瀬 勝己 青山 道夫 小村 和久 津旨 大輔 熊本 雄一郎
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

海洋研究開発機構 海洋地球研究船「みらい」が2003年から2004年に実施した南太平洋を含む世界一周航海ですでに得られたデータを組み込んだ、海洋のマルチトレーサーデータベースを完成させることができた。放射性セシウムの新しいソースタームと解像度を上げた海洋大循環モデルによる再現計算を行った。データベースを利用して解析したところ、^<239,240>Pu/^<137>Cs 比が、表層から水深約1000mまで指数関数的に増加していることを見出した。世界で始めて、南太平洋、南大西洋およびインド洋の薄明領域(水深100m-1000m)の粒子状配位子の分布を求めることができた。
著者
三浦 覚 青山 道夫 伊藤 江利子 志知 幸治 高田 大輔 益守 眞也 関谷 信人 小林 奈通子 高野 直人 金子 真司 田野井 慶太朗 中西 友子
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2015年大会
巻号頁・発行日
2015-05-01

To predict the movement of radioactive contamination caused by Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant (FDNPP) accident is a strong concern, especially for the forest and forestry sector. To learn from the precedent, we investigated soil samples collected systematically from 316 forest sites in Japan just before the accident, which retain the global fallout 137Cs (137Cs-GFO) from the nuclear test bomb during the 1950s and 60s. We measured the radioactivity of 137Cs-GFO in three layers of soil samples (0-5, 5-15 and 15-30 cm in depth) at each site. We divided 316 sampling sites into 10 groups separated by one longitudinal line and four transversal lines on the islands of Japan, then analyzed rainfall and geomorphological effects on 137Cs-GFO inventories. In addition to the analysis of 137Cs-GFO above, we examined the behavior of 137Cs discharged from FDNPP (137Cs-Fk) within the whole trees to study a possibility of biological effect on 137Cs transport to soils from trees. We measured the radioactivity of 137Cs-Fk of above- and belowground tree parts of three 26 year-old Quercus serrata and associated soils at a contaminated area in Fukushima in April, 2014. We estimated an average of 137Cs-GFO inventories of forest soils in Japan to be 1.7 ± 1.4 kBq/m2 as of 2008. 137Cs-GFO inventories varied largely from 0-7.9 kBq/m2 around the country. We found high accumulation of 137Cs-GFO in the north-western part facing to the Sea of Japan. We detected significant rainfall effects on the high accumulation due to winter rainfall. The vertical distribution of 137Cs-GFO showed that 44% of 137Cs-GFO remained within the 5 cm of soil from the surface whereas the rest of 56% was found in the layer of 5-30 cm in depth, indicating that considerable downward migration of 137Cs-GFO occurred during these fifty years in forest soils in Japan. However, multiple linear regression analysis by geomorphological factors related to soil erosion, such as inclination angle or catchment area calculated from Digital Elevation Model, showed almost no significant effects on the distribution of 137Cs-GFO. The radioactivity of 137Cs-Fk concentrations of fine roots collected from the 0-10 cm layer were 1600-2400 Bq/kg, which were comparable to those of one-year old branches (1400-2200 Bq/kg). The radioactivity of the fine roots was 7 times higher than that found in the soil of 50-100 cm layer (220-350 Bq/kg). This difference the radioactivity of the fine roots among the soil layers was remarkably small when compared with the 1000 times or more difference of radioactivity of soils in the same layers (one outlier sample in the 40-60 cm layer was excluded). The findings indicated that 137Cs-Fk circulated through the whole tree within three years after the accident. Considering root litter fall inside the soils we estimated that contaminated 137Cs on trees at the above ground part could be transported to soils through roots. We clarified that 137Cs-GFO has been held at deposited site and migrated downward gradually in soil. There are two possible major driving forces to be considered to explain the downward migration of 137Cs-GFO. One is the migration of 137Cs associated with vertical water movement and the other one is the transport of 137Cs by root litter fall or root exudate. Further research is needed to analyze these processes to obtain reliable prediction of future distribution of 137Cs-Fk.
著者
青山 道夫 飯野 勲
出版者
九州大学
雑誌
法政研究 (ISSN:03872882)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.71-84, 1958-07-10
著者
青山道夫著
出版者
九州大学出版会
巻号頁・発行日
1978
著者
青山 道夫 山澤 弘実 永井 晴康
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.46-50, 2018 (Released:2020-04-02)
参考文献数
8
被引用文献数
1

福島第一原発事故により大気および海洋に放出された放射性物質の観測された核種,推定された放出量,放出の時間経過について,現在明らかになっていることを概観した。また,放出された核種について,その大気中,陸域および北太平洋での挙動についても纏めた。さらに,今後の研究課題として,良くわかっていないことを,1から3号炉の放出の配分と核種組成および海洋内部での中央モード水の挙動の観点で整理した。
著者
津旨 大輔 坪野 考樹 三角 和弘 立田 穣 三浦 輝 青山 道夫
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
アイソトープ・放射線研究発表会 第58回アイソトープ・放射線研究発表会 (ISSN:24364487)
巻号頁・発行日
pp.45, 2021 (Released:2021-09-06)

福島第一原発敷地からの直接漏洩は大幅に減少したものの、引き続き継続している。海洋分散シミュレーションを2020年9月まで延長した。年平均表層放射性セシウム濃度分布の観測結果とシミュレーション結果は、よく一致した。敷地からの直接漏洩の影響が大きいが、特に2019年10月の豪雨時には、河川からの粒子態による放射性セシウムの供給の影響が大きいことが示唆された。
著者
青山 道夫 有地 亨
出版者
九州大学
雑誌
法政研究 (ISSN:03872882)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.117-142, 1961-03-25
著者
熊本 雄一郎 青山 道夫 浜島 靖典 村田 昌彦
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

2011年3月に発生した福島第一原子力発電所事故によって、20­-40 PBqの放射性セシウムが環境中に放出されたと推定されている。そのうちの7­8割は北太平洋に沈着・流出したと見積もられているが、それらのほとんどは海水に溶けた状態で存在する。そのため福島事故由来の放射性セシウムは、海水混合によって希釈されながら表層水の流れに沿って北太平洋全域に広がりつつある。これまでの研究によって、日本近海に沈着・流出した放射性セシウムは北太平洋の中緯度を表面海流に乗って東に運ばれ、事故から約4年が経過した2015年には北米大陸の西海岸に到達したことが分かっている。演者らは2017年夏季に北太平洋亜寒帯域において実施された海洋研究開発機構「白鳳丸」航海において海水試料を採取し、その中の放射性セシウム濃度を測定した。福島事故起源134Csの濃度は、希釈と放射壊変(半減期は約2年)によって現在1 Bq m­-3以下まで低下しているため、濃縮しなければ測定することができない。濃縮には、仏国Triskem社製のCsレジン(potassium nickel ferrocyanate on polyacrylnitrile, KNiFC-PAN)を用いた。海水試料約40 Lを50 ml min­-1の流速で5 ml(約1 g)のCsレジンに通水することで、レジンに放射性セシウムを濃縮した。海水試料にはキャリアとして塩化セシウム(133Cs)を加え(濃度約100 ppb)、その通水前と通水後の濃度差から放射性セシウムの回収率を約95%と見積もった。陸上実験室に持ち帰ったCsレジンは洗浄後、海洋研究開発機構むつ研究所、または金沢大学環日本海域環境研究センター低レベル放射能実験施設の低バックグランドGe半導体検出器を用いてγ線分析に供され、134Csの放射能濃度が求められた。東部北太平洋のアラスカ湾を横断する東西(北緯47度線)と南北(西経145度線)の2本の観測線に沿った鉛直断面図によると、深度300mまでの表層において東側及び北側の観測点、すなわち北米大陸沿岸により近い観測点で事故起源134Csの濃度が高くなっていた(放射壊変を補正した濃度で最高6 Bq m­-3)。これは北米大陸に到達した福島事故起源134Csが北米大陸に沿って北上し、さらに北太平洋の高緯度(北緯50­-60度)を西向きに運ばれていることを示唆している。本研究によって得られた結果から、今後数年以内に福島事故起源134Csが北太平洋亜寒帯の反時計周りの循環流、すなわち北太平洋亜寒帯循環流に沿って日本近海に回帰してくることが予測された。
著者
津旨 大輔 坪野 考樹 三角 和弘 立田 穣 豊田 康嗣 恩田 裕一 青山 道夫
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

A series of accidents at the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant following the Great East Japan Earthquake and tsunami of 11 March 2011 resulted in the release of radioactive materials to the ocean by two major pathways: direct release from the accident site and atmospheric deposition. A 6 years, regional-scale simulation of 137Cs activity in the ocean offshore of Fukushima was carried out by the Regional Ocean Model System (ROMS), the sources of radioactivity being direct release, atmospheric deposition, the inflow of 137Cs deposited into the ocean by atmospheric deposition outside the domain of the model, and river discharges.Direct releases of 137Cs were estimated for 6 years after the accident by comparing simulated results and measured activities adjacent to the accident site. In addition, river discharge rates 137Cs were calculated by multiplication between river flow rate and 137Cs activity. River flow rates were simulated by a water circulation analysis model for each catchment. Temporal change of 137Cs activity both of particle and dissolved forms were measured at 8 rivers and normalized by the inventory of 137Cs in each catchment. 137Cs activity in other 4 rivers were estimated by the normalized 137Cs activity and inventories of catchments. After 2013, direct release and river discharge were dominant for input of 137Cs to the ocean. Apparent half-life of direct release and river discharge of were estimated to be about 1 year and 2 years, respectively.Apparent half-life of measured 137Cs activity adjacent to 1F NPP was about 1 year, on the other hand, the ones in the coastal zone away from 1F NPP were about 2 years after 2013. Apparent half-life of simulated results with river discharge was in good agreement with the one in the coastal zone away from 1F NPP. River discharge affected on temporal change of 137Cs activity there. On the other hands, simulated 137Cs activities with river input were one order of magnitudes smaller than observations. This underestimation suggests modifications of river input process, such as estuary mixing process, removal from particle form 137Cs and inputs from small rivers around the 1F NPP.
著者
青山 道夫
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

Radiocaesium (134 Cs and 137 Cs) released by the TEPCO Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant (FNPP 1) accident that occurred in March 2011 was injected directly into the North Pacific Ocean via the atmosphere or directly discharged as contaminated water. It is considered that tritium (3H) is also released into the atmosphere as water, then enters the ocean through precipitation or river water and enters the water circulation by evaporation from the surface of the ocean. In addition, 3H is directly injected into the ocean as contaminated water, it is considered that it also enters the water circulation like 3H that entered the ocean via the atmosphere. There is well known tritium source other than FNPP1 accident derived tritium in our environment. Cosmogenic tritium is big source term, too. In this presentation, radiocaesium and 3H activity concentrations on the coast of Fukushima obtained in 2014, 3H/137Cs activity ratio and 134Cs/137Cs activity ratio were examined and discuss about behavior of radiocaesium and tritium.At Tomioka, 134Cs/137Cs activity ratios ranged from 0.31+- 0.03 to 0.35+-0.03 and were similar with 134Cs/137Cs activity ratios observed at the station FNPP1-T-1 where those ranged from 0.29 to 0.40. 134Cs/137Cs activity ratio off Fukushima stations ranged from 0.24+-0.03 to 0.37+-0.03. The consistency of 134Cs/137Cs activity ratio in these regions are clearly shown. An activity ratio of 0.355 for 134Cs/137Cs activity ratio means that 134Cs/137Cs activity ratio at the time of accident, 11 March 2011, was 1.0 whcih is similar with 134Cs/137Cs activity ratio in the core inventory at FNPP1 at the time of the accident [19,20]. This indicates that major source of radiocaesium observed at Tomioka, off Fukushima stations and the station FNPP1-T-1 should be FNPP1 accident derived radiocaesium and originated from the same source.3H activity concentrations at Tomioka and Hasaki were 175 ±14 Bq m-3 in June 2014 and 57±12 Bq m-3 in August 2014, respectively. In contrast with strong gradient of 137Cs activity concentrations in surface water between FNPP1-T-1 and off Fukushimastations as stated previosuly, 3H activity concentrations among the off Fukushima stations including Tomioka and Hasaki which located north and south of FNPP1 showed relatively homogenius as around 60 Bq m-3 to 200 Bq m-3 during the period from May 2014 to September 2014. Only exception was obserevd at FNPP1-T-1 station and 3H activity concentrations exceed 1000 Bq m-3. It is also known that 3H activity concentration in precipitation is relatively 3H rich rather than 3H activity concentrations in seawater due to cosmogenic 3H of which activity concentration ranged 180 - 1000 Bq m-3 in precipitation globally and observed 3H activity concentrations in Tomioka river were 590-700 Bq m-3 during the period from Dec. 2013 to Dec. 2015 and 3H activity concentrations in several rivers at Fukushima region also showed similar level around several 100 Bq m-3 by monitoring of Fukushima Prefecture, and 690 +- 20 Bq m-3 on 19 January 2015 (Aoyama unpublished data). This homogenous distribution of 3H activity concentrations in this interestd region might indicate that contribution from 3H rich water from sorrounding rivers located north and south of FNPP1 site was larger rather than flux of 3H from FNPP1 site.On the other hand 3H/137Cs activity ratio at Tomioka was 2.0 +- 0.2 in June 2014, however 3H/137Cs activity ratio at station FNPP1-T-1 ranged from 2.2 to 15.3. 3H/137Cs activity ratio at off Fukushima stations ranged from 1.1 +- 0.1 to 17.1 +- 2.1. The 3H/137Cs activity ratio at Tomioka is close to lower side of 3H/137Cs activity ratio at station FNPP1-T-1. The physical and chemical characteristics of 3H are quite different from those of caesium of which form in seawater is dissolved but cannot evaporate from surface of seawater. 3H might exist as HTO and HTO can move by evaporation and precipitation through seawater surface. During the transportation processes in the ocean and also possible different source of highly contaminated water from FNPP1 site, reasons of the observed variability of 3H/137Cs activity ratio in this region might be complex. One possibility of this variability after released from FNPP1 site may be evaporation.
著者
廣瀬 勝己 五十嵐 康人 猪俣 弥生 青山 道夫
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2008年度日本地球化学会第55回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.315, 2008 (Released:2008-09-06)

つくばと榛名山上で月間大気降下物試料を採取した。降下物試料中のプルトニウムとトリウム同位体を測定し、その結果をまとめた。両地点共に、春期にプルトニウム降下量の極大が見られた。同様な季節変化はトリウムにも見られた。降下物中のいづれの核種も土壌粒子の再浮遊に起源が求められる。