著者
日高,杏子
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, 2000-03-01

この論文は色彩文化史の視点から、17世紀初頭の染織品に用いられた金と銀を追究する。方法論として3つの視点から考察する。まず、一時的消費を論じるために演劇のための衣裳を考察する。第二に、恒久的消費を論じるために、英国国教会の地域教会への寄贈染織装飾品を考察する。最後に、個人的消費を鑑みるために、家庭内における染織品を考察する。金・銀の色彩を身につけることは、普遍的ともいえる高い社会地位を表現するための身体言語である。ローマ・カトリック教会の一元支配と封建社会にあっては、金糸銀糸の使用は主にカトリックの司祭と封建国王に独占されていた。しかし宗教改革後、西ヨーロッパの社会構造は変化し、金糸銀糸の消費はより拡大した。権威を表象するための金と銀の消費は、イングランドの王族のみならず、中上流階級もまた金銀を染織用に用い始めた。結果的に異なる社会階層間に軋轢が起こり、それは奢侈禁止令の発令のきっかけとなった。金糸銀糸の消費量は、ゆえに消費者の社会地位に正比例していたと考えられる。ルネサンス運動や宗教改革運動の思想的な波及を鑑みながら、ケーススタディを通じてこの消費の主題を分析する。
著者
吉留 大雅 平井 経太 堀内 隆彦
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6+, pp.53-56, 2017-11-01 (Released:2018-02-20)
参考文献数
8

食肉の加熱調理において,色は焼き加減を判断する重要な指標の一つとして用いられており,加熱調理中の肉色変化の予測および視覚化は,スマートキッチンなどの調理支援技術に大きく貢献する.本研究では,肉色の決定に大きく関与している色素分子,ミオグロビンの熱変性に焦点を当て,加熱による肉色変化を分光ベースで推定するモデルを提案した.また,提案モデルによる肉色変化の結果を可視化するために,時間変化に基づく肉の加熱CGシミュレーションを作成した.提案モデルにおいて,加熱した肉の分光反射率は,ミオグロビンの誘導体3形態および変性ミオグロビンの分光反射率の線形和で表されると仮定した.ミオグロビン各形態の割合は,誘導体3形態および加熱した肉試料の分光反射率をK/S値(吸収散乱係数比)に変換することで導出した.推定モデルによる分光反射率と実測による分光反射率を比較すると,変性前の推定モデルの分光反射率には一部の誘導体の分光的特徴が反映されなかったが,変性が進行すると,推定モデルに各誘導体の特徴が確認されるようになり,肉色も実測値に近くなった.
著者
中村,健二
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌
巻号頁・発行日
vol.26(supplement), 2002-05-01
著者
今津 玲子
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.21-22, 1990
著者
今津 玲子
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, 1991
著者
今津 玲子
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.13-14, 1992
著者
永田 泰弘 跡部 禮子 高橋 正美
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.69-70, 1991
著者
遠藤 聡 石田 泰一郎
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.31-34, 2017

<p> 近年,照明技術の発展に伴い,機能的な側面だけでなく,芸術性までも照明に求める場面が増えてきた.また,歴史都市として発展してきた京都は,夜間であってもほかの都市と異なる雰囲気を感じる人は多くいると思う.そんな京都の夜間照明に関して,現地調査により測定された実測値と,写真による印象実験によって得られた結果とを分析した既往研究は少ない.また,京都の観光地の夜間照明を対象にした既往研究は多く見られるが,京都市内広域を対象とした既往研究は少ない.本研究では,京都の都市照明における独自性に着目し,無作為サンプリングを行い,京都市内広域に渡って,さまざまな地点で照度の測定などの現地調査を行い,そこで撮影した写真を用いて印象評価実験を行い,その結果を分析し,結果と実測値や撮影写真を照らし合わせて「京都らしい」都市照明とはいかなるものかを検証した.そして「京都らしい」夜間照明の印象評価や物理量などに関して,一定の特徴が明らかになったことを論じる.</p>
著者
若田 忠之 森谷 春花 齋藤 美穂
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3+, pp.96, 2018-05-01 (Released:2018-07-17)
参考文献数
2
被引用文献数
1

前報であるWakata&Saito(2017)に引き続き,複数の感覚間の関係性に着目したCross-modal 研究における,色(視覚),音楽(聴覚),香り(嗅覚)の3つの感覚に共通する印象次元を抽出し,その印象次元における各感覚の関係性の検討および前報の結果に加えて香り,音楽に対する調和色の傾向と印象との関係性を検討することを目的とした.その結果,色の明るさとあざやかさと対応する印象次元が認められ,特に因子1は明るさ,あざやかさの判断と関連し,その判断が香りと色,音楽と色の感覚間の調和関係に影響を与える傾向が示された.
著者
岡嶋 克典 山下 亮 高瀬 正典
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.16-17, 1998-05-01
参考文献数
2
被引用文献数
4
著者
桂 重仁 須長 正治
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.189-200, 2017-09-01 (Released:2017-09-25)
参考文献数
9

色彩や色名はコミュニケーションの情報として日常的に使用されている.しかし,色覚異常を持つ幼児は,色覚という概念が理解できないため,困惑すると思われる.そのような幼児に対し,まず,家族や保育士が色覚異常に気づき,そして,対処することが望まれる.そこで,本研究では,幼児の色覚異常に気づくために,色覚異常特有のクレヨンの色使い,すなわち,混同して使われることがある色に着目し,色彩科学的見地から市販されているクレヨンの混同色の解析を行った.さらに,2色覚のクレヨンの混同のしやすさに対し,“混同色対指数”という新たな指標を導入し,クレヨンの混同色のランク付けを行った.そして,幼児のクレヨンの色使いにて混同色対指数0.6以上のクレヨンの混同が色覚異常の可能性を示すひとつの目安となることを論じた.
著者
菱川 優介 桂 重仁 須長 正治
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.141-144, 2017

色覚異常を持つ人の日常生活におけるトラブルとして,焼肉の焼け具合がわからないという報告がされている.このことから,色覚異常を持つ人は,一人で焼肉を行うことが難しいと言える.本研究では,2色覚の一人焼肉を補助すべく,焼肉が焼けたかどうかを知らせるアプリを作成した.実験では,肉の表面を測色すると同時に,3色覚と2色覚に焼肉の見た目の焼け具合を評価してもらった.焼肉の色変化の過程は,錐体刺激値LM平面にて特徴が現れていた.この変化過程は,2色覚に対してL軸またはM軸への射影となる.その結果,生肉の色が,肉が焼けていく過程の色変化のなかに埋もれてしまい,2色覚は色変化からでは焼け具合がわかりにくいことが示された.また評価結果をもとに,LM平面上にアプリによる焼け具合判断の閾値を設定した.作成したアプリと3色覚の判断がどれくらい一致するかを調べた.焼けた肉と焼けていない肉を,アプリが正しく判断する確率はそれぞれ63%と94%であった.また,焼けた肉,焼けていない肉に対して誤った判断をする確率はそれぞれ37%,6%であった.以上のことから,おおよそ正しく肉の焼け具合を判断するアプリを作成した.