著者
徳永,聖一郎
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌
巻号頁・発行日
vol.19(SUPPLEMENT), 1995-05-15
著者
吉村 耕治 山田 有子
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, 2020

<p> 新しい色名は,いつの時代でも創られている.21世紀の日本車の新色名に,「グロリアスグレーメタリックモリブデン鸞鳳(らんぽう)」や「デミュアーブルーマイカメタリックモリブデン瑞雲(ずいうん)」がある.これらは最高級車センチュリーの色名で,その塗装には日本の伝統工芸の漆塗りを参考に,層を重ね,研ぎと磨きを加えることで奥深い艶や輝きが追求されている.そして,敢えてカタカナと漢字を併用することによって,高級感が表出されている.その他にも,「シリーンブルーマイカ摩周(ましゅう)」や「ブラッキッシュレッドマイカ飛鳥」などもある.四季や時の移り変わりによる景色の変化が,車のボディカラーにも表現されており,トヨタのジャパンカラーセレクションパッケージ(12色)には,「紅,仄(ホノカ),茜色,天空(ソラ),群青,紺碧(アオ),白夜(ビャクヤ),翡翠(ヒスイ),常磐色(トキワイロ),胡桃(クルミ),黒曜,白光」が用いられている.21世紀になってから,「白夜,白光,夜霞」なども車のボディカラーとして採用され,「エモーショナルレッド」や「アティチュードブラックマイカ」のような感情を表出する色名が増加している.</p>
著者
稲垣 卓造
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.78-87, 1987

高層集合住宅の外部色彩に関する調査を, 名古屋市内の二つの区において実施した。その結果は次のとおりである。1)基調色については, 高明度低彩度色が全体の75%強を占めた。他の4分の1弱が中, 高彩度色であり, それらの70%強がタイル仕上げによるものであった。2)アクセント色は, バリュー・クロマ図上で基調色と比べ広く分散しているが, 低明度低彩度部分に小さな集中が見られた。またヒューのピークがYR系に移行していた。3)アクセント色の部位に関して, そのいくつかは使われる色彩の範囲がかなり限られていた。4)アクセント色のほとんどが, その基調色より低明度低彩度であったが, 二, 三の部位のアクセント色についてはそれ以外の傾向を示した。5)中, 高彩度色を基調色にもつ場合, その建築の色彩以外の属性(仕上げ, 住戸数, 竣工年, 所有形態など)によって規定されやすい。また, アクセント色の部位についても同様の傾向が強いものがあった。
著者
加藤 雪枝 橋本 令子 雨宮 勇
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.16-25, 2004-03-01
参考文献数
6
被引用文献数
6

色は、人の感情に直接働きかける力があり、人とは深い関わりがある。色の効果を生活の中に取り入れ、快適な環境を作ることを目的とした。マンションの一室6畳(2.35×3.28×2.30m^3)カーペット、壁、カーテンの色を6色に変化させ、実空間の中で色が人間に与える心理的、生理的作用を調べた。生理的には心拍変動と脳波のα波含有率を調べ、心理的作用の解析にはSD法を用いた。黄、オフホワイトは、α波含有率が高値を示し、副交感神経活動側に傾き「くつろぎ・平価性」の因子の関与を高める。暖色系の色は、「活動性」と「寒暖」の因子の関与が高く、HF成分、1/fゆらぎがみられ生体に快い興奮状態が生まれ、快適性を高めることが示唆された。寒色系の色の効果は乏しい。空間の色の快適性には「くつろぎ・評価性」、「活動性」及び・「寒暖」因子のバランスが重要であることが示唆された。
著者
大石 如香 石本 豪
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3+, pp.169, 2019-05-01 (Released:2019-07-06)
参考文献数
12

性格特性によって色彩嗜好が影響を受けることが指摘されている.本研究では医療福祉を学ぶ大学生における性格特徴と色彩嗜好の関連性について検討した.方法は191名の大学生を対象とし,色彩嗜好調査ならびに性格特性調査を実施した.色彩嗜好調査では,赤,オレンジ,黄,黄緑,緑,青,紫,ピンク,茶,水色の10色名を提示し,各色の嗜好度を高い順に回答させた.性格特性調査では,アイゼンクの性格理論を基に16項目の性格特性に自分がどれくらい該当するか5段階尺度で評価させた.これらの指標値や得点についてそれぞれ在籍する学科ごとに分析を行ったところ,学科によって性格特性に差があること,性格特性によって色彩嗜好に質的な差異があることが示された.学科ごとの学生の性格特性を踏まえ,各医療専門職の資格を有する教員と臨床心理士の資格を有する教員が連携を取って,学生に対する細やかな指導を実施していく必要があると考える.
著者
呂,清夫
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, 1992-01-01

文字の海の中に, 伝統色名セツ卜をどのように選定すれば, 代表性や普遍性のあるものになるのか。本研究では, 「中国色名綜覧」^<1)>および「中国の伝統色」^<2)>を, 英語の「色の標準と命名法」および「色彩辞典」と比較研究を行い, 調べた数字でその相違をはっきり比較させると共に, その色名選定の基準についての相違までも比較をする。そして, 英語の2種類の権威的な著作の間には, その選定の基準が比較的近いため, それぞれの選定した色名が重なるものが多いのに対して, 中国色名に関する2種類の著作の間には, その基準ががなり離れているため, それぞれの選定した色名が, 全く別なもののように見える。そればかりでなく, 中国語並びに英語の色名が代表する色彩についても, ほぼ同じ現象が存在している。つまり, 中国語と英語のそれぞれの両種類の著作にある色名の代表色を, 別々にNickersonの退色指数で表示すると, 英語の二つの著作にある色名の代表色は, 中国色名の二つの著作にある色彩より, その安定性が比較的高い。以上の現象の探求とその原因の究明とが本研究の要旨である。それは伝統色名セットの選定のキー・ポイントであろう。
著者
木本 晴夫
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3+, pp.104, 2018-05-01 (Released:2018-07-17)
参考文献数
9

中国の色譜としては代表的なものとして,「色譜」(中国科学院,1957年)と,「中国の伝統色」(大日本インキ化学,1986年)とがある.「中国の伝統色」の応用は主に美術・デザイン方面にある.「色譜」の応用は「(動物,植物などの)生物学,鉱物学,印刷染色,絵画などの各領域」であり,「中国の伝統色」に比べてその応用分野は幅広い.「色譜」はその成立過程や編集関係資料などは明らかでないとされている.近年,インターネットの普及によって,世界中の種々様々な情報がアクセス可能となった.このことは中国においても同様である.本研究では,「色譜」の編集委員達について調査を行い,それを通して「色譜」の成立背景を考察した.併せて,関係資料として,特に,「色譜」が参考とした「ロシアのボンダルツェフ色譜」を入手して「色譜」との対比を行った.その結果,「色譜」と「ロシアのボンダルツェフ色譜」はその色と色名において顕著な類似性は見られなかった.「色譜」は中国の自然,文化を反映して,色,色名などを幅広い分野にわたって独自に作られたものと考える.色名造語も自由闊達で,多種多様である.
著者
緒方,康二
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, 1987-09-01

1873年に登場した「色図」は, 日本における色彩教育のはじめての試みである。「色図」は, 当時アメリカで盛んであったオブジェクト・レッスンのためのウイルソン掛図を, 直接的に取り入れたものであった。この「色図」教育は1881年頃に終わり, 以後長いあいだ, 色彩教育は空白のままとなった。1900年代の初頭にいたり, 海外留学から帰国した白浜徴によって, 再びアメリカにおける色彩教育システムが導入されることになる。白浜がアメリカに留学の途についた1900年代の初頭は, アメリカでさまざまな色彩教育システムが登場した頃でもあった。『新定画帖』(1910)にみられる白浜の色彩教育システムは, フローリッヒとスノーによる『美術教育テキスト』(1904)に準拠したものといわれるが, プラングの『カラー・インストラクション』(1893)の影響も認められよう。白浜の色彩教育法は, 明治時代をこえて長く適用されている。
著者
小林 光夫
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.306-323, 2003-12-01
参考文献数
7
著者
大野 治代
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3+, pp.68-69, 2017-05-01 (Released:2017-10-07)

視覚表示として,液晶画面による動的表示が多いけれども,選挙ポスターは静的な表示として今なお使用されている.筆者は選挙ポスターの色彩調査を20余年前から実施し,今回第22回参議員選挙立候補者の選挙ポスターを調査した結果を報告する.ポスターの回収は,全立候補者222名(比例区除く)の88%(掲示のみ)である.回収したポスターの6割は色彩計で実測し,残りは現場で撮影した画像と実測したポスターと同時撮影した画像とを対照させて,色彩を検討した.色彩調査は,ポスターの色彩を13分類(N1, N5, N10, R, YR, Y, GY, G, BG, B, PB, P, RP)した結果に基づき,使用色数と色相についてまとめている.また,選挙ポスター掲示板前の視環境は,照度と色温度の測定値で示している.さらに,今回の選挙ポスターの色彩は,以前の結果と比較して使用色数が減少していること,使用頻度の高い色が赤から白色へ変化していることも述べている.
著者
大野 治代
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.92-93, 2005-05-01
参考文献数
1
著者
山田 雅子
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.3, 2019-01-01 (Released:2019-01-29)
参考文献数
31

日本人女子学生による肌の色の言語的表現を探った調査では,男性の方が女性よりも色黒,女性の方が男性よりも色白と表現される傾向が捉えられている(山田, 2017).だが,色みについては不明瞭なままであった. 調査方法に若干の変更を加え,97名の日本人女子学生を対象として新規に調査した結果,男性の方が女性(回答者自身を含む)よりも色黒で黄み寄り,女性(同)の方が男性よりも色白で赤み寄りといった意識が持たれていることが判明した.また,当該傾向は現実に対する評価よりも理想において顕著となることが捉えられた. 更に,肌の色の明るさに関する言語表現の選択パタンには両調査で共通する部分が多分に見られ,日本人女子学生というほぼ同質の対象者ならば一定の反応パタンが安定的に存在することが推察された.同時に,こうした肌の色に対する選択パタンによって,人物の美的評価における肌の要素(色白肌,肌のきめ細かさ)の重視特性が異なる傾向も確認された.
著者
豊田 敏裕 門奈 哲也 鈴木 敬明 小浜 朋子
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6+, pp.12-14, 2017-11-01 (Released:2018-02-20)
参考文献数
4

【目的・背景】ソムリエは,ワインを視覚的に評価する際,ワイングラスを傾けて,白い紙など高反射率の背景にかざした時に液面に現れるグラデーションなどからワインの産地や品質を確認している.この一連の評価について,分光測色によりその意味について考察した.【方法】ソムリエが色合いを分類した5種類の赤ワイン(ガーネット系3種類,ルビー系2種類)を試料とした.まず,厚さ10mmの光学セルを用いて分光透過率を測定し,CIELAB値(D65,2度視野)を求めた.次に,透過率の低いガーネット系の試料(3種類)を,精製水(イオン交換水)で2倍,4倍,8倍,16倍に希釈した試料を用いて,光学濃度の変化を,測定光路長の変化とみなして,ワイングラスを傾けた場合に,どのような色彩の変化が伴うかを調べた.【結果】試料の測色値は,全て同じ色相で,彩度の異なる分布を呈し,試料の測色値とソムリエによる色合いの分類の間には,明度以外に明確な関係は見られなかった.また,ガーネット系の試料3種類すべてについて,希釈による光学濃度の変化により,彩度と明度の関係に非線形性がみられた.