- 著者
-
小野 史典
- 出版者
- 日本認知心理学会
- 雑誌
- 日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第17回大会
- 巻号頁・発行日
- pp.1, 2019 (Released:2019-10-28)
我々は2つの物体の衝突を観察した際,物体の動きだけでなく,どの物体が他の物体を動かしたか等の因果関係も知覚する。本研究では,こうした因果関係の知覚が時間知覚に与える影響を調べた。実験では,2つの標的刺激を短い時間間隔で異なる位置に瞬間呈示することで,見かけの運動が知覚されるようにした。さらに,標的刺激呈示の直前(もしくは直後)に,標的刺激に衝突する(もしくは標的刺激が衝突する)ように知覚される手がかり刺激を呈示した。その際,手がかり刺激の移動距離を変化させることで,知覚される衝突の激しさを操作した。その結果,物理的には同じ時間間隔であるにもかかわらず,手がかり刺激の移動距離が長い方が,短い時よりも標的刺激の時間間隔を短く知覚していた。この結果は,知覚された衝突の激しさによって,見かけの運動の知覚された時間が影響を受けることを示している。