- 著者
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板垣 大雅
西村 匡司
- 出版者
- 一般社団法人 日本集中治療医学会
- 雑誌
- 日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
- 巻号頁・発行日
- vol.24, no.6, pp.605-612, 2017-11-01 (Released:2017-11-01)
- 参考文献数
- 39
- 被引用文献数
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患者-人工呼吸器非同調(以下,非同調)は,人工呼吸中に見られる頻度の高い事象である。人工呼吸器のガス供給パターンと,患者の呼吸パターンにずれがある場合,非同調が生じる。非同調は,ガス交換障害,肺過膨張,呼吸仕事量の増大,人工呼吸期間やICU滞在期間の延長をきたし,患者予後への影響も指摘されているが,その認識は高いとは言えない。非同調は,(1)患者の吸気努力に一致して人工呼吸器の送気が開始しない不適切なトリガー(オートトリガー,ミストリガー,二重トリガー,逆行性トリガー),(2)吸気から呼気へ転じるタイミングのずれ(送気の早期終了,送気の終了遅延),(3)人工呼吸器の送気流量と患者の吸気流量の過不足,の3つに大別される。ベッドサイドの医療者には,これら非同調の原因,グラフィックモニタ波形上の特徴,対処方法について深い理解が求められる。