著者
阿部 幸太朗 森口 一郎 アベ コウタロウ モリグチ イチロウ Kohtarou Abe Ichirou Moriguchi
雑誌
東京情報大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.63-72, 2014-03-01

DDoS攻撃による被害軽減を目的としたシステムの構築と評価を行った。DDoS攻撃の対策としてはトラフィック量を制御することが一般的であるが、この手法では正規ユーザのパケットもトラフィック量の中に含まれるため正規ユーザだけにサービスを提供することができない。本システムでは、まずIDSが攻撃ホストからの攻撃を検知し、Webサーバ及びDNSサーバにDDoS攻撃回避要求を申請する。回避要求を受けたWebサーバは自身のIP addressを変更することで攻撃を回避する。また、正規ユーザを回避先のWebサーバに誘導するため、DNSサーバはzoneファイルのAレコードを変更する。しかし、WebサーバのIP addressを変更する際、ネットワークを再起動する必要があるため、IP address切り替え時間を考慮しWebサーバを2台稼動させたdual apacheシステムを構築し、性能比較を行った。この結果、DDoS攻撃に対して本システムの有効性を示すことができた。しかし、IP addressを変更しても再びDNSに対し正引きアクセスする機能を持つ攻撃に対しては、本システムが性能を十分に発揮できないことも明らかになった。
著者
西村 明 小泉 宣夫 ニシムラ アキラ コイズミ ノブオ Akira Nishimura Nobuo Koizumi
雑誌
東京情報大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.79-92, 2004-02-20

いくつかの種類のディジタルオーディオ機器におけるサンプリングジッター測定の結果を示した。解析信号を用いたジッター測定は、CD-Rメディアの製造メーカの違い、信号のビットパターン、ディジタル信号伝送系、DAC, ADCそしてプレーヤのクロック発振器など、複数の要因が、オーディオ機器の微細なジッター特性に影響を与えていることを示した。ジッター測定を通じて得られた最大のジッター成分振幅は、ジッター周波数2 Hz以上において、2nsを下回った。従来の周波数変動検知実験の結果と比較すると、この程度のジッターが音質に与える影響を聴取者が検知することは困難であると予想される。
著者
原田 恵理子 ハラダ エリコ Eriko Harada
雑誌
東京情報大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.9-18, 2013-09-30

本研究では、高校生のネットいじめの実態について調べ、ネットいじめの実態に応じた支援のあり方を検討した。高校生325名を対象にした質問紙調査を行い、パソコンと携帯電話によるネットの使用、伝統的いじめとネットいじめの併存、傍観者の経験、ネットいじめに対する支援のニーズを検討した。その結果、伝統的いじめとネットいじめの併存は1%、傍観した経験は7%であった。また、多くの生徒がネットいじめに対する教育を希望し、学校及び学級に対する心理教育の重要性が明らかとなった。
著者
圓岡 偉男 黒澤 周生 ツブラオ カヒデオ クロサワ シュウセイ Hideo Tsuburaoka Shyusei Kurosawa
雑誌
東京情報大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.49-61, 2011-09-30

本稿は日常生活において、いかにして意思決定が行われるかということを再考することにある。日々われわれは様々な決定を行っている。決定なしにわれわれの日常の行動は何ら先に進むことはない。意思決定という行為はわれわれの生活そのものに関わる事態であることは容易に想像できる。しかし、この日常的な行為について省みるとき、われわれはこの行為について、様々な側面が存在することに気づく。社会的世界に生きるわれわれにとって、決定行為の社会-文化的影響を無視することはできない。しかし、その一方で、その本質を問うとき、単に社会-文化的な影響下にあるというだけでは十分な回答を得ることはできない。本稿では、決定における古典理論を再考しながら、意思決定の基本構造を検討することを目的とするものである。ここでは特に時間構造に注意を払うことになる。The purpose of this paper is to reconsider how decision-making has been applied to our daily life. We perform various decisions every day. In our daily life, we always need decision making. We can easily imagine that decision-making affect deeply our daily life itself. However, we notice that there are the various sides about this act when we think about this daily act. Decision making always takes socio-cultural influence in our daily life. But when we think about that essence, it is not sufficient to point out a decision making comes under socio-cultural influence. This study reconsiders a classic theory of the decision making, and examines a basic structure of the decision-making. We will pay attention to structure of time.
著者
笠原 祥平 岩本 俊彦
出版者
東京情報大学
雑誌
東京情報大学研究論集 (ISSN:13432001)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.49-58, 2015-09-30

社会資本整備審議会で論議されてきたわが国の都市政策が、成熟した都市型社会という社会認識に至り、転換点を迎えている。国民の大半が都市に居住する都市化時代から、都市の拡大への対応ではなく、都市機能の質の向上を図りつつ、国土の均衡ある発展、多様性の確保、連携性の促進、災害対応力の向上を目指す基本戦略へと、政策の転身が図られている。国土交通省を中心に描かれた都市政策のビジョンをもとに、持続可能性を重んじ、コンパクトで効率的な都市構造に転換する方策や課題について考察する。
著者
中尾 宏 下嶋 聖 関山 絢子 ナカオ ヒロシ シモジマ ヒジリ セキヤマ アヤコ Nakao Hiroshi Hijiri Shimojima Ayako Sekiyama
雑誌
東京情報大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.47-69, 2012-09-30

企業は将来にわたって事業を継続することを前提に利潤を追求し自らを発展させてきた。近年、これに加えて企業も社会を構成する一員であるとの考えから、自らの発展と同時に社会貢献が求められるようになった。特に「企業の社会的責任」元年と呼ばれる2003年以降、多くの企業が「企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility 以下CSR)」を推進している。企業が行う植樹活動もその多くがCSRの一環として始められ、環境活動を行う環境CSRの具体的な方策として植樹による「企業の森づくり」に参加する企業が急増している。しかし、それらは、都道府県との連携による森づくりであり、短期的な企業主導の森づくりであるため、地域の森林計画や地域住民の意識との乖離といった課題が明らかになっている。本論では、企業のCSR報告書を中心に、資料・文献を整理したうえで、聞き取り調査を行い、これらの課題を解決するために企業が行う新たな活動形態として、ピジョン株式会社が茨城県常陸大宮市の社有地で行う「ピジョン美和の森」植樹活動の特異性を明らかにした。環境CSRの一環として行う植樹活動を自社の保有地で行い、自社の資産として森づくりを進めるためには、他の有形・無形の資産同様、維持管理のための持続的森林管理方法の構築が必要である。A company, developing its business in chase of profits, is required contribution to society as a member of the community. Since 2003, many companies have developed and promoted corporate social responsibility (CSR). In recent years, more and more companies introduce an activity of foresting as a part of CSR. The number of companies with CSR Forest is rapidly increasing. However, other studies have concluded that the creation of a forest is dissociated from the local forest plan because of domination by administrative division and short-term contract.In this article, first of all, the current reality of foresting by companies was clarified by the survey of CSR reports. Secondly, the investigation was made of the company continuing planting trees in its own land as CSR for years to reveal the uniqueness of the activity. The following are the main findings(: a)many companies have lack of knowledge about forestry preservation and(b) it is requested to construct the management system for forest assets like established one for other tangible or intangible assets.
著者
鈴木 英男 安岡 広志 圓岡 偉男 神野 建 新島 典子 スズキ ヒデオ ヤスオカ ヒロシ ツブラオカ ヒデオ ジンノ ケン ニイジマ ノリコ Hideo Suzuki Hiroshi Yasuoka Hideo Tsuburaoka Ken Jinno Noriko Niijima
雑誌
東京情報大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.23-32, 2012-09-30

近年、Facebook、Twitter、mixi、GREE、Mobageの爆発的普及と、スマートフォンと呼ばれる携帯電話の登場により、掲示板、ブログ、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の利用者数が急増している。高校生の携帯電話所持率も高く(95.1%)、携帯電話による子どもたちの被害も急増している。その内容は、いじめ、詐欺、異性間トラブル(強姦、児童売春)などの深刻な被害である。他方で、利用者は、被害者になるだけでなく、ネットの匿名性により、容易に加害者にもなり得る。いったん加害者になれば、匿名性は失われ、犯罪者となることもある。携帯電話を使用することは、被害者や加害者になり得るリスクを含んでいる。筆者らは過去9年にわたり国内20校以上の高校において携帯電話の情報モラル教育を実施してきた。高校生にとって理解しやすい内容にするため、筆者らの情報モラル講演は、本人追跡性について詳説、さらにデモンストレーションも行っている。本稿は、携帯電話利用にともなって生じる社会問題の複雑さ・深刻さについて分類、解説した上で、これまでの高校教育現場での情報モラル教育の実践をふまえ、効果的な情報モラル教育の一つの考え方を示すことを目的としている。本稿が高校教育現場で日夜問題に直面している関係者各位の手助けになることを期待したい。In recent years, the number of users of the BBS, bulletin board system, the blog, and the SNS, social networking service, are increasing rapidly along with the explosive spread of Facebook, Twitter, mixi, GREE and Mobage, and with the appearance of" smart phone," a new type of the cellular phone. The more high school students possess cellular phones, the more serious damage the students suffer: bullying, fraud and even sexual assaults and troubles, such as rape and juvenile prostitution. On the other hand, by the anonymity of network, students can turn into not only victims but assailants easily. Once a student becomes an assailant, however, anonymity is lost and he/she can easily become a criminal. Thus, using cellular phones involves taking risks of becoming a victim and an assailant. We authors have performed the information morals education of cellular phones over the past nine years at over 20 Japanese senior high schools. Our lectures on the information morals education have been especially based on the user traceability for cellular phones, and are readily appealing to the students, including a demonstration of showing an IP address on PC/cellular phone's displays. In this paper, we first classify and explain the complexity and seriousness of the social problems which arise as a consequence of using cellular phones. Then we show principles for effective information morals education, based on authors' experiences of the lectures on information morals education so far. We will be happy if this paper could help to support high school teachers, facing these serious problems every day.
著者
原田 恵理子
出版者
東京情報大学
雑誌
東京情報大学研究論集 (ISSN:13432001)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.33-45, 2013-03

聴覚障害児のソーシャルスキルと自尊心の向上を目的とした本研究は、ソーシャルスキルトレーニング(以下、SST)を実践し、その効果を検討した。SSTは、コミュニケーションレベルの異なる3つのグループで実施し、対人関係に必要な9つのスキルを獲得することを目標とした。生徒評定では、失敗不安、引っ込み思案行動、攻撃性などが低下した。一方、教師評定では、生徒の向社会的スキルが向上し、引っ込み思案行動が低下したという結果が得られた。また、実践の評価においても、教師は実践自体を肯定的に受け入れていることが明らかになった。本研究の結果、コミュニケーションレベルに応じたSSTを計画することが効果的である可能性が示唆された。
著者
原 朗 榎本 至
出版者
東京情報大学
雑誌
東京情報大学研究論集 (ISSN:13432001)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.21-33, 2005-09-20

日本における水球競技は、他の多くのスポーツ競技同様に、クラブ活動を中心とした学校教育システムの中で発展を見せてきた。しかしながら、このシステムには若年代からシニア選手に至る長期的な指導理念に基づいた具体的施策が不足していることが浮き彫りにされた。一方諸外国及び日本国内でも、長期育成型の一貫指導プログラムによって成功を収める競技が多く存在している。日本代表チームが五輪出場を目指す上で長期的な視野に立った指導プログラムの存在は欠かせない。こうした状況を背景に財団法人日本水泳連盟水球委員会では、水球競技選手の国際的競技能力の向上を目指した長期的な育成計画として「水球一貫指導プログラム」を開発し、その運用に着手した。本プログラムにおける今後の課題は、世界最先端の水球競技における技術と戦術に常に照らし合わせつつ内容を柔軟に対応させることと、競技への導入段階である最も初心者レベルにおけるより効果的なプログラムを充実させることにある。
著者
池田 幸代
出版者
東京情報大学
雑誌
東京情報大学研究論集 (ISSN:13432001)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.53-67, 2012-03-01

本研究では、介護事業サービスを提供する企業が安定した経営を行うために、現在直面する問題を解決することを目的としている。その中で、ここでは介護事業所が利用者をいかにして確保するかに着目した。調査では、主にデイサービスや訪問介護サービスを提供している東京都内の介護事業所の利用者を対象に、インタビュー調査を実施した。それによると利用者は第三者評価などの公開された情報を利用して、介護事業所の選択を行っているのではなく、ケアマネージャーや知り合いによる紹介によって事業所を選択していることが明らかとなった。介護保険制度が導入された当初、利用者の自由意思に基づく選択が行われるとみられていたが、実はそうではないことがわかる。そこで本研究では、利用者確保のために、介護事業所がどのような対策をとるべきかを考える。