著者
中岡 慎治 滝 久雄 合原 一幸
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.235-240, 2010-05-01 (Released:2010-09-22)
参考文献数
20

本研究解説では,免疫学における定量数理モデルを用いた研究の紹介を通じて,理論免疫学(theoretical immunology)分野における最近の研究動向についてレビューする.続いて,各研究グループによって独立に構築されてきた数理モデルを横断的に検討し,それら数理モデル間に共通性・類似性が存在することを示す.
著者
加藤 俊介 野城 智也 村井 一
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.293-298, 2022-08-01 (Released:2022-09-22)
参考文献数
6

災害時などの迅速な建築設備の故障箇所推定のために,全体構成と構成要素の状況の2 種類の情報を集約して全体状況を把握する仕組みが必要である.また,その情報を用いた点検計画作成をコンピュータで支援することは,限られた人的リソースで対処するために有効である.そのような考えに則り,自律分散型の機能ネットワークモデルを構想し,データ構造アーキテクチャと,モデルを用いた故障時の点検箇所の絞り込み支援のアルゴリズムを検討した.そして,大学施設の給水設備を例に,モデルの作成とアルゴリズムの適用の検証を行った.
著者
藤原 寛太郎 鈴木 秀幸
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.122-124, 2009 (Released:2009-04-14)
参考文献数
12

これまでの脳神経データの解析は発火率に代表される比較的低次の統計を扱うことで神経発火を特徴付けてきたが, 最近の研究ではスパイク間隔分布や間隔パターンなどに基づく統計量にも種々の有益な情報が存在することが示唆されてきている.これら統計量の実データにおける振る舞いを調べることは, 情報符号化の観点でも重要と考えられる.本研究では, 多試行スパイク時系列において, これらの統計量の時間変動を高い時間分解能で推定する新たな統計解析手法を提案した.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
皆川 佳唯 酒井 雄也 勝木 太
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.213-217, 2020-03-01 (Released:2020-04-02)
参考文献数
10

大量に発生するコンクリートがれきの処理やセメント製造時のCO2 排出の削減が課題となっている.本研究では木材を使用することで,セメントを使用せずにコンクリートがれきを硬化体として再生する方法を検討した.具体的には,コンクリートがれきと木材のそれぞれを粉砕して得られる粉体を混合してホットプレスすることで硬化体を製造し,コンクリートと木材の割合,含水率,成形温度などが硬化体の曲げ強度に与える影響を検討した.実験の結果,これらの条件を変化させた多くのケースで,一般的なコンクリートの曲げ強度を大きく上回る結果が得られた.
著者
横井 喜充 ソコロフ ディミトリ
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.11-13, 2018-01-01 (Released:2018-01-30)
参考文献数
11

経路積分法を用いて平均場ダイナモ方程式が考察される.磁場の発展は三次元Wiener ランダム過程として取り扱われ,流体粒子の軌跡の全てにわたってのWiener 積分を実行することで平均磁場の方程式が導かれる.方程式の形式は従来の平均場方程式と同じである.しかし,この方程式は磁場による力を受けた速度場について導かれたものである.その意味で,非線型ダイナモの平均場方程式と言える.
著者
清田 隆 京川 裕之
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.709-715, 2011 (Released:2011-12-27)
参考文献数
2

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(Mw 9.0)による東日本大震災では,宅地造成地において地震動による地盤の変状が多数発生し,人命・家屋に損害を与えた.いずれの造成地でも谷埋め盛土が行われた箇所に被害が集中する傾向にあった.ここでは,比較的被害の大きかった宮城県内の造成地の被害事例を報告する.また,1978年宮城県沖地震後に施工された対策工の効果についても言及する.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
平沢 隆之 渡辺 翔 須田 義大 吉田 秀範 中野 公彦 水間 毅 長谷川 智紀 竹内 俊裕 栃岡 孝宏 山本 康典 岩下 洋平 藤元 秀樹 東 耕一
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.177-182, 2015-03-01 (Released:2015-03-30)
参考文献数
7

車車間通信型ASV の普及スキームの一環として提案した路面電車と自動車の間での通信型ASV プロトタイプサービスを,実証実験への試供が可能となったASV 通信機を用いて構築した.両車両が見通し不良状況にて1 対1 で遭遇する基礎的なシーンを想定し,広島地区第二次ITS 公道実証実験デモに合わせて機能検証データを取得した.その結果,プロトタイプサービスが路面電車運転士の気づき支援に必要な機能を満たすことを確認した.
著者
加藤 俊介 村井 一 野城 智也
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.169-174, 2022-05-01 (Released:2022-05-27)
参考文献数
7

個々の住宅の性能の元,運用で住宅の温熱環境の快適性を確保するために,Building Element(以下,B.E.)の意味構造にそって,B.E. の振る舞いの情報蓄積が有効と考える.そこで本論文では,3 階建て木造戸建住宅1 棟の空間とB.E(建具.・空調機器)の「意味構造」「状態」「振る舞い」に関する情報をセマンティックデータモデルを用いて記述した.そして,その情報をもとに分析を行い,影響の大きい階段室周辺のB.E. を操作することで空気対流を制御し,複数の部屋に部分暖房の熱を融通し,快適性を確保できる可能性を検討した.
著者
桑野 玲子 スワル ラクシュミプラサド ベルトラン ガルビスアドリアナルシア
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.395-398, 2011

盛土や斜面などの土構造物は, 長年にわたる供用中に, 降雨や地下水の変動などにより繰返し水の浸透作用に晒される.一般に, 不飽和土は浸水によってコラプスと呼ばれる体積収縮が起こることが知られており, 特に細粒土の浸水コラプスについてはこれまで研究例が多い.しかし, 砂質土のコラプス挙動やコラプスした土の力学特性の変化についてはあまり解明されていない.<br> 本研究では, 河川堤防盛土のように, 通常不飽和状態で安定を保っている土構造物が, 降雨や堤内水位の上昇により浸水した場合, および浸水を繰り返した場合の, 変形及び力学特性の変化について, 三軸試験装置を用いた微小ひずみ剛性測定で検討した.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
桑野 玲子 ベルトラン ガルビス アドリアナ ルシア
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.686-689, 2009

盛土や斜面などの土構造物は, 長年にわたる供用中に, 降雨や地下水の変動などにより繰返し水の浸透作用に晒される.一般に, 不飽和土は浸水によってコラプスと呼ばれる体積収縮が起こることが知られており, 特に細粒土の浸水コラプスについてはこれまで研究例が多い.しかし, コラプスした土の力学特性の変化についてはあまり解明されていない.<br> 本研究では, 河川堤防盛土のように, 通常不飽和状態で安定を保っている土構造物が, 降雨や堤内水位の上昇により浸水した場合, および浸水を繰り返した場合の, 変形及び力学特性の変化について, 三軸試験装置を用いた微小ひずみ剛性測定で検討した.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
加藤 俊介 野城 智也 村井 一
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.135-138, 2022-02-01 (Released:2022-02-25)
参考文献数
7

1 つの建物において,テナント毎に要因が異なる環境価値低下に対し,Building Element(以下,B.E.)の関係性を形式化して意味構造を把握し,その上で状況をモニタリングして改善活動に展開することが有用と考える.本稿では,将来の統合・拡張に耐えうる情報基盤となる必要性からセマンティックデータモデルを用いた意味構造記述を提案した.そして,大学の一室のCO2 濃度モニタリングシステムに関わるB.E. の意味構造をモデルで記述した上,周辺システムのモデルと統合する検証をし,部屋などの共通ノードを結節点にグラフ構造が統合されることを把握した.
著者
霜野 慧亮 中野 公彦 鈴木 彰一 岩崎 克康 須田 義大
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.85-89, 2022-02-01 (Released:2022-02-25)
参考文献数
11

自動運転の社会実装には,実際の交通環境下で自動運転車両がどのように走行しているのかを,社会に対して適切に伝えることが望ましい.実交通環境下での自動運転車両の走行データ収集は,そのようなコミュニケーションの際に有用な情報をもたらすだけでなく,より高度な自動運転車両の機能開発や運用上の工夫等の観点からも,有益な情報をもたらすと期待される.柏市柏の葉地区では,2019 年11 月から長期間実証実験として自動運転バスが営業走行している.この取り組みは,長期間にわたり自動運転車両が走行していることから,将来的に自動運転車両が実装された際の状況に比較的近い状態にあると考えられる.この自動運転バスにドライビングレコーダを搭載し,運転手による手動介入時の映像データ取得を行い,介入時の周辺交通や道路環境の要因について分析を行う取り組みを開始している.本稿では,この取り組みの概要を紹介する.
著者
森田 敦郎 小森 大輔 川崎 昭如
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.491-496, 2013

本稿は,チャオプラヤ・デルタにおける水管理の変遷と社会の関係を描き出す試みである.20世紀前半の開発は,デルタ全体を一つの灌漑システムへと再編するものであった.このシステムは,雨季の灌漑(水の均等な配分),乾季の灌漑(選択された地域への給水),雨季の洪水防御(指定氾濫地域への導水)という三つの目的を持つ.これらの三つの機能は,それぞれ絡み合いながら歴史的に発展してきた.だが,1990年代に進行した農業変化と産業化にともなって,三者の葛藤は顕在化しつつあり,水管理に新たな課題を突き付けている.
著者
東畑 平一郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.10, pp.221-225, 1953-10

application/pdf
著者
鬼頭 幸三 大島 伸行 山本 誠 セベン シモネ
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.22-25, 2009

基礎検討として単純な車体外形形状と平坦床下形状をもつASMO車体について, LESと標準k-εモデルによる解析解を比較し, 車両の空力開発におけるLESの有用性を示した.実験による直接検証が困難な実用的な問題において, 標準スマゴリンスキーモデルによるLES解析解の実用的な評価方法を提案した.この評価方法によって複雑な車体外形形状と床下形状をもつV50車体の流れ場に関するLES解析解を評価した.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
赤塚 若久 大口 敬 大島 大輔 洪 性俊 花房 比佐友
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.211-214, 2014

電気自動車(EV)の普及率上昇には様々な課題が存在する.EVはエネルギー問題や環境問題解決に大きな役割を果たすと考えられているが,その実用に当たっては克服すべき課題として,EVの航続距離の短さに起因する,頻繁な充電行動の必要性が挙げられる.また,長い充電時間も大きな課題である.本研究は交通シミュレーションによりEVの充電行動を分析することを目的とする.交通シミュレーションにおいてEVの電池残量を考慮するため,既存のOD交通量より推定したトリップチェインに対応できるように交通シミュレーションモデルを改良する.さらに,東京都の環状8号線内側を対象地域とし,ケーススタディを行う.